医学に関しての独自解釈が入ります。
放課後
「相澤先生、少し相談したい事があるんですけど、この後大丈夫ですか?」
「ああ森羅か、この後は特に予定はない、保険相談室でいいか?」
「はい、ありがとうございます」
先生は快く承諾してくれ、そのまま保険相談室に直行する。
かなり重そうな引き戸がスッと空くのが不思議でそれを開けている先生の手を凝視してしまう。
そこそこに高そうなソファーに腰かけて話を促される。
先生に退学届けを差し出す。
「どういうことだ?」
「実は、体にガタが出始めました。健康寿命にしたらあと5年ぐらいですかね」
「何かの個性か?」
「いいえ、ちょっと暗い話になりますけど、俺虐待されてたじゃないですか。自分で直せるって分かってから悪化して毎日致命傷を負ってきたんですよ」
先生が顔を歪めるが俺は話すのを止めない。
「生物の傷を直すのって物を直すのとは勝手が違って、死んだ細胞を分解して周りの細胞の細胞分裂を促すんです。これは治癒個性全般に言えることですが」
先生はもう気付いている筈だが、ちゃんと言葉にしておきたい。
「俺の細胞のテロメラーゼは同級生の3分の1以下になっています」
「一番劣化が激しいのが三半規管と視神経付近、小腸です」
「俺は、この学校を卒業しても、2年しかヒーローとして働けません」
先生は分かっている。俺がヒーローをただの高給職としか見ていない事に、俺がヒーローを目指すのは母親の釈放金を稼ぐ為だと。一端の新人ヒーローにそんな金額稼げないと。
「退学して、就職します」
「分かった。就職先はもう決まってるのか?決まって無いなら斡旋ぐらいは出来る」
「はい、心配しなくてもヴィランにはなりませんよ。日本で一番ホワイトでブラックな所です」
「そうか」
「荷物は纏めています。上のほうにも話はつけているので、明日から住めるようにしてもらいました。それから、何かあった時の為にとヒーロー免許を取らせてもらいました」
「短い間でしたが、本当にお世話になりました。色々無理を言ってごめんなさい」
「では、俺はこれで、荷物の最終確認があるので失礼します」
部屋を出ようとして気づく、防音になる引き戸が少し空いている。俺はきちんと閉めた。そして微かに香る甘い香り。まったく彼は人の過去を聞いてしまう星のもとに生まれてきたようだ。躊躇い無く扉を開け、寮に戻る道を歩く。
「爆豪君、立ち聞きは趣味悪いって体育祭の時言ったよね」
「それとも、俺がイケメンと密室に入っていくの見て妬いちゃった?」
「あれはテメーも共犯者だろうが、つか、テメーはああいうタイプが好みなんか(笑)」
「俺のタイプは、素直になれなくてツンツンしてるから勘違いされるけどその実誰よりも冷静で頭の切れる泣き虫な才能マンかな」
「まあ、ノンセクだけど」
「碌な奴じゃねーな、俺のこと言えねーよテメーも」
本当に爆豪君は察しが良い、良すぎる。
「爆豪君、今日1日部屋にお邪魔してもいいかい?」
「荒したらテメーの髪の毛金髪にしてやる」
「ありがとう」
「そういえば、爆豪は緑谷の個性のこと聞いたか?」
「聞いてねーけど何となくわかる」
「へー、緑谷君は爆豪君のこと大好きだからうっかり話しちゃうのかと思っていたよ、ストーカーは収まったかい?」
「まぁクラスメイトの目があるからマシだな」
「俺は個性の性質上、人の個性因子を何となく知覚出来る。最初の授業の時には、燃えカスだったよ」
「オールマイトの力は」
「そーかよ」
そのあとは本当に他愛もないニュースの話、授業の話、最近はハマっている音楽の話コンビニの菓子の話をしていた。あと、連絡先交換した
「お邪魔します」
「ちゃんと鍵かけとけよ」
「うん、爆豪君以外に聞かれたくはないし見られたくもない」
「はぁ、どこまで煽れば気が済むんだよ」
「俺は、テメーが好きだ。だから、俺がトップヒーローになったら迎えに行く」
「それまでに死んだら、あと追ってやるからな」
「その脅しは俺に効くな」
「分かった」
「王子様が迎えに来るまで死なないでおくよ」
「俺の話を聞いてくれるか?」
それから話した、前世の記憶と今世の俺を、何もかも、俺は知ってほしかった自分の事を爆豪君に。自分の醜い癖も、その理由も。
「そうして、俺は明日から社会人になる」
「見てぇ」
「テメーの傷全部」
「うん」
ブレザーは着ていなかったからシャツと長袖インナーだけ脱いで爆豪君に向き合う。
そして傷跡の説明をしていく。そしてその傷跡を爆豪君がなでる。
「フッ、ヒヒっ、アッハハく、くすぐったいって」
「ばくごーくんフフッ、ストっpハハッ、態とdヒヒっ」etc.
「ハックション」
「さぶっ、ばくごーくんあっためてぇ~(笑)」
爆豪君に思いっきし抱きつく
「フッ、おうおうあっため殺してやんよ(笑)」
抱きしめ返してくれて涙腺が緩まって
「愛してる、テメーのこと全部ひっくるめて」
俺の涙腺は決壊した。
そうだ、俺は分かりやすい愛がほしかったんだ。ちゃんと言ってほしかった。
ぐずぐず泣いていると頭をなでてくれて、背中をさすってくれた。
ガチャ
背筋が凍った、涙が引っ込んだ。
恐る恐る後ろを向くと、相澤先生と斜め後ろに緑谷と切島の姿が。
混乱している俺らに相澤先生が説明してくれたことによると
夕飯の時間になっても現れない俺らを心配し、隣の部屋の切島がノックしたが、鍵もかかってるし返事も無かった為、それを報告しに共有スペースに行ったところ、俺宛の書類を持った相澤先生と合流し、合鍵を使って中に入った←今ここ
にしても、すぐシャツを羽織ったはいいものの背中だけでもがっつり見えちゃったからか、どことなく気まずそうな雰囲気を出す緑谷と切島。まぁ、気まずそうなのはそれだけじゃないんだろうけど。なんて言ったって男がベットで方や半裸で抱き合ってたんだもんな。物凄く誤解する。いやまぁ誤解ではないんだけど、ほら俺ら気持ちの確認しあったばっかりの初々しいカップルだからさ、うん。
取り敢えず俺は相澤先生が持ってきた書類をもらい、ペン立てのボールペンでサインをし左手首を思いっきり噛んで血判を押し、相澤先生に渡す。
呆気に取られて見ていた緑谷と切島はその書類の文字に気が付いて目ん玉が飛び出そうな顔をする。
「一足早くなっちまったけど俺、明日の朝にはここ出ていくから。でも混乱するといけないから内緒な」
「よし、ばくごーくんご飯食べに行こう」
きちんとシャツのボタンを閉めて爆豪君の腕を引っ張ると振りほどかれてしまったが、先生たちの後ろを歩く時に恋人繋ぎになっていた。え、かっこよ
そして俺は、早朝に迎えに来たホークスさんと一緒に車で政府が用意してくれた部屋に向かった。