アルフィミィちゃんになってスパロボ時空で暗躍する 作:アルフィミィ好き
コロニー・メンデル
アレルヤ
僕達は無事にネルガル・マオインダストリー社が、レッドアクシズが拠点とするコロニー・メンデルへと潜入する事が出来た。
といっても、僕達が連れて来られたのはメンデルの周囲に作られている宇宙ドックだ。この宙域にはメンデルを中心として複数のブロックが浮いており、それぞれがワイヤーなどで固定されている。それらが次々とメンデルへと接続されて固定されていく。
固定しているのはネルガル・マオインダストリー社が開発しているゲシュペンストシリーズのようだ。どの機体も動きが良く、数が多い。
「どうだ?」
「窓から見えるだけでも17機が動いているな」
案内された部屋の窓から見える宇宙空間を飛び回る数を考えると、数十では効かないくらいの数を保有している可能性がある。またブラックホールエンジンという危険極まりない技術を保有して運用しているのは一企業として危険視されている。これはイスルギ重工も同じだ。どちらも危険であり、監視と調査が必要だとヴェーダが判断した。
特にアインストであるとヴェーダが判定したとアルフィミィ・M・ブロウニングが社長を務めるネルガル・マオインダストリー社は危険であると判断された。彼女がその気になれば先の様な転移による攻撃で各地にブラックホールを爆弾として放つ事が可能かもしれない。そうなれば地球は終わりだ。
「何時まで待たされるんだ?」
「すぐに身分を証明してくれるでしょうから、もう少し待ちましょう」
「そうですね。皆様の身分は王商会が保証しておりますから、ご安心ください」
刹那の言葉にスメラギさんとエージェントの紅龍さんが答える。彼が言う通り、少し待ってから動いた方がいいだろう。外にはレーザーガンを持った兵士が待機しているし、この部屋も監視されている。それに俺達の腕には手錠が嵌められているので簡単には外せない。
「確認が取れたわ。貴女達の身分は王商会が保証し、輸送船の故障もおかしい所はなかった。よって突発的な事故とし、今回の軍事領域への侵入は不問とする」
「それは良かったです」
ノックしてから入ってきた兵士達を引き連れた銀髪の綺麗だがきつそうな黒い胸元が空いている軍服を着た女性だった。何故か首に赤い鈴つきの首輪まで巻いている。兵士達を引き連れている立場からして、かなり偉いのだろう。だというのに首輪という事はそういう趣味なのだろうか?
こんな事を考えていると、彼女の言葉には紅龍さんが対応していく。すぐに兵士達が鍵で手錠を外してくれた。腕を確かめていると、指揮官っぽい女性が俺達の方を見ている。
「何か?」
「簡単な物だけど、食事も用意した。この部屋じゃ落ち着かないでしょうから、客室を用意したわ。そちらに移動する。そこのブロックでなら自由にして構わない」
「ありがとうございます」
言われた通りに移動すると、確かに客室へと案内された。かなり豪勢な部屋で、佐官用の部屋だと思われる。そんな所に通され、部屋のテーブルの上には豪華な食事が用意されていた。
「隣は食堂になっているから、足りなければそちらに行ってちょうだい。それとこのブロック内の移動は自由にして構わないけれど、あちらのブロックへは行かないように」
「そこには何があるのですか?」
「軍機に関わるので答えられないわ」
「わかりました。関わらないようにしておきます」
「それでお願いするわ。それじゃあ、後は任せる」
「はっ!」
兵士に任せて銀髪の女性は出ていった。それから残った兵士の人が説明してくれる。このブロックの中なら自由に行動していいとの事らしい。このブロック自体が慰安を目的とした場所で自然がある公園も用意されているので、星空を眺めながら歩く遊歩道は最高らしい。他にも社員価格で買える様々な店があって暇なら買物や映画やステージでも見ていくといいとのことだ。
「観光地か!」
「そんな感じでしょうね……確かに長期の任務にはメンタルケアは必要だけど、ここまでやるの?」
「映画館やステージまであるとは……驚きですね」
「これが普通なのか?」
「そんな訳ないわよ。とりあえず、見てまわりましょうか」
スメラギさんの言葉で俺達は部屋から外に出てこのブロックを歩きまわる事にした。まずは地形を把握してからでないと話にならないからな。
