掴め、アイドルスター! 作:アイドルって、楽しい!
ちなみに、話は変わりますが、理想の体現者√はノーマルグッドエンド、引き返せない夢√は救いの無いBADEND、『家族』√は堀くんと主人公のメスガキがタイムリーなゲームの星になった双子(中の人まで姉弟)みたいになってよなちよの前に立ち塞がります。
翌日、私はスタジオ大黒天にて、黒山さんと対面していた。
プロデューサーには予め言ってあるので問題無い。今日はオフだ。
用事で出かけているのか、柊さんは居ない。
「それでぇ、私に頼みたいことって何でしょうかあ?」
黒山さんは早速の私の問いに一拍置いてから、話し始める。
「お前には、現状、スタジオ大黒天に唯一所属してる女優の世話を頼みたい」
⋯⋯?
ああ、やっと黒山さんのお眼鏡に叶う役者が見つかったのか。
しかし、なぜ私なのだろう?黒山さんの伝手を使えばもっと適役が居るだろうに。
「お前は女優としてはつまらねえことこの上ないが、その技術だけは俺も買ってる。頼む」
「凄い失礼なことを言われてる気がしますねぇ。ファンのみんなが聞いたら激怒されますよお?」
そんなものは知らん、そう言って不敵に笑う黒山さんを見て、逡巡する。
その女優さんに私の技術のあれそれを教えるのは別に良いのだが、プロデューサーはなんと言うだろうか?基本的に、好き勝手やって良いとでも言われない限り、私はプロデューサーの方針に従うタイプだから、プロデューサーが許すのなら私も構わない。
私が懸念していることを告げる前に、黒山さんが先手を制すかのように口を開いた。
「お前のプロデューサーにはもう話を通してある。貸しを作るのは癪だが、お前の技術を盗んで、アイツの地盤はかなり出来上がるだろう」
「それ、本人の前で言うんですかあ?」
「お前、そんなの気にするタマじゃないだろ」
まあ、それもそうだ。
別に、私の技術を盗もうが、私を超えようが、アイドルスターになるための障害にさえならなければどうだって良い。むしろ、黒山さんに借りを作れるのは相当なメリットだろう。
「女優になるって言うからどんな心境の変化かと思えば、何も変わってねえんだな、お前。変わったってんならうちに来てもらうのも吝かじゃなかったんだが」
「喜んで良いのか分かりませんけど、依然、私はアイドルスターになる為に邁進中ですよお」
「⋯⋯そうかよ」
話すことも無くなって、少しの沈黙が場に残る。
何か話題でも振るべきか、そう考え始めたところで入口がにわかに騒がしくなった。
『ぁあー!? マキナちゃんだー!』
「レイ、誰か知ってるの?」
「⋯⋯?」
レイと呼ばれた女の子は、私の元まで駆け寄ってくると目を輝かせて私を見上げた。
『あ、あの! マキナちゃんですか!?』
「はい、私が想辺真希為ですよお?」
『はぁぁあ⋯⋯! あの! サイン下さい!』
「良いですよぉ、ちょっと待ってくださいねえ」
持ってきたカバンからCDを取り出して早速サインペンでサインを書こうとして、名前を聞いていなかったことを思い出した。
「お名前、教えてくれますかぁ?」
『あ、えっと、
「夜凪、レイちゃん、ですね」
《For Ray Yonagi,By Machina》と書き込んだCDを渡してあげると、女の子は可愛らしい笑顔を浮かべ大切そうに抱きしめた。
「あ、あの、妹がごめんなさい」
「⋯⋯ああ、いえいえ、大丈夫ですよお」
申し訳なさそうな顔を浮かべる綺麗な女の子。
見れば見るほどハイスペックさが分かる。百城さんとは対照的な夜のような目を引く黒髪は言わずもがな、基本的に見目麗しい俳優やアイドル達と比べても抜きん出た顔の造形、そして黄金比のようなスタイル。
⋯⋯この子が黒山さんのお眼鏡に叶った役者か。
なるほど。役者になってから、長いのだろうか。まあ、最低限私に言葉が届くくらいじゃないと黒山さんに選ばれるなんて有り得ないだろうなとは思う。
