アルフィミィちゃんになってスパロボ時空で暗躍する   作:アルフィミィ好き

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ごめんなさい。少し修正しました。死の商人とアルフィミィは別人です。


第32話

 

 

 

 

 ネルガル・マオインダストリー社 ライル・ディランディ

 

 

 

 

起きなさいっ!

 

 女性の叫び声と同時に襲い来る衝撃にカタロンに所属している事がバレて襲撃されたのかと思って意識が強制的に覚醒させられる。即座に状況を把握するために目を開けると白い天井が見え、少し横に視線をずらすと白いシーツが乱れているベッドが少し上にあり、反対側を見ると壁には複数の筒型の培養槽が並べられていた。

 

「起きたわね?」

 

 俺の腹に置かれている()()()()から視線を上にやると青い靴と黒目のストッキングが見えた。その瞬間に今度は頭を蹴られる()()()()()()ので腕を上げて受け止めに走る。

 

「ああ、起きたよ()()()

「そう。なら、さっさと立ち上がりなさい」

「アンタが落としたんだろうが……」

「別にいいけど、あの子の下着とか見たら殺されるわよ。それともロリコンなの?」

「断じて違う」

 

 足が退けられたので普通に身体を床から起こし、改めてベッドに座ると培養槽の近くで無数のスクリーンを展開して操作してる椅子に座った幼い女の子の姿が見える。銀色の髪の毛を持つ彼女は姐さんの妹……いや、娘に見え──

 

「うぉっ!?」

 

 ──そう思ったら、拳が飛んで来るのが視界の一部に映ったので回避する。

 

「危ないな」

「アンタの行動はゼロが予知しているわよ」

「シャレになんねえぜ……」

 

 立ち上がったままになっているゼロシステムによって頭痛が襲ってくる。ソイツを頭を押さえながら何があったのか思いだす。

 まあ、簡単に言えば俺は訓練中に気絶しただけだ。俺の身体にUG細胞とかいうナノマシンを注入して作った補助脳、ブレインコンピュータを使った仮想実験の戦闘訓練だ。

 そこでゲシュペンストMK-Ⅳ(ヴァイスリッター)を使いながら姐さんの指導を受けていた。姐さんは前の会社でも教導をしていたみたいで教えるのが上手い。いや、それ以上に俺の成長が異常なだけだろう。

 

「ライルさん、システムチェックをしてください。バイタルデータに乱れを生まないようにゼロシステムを使いこなしてください」

「無茶言うぜ、ルリちゃん」

 

 妖精のような女の子、ルリちゃんはボスの血の繋がらない妹だという事は聞いている。溺愛しているので手を出したら殺すとも言われた。実際に試しに手を取って甲にキスする振りをしたら、「そんな悪い腕は要りませんね」と言われて切り落とされかけた。ルリちゃんに止めてもらわなければ確実に落とされていただろう。

 ルリちゃんに説教された社長は事も有ろうに「腕の一本や二本、すぐ用意できるから問題ありませんの」と言いやがった。実際に三時間ほどで姐さんの身体は俺と一緒にブレインコンピュータを作り出され、手術の間は遠隔操作義体とかいうのを貸し出されて動いていた。

 次の日には姐さんが求めた現時点でネルガル・マオインダストリー社が用意できる最高水準の戦闘用義体を望んだら、本当に用意されたらしい。しかも姐さん……左半身だけだったのに右腕も右足も要らんと言ってそちらも変えさせていた。生理とかが戦闘の邪魔になるからと子宮の切除も頼んでいたが、流石に社長達に止められていたな。それでも身体の半分以上は義体になったようだ。俺には真似できない。

 

「でも、使いこなさないと死んじゃいますよ」

「信じられないが、そうなんだよな……」

「機体に喰われるわね。ゲシュペンストMK-Ⅳ(ヴァイスリッター)ですらちゃんと扱えていないんだもの。専用機どころか、完全な私達専用のワンオフ機、特機が与えられるのよ。社長からして私達の方を機体に合わせろって言っているんだから、やばいわ」

「何処がホワイト企業だよ。滅茶苦茶ブラック企業じゃねえか……」

「ホワイトなのは一般の方々ですよ。そもそもお姉ちゃんからして、私が知っている活動ログを調べたらほとんどまともに寝ていません。一週間で三時間も寝ていたら良い方です」

「倒れないか?」

「倒れるわけないじゃない。ほぼ全身をナノマシン化しているのよ。エネルギーの摂取さえしていれば理論上では半年は寝ずに活動できるみたいね」

 

