ようこそ綾小路がいない教室へ   作:孤独なバカ

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櫛田の才能

努力は結果のための過程に過ぎません。いくら努力が尊い行動であっても、過程自体を誇るようになっては本末転倒なのです。

バカとテストと召喚獣 by 吉井怜

 

 

授業が終わると早速平田が行動し始める

 

「みんな放課後、ポイントをどのように増やしていけば良いのか考える会議を開きたいと考えているんだ。できるだけみんなに参加してもらいたいと思っているんだけど。」

 

俺はそれを無視して教室からでる。当たり前だ。普段通りの生活をしたところで意味がないことだと気づいているからだ

俺は外に出るとするとそこにはもう一人意味がないと思ったのかそれともDクラスに配属されたのを抗議するのか

 

「……どっちにしろ関係ないか。」

 

俺は今日もポイントを稼ぐために向かおうとすると結構離脱者は多いらしいのか教室から出てくる生徒も少なくない

須藤に長谷部や佐倉などか?

 

あのあたりはコミュニケーション不足。いや馴れ合いを拒むって言ったところだ。

というよりも佐倉に限っては視線を集めるのを拒んでいると言った方がいいか?

何か表に出る仕事でもやっていたのか?

……やっぱり諜報向けの人脈が一人欲しいところだな。

 

人混みにある程度は紛れることができるのが俺であるのだが情報を集める行為は正直苦手だ。

ある程度信頼できる人だと気づいたらとことん安心して自分の意見を言えるんだけど。ミホはちょっと何を考えているのか正直分からないからな。

一人の友達としては面白いけどお互いに踏み込むラインは分かっているのであろう。家に泊まるときも狭い量をさらに半分にしているからな。

 

つまり策略に向いていない動きやすい交友関係に優れた奴が欲しい

そう考えると真っ先に出てくるのが櫛田桔梗にあたる。

人間自分の闇を抱えていない人はいない。恐らく今回クラスでハイスペックなのは平田、俺、高円寺、堀北、櫛田にあたる。そして先導者になろうと

この中で俺が味方につけているのは高円寺だ。

あいつには基本的に自由にさせることを俺は決めていてそっちの方が高円寺は生きる人間であることは確かだろう。それを高円寺にはちゃんと伝えてある。あいつに嘘は一番やったらいけない行為だ。それならば利益を与えて勝手に動き回る方が十分生きることになる。これには高円寺も驚いていたし高円寺のやろうとしているプライベートポイントの所得方法について言い当てそれを黙認するとした時に高円寺は俺に味方することを約束してくれた。契約を結んだらおそらく高円寺はまた中立の立場になると考えたため高円寺は契約ではなく約束とするだけにとどまっている。そして逆に高円寺は俺がトップに立っているとき利点になることを確信している

そして堀北も運動や勉学に関しては圧倒的なステータスを誇っているがさすがに協調性がなさすぎる。一人で解決するなんて以ての外誰かに頼ることをしない人間であることは確かだ。

そして平田と櫛田は交友関係、勉学、身体能力も問題なしだ。……ただ平田は壊れやすい。明らかにみんな仲良くって形にとらわれ過ぎている。俺とは絶対に合わないことは分かりきっていた。

だから自然と櫛田に協力関係を結びたいと考えている。来月のMVPは恐らく平田と櫛田になるだろう。だから片方だけでも最低でも少し仲がいい関係になっておきたい。

しかし櫛田の交渉カードが見つからないんだよなぁ。あいつかなりの高スペックで中々素を見せない。

とりあえず探りをいれてみるしかないかなぁ。

そんなことを考えながら入部した麻雀部へと向かうのであった。

 

 

「あ〜儲けた儲けた。」

 

と麻雀部の先輩たちに奢ってもらった帰り道1日で数百万ポイント勝った俺がホクホクしながら帰路に帰っていた。

入部した場合、先輩次第で掛け金が大きくできるらしく今日は最初から1000点10000ポイントで賭けているのもあり、一回12万ほど負けたもののそれでも100万近く稼ぎ、早速6月に行われる夏の大会に団体と個人で出させてもらうことになったのだ。まぁ先輩曰く一番強い人が大会にでないのはおかしいという判断だったらしい。ついでにこの部去年団体戦全国制覇を達成した部活であり。ポイントを使った賭け事をしているせいか。一人一人のレベルが圧倒的に高いということを俺は始めて知った。

……次からはちゃんと対戦レベルのことは前準備していかなければならないな。一応麻雀は接待に十分役立つからといわれ習ったのが幸いした。

ついでに一年の入部者は俺含めて三人。AとCから一人ずつだ。

一年同士で賭け事なしで打ち合ったんだけど基本Cの松本という女子の愚痴を聞くことに精一杯だった。圧倒的にボコボコにしてたんだけどどうやら龍園という人が支配をしたらしく独裁政治をしいているらしい。仕方なく付き従っている感じか。

そして俺のプライベートポイントは今は150万ほどにあがり、本来なら月一で賭けるのがこの部の特徴らしい。

先輩に聞いたところプライベートポイントを使った娯楽は多くありテレビとインターネットに規制がかかっているこの学校ではこういった方法でストレス発散をしているのだとか。

そう考えると娯楽が少ないのか?

