ソードアート・オンライン プレシャスプロミス   作:猫猫猫の助

8 / 9
槍のソードスキル調べてもあまりわからなかったので、分かったやつとオリジナルになっていくと思います。
めっちゃ長くなった、、


7話

次の日、12月3日の午後に再び会議が開かれた。露天商に《アルゴの攻略本・第一層ボス編》が販売されていたからだ。

 

会議の内容は俺情報と攻略本の内容の擦り合わせから始まった。今現在正体を明かしている元テスターは俺だけなので、信用はまだされていないかもしれないが、ここは信じてもらう他ない。

 

「ディアベル、これはあくまでもベータテストの時の情報だ。今までもベータと変わってることはたくさんあった。もしかしたらボスも何か変更があるかもしれない。」

「わかってる。でも今はこの情報を参考に作戦を決めていこうと思う。早速だけど、役割分担を決めよう!」

 

SAOでワンパーティー6人、この場にいるのが46人だから、7パーティー作ってあまり4。このままだとあまりは俺たちになりそうだ。

ディアベルは出来上がったパーティーを

 

A、B隊をタンク

C、D、E隊をアタッカー

F、G隊をサポート

 

に分け、余った俺たちは〈H隊〉遊撃部隊として、取り巻きの処理と全体のサポートを任された。

 

2回目のボス攻略会議は、作戦とドロップ分配を決め、明日のボス戦に向け、士気を高め解散となった。。

 

 

「なあ、キリト今から一緒に狩りにいかないか?ほら、昨日行けなかっただろ」

「ああ!人と合わせるのは久しぶりだからな、下手になってても文句いうなよ?」

 

解散後、キリトを狩りに誘い、パーティー登録した俺たちは迷宮区へと向かった。

 

「キリト!スイッチ!」

「了解!」

 

キリトとチハヤは圧巻のコンビネーションでMOBを相手取っている。

2人の戦闘は全く危なげなく、迷宮区で談笑できるほどの余裕をアスナとリズに与えていた。

 

「ねえ、これあたし達いる?」

「これ見みてるとさ、2人だけでもボスに勝っちゃうんじゃないかって思うよね」

「このままボスに挑んだりして....」

「ないない!....っとは言いきれないよね」

 

3人で挑んでいたときよりも速いペースで塔の上へと登っていく。

 

「おっ!レベルがあがった」

「おめでと!チハヤは今何レベなんだ?」

「14になったかな」

「なっ!俺より1つ上....」

「私とリズもあと少しで14になるよ!」

「嘘だろ....」

 

この辺はソロとパーティーの効率の違いだろう。

俺達は3人で迷宮区の上の方で安定した狩りができるが、ソロのキリトは安全のために、できるだけ低い階で戦う必要があった。

これが会議までキリトと会えなかった理由かもしれない。

 

「キリト、帰る時間もあるし、明日のためにこの辺で終わっとこうぜ」

「そうだな。今日はゆっくり休まないとな」

「あー、ゆっくり休むと言えばお風呂入りたいよねー....。ゲームにもお風呂があればなあ」

「あたしも!汚れないって分かってるんだけどねー」

「あるぞ?俺の宿にも風呂がつ「「あるの!?お風呂!!」」う、うん」

「案内して!早く!」

 

あまりに食い気味な反応に、キリトは押され気味に了承していた。

女性の風呂への執着はこわい。

 

 

キリトに「どうぞ」と案内された部屋は、俺たちが今泊まっている宿と30コルしか差がないのに、倍近く広かった。

 

「すごいだろ?なんとこれでミルクが飲み放題な「お風呂はどこ!」あ、あの扉の奥です」

 

宿についてすぐ、部屋を見回すことすらなく一目散にお風呂へと走る2人に、チハヤ達は呆れて笑ってしまったが、俺も風呂に入りたい気持ちはわからないでもなかった。

数秒後風呂場の方から2人のはしゃぐ声が聴こえ、視線がそちらの方に向くのを鋼の精神で堪えていた。

このままだとまずい、別の話題を出そう。

 

「な、なあキリト。どうだと思う?」

「そりゃ、アスナの方がデカいだろ」

「えっ?」

「えっ?」

「キリト....明日のボス攻略の事だよ....」

「あっ!違うんだ!決して風呂に入ってる2人のことを考えてた訳じゃなくて!」

 

(こいつ....俺が意識しないようにしてたことを....)