 大概の処理はブレインコンピュータの方でやってくれるから、通常の脳を休ませながらでも動くことはできるって感じらしいが、時間での効率は下がるけれど活動時間が増えるからトータルはいいみたいだ。

 

「っと、システムチェックは終わった。問題はないみたいだ」

「わかりました。身体に違和感があったら言ってくださいね。カルヴィナさんもですよ」

「わかっているわ。今の所は問題ないけれど、実際に生身で戦闘してみないとわからないわね」

「誤作動する場合もあるので、カルヴィナさんはやった方がいいですね。ライルさんはゲシュペンストMK-Ⅳ(ヴァイスリッター)の訓練ですね。お姉ちゃんが帰ってくるまでにある程度扱えないといけません」

「三日後には戦場だし、さっさと仕上げないと不味いわね」

「そうなんだよな……というか、一週間で仕上げろとか無茶苦茶なんだよ……」

「アンタは才能があるし、ブレインコンピュータとIFSがあるからマシな方よ。普通に連邦軍の部隊をソロで壊滅できてるじゃない」

 

 まあ、実際に機体は思った通りに動くし、ゼロシステムによるサポートもあるから連邦軍の一部隊や二部隊ぐらいなら壊滅させる事は可能だった。シミュレーター上はだがな。

 

「兄貴よりはないだろうが、頑張るさ。だが、少しは休憩させてくれ。連絡も取りたいしな」

「なら、私が生身での戦闘訓練をしてくるから、それが終わるまでね。今から三時間後、1400には全てを終えておきなさい」

「了解。ルリちゃん、連絡はしてもいいか?」

「機密情報を洩らさなければ構いません。会話のログは取られるという事を覚えておいてくださいね」

「わかった」

 

 二人と別れてから部屋に戻り、通信端末でリーダーであるクラウス・グラードを呼び出す。すぐにクラウスは出てきてくれた。

 

『ジーン1、無事か?』

「無事とは言えないな。バレてたわ」

『だが、連絡してきたという事は問題はないのか?』

「ああ。社長は俺が働いて得た金銭に関しては好きにしていいってよ。それと俺がここで働く限り、カタロンの構成員と関係ないとなった人達は雇って匿ってくれるそうだ」

『なるほど。家族は縁を切れば受け入れてくれると』

「ああ。残念ながら機体の援助はできないが、義体に関しては一般の客として普通に売ってくれるみたいだから止める時は顔も身体もほぼ変えてしまえって事だろうよ」

『そうか。最良とは言わないが、十分な成果だな。彼女の提案に乗ったのは良かったか』

 

 俺がこの会社に来たのはカタロンに接触してきた女からの依頼だ。ネルガル・マオインダストリー社の技術情報や人材の情報を手に入れてきたら代わりにパーソナルトルーパーやアーマードモジュールを弾薬などと一緒に融通してくれるという話を受けたからだ。

 スカウトをしているプロスさんの目に止まるようなやり方も用意されていて全てが彼女の掌だと思ったのだが、どうやらプロスさんは最初から知っていてあえて乗ってきたのだと思える。特に社長がヤバすぎるしな。

 

「そうとも言えん。俺は首輪をつけられた。裏切る事はできない」

『それは……』

「だから、俺は抜ける。実際に会ってわかったが、()()()は化け物だ。ビアン・ゾルダークと同類か、それ以上に狂っている可能性が高い。敵と判断したら容赦なく殺しに来るぞ」

 

 社長は数人じゃ利かないぐらいの人間を殺してやがる。俺を切ろうとした時は一切の躊躇がなかった。可愛い外見と明るくおちゃらけた性格だが、本質は別だ。俺達を実験動物か何かの様に見ている可能性がかなり高い。

 

『彼女から支援を得られるのならばかなり助かったからそちらに行ってもらったのだが……』

「社長はまだわからないが、あの女は完全な死の商人だ。関わるべきではないぞ、お蔭で俺の人生は完全に変わってしまった。これから飼われた山猫(リンクス)にされちまったからな」

『すまん』

「いやいいさ。アレの事は許せなかっただけだしな」

 

 地球連邦政府と軍の腐敗はどんどん進んでいる。特に地方の方は酷いという一言に尽きる。賄賂は当たり前で女性を拉致したり、人を殺したりしている奴が権力で平気で逃れられている。そもそもまともに生きられないような賃金で雇われ、無茶な労働をさせられ、家族を売るしかない者達までいるのだ。