一応最低限のものはあるのだけれど。それでも娯楽は正直男子にとっては少ないよな?

……こんど他のクラスと情報を交換してみるか。

と色々考えながら歩いていると

 

「本当にムカつく。」

 

……とどこか聞いたことのある声が聞こえてきた

まぁあんまり聞かない方がいいよなと思い遠回りしようとしたのだが

 

……ここどこだ?

 

いつのまにかオートパイロット状態になっていたらしく海岸線沿いに来ていた。つーかこれ完全にやっちゃったよな。

完全に迷子だ。

 

仕方がないので俺はその声がした方へ向かう。

ちょうどいいや。ついでに契約もしておいた方が良さそうだな。

俺はボイスレコーダーとスマホのカメラに改良型のボールペン式のカメラの電源を付ける。

 

「櫛田。こんなところでストレス発散すんな。俺みたいに通行人がいたらどうするんだよ。」

「っ!!」

 

すると櫛田が慌てたようにこっちを見る

 

「えっ?なっ!!」

「……つーか俺も混ぜろ。くだらない無能共に愛想振りまくの大変なんだぞ。何であんな使い物にならない奴らのためにプライペートポイントを支払わなければならないんだぞ。」

「っ!」

「本当使えない。まだ須藤なんかは価値があるけど夢も協調力もない奴のために色々考えないといけないんだよ。当たり前のことをやらなくて何が被害者面しているんだよ。」

 

俺が同調したことによって櫛田もその意図が分かったんだろう。

クスッと笑い

 

「本当それ。男共は目つきがキモい下心見え見えでマジウザいつーの。」

 

とお互いにクラスの悪口を言い合う。秘密の共有。それがおそらく櫛田をこっち側に付かせる唯一の手だろう。

そして數十分悪口を言い終え俺は櫛田にボイスレコーダーを投げる

 

「っ!」

「これで俺の秘密を握ったってわけだ。そっち側の方が櫛田は安心できるだろ?」

「……はぁ。本当に大江くんは人の扱いが上手いよね?」

「こう見えても昔全中三連覇した時のキャプテンだぞ。当然のごとく櫛田みたいなやつもいたし爆弾処理をしないといけなかった時だってある。」

「爆弾って。」

 

少し引いているのだが俺はさらにせめてみる

 

「……お前のDクラス配属の理由って本性がバレたからか?それとも持っていた情報をばらまいていたからか?」

 

俺はかなり直球で聞いてみる。それは櫛田の深いところを抉っているようなものだった

 

「そういう大江君は何でDクラス配属なの?明らかにみんなよりも優れているって感じだったけど。」

「俺は第一希望がここじゃなかったんだよ。というよりもさすがに怪しすぎた。面接の時にここのことを食虫植物って言ったりここの入試の記入欄を全て英語で回答してたからな。」

「……それ結構問題だよね?」

「別に。俺から見たらこの学校の方が性格悪いとしか言いようがないんだけどな。……やっていることはただの詐欺と同じことだ。」

 

事実ここの制度は法律スレスレに近い。ここに入れば理想の進路にいける。これは噂に留めていることだが恐らく発信源はこの学校と国家であるだろう。

 

「……それって。」

「あぁ。ここは恐らく最初から俺たちはこの学校に入学されるように決められていたんだよ。よくよく考えたら学校の先生から妙に進められた形跡がある。すなわち入試などは全部ダミーで最初から決められていたんだよ。クラスも全てな。」

 

本当に合格通知が出てきた時一瞬何で合格してのか不思議だった。そして考えた結果がこれだ

 

「本当にクソッタレな学校だよここは。」

「それだけ分かっていて何で入学したの?」

「両親から言われたのと家から逃げるためかな。両親の働いている会社で働いてほしいんだとさ。俺、小さいときから投資とか色々やっていたから。」

「投資っていくらくらい稼いだの?」

「億は超えてる。絶対に失敗しないゲーム会社やブレイクしそうなスポーツ選手の契約しているスポーツメイカーを思いっきり株式を買い込んでいたからな。結構遊び感覚で色々やってたらすごい儲けがでた。」

 

だから両親は俺のことを物凄く買っている傾向がある。元々エリート思考が高いし俺にかなり勉強を押し付けられたのもあるけど

 

「……本当規格外だね。はぁ。……まぁ見られたのが大江くんだったのは良かったかな。大江くんは多分私みたいな人間がいた時は自分の弱みを話すタイプだよね?ううん。違う。私みたいな人しか信用できないんじゃないかな?」

 

即ち自分の本当の姿を見せた人のみ信用できるというもの。それも確かにあるのだけれど

 

「…いや。一応基本的に上辺だけじゃない友達は基本的にこっちを見せているぞ。そう考えるとお前と同じだよ。基本的に自分が認めてもらえるように動く。おそらく理由は違うけど承認欲求で動くタイプだろ?」

「……やっぱり分かる?ううん。お互いに分かっちゃったんだよね。」

「そうだな。ただ異なるのはそんな自分が好きか嫌いか。それだけだろ?」

 