 

「はぁ....で、どう思う?明日」

「よっぽどのアクシデントがない限りは勝てる....と思う」

「だよな、今までの感じからするとボスに新しいモーションが追加されてたりしそうだな」

 

先程のことを帳消しするように真顔で真剣に話そうとしているが、その顔はまだ赤みがかっていた。

 

その時ドア、風呂ではなく玄関の方から小刻みにコン、コココンとノックする音が聞こえた。

俺は誰だったか分からなかったが、キリトの方はその音だけでドアの向こうにいる相手が誰かわかったらしく、ドアをあけその人物を中に招きいれた。

 

「アルゴじゃん!久しぶりだな!」

「オヨ?チー坊、何でここにいるんダ?」

「キリトとボス戦のためにパーティー組んだんだ」

「なるほどナ、チー坊は最近女の子といるってきいてたからナ。驚いたヨ」

 

そういいながら全く驚いてない様子で、慣れたように部屋に入りに席に着いた。

アルゴはキリトと取引の話があったようで、俺は廊下で待つことにした。

 

数分の間1人でアイテムの整理をしてると中から「きゃああああ」と叫び声が聴こえ、急いで中に入る。

そこには気を失い倒れたキリトと、手を合わせ黙祷しているアルゴだけがいた。

 

 

「なぁ、チハヤ。昨日何があったか覚えてないか?俺気づいたらベットで寝てたんだよ」

「いや、俺は何も知らないぞ。本当だ」

「おっかしいな、アルゴが来てた要な気がするんだけど」

「ああ、お前が寝てる間に来てたぞ」

「な、なんかお前不機嫌じゃないか?」

「そんな事ないよ。それよりもうそろそろ皆あってるだろうし、行こう」

 

嘘である。少しだけ怒っていた。今忘れているとはいえ、リズの着替えを見たかもしれないこいつが羨ま....いや、許せない....!。俺は見てないのに!

馬鹿なことを考えてる間にトールバーナの噴水広場に着いていた。

どうやら俺たちが最後のようで既に広場には42人集まっているようだった。

全員が集まったことを確認したディアベルは美声を張り上げた

 

「みんな!今日は1人も欠けることなく集まってくれてありがとう!オレ、すげー嬉しいよ!俺から言うことはたった一つだ!」

 

「勝とうぜ!!」

 

ディアベルの声にレイド全体が声を上げる。勝利を祈るように、不安をかき消すように。

 

 

トールバーナを出発し、迷宮区に到着してから1時間後、俺たちレイドパーティーは最上階ボス部屋の前にたどり着いていた。

 

サポート部隊の俺たちはレイドの1番後ろに配置されており、顔は見えないが前方からは緊張が伝わってきた。

 

「行くぞ!」

 

ディアベルは一言だけ短く叫び、大扉を押し開けた。

 

ボス部屋の広さは横幅20メートル、扉から奥の壁までが100メートル程。

部屋に入った瞬間、左右の壁に並んでいた松明が燃え上がった。

松明は次々に奥へと火を灯していき、内部の明度も上昇していく。

 

部屋の最奥に取り付けられた松明が点いた時、奥に座していた巨大なシルエットが立ち上がる。

巨体はそのまま飛び上がり、地響きとともに俺たちの前に着地した。

 

「グルルラアアアッ!!」

 

獣人の王《イルファング・ザ・コボルドロード》はその体躯に相応しい巨大な口を開け咆哮をあげる。

 

ベータと変わらず、右手には骨で作られた斧、左手には革のバックラーを携え、腰には長さ2メートルはあろうタルワールを差している。

 

「A隊前へ!ボスの斧を受け止めろ!」

「F隊は横からA隊のサポート!C、D隊スイッチ!」

「B隊は交代の準備!E、G、H隊は取り巻きをボスに近づけさせるな!」

 

「了解!」

 

的確なディアベルの指示はコボルドの王が自由に動くことを許さない。

このまま行けば、第1フェーズは余裕そうだ、と自分たちの相手に集中する。

 

俺達の相手は《ルインコボルドセンチネル》。斧槍を両手に持ち、ボスに比べれば小さいが、それでも2メートル以上の大きさと、全身を鎧で包んでいることから弱点である、喉元を攻撃しづらい。

 

「予定通り俺とアスナが攻撃を弾く!チハヤとリズはその間に攻撃を!」

「ああ!」「任せて!」

 

