ようこそ綾小路がいない教室へ   作:孤独なバカ

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Sシステム

人は、平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な体を持つ者、生まれも育ちも才能も人間は皆、違っておるのだ。そう、人は差別される為にある。だからこそ人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ!

コードギアス反逆のルルーシュ シャルル・ジ・ブリタニア

 

しばらくすると始業のチャイムが教室内に響き、それとほぼ同時に一人のスーツ姿の女性が現れる。

 彼女は正しく社会人といった具合にきっちりスーツを身に纏っていた。歳は三十に届いているかいないか。やや長い黒髪を後ろに束ね、ポニーテール調といった具合だ。

 恐らく彼女が担任だろう。

 彼女が教卓に向かう数秒の間に、席から立っていた生徒たちは慌てて自分の席に戻った。

 

「新入生諸君。私はこのDクラスを受け持つことになった茶柱佐枝だ。担当科目は日本史だ。当校では卒業までの三年間クラス替えはしない。よって、私たちは三年間共に過ごすことになる。よろしく。今からおよそ一時間後に入学式が行われるが、その前に当校の特殊なルールについて説明をしたいと思う。まずはこの資料を配布したいので、前の生徒は後ろの生徒に回してくれ」

 

 そう言いながら茶柱先生は一番前の席の生徒たちに見覚えのある資料を渡し、そう指示してきた。

 確かあれは、合格通知と共に送られてきたものだ。

 この高等学校は、全国各地にある高等学校とは異なったルールが敷かれている。大前提として、生徒は在学中は学校が用意した寮で寝泊まりしなくてはならない。ここまでは寮がある学校とさした変わりは無いと思うが、違いはここからだ。

 生徒は在学中、特例を除き外部との接触を禁じられている。

 つまり家族との連絡は不可能。

 さらには、学校の敷地内からの外出も禁じられている。

 しかしその反面、政府主導で建立させただけはあるのか、生徒に不満を覚えさせないように手配されているのも事実だ。具体的にはカラオケやシアタールーム、カフェにブティックといった娯楽施設や、コンビニエンスストアにスーパーといった施設も存在するらしい。

 そして最も異質なものがある。Sシステムの導入だ。

 

「今から配る学生証カード。このカードにはポイントが振り分けられており、ポイントを消費することによって敷地内にある施設の利用や売られている商品の購入が可能だ。まあ、クレジットカードだと思えばいい。敷地内で買えないものはなく、また学校内でもそれは同様だ」

 

 学生証に振り込まれているポイントは1ポイント=1円の計算になっている。

 ポイントは学校側から無償で提供される。

 

「ポイントの使い方は簡単だから迷うことはないだろう。もし困ったらその場にいる職員に尋ねるように。それからポイントは毎月一日に振り込まれる。今現在、新入生のお前たちには十万ポイントが振り込まれているはずだ。無いとは思うが、もし足りなかった場合は申し出るように」

 

 茶柱先生の言葉に、生徒はざわついた。

 彼女の言う通りなら、現時点で、十万円という大金を得たということになる

 学生のその金額は凄まじい効果を生み出す。

 思い思いに周りの生徒と共に言葉を交わす生徒を、茶柱先生はおかしそうに笑った。

 

「意外か? 最初に言っておくが、当校では実力で生徒を測る。倍率が高い高校入試をクリアしてみせたお前たちにはそれだけの価値があるということだ。若者には無限の可能性がある、その評価のようなものだと思えばいい。ただし、卒業後はどれだけポイントが残っていても現金化は出来ないので注意しろ。仮に百万ポイント……百万円貯めていたとしても意味は一切ない。ポイントをどう使おうがそれは自由だ。男子だったら最新鋭のゲーム機が売られているぞ? 女子だったら様々な服屋があるぞ? 自分が使いたいように使え。逆に使わないのも手だな。もしいらないのならば友人に譲る方法もある。……ああ、苛めはやめろよ? 学校は苛めに敏感だから、もし発覚したらそいつは退学処分だ。では、良い学生ライフを過ごしてくれ」

 

と言ってから茶柱先生は去っていく。

たしかに一月に10万という大金を振りこませるとこういう反応になるのは目に見えているのだが…

俺が最初に覚えるのは警戒心だった。

10万というのは明らかに大金だ。

この学校にいられるとなると無料でもらえるとなると少しだけ違和感を覚えていた

何かがおかしい。

おかしいどころではない。明らかに金銭の無駄だ。

ここに入学できたのは確かに才能が何かがある人間ばかりだ。

自分も一つ才能っていうものはちゃんとある

でもそれを開花できるのはたった少しだけだ。

 

天才は才能があるからこそ天才ではない

 

天才は自分の才能に気づくから天才と呼ばれるのだ。

多少性格が悪かろうが女や男を誑かそうが後世では何も感じない人が多数だ。

功績は少しの悪癖を隠す。

それが俺はよく分かっていた

 

だからこそ警戒心を覚える。どういうことかを考えると俺は少し考えるが明らかに情報を足りていない。

 

「……」

 

少し頭を使うさっきの話を思い出せ。

と頭をフル回転しているととある二つのことに引っかかる

 

ポイントは毎月一日に振り込まれる。

今現在、新入生のお前たちには十万ポイントが振り込まれている

 