そんな自分が大っ嫌いな俺。反対に自分に自信を持っている櫛田。

だから分かる。こいつも分かっている

それはお互いに限界があることを。

 

「……そうだね。それじゃあ私のことも少し話そうかな。」

「あぁ。その前に。」

 

俺は軽く周囲を見渡す。そして誰もいないことを再確認する。

 

「ん。大丈夫そうだな。こう言った話をするときはできるだけ周辺の警戒をしないとまずいだろ。」

「なんか大江君といると私の上位互換みたいで嫌なんだけど。」

「上位互換ではないしタイプも全く違うからな。俺は情報収集とか全く向いてない。どちらかといえば人を操る側だろうな。計画を立ててそれを命令する。逆にお前は誰にでも近づけるってかなりすげぇぞ。俺はそういうことよりも結果で語るタイプだからな。お前みたいに深い仲になるのってほとんどないんだよなぁ。まぁ大体見えてきた。……お前の破滅原因はおそらくインターネットでのストレス発散か。」

 

ほぼ確信に近かった。話しているときもそうだけど警戒心が低すぎる。

俺に見られたのも外で声をあげていたからに近い。寮は防音対策はされているのだがそれでは不安だったのだろう。おそらくここは本来ならばインターネット内で知らない誰かに打ち明けるっていうのが櫛田のストレス発散方法だったのだろう

 

「うん。正解。ブログでクラスメイトのありのままの真実を書いていたの。もちろん匿名だけど。」

「それがクラスメイトにバレて関係が険悪にか。ログが残るインターネットはさすがに名前を変えてもありのままの真実を書かれたらさすがにバレるな。」

「本当に迂闊だったよ。……ううん今回の件もそう。私はかなり爪が甘いって痛感させられる。元々小学校のころは神童とか天才って言われていたんだ。でもやっぱり私みたいな凡人は君みたいな人には劣ってしまう。本当の天才って大江くんみたいな人のことをいうんだよね。」

「……はぁ。櫛田。お前気づいてなかったのか?お前自身の才能のこと。」

「へ?」

 

俺は本当に気づいていないのかと小さくため息を吐く。

こいつ普段から自分の才能を使っているから気がついているのかと思ったんだけど……

だから俺は櫛田の顔を見ながら断言してやる。

 

「お前の才能は悪い意味でいうのであれば人を騙すこと。いい意味でいうのであれば演技力だ。言っとくけど俺も正直裏の顔は全く気付かなかったし、誰もが騙されている。即ち自然な笑顔や不自然のない笑顔で騙し続けているんだろうが。」

「っ!」

「その演技力に関してはお前は女優に匹敵。いやそれ以上なんだよ。お前は天才的に理想の自分を演じることが上手いんだ。」

 

そう櫛田の強みはその情報収集力だと思っていたんだが、今回の件で櫛田の才能は演技力に特化していると感じられた。全員を騙せるほどの演技力はおそらくこの学校や社会にでてもそう見られない

 

「お前の悪い噂なんか聞いたことがない。クラスでたった一ヶ月でこれだけの信用を得たんだ。来月からのMVP投票で女子の部門でお前が一位から外れることなんてありえないんだよ。」

「演技力……。それが私の才能?」

「あぁ。自信を持っていえる。その分野に置いては櫛田は頂点に立てるだけの才能を持っている。」

 

正直櫛田が演劇の道に進んだとすれば100%成功する確信できるくらいの演技力をもっている。人間腹黒いところは俺がちゃんと発散させてやれば櫛田はこれ以上に才能を開花させる可能性がある。

そうなった場合こいつの価値はさらにもう段階上に上がる。

 

「……本当に?」

「本当だ。」

「そっか。」

 

すると普段の笑顔ではなく自然と頰が緩む櫛田。

その笑顔はまるで新しいおもちゃを与えられた子供のようだった。

櫛田はさっき握ったボイスレコーダーを投げ返してきたのでそれを受け取る

 

「いいのか?」

「うん。というよりも必要なくなったから。……ううん。違う。私は大江くんについていく。大江くんが退学するのであれば私も退学するし。もう堀北とかどうでもいい。」

「……流石にそこまではしなくていいんだけど。つーか重い重い。」

 

というよりも櫛田と堀北って関係あるのか?……まぁ恐らく昔のことについて知っているんだろう

 

「……てかそんなに嬉しかったのかよ。」

「うん。だって皆私の外面しかみてくれないんだもん。中学校の奴らなんか私の裏側を見ただけで全員が怯えてたし。……でも私の本当の姿を見ても大江くんは引かないんだ。」

「何で?そんなもん気にしねぇよ。人には裏があるのが当たり前。完璧超人なんか存在しない。俺だって色々弱点があるしな。」

「そっか。それを聞いて一安心かな。」

「……帰るぞ。」

「うん。でもちょっとコンビニ寄っていいかな?少し買いたいものがあるから。」

「付いてくよ。流石に夜遅いし女子一人にさせるわけにはいかないしな。」

 

と言いながら隣を歩き始める櫛田と俺

思っていた以上に深い仲になりそうだと俺は小さく苦笑いするのであった。

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