斧槍に対し、俺の持つ槍と、リズの持つ片手棍は相性が悪い。情報通りの相手の武器にキリト達が前に出る。

セルチネルは斧槍をキリト達に振り下ろす。キリトとアスナは流れるような動作で相手の斧槍を弾き、その隙をつき俺とリズは攻撃を加えていく。

 

緻密に計算されたコンビネーションでの攻撃を数回繰り返すと、センチネルは光の粒子となり消えた。

 

リズとアスナは率直に――強い――と感じた。

 

もちろん今までも、一緒に行動していたチハヤは言わずもがな、少しだけ行動を共にしたキリトのことも強いと思っていた。だが、今の戦いを見て2人はそれでもまだ過小評価していたのだと悟った。

 

迷宮区での戦闘はレベル差もあり、1、2回スイッチすれば倒せていたため戦闘時間も短く、強いことは分かったが、比較対象が自分たちしかおらず実感しづらかった。

しかし、今回は取り巻きとはいえ、ボス部屋に出てくるMOBである以上HPは高めに設定されているし、比較対象が周りに大勢いる。

 

何度も攻防を繰り返せば他のプレイヤー達とは歴然の差があることがわかった。

速さだけでいえば、アスナの方が速い。それでも動きの無駄のなさ、正確性、判断力。そのどれもが他のプレイヤーよりずば抜けて高い。

自らの身体を自在に操つり戦うその強さに

 

『私もあの2人みたいに身体を操りたい!対等に戦いたい!』

 

とアスナは強く願った。

 

 

コボルドロードの4本あるうちのHPバーが、1本減る度に湧いてくるセンチネルを相手取り、3体目を倒し終えた頃。

ボスのHPは3本目が削り切れるところであり、間もなく4本目に突入するところだった。

 

「B隊!攻撃を弾け!D隊とスイッチ!」

「うおおおお!」

 

B隊に配属されたエギルは力を振り絞り、振り下ろされたボスの骨斧を、俺の身長はある大きさの両手斧で弾く。

それに続くD隊も勢いのある攻撃でボスのHPを削った。

 

「グルルラアアアア!!」

 

どうやらボスのHPが4本目に突入したようだ。ベータ通りならボスは腰のタルワールに持ち替え、センチネルが新たに3体湧くはず。

 

情報通り、コボルドロードは両手に持った斧と盾を投げ捨て背中の武器を抜いた。それだけ確認し、E隊がセンチネルを倒しきれてないのを見てサポートに向かう。

 

「よし!情報通りボスが武器を持ち替えた!オレも前へ出る!B隊は下がってA、G隊はオレに続いてサポートを!」

「わかったでぇ!ディアベルはん!」

 

すべてが順調だった。予想を上回るペースでボスの体力を削り、ピンチに陥ることも無くこの戦いが終わると、誰もが思い油断してしまった。

 

ここまで順調に進みすぎたことに疑問を持つべきだったのかもしれない。あの茅場晶彦がこのまま何事もなく終わらせるなんてありえないのだから。

 

「あ、ああ、、だ、だめだ!下がれ!ディアベル!全力で後ろに跳べッ!!」

 

センチネルに割いていた俺の意識は恐らくキリトが出したであろうその声に引っ張られる。

コボルドの王が抜いたのはタルワールではなかった。今この場にて俺とキリトしか対策を知らないであろう武器《刀》。

ベータテストにおいて10層に存在するMOBが使っていた武器だった。

 

困惑し、立ち止まる俺たちを嘲笑うかのように笑うコボルドの王は、その巨体を浮かび上がせ、空中で体を捻り、武器に威力を溜める。落下すると同時にその蓄積されたパワーを解き放った。

水平方向に360度攻撃可能なカタナ専用ソードスキル《旋車》。

 

その強烈な一撃はボスをとり囲もうとしていたA隊のHPに一気に5割近くのダメージを与えた。

この攻撃のおそろしいところは威力だけでは無い。攻撃を受けたプレイヤーをスタンさせるのだ。

デバフとしては麻痺ほど怖いものでは無いがスタンには回復手段が存在しない。

 

前線にいるG隊がスイッチをせず、飛び込みタゲを引き受けなければいけないが、綿密に練った計画の中にはそんなものはなかった。

それに加え、これまで楽勝ムードだったこと、ディアベルが攻撃を喰らってしまったことらによる急激な状況の変化が、全員の体を縛った。

 

超大技を放ったことによる硬直から回復したコボルドロードが更なる追撃を繰り出そうとする。

 

SAOに存在する存在する生物系のMOBは、攻撃する直前、システム的に必ずその方向を見るようになっている。

それを利用し最短距離でサポートへ向かう。

 

(狙いは....ディアベルか!!)