外に出て確認してみたら兵士が巡回しているが、俺達についてくる事もない。なんというか、外と比べて内部の警備がかなりざるな印象を受ける。
ここはわからないが、ネルガル・マオインダストリー社の本社がある地上はかなりの警備が敷かれている。関係者のチェックも厳重で機密エリアに入ろうとしたスパイ達は例外なく拘束されるか、容赦なく射殺されているらしい。例えそれが子供でも例外はない。実際にテロリストが少年兵を利用して突撃させたが手足を撃ちぬかれて安全が確保されてから捕獲されるか、少年兵が自ら自爆している。その少年兵はネルガル・マオインダストリー社で保護されているらしいが、どういう扱いになっているのかは不明だ。
「結構、子供も居るのね」
「そのようだな。彼等は少年兵には見えない」
「おそらく職員の家族でしょう」
公園に移動してみると、楽しそうに遊んでいる子供や木にもたれ掛かって本を読んでる子や木と木の間にかけられたハンモックで寝転びながらゲームをしている子供。両親であろう親とボール遊びをしている子供なんかもいる。
「平和ね」
「確かに……」
「ああ」
スメラギさんや刹那達も認めるぐらい、この中は平和だった。本当に戦争を起こしたり、世界を滅ぼそうとしたりするようには見えない。それでもトップがどうかはわからない。
「ん?」
足元にコロコロとカボチャの顔をしたボールのような物が転がってきた。転がってきた先を見ると黒い魔女のコスプレをした紫色の髪の毛をした女の子がこちらに走ってきていた。拾って持ち上げてみると、カボチャには顔があり、その中身が光ってこちらをスキャンしてきた。
「アレルヤ!」
「待って!」
『対象をゲストと確認。貴方は子供を襲う悪い男ですか?』
「いや、違うけど……」
「ジャック、拾ってくれただけ。問題ない」
『ヤホホホ。なら、問題ありませんね』
カボチャの中身は機械のようで、重量がかなりある。話せる事から、AIも搭載されているみたいだ。やってきた少女が両手を差し出してきたので気をつけるように言いながら渡す。
「重いけど大丈夫かな?」
「大丈夫。ありがとう。この子は反重力ユニットが搭載されているもの」
少女が触れると実際に宙に浮いて彼女の周りを動きだしながら、不気味に点滅したりもしてくる。
「ラピス~! はやくボール!」
「うん! えい!」
『ヤホォォッ!』
可愛らしい声と共にカボチャが投げられて子供達の方へと飛んでいく。その先には同じように魔女の格好をした子供達が居て、飛んできたカボチャを蹴り上げたりして遊びだす。
「アレはボールなのか?」
「遊び道具だよ。それに私達を悪い大人から守ってくれる子供の守り神なの」
「え?」
「もしかして、ジャック・オー・ランタン?」
「そう。子供の見守りロボット。面白いよ?」
「ボール扱いしていいのかしら?」
「これは機械を扱う練習だもの。だからいいの」
「そうなのね。ありがとう。それとお友達が呼んでるみたいよ」
「うん。それじゃあ、ばいばい」
「ええ、さようなら」
スメラギさんが対応してくれたので、手を振るだけですんで助かった。子供は少し苦手だ。
「……スメラギ、あの機械は……」
「IFS適応の機械ね。彼女達はIFSであのジャック・オー・ランタンを操作して互いに投げ合っているの。遊んでいるように見えるけれど、確かに練習ね」
「IFSで操作が出来るという事は……」
「ナノマシンを入れているという事か」
幼い子供だというのに身体に異物が入れられている。それが両親が望んだ事かはわからないが、どちらにせよ彼女達は大人の都合で改造されているという事だ。僕や彼女達と同じだ。
「次に行きましょう」
「ああ」
それから僕達は別れて色々な場所を見て回りながら情報収集を繰り返す。
一定時間が経ち、与えられた部屋に戻るのではなく、公園で休憩しているように見せながら情報交換を手と音を使った暗号で行う。
情報交換でわかったのは立ち入らないように言われた場所には新型のエンジンを搭載した実験機が搬入されているらしい。詳しくはここに居る人達もわかっていないみたいで、食堂で休憩している時に少し離れた席に居た科学者らしき人達が話していたのを盗み聞きしたとの事だ。
「スメラギさん、どうする?」
「そうね。何もしないで寝ていましょう」
「本気か? またとないチャンスだぞ」
「ええ。疲れたから寝ましょう」