 俺はその現状を知っていたが動かなかった。だが、付き合っている彼女が拉致され、無残な姿で発見されたのを知ってカタロンに入った。

 カタロンは旧軍関係者や連邦非加盟国の政治家、難民の他にもジャーナリストなど多岐に及ぶメンバーで構成されている。

 カタロンの戦力自体は正規軍から流出した機体を運用しているが、連邦軍の新型には敵わない。自分で使ってみてわかったが、連邦軍で広く量産されているゲシュペンストMK-Ⅱと次期量産機のゲシュペンストMK-Ⅲ(アルトアイゼン・ナハト)ゲシュペンストMK-Ⅳ(ヴァイスリッター)は完全の別物だ。俺達が扱っている機体だったら、カタロンの戦力なんて数分で殲滅させられるだろう。

 

『まあ、お前が抜ける事は了解した。それにここ数日、基地や役所の方で何かがあったみたいで騒がしい』

「大丈夫なのか?」

『ああ。何故か兵士達の姿もほとんど見えないしな』

「気をつけるだけ気をつけてくれよ」

『わかっている。そちらも気をつけてな。そちらに連れていくメンバーを選別したらまた連絡する』

「わかった。じゃあな」

『ああ、また』

 

 通話を終えてから煙草を一本吸う。吸いながらゆっくりとした後、仮眠を取る。時間になって戻ると部屋にはちょっと信じられない光景があった。

 

「ルリちゃんルリちゃん!」

「よしよし……」

 

 社長が座っているルリちゃんに抱き着いて胸に顔を埋めているのだ。その状態でルリちゃんが社長の頭を撫でていた。

 

「お姉ちゃんが甘えてくるなんて、また何か有ったのですか?」

「聞いてくださいですの! アイツらっ、性懲りも無くDC(ディヴァイン・クルセイダーズ)残党と組んで人体実験をしてやがりましたの!」

「それでどうしたの?」

「もちろん、何時ものようにしてきましたの。ですので、後の処理をお願いしますね」

「はい。任せてください。それよりも今回は助けられたのですか?」

「無理でしたの。玩具にされて化学兵器の実験台にされていましたからね。これが開発されていた神経系の毒ガスですの。情報を調べた限りでは既にDC残党に実物が渡っていたので解毒薬の方も研究して作らないといけませんの」

「お姉ちゃん……研究はできないです。もう人手が足りませんから……」

「問題ありませんの。私の身体に取り込んでワクチンと血清を作り出しましたから。後はこれを複製して……おや?」

 

 社長がこちらに振り返ったので、手を上げてから中に入る。すぐに社長はルリちゃんから離れてニコニコした表情でこちらを見詰めてくる。すぐに机の上に置かれていた紙袋を取り、中身を取り出してルリちゃんの口へと押し付けた。ルリちゃんもそれを食べて少し頬を緩ませている。

 

「ライルさん、訓練は順調ですの?」

 

 袋の中から取り出して差し出された物は魚の形をしていて、それを俺にも渡してきた。毒じゃないだろうし、食べてみると中から甘い何かが出てきた。断面を見てみると黒い物つぶつぶが潰された状態で入っていた。

 

「訓練は順調だが、これは?」

「鯛焼きという食べ物ですの。ちょっとしたお土産ですのよ。ちなみに手作りですので味わって食べるといいですの」

「手作りなのにお土産?」

「作って持って行ったら、食べる前に別の物で()()()()()()()()()()()()()()。ですから、お土産ですの」

「そうか。ありがたく」

 

 何を食べたのかは聞かない方がいいだろう。先程の会話はかなり物騒だったしな。社長も追求はしてこないし、このままでいいだろう。社長の方も鯛焼きとかいうのを食べながら作業をしだした。

 

「ん~記録を確認しましたが、基礎訓練はこれぐらいで構いません。後は連携訓練ですね」

「連携か」

「カルヴィナさんとライルさんが組むのですか?」

「とりあえずはカルヴィナさんにライルさんのサポートをお願いしますの。私は黒騎士ちゃんの性能テストで忙しいでしょうしね」

「私はお留守番ですか?」

「はいですの。ルリちゃんはこちらの守りをお願いします。イスルギ重工のスパイやソレスタルビーイングなどが何かを仕掛けてくるかもしれませんしね」

「わかりました。警戒しておきます」

 

 話をしていると、部屋に姐さんが入ってきた。姐さんの姿はかなりボロボロだ。大事な部分は隠れているが、服が破れて露出が多くなっている。だから、上着を脱いで姐さんの方へ渡しておく。

