投手を輝かせるためならなんだってするぜ。
どんな嘘でもどんな嫌われることでもな
ダイヤのA by御幸一也
「つーわけでポイントの支給渡したよな?英語100点は王と堀北。数学は幸村と堀北と高円寺。国語は池と平田、高円寺に幸村。理科総合は堀北、高円寺、幸村。社会は幸村、高円寺、堀北。以上だ。ついでの総合は俺が500でトップ。二位が堀北と幸村が並んでいるからなこれがこのメンバーにはポイントを振り込んである。」
俺が言うとすると貰ったメンバーの中で王は少し嬉しそうに微笑み池はガッツポーズをする。特に池は俺が進めた国語だけに集中したこともあり、まさかのトップ通過であったことは俺自身も驚いた。
「まぁ、報酬はこれくらいにして、一ヶ月間お疲れ様。一応クラスポイントもある程度は回復すると思う。でもな。過去問があったにしても凡ミスが多い印象のテストだった。100点が全員上位三人をキープしている中で過去問があったにしろ100点が少なすぎる印象だ。」
全員がうっと小さく目線をそらす。これが今の現状。とりあえずポイント回復はできたのは良かったがさすがにこの結果は少し不満だった。特に五教科全て100点満点が俺だけという現状だ。ついでに俺は過去問を使っておらず素の点数である。
「Cクラスも攻略法を見つけてAクラスも派閥の一つの方はすでに攻略法を見つけたらしく平均点は全てのクラスで75を超えていたらしいから今回ポイントの差はあまり詰まることはないだろう。」
「……それじゃあ一向にAクラスとの差が縮まることはないんじゃないの?」
とクラスの一人はそういうと俺は首を横に振る。
「テスト前に先生が言ったこと覚えている人はいるか?」
「えっ?」
「えっと、もし今回の中間テストと七月に実施される期末テスト。どちらでも退学者を出さなかったら、お前たち全員夏休みにバカンスに連れて行ってやるってやつ?」
「あぁ。というよりも帆波のクラスでもこの話はされていたらしい。おそらく全クラスにされていると考えていいだろう。」
「……それって夏休みに何かあるって考えた方がいいってこと?」
「あぁ。それに話の内容から結構分かることがある。青い海、白い砂浜、そして照りつく陽の光。って茶柱先生は言っていた。でもBクラスは学校が所有している無人島でバカンスって星乃宮先生が言っていたらしい。」
すると顔つきが変わるクラスメイトに俺は少しだけ息をつく
「恐らく無人島でサバイバルの試験があると見ていいだろう。実際この試験を使用している企業があるからな。そしてその試験には言わずもがな……クラスポイントが大きく関わってくることに違いないだろう。」
クラスメイトがざわざわと騒ぎ始める。
「先輩から聞くにクラスポイントが大きく関わってくる試験は特別試験と呼んでいるらしい。一応ここの学校では勉強以外の評価も含んでくる。知識、運動神経、行動力、協調性、もちろん中学校からの態度も関わってくる。言っとくけど俺は投資家として既に数億円稼いでいるんだよ。だから社会のことはみんなよりも詳しい方だと思っている。」
「す、数億?」
「あぁ。一千万単位の取引もできるし現代社会において学生の株式の購入はできるからな。俺は小三のころからやっていたけど普通に数百万単位で損することだってあるしな。元々見る目はあったから軌道に乗せられたけど。」
と俺は軽く息を吐く
「って話が逸れた。社会に出たら確かに勉強も大切なスキルの一つだ。でも、勉強だけができても意味がない。例えば勉強ができる社員と取引先から仕事を持ってくる社員。どっちが会社から重宝されると思う?」
「……取引先から仕事を持ってくる社員。」
「そう。これには判断力、コミュニケーション能力とか多くの勉強とは関係ない力が試されている。これも必要なスキル。恐らくここはそういったことを試されているんだよ。今回の試験だって純粋な学力の他に過去問っていう攻略法があっただろ?これは発想力や先輩に交友関係があるひと、もしくは知らない先輩に話しかける度胸や取引でどれくらい安く買えるかといった値引きなど多くの攻略法があった。一応他の攻略法は先生にポイントを支払ってどこが重点的にテストにでるのか聞きにいくとか勉強とは関係ない解決法もあっただろ?」
と俺が言うと全員が驚いたように俺を見る。中間テストの攻略法なんてたくさんあったのに誰もそれを見つけようとしなかった。一つのことに目を向けてもっと柔軟な思考ができなかった。
「俺はAクラスを目指す。でもそれはAクラスになるだけではなくてここにいる全員が社会に出た時に役立てる人材を作ることを目的とする。ぶっちゃけ高校なんてただの過程にしかすぎない。……言っとくけど勉強や運動だけできただけで社会に通用ほど甘くねぇぞ。一流大学いったところで仕事で結果がでなければ首になるのは当たり前なことだからな。」
これは俺が恩師である小学生のころの先生から聞かせれてきた言葉だった。勉強だけできても意味がない自分の武器を磨け。才能は人間ひとつはあるものだ。それならその才能を磨けば自分にとって最高の人生になると。