 

コボルドロードのもつカタナに赤いライトエフェクトが走る。床スレスレの軌道から高く斬り上げるソードスキル《浮舟》。

これはスキルコンボ開始の技で、喰らってしまうと、浮かび上がった体に強力なソードスキルを叩き込まれてしまう。

 

「クソっ!間に合わない!」

 

いくら最短距離で走ったとはいえ、ボスとの距離があったため、浮舟の発動には間に合わなかった。

 

攻撃を喰らい浮かび上がるディアベルの体に対し、構えからして、3連撃技《緋扇》を繰り出そうとしている。

 

自分とボス、そしディアベルの距離から、攻撃には間に合うと判断した。

だが、敏捷に多くステータスを振っている自分では、恐らく緋扇は止められない。

ムリに止めようとすればディアベルは助けられず、自らも致命傷を負う。

 

たった数秒が無限にも感じられる時間のなか、出した結論はディアベルを諦めることだった。

連撃を喰らえばディアベルは耐えられない、かといってボスの連撃を止められるプレイヤーはいない。

 

――無理だ――

 

そう考え脚が止まりそうになる。

 

間もなく始まる下からの連撃によって、ディアベルはその体を、青いガラスの破片へと変えるだろう。何故こうなったのだろうと自責の念にとらわれる。

 

暗い方へと走る思考の中、自らの名前を呼ぶ声が聴こえた。

 

「チハヤ!!」

 

リズの声だ。遠くにいてもその声は俺の耳によく届いた。

 

(そうだ。俺はリズを守るために戦うんだ。こんなところで悲しませるわけにはいかないんだ!!)

 

「うおおおおぉ!」

 

ボスの攻撃は止められない。だからディアベルに俺の槍で攻撃することでボスの攻撃の軌道から逸らす。

上手くいくかわからない。それに上手く行ったとしても、ディアベルが俺の攻撃に耐えられるかもわからない。

これは賭けだ。一か八かの大勝負は――俺の勝ちだ!

 

ディアベルは俺の槍に弾き飛ばされつつHPは1ドットを残し耐えていた。

対してコボルドロードは大技を、2回も放ったことによる硬直中。

ディアベルを助けれたことで張り詰めた極度の集中が一瞬切れかけ、倒れそうになる。

 

普通に考えれば〈ボスの使用武器が違う〉〈リーダーが動けない〉。こんな状況だったら体勢を整えつつ撤退するべきかもしれない。

だがカタナの長射程範囲スキルを後ろから放たれれば、今度こそレイドが崩壊しかねない。

 

(なら!今この場でコイツを倒す!)

 

「G隊!今のうちに全力で攻撃!B隊!回復したやつから前へ!防御優先!

リズ!ディアベルを頼む!キリト!取りに行くぞ!」

「!?ああ!!」

 

大声を張り上げ、体が固まり止まったままだったプレイヤーを無理やり動かす。

カタナのソードスキルに対応できるのは俺とキリトだけだ。ディアベルをリズに任せ、俺の意図を理解したキリトと前へ出る。

 

「キリトお前ならあれ止められるか!?」

「あんだけ戦ったんだ!嫌でも覚えてる!」

 

ベータテストで俺たち2人は第10層まで到達し、ボスを倒し終了を迎えた。《千蛇城》と呼ばれた迷宮区で攻撃を喰らう度に、全てのカタナスキルの予備動作を必死に覚えた。

その記憶を呼び覚まし戦う。

 

発動を確認してからでは間に合わない、超高速の居合い系のスキル《辻風》。それをキリトは予備動作だけで予測し、突進技《レイジスパイク》によって相殺する。

 

ただ予測しソードスキルを放つだけでは相殺しきれない。予測した上で、最適なソードスキルをシステム外スキルによってブーストしなければ、こちらが押し負けてしまう。

 

たった2人ではいくら相手の技がわかってもボスの体力は大きく削れない。

 

ディアベルを助けた時から絞り続けた集中力。永遠にも思えたコボルドロードとの読み合いは、恐らく15回か16回ほど切りあった時、集中の糸が途切れたことによって終わりを迎えた。

 

(初見殺しもいいとこだろ!茅場!俺たちがいなきゃここで全滅だぞ!バカヤロウ!)