しかし、スタジオ大黒天は豪華だな。三人中三人が私に声が伝わる人間だなんて、びっくりだ。
「元から断るつもりはなかったですけど、気が乗りました。力になれるかは分からないですけど、あれこれ面倒見てあげましょう」
「おう、悪いな」
「ありがとう、ございます?」
『お姉ちゃん、良かったね! あのマキナちゃんに教えてもらえるなんて!』
ぽかんとする彼女に私は名乗ることにした。
「私は想辺真希為、改め、今は星アリス。アイドル兼女優ですっ」
「私は
なるほど、夜凪さんか。じゃあ、妹さんは夜凪妹ちゃんかな。
さて、じゃあ何から教えたら良いだろうか。夜凪さんはどれくらいできるんだろう。
「あ、言い忘れてたけど、そいつ役者歴一週間弱だから」
「⋯⋯はえ?」
私はフリーズした。
☆
『マキナちゃんはアイドルオタク以外でもテレビを観た事あるなら知らない人がいないくらいの凄いアイドルなんだよ!』
「そうなのね。私、そんな凄い人に教えてもらえるなんて光栄だわ」
「⋯⋯私なんてまだまだですよぉ」
『あ、復活した!』
ようやく立ち直った。
褒めちぎってくれているが、実際、私は輪廻ちゃんに比べたらまだまだだ。最も素晴らしいアイドルとして世界記録にも載っている輪廻ちゃんを超えるためには、誰も知らない程度じゃ足りないのだ。
閑話休題。そんなことをファンの、それも小さな女の子に言ったって仕方が無い。
今は、夜凪さんがどれくらいできるのかを見定めなくては。
「それじゃあ、早速で悪いんですけどぉ、実力、見せてください」
「⋯⋯分かったわ」
エチュードで良いかな。
「⋯⋯貴女は国王。貴女の目の前には、今まさに力尽きようとしている長年連れ添った王妃がいます」
私がそこまで言い切ると、雰囲気がガラリと変わった。
「⋯⋯っ!」
なるほど。これは凄い。
⋯⋯メソッド演技法か。しかし、これは精度が段違いだ。道理で、役者歴一週間弱なのに私に言葉が届くわけだ。こんなの、埒外過ぎる。
目の前で進む彼女の演技に、私は知らず知らずのうちに魅入っていた。
⋯⋯これかも知れない。
「お前、
「⋯⋯」
黒山さんの声にハッとさせられる。歪んだ顔を元に戻す。幸いなことに黒山さん以外には見られていなかったようだ。
「な? 悪くないだろ」
「⋯⋯そうですねえ」
これは、引き受けてよかったかもしれない。
彼女に教えることで、私もまた彼女から何かを得られたら、それは、とても良いことだ。
少しだけ、彼女に教えるのが楽しみになった。
そうこうしていると終わったらしい。ちょっと不安げな顔で、夜凪さんは私に評価を問う。
「⋯⋯どうだった?」
「うん。すごく良かったよ。全然ダメだったけど」
「⋯⋯ええ⋯⋯どっちなの?」
その異能は凄いけど、それ以外はまだまだだ。
⋯⋯今度はこっちがやってあげよう。
「見ててくださいねぇ、夜凪さん。演技って言うのは―――
―――こうやってやるんですよぉ?」
「⋯⋯!」
彼女に課したモノと同じエチュードをして見せる。彼女のものほどいろいろと詰まってはいないが、お手本通りには出来るだろう。
⋯⋯でも、どうしよう、いつもと違う変な感じだ。悪くないけど、なんか変。だけど今は演技に集中しよう。
それはそうと、ニヤニヤしてる黒山さんには後でお仕置きだ。
おや?アイドルの様子が?
ちなみに、某RTA小説風に言えば主人公の技能は『
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ルート。
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理想の体現者√
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引き返せない夢√
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『家族』√