 

「別にいいのだけど……」

「俺の目に毒なんでね。それに姐さん、殴ってくるだろ」

「……ありがたく借りておくわ」

「そうしてくれ」

「カルヴィナさんも食べますか?」

「頂くわ。それで戦闘訓練なんだけど……もっと強いのは居ないの?」

「居ませんの。いえ、私ぐらいですか。ただ、私も忙しいので……」

「確かにそうよね。わかったわ。それならライルを鍛えて時間を潰すわ」

「止めてくれ……」

「連携訓練を行うのでこのプログラムをやっておいてください。頑張って生き残ってくださいね」

「連携なんて必要ないわ」

「相手は火星騎士ですの。あの戦いで収集したデータを使ってありますが、連携しないと死にますの。いいですか、今は二人で一人とまではいかないまでも戦闘のパートナーとして、背中を預け合う仲間として見てあげてください。それに一人の力なら限界がありますが、皆で力を合わせればより多くの火星騎士を殺せますの」

「……仕方ないわね。やるわよ、ライル」

「了解、姐さん」

 

 複数あるベッドのうち、一つに寝転がってブレインコンピュータのシミュレーターを起動する。隣のベッドに姐さんも寝転がって同じようにしていく。

 少しすると視界がブラックアウトとして、俺はコクピットの中に移動していた。コクピットの中にある全天モニターの一部にミッションが表示されていく。内容は単純。生き残れ。ただそれだけだ。

 

『相手は火星騎士のアルギュレという機体みたいね。社長が捕らえたらしいわ』

「なら、勝てるか?」

『ちなみに社長とルリは二人で揚陸城を落としているわよ』

「無理だな」

『幸い、これはシミュレーターなんだから全力で挑んで自らの腕を進化させなさい』

了解(ヤー)

 

 相手の機体から通信が入ってきた。相手は厳つい男性のようだ。

 

推して参る。抜刀ッ!

 

 極大のプラズマカッターのような物を持ちながら突撃してくる奴との戦いが始まった。結果は俺と姐さんは何度も奴に殺された。何度も何度も挑戦し、次第に連携も取れたのに勝てない。こちらの攻撃は全てプラズマカッター……ビームサーベルという物で切断される。

 一度、社長が勝った時の情報を聞いたが無茶苦茶な機動と速度で相手を翻弄し、相手の腕を掴んで胸の装備でコクピットの外装を削って最後は生身で突入とか阿呆な事をしていた。

 

「これもナノマシンのちょっとした応用ですの」

 

 そう言っていたが、姐さんもかなり引いていた。というか、実際にそのデータで戦闘を追体験させてもらったが……普通に吐いてブラックアウトした。あんなGに耐えられるか! ほぼ半分以上を改造した姐さんでも俺と同じ状況になってたし、無理だ。社長曰く、ナノマシンが俺達に適応して進化したら次第に慣れるようになるとの事だが、ちょっと信じられない。ルリちゃんは顔を青くしていたが、頷いていたので事実だろう。

 

「実際問題。これぐらいの速度に慣れないとどちらのグリントも扱いきれませんの」

「……今は私達の方法を見つけるわよ。これ、参考にならないわ」

「だな。ちなみに社長と姐さん、戦えばどっちが勝つんだ?」

「私が負けますの。正直、私の腕はエースクラスまでまだ上がっていませんもの。ヴァングレイで勝てたのは相手がこちらの速度に対応する前に倒せたのが大きいですね」

「つまり、機体性能で勝ったというわけね。なら、社長も一緒に鍛える?」

「いいですね。是非やりますの! お願いします先生!」

「いいわ。しっかりと教えてあげる」

「うぇ……」

 

 社長も含めた三人でひたすらシミュレーターをやっていく。だが、それでもアルギュレに勝てない。黒騎士ではヴァングレイのように戦えないみたいだ。そもそも二人乗りじゃないし、出せる速度も全然違うのだし仕方がないだろう。社長曰く抜刀おじさんは本当に強かった。

 こんな感じで訓練ばかりしていると、実機での訓練が加わり、模擬戦をしてついに本番の日になってしまった。果たして俺は生きて帰れるのだろうか?

 

 

 

 




アルフィミィちゃんがちょっとお出掛けして基地一つを潰してきたようです。

後書きの設定を使うか使わないか。使わないならアルフィミィの部分を普通のアインストに差し替え

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