そういえば今現在ポイントが振り込まれるのは10万ポイント。でもよくよく考えたら月ごとのポイントは10万ポイントとは言われていない。

 

そして天井をみる。それは多くある監視カメラの数。

 

「……」

 

それは何を意味しているのか。

即ちこれは検査のための監視カメラ。

 

「……完全実力主義ね。」

 

よく考えたらそうそう美味しい話があるわけがない。

俺はこっそり今朝話したミホを見る。

すると少し笑っている。そして同時に俺の方を見てくるミホ。

そして立ち上がり俺の方に近づいてくる

 

「凄いよ!!10万だよ。10万。」

「そっちかよ!!」

 

と俺はツッコミを入れてしまう。

どこか抜けているミホに少しため息をつく俺であった。

 

 

 

「……ごめんなさい。つい目先のお金がちらついていて話を全く聞いてなかった。」

 

とこっそり抜け出した俺たちは廊下で少し話していた

 

「意外だな。あんまり金銭的なことを考えないと思っていたんだが。」

「あはは。僕の家はちょっと家族が多くてね。ここに通っているのも学費の安さって訳だよ。」

「あ〜ここそこまで学費がかからないからな。」

 

なるほどあんまり金銭的に余裕がないって訳か。それなら仕方ない。

 

「そういう君は10万って金額は驚かなかったね?」

「俺は逆。両親がいいところで働いているいいとこの坊ちゃんってわけ。確かに金銭的なことには困ったことはないけどその分強制力が強くてな。ここに通っているのも。」

「両親の命令ってこと?」

「そういうこと。」

 

すると苦い顔しているミホ。意外にも理解を得ているようだった。

 

「意外だな。金銭的に裕福なやつって妬みを得やすいんだけど。」

「ううん。確かに僕は金銭的に困ってるけどでも家族は物分かりがいいし僕自身家族のことは好きだからね。お互いに苦労していることはわからないしお互いに幸福なのかも分からない。人は言葉にしなければ分からない生物なんだからお互いに反発していても結論は同じ学校に通っている友達ってことには変わりはないってこと。だから君の家庭環境は関係ないしこちらの家庭環境も関係ない。君がどんな人物なのかは今自分が見て確認する。元々人の価値は他人ではなく自分でつけるって決めている。」

「……へぇ〜面白いなその考え方。」

 

金銭的に余裕がないとはいえ確かにミホは今を楽しんでいるように見える。それは俺にとってはかなり面白いと考えていた。

 

「そういう君は家族はあまり好きではないみたいだけど。」

「俺は親の言うことは基本的に破っていたからな。防犯カメラを改造して抜け出してよく友達と野球やバスケをしてたな。」

「珍しいね。ゲームとかの話も通じているのに体育系なの。」

「ゲームは軽くはやっていたからな。でも体を動かす方が得意だった。一応これでも中学までバスケ部だったし。部活仲間や友達とだべっていた方が楽しいんだよ。」

「羨ましいよ。僕は家の家事で交友関係は築けなかったし。」

 

それこそ意外だな。もうちょっと交友関係は広そうだったのに・

 

「僕と君全く境遇が違うんだね。僕は正直この学校に何で受かったのかも分からないのに。成績も運動もできないし。できることといえば家事くらいかなぁ。それと音楽や絵はずっといい評価もらっていたよ。」

「ん〜確かになぁ。でもお前がいいやつってことは分かるしな。面白そうなやつってこともわかるし。てか本当に真逆なんだな。俺逆に全くできないんだけど。」

 

苦笑してしまう。音感なし、絵心なしの俺にとってそう言う才能は十分誇れるものであった。

 

「あれ?音痴なのかい?」

「直球だな。いや歌はまぁ普通だけど楽器が苦手。というより細かいことが苦手。」

「……あぁ。なんかそういう気がするね。ってそういえば教室で何を言いたかったの?もしかして学校のシステム?」

「月に入ってくる金額が恐らく変動するんだよ。」

「……どういうことだい?」

 

すると今までの笑顔は消え真剣な様子になる。

 

「よく聞いていたら担任はポイントが毎月一日に増えることと現時点でのポイントが10万ということしか提示がされてなかった。」

「なるほど監視カメラが多いのは学生の授業態度を見るためってことだね。」

「話が早くて助かる。そしてもう一つはプライベートポイントの使用法だ。」

 

すると首を傾げるミホ。こいつ本当に金銭に関することだと話を聞いてないんだなっと思いつつ、俺が思っていることを告げた。

 

「恐らくこれは本当にこの学園で何にでも使える。もしかしたらプライベートポイントを使ったイベントが開かれる可能性が高い。」

「なるほど。それがこの学校の基準になるって、そういえばクラス替えがないって言っていたからクラスで優劣を決めるって可能性が高いわね。」

「あ〜なるほど。そこに繋がるのか。そこがヒントになっているなんて思いもしなかったな。」

 

よく考えたら色々とヒントがあるのかもしれない

 

「……う〜ん。情報が少なすぎるな。ちょっと他のクラスの先生にも聞いてみようかな。」

「そうだね。僕も聞いてみるよ。」

「了解。」

 

とこれからの方針を話合う。

数時間前とは違い何か面白そうな学校生活に心を躍らせるのであった

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