「まぁ何がいいたいっていうと学力だけじゃどうにもらなないってこと。多分ここに来たからには誰もが自分の才能を持っていると俺は思っている。Dクラスに来たってことは昔やんちゃしてたりいじめられて不登校だったり、いろんな闇を抱えたりしているかもしれない。でも別にそれでもいいと俺は思うし、別にそれを知ったところで拒絶もしない。」
俺がそういうと全員が驚いたように俺を見る。
元々過去の人望は関係ない
自分が見ている今が俺にとってはその人の特徴である
それにこれからクラスに必要になるもの
助け合いの精神
これは俺にとって何よりも大事にしていることである。
人間欠点があって当たり前。それならば俺の欠点を補える人が俺のサポートをすればいいと。
「今後特別試験で俺はクラスメイトを頼ることが多くなる。だからみんなも苦手な分野は誰かを頼ることを覚えてくれ。苦手なことできないこと。それを黙っているから悪化するのであってこれからは絶対に誰かを頼らなければいけない時がある。平田でも櫛田でも俺でもいい。他の誰でもいい。」
「頼るって。」
「例えば櫛田は実行力や交友の広さだったらこの学年一といっても過言ではない。他のクラスとの交友の綱渡り的な存在になるだろうし。須藤に限っては運動神経は高円寺と俺がいるから目立たないけどこの学年トップクラスだぞ。俺も運動面は活躍できるけどいつ捻挫を再発してもおかしくはないからな。」
少し苦笑してしまう。それは俺にはアクシデントがつきものといったものだった。
「勉強面に関しては幸村、堀北、科目によったら英語は王がこのクラスでも抜け出している。コミュニケーション能力でいえば池は誰にでも話題を触れるしノリもいい。」
俺はそう言うとクラスの方を見る。
「これが人の武器だ。そしてその武器ならば今でもAクラスと戦えるものはある。だけどそれだけじゃ足りない。いや俺たちが上に行こうとするのなら……変わってもらいたい。」
俺がみんなに向けて宣言する。
「言っとくけど俺一人で勝とうでなんか思ってない。俺だけがいるだけで勝てるほどこの学校は甘くないからな。……例えば外村。お前PCに強かったよな?」
「うむ。一通りのことはできるでござるよ。」
「それならマイクロソフト覚えてくれないか?資料作成とか俺が今やっている状態なんだけど他にもやることが多くてな。プライベートポイントを支払う代わりに資料作成手伝って欲しいんだけど。」
「……マイクロソフトでござるか?一通りのことはできるでござる。」
「ならそれに付随して、MOS試験を受けてみないか?俺も簿記三級受けるつもりだし国家試験や資格に対しての学校の動きも知りたいしな。大学に行く時も内申点に加算されるし成績あんまり良くないぶん資格でカバーする形でどうだ?」
「うむ。……いくらでござるか?」
「 資格合格で3万。資料作成はそのつどだな。最低三千で資料の量や質で評価する形で。」
すると少し考え始める外村。
「資格はともかく資料作成はいいでござるよ。」
「悪い助かる。できればPCの知識は外村に頼みたい。それが外村の武器だしな。」
「なるほど。確かに僕たちには無理だね。ネットの知識は外村くんが向いている。」
平田が後押ししてくれる。これならいけるか?
「趣味も才能の一つだからな。外村はPCの知識。学校外で身につけるべき知識を伸ばしたほうがいい。ミホは料理の技能と計算能力に長けていたから簿記の資格を一緒にとってもらうしこういった戦い方も俺を基本にした方がAやBクラスには通用すると思っている。元々俺の作った制度にはそう言う役割もあるからな。だからプライベートポイントもクラス内でも活発にさせようと思ったんだ。元々生徒間で取引したらいけないルールなんてなかったしな。」
すなわち一つの一年D組という社会を形成しようとしていたのだ。そして準備段階はほぼ整っている。
取引をはっきりさせることによって俺は目的を作った
だから後はそれに向かって行動するだけだ
「これからは協力しないと上には勝ちあがれない。行動しないと個人でAクラスになるのは勝手だけど…俺は卒業までにこのクラスでAクラスに上がってみせる。そして俺はこのクラスでもここからでも一人一人が変われたらAクラスに上がれるだけの力はあると考えている。」
最下位だからこそ自分と向き合う時間を与えることができ、そして自分の才能と向き合う時間を与えた。勉強会を開いたのも全部が計算のうちの一つだ。
「夏休みまで時間がある。だから俺と平田、櫛田は基本的にサポートに回る。基本的に自分の強みを伸ばすのもあり。苦手なことを鍛えるのもよし。でも覚えてほしいのはどんなことでも自分が一歩踏み出さなければ何も変わらないってことだけは覚えておいてくれ。」
と俺は一息つく。
「とりあえず解散。お疲れ様。」
俺の号令に全員が息を撫で下ろす。とりあえずこれで布石を一つ打った。
後は待つだけだな。
俺はそのいつものチャットアプリを開く。そこには佐倉愛里との会話を再び見返した。