 

今のレベル、知識、集中のどれか1つでもなければ作り得ない今の状況に、生まれた茅場への恨み言。

その一瞬の隙が命取りだった。

 

「しまっ.....!!」

 

同じモーションから上下ランダムに発動するスキル《幻月》。上段からと読んだ軌道が真下に回ったのだ。

発動しかけた槍の2連スキル《スピン・スラッシュ》を慌ててキャンセルしようとするが、間に合わずに体が硬直する。

 

「チハヤっ!!」

 

隣でキリトが叫ぶが遅く、斬りあげによって俺は吹き飛ばされていた。

鋭い衝撃に全身が痺れ、HPが4割以上減る。

 

俺が吹き飛ばされたことに動揺し、こちらを見るキリトにコボルドロードの緋扇が襲う。

 

「ぬおおおおッ!」

 

その瞬間、太い雄叫びと共に発動された両手斧のスキル《ワールウインド》が野太刀と激突し、初撃で止めた。

土埃が晴れ、現れたのはB隊のリーダーエギルだった。

 

「ダメージディーラーにいつまでもタンクやられちゃ立場ないからな。あんたが回復を終えるまで、俺たちが支える」

「すまん、頼む」

 

短く答え、一度深呼吸をはさみ、調子を整える。後ちょっとなんだ、と極度の集中でパンク寸前の頭を無理やり働かせる。

 

「ボスを囲めば範囲攻撃がくる!正面のやつが武器や盾で守れば、大したダメージは喰らわない!」

「おう!!」

 

野太く響くで返事をし、指示通り正面で武器を構える。

 

「D、E、G隊はそのままセンチネルを近づけさせないでくれ!」

 

武器が変更された時点でもしやと思っていたが、センチネルのポップ回数も追加されていた。

俺と同じく深手を負ったA隊、C隊も回復を図っている。店売りのポーションの回復速度は遅く、この時間がもどかしい。

 

前線ではキリトがB隊に、技の軌道を伝え、防御に徹していた。

しかし、相殺とは違い、防御ではダメージをゼロに抑えることは厳しく、じわじわHPは減っていた。

 

人数が増えたとはいえ、ガードに徹するB隊はダメージを与えれず、攻撃しているのはキリトだけだった。このままでは先にHPが尽きるのは俺たち....。

 

その時、目の前に紫色の光が走り、ボスにダメージを与えた。

 

「私も戦うよ。だって私もチハヤくん達のパーティーだから」

 

艶やかな栗色のロングヘアが、黄金の色を放ち輝いていた。いつか見た流星の様なリニアーが更なる速度をもって現れた。

 

キリトとアスナのコンビネーション、B隊のタンク。それぞれが最高のパフォーマンスを発揮し、ボスのHPを確実に削っていく。

 

ボスの4段目のHPが3割を下回り、ゲージが赤く染った。

 

今いくしかない。まだ八割ほどしか回復してないが俺も前にでる。

 

「キリト!」

「!スイッチ!!」

 

キリトがボスの野太刀を単発技《ホリゾンタル》によって弾く。

この距離から最大威力が出せる技、突進系スキル《スラスト》を放つ。

 

クリティカルヒット特有の激しいライトエフェクトが飛び散る。次の瞬間コボルドの巨体はぐらりと傾き、倒れる。

 

人型モンスター特有のバッドステータス、《転倒》状態だ。

 

「全員!フルアタック!!囲んでいい!」

「うおおおおおお!!」

 

キリトの叫びに、エギルら6人はこれまでガードに専念させられた鬱憤を爆発させ叫ぶ。

斧、メイス、ハンマーが色とりどりの光に包まれ、ソードスキルを放つ。

ボスHPがガリガリと削られていき、残りわずか数ドットになる。

(いける...!)

 

「キリト!アスナ!最後に大きいの頼む!!」

「「了解!!」」

 

同時に地を蹴り、エギルたちの隙間を抜け、渾身のソードスキルを叩き込む。

 

アスナの《リニアー》、キリトの《バーチカル・アーク》、俺の《トリプル・スラスト》が同時に放たれた。

 

コボルド王の巨躯は、不意に力を失いよろめき、その体に音を立てて無数のヒビが入る。

 

直後、アインクラッド第1層フロアボス、《イルファング・ザ・コボルドロード》はその体をガラス片へと変えて盛大に四散させた。

 

疲れ果て倒れ、仰向けになる俺の視界の端に

 

【Congratulation!!】の文字が浮かんでいるのが見えた。

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