部屋に戻ってから僕達は休憩する。しばらくすると来客がやってきた。その人を見てスメラギさんが狼狽えだし、更にその人が喋ってきた内容が僕達にとって看過できない爆弾だった。
【コロニー・メンデル ブロック24号制御室 カルヴィナ・クーランジュ】
「ふ~ん。かからないわね」
部屋の内部に設置された複数のモニターを同僚と共に確認しながら、相手が動いていない事を確認した。密かに潜ませている監視用ナノマシン達にも反応がない。
「どうしますか? 普通に部屋で休憩しだしましたが……」
連中は本当に与えた部屋にあるベッドで寝たり、ここで買った本や電子書籍を読みだした。クラッキングされて映像が書き換えられている可能性も考え、巡回させている兵士や休憩している者達にも協力してもらってブレインコンピュータを使った我社独自の軍用通信で常に齟齬がないかを確認して監視している。だというのに何の問題もない。つまり、これはクラッキングされている可能性が低い。
こっちにはウィザード級と呼ばれる凄腕のハッカー達がたむろして警戒に当たっているから、本当にクラッキングは有り得ない。いや、連中はヴェーダとかいう化け物のような量子コンピュータを持っているんだったわね。こちらが出し抜かれている可能性もあるけど、どちらかというと──
「こっちの作戦がバレたみたいね。わざわざ情報も出してやったってのに……ムカつく」
「あからさますぎたのでは?」
「うるさい。そもそもこういうのは私の得意分野じゃないのよ。無茶振りがすぎるわ。それに相手は戦術予報士よ」
「そりゃバレますね」
アルフィミィから提供された資料を見る限り、戦術予報士とガンダムマイスターとかいうのが二人。それにエージェントとして動き回っている紅龍とかいう奴ね。
「もうでっち上げて捕らえますか?」
「でっち上げは最終手段ね。テロリストが相手でも、あくまでも正攻法が出来る内は正攻法が好ましいわ。他の連中に付け入る隙を与えないためにもね」
「ならどうしますか? こっちは社長の指示があるのでクーランジュ隊長の指示通りに動きますが」
「そうね……ローン、策を提示なさい」
『はい、お姉様。エイフマン教授をぶつけましょう』
「上がってきてるの?」
『ええ、つい先程到着した便で来ておられますよ。彼等が使っている太陽炉でしたか、それの試作機を持って』
思わずニヤリと笑ってしまう。最高に皮肉が効いている方法ね。自分達のアドバンテージが失われるのだから連中からしたら確かめるしかない。
「あの、エイフマン教授を危険に晒すのはどうかと……」
「完全義体があるでしょう。アレでいいわ。まあ、費用が高くなるけれど、その価値はあるのよね?」
『もちろんです。戦術予報士の彼女の本名はリーサ・クジョウ。お母様曰く、大学時代の恩師らしいですわよ?』
「連中の前で正体を曝してやるのね。いいわ、それで行きましょう。護衛に私もつくわ。ローン、サポートなさい」
『かしこまりました。テロリストさん達は殺してあげましょう』
「殺しちゃ駄目よ。オーダーは捕獲なんだから」
『は~い』
制御室から出て、エイフマン教授と合流する。すると彼は簡単に乗ってきてくれた。但し、いくつか条件をつけられたが、どれも問題ないものだったのでこちらとしては大丈夫だ。
そんな訳でエイフマン教授を連れて彼等の部屋に行けば予想通りリーサ・クジョウは狼狽えていて、いい気味。これで戦術予報士の腕を鈍らせてくれると非常に助かるわ。
「クジョウ君、久しぶりだね。カタギリ君は元気かね?」
「わ、私は……」
「どのような理由があるかは知らないが、名前が違っていて驚いたよ。だが、一目見て君がクジョウ君だと気付いた」
エイフマン教授の言葉に他の三人が警戒しているけれど、こちらは護衛に私だけでなく、完全武装した兵士達も居るからそう簡単には襲ってこれない。襲ってきたとしてもうちのサイボーグ部隊の相手になるかはわからない。
「実はあれから両親が離婚と再婚がありまして、そちらでも上手く行かずに……」
「王商会の方で新しい戸籍を用意させて頂きました」
「そうだったのかね。すまない。辛い事を思いださせてしまったね」
「いえ、そのような事はありません……それで教授こそ何故ここに?」
「私はネルガル・マオインダストリー社の技術顧問として雇われていてね。ここはいいよ。何せガタが来ていた身体がこの通り、元気に動かせるのだからね。それに研究も好きにやらせてくれるし、色々な分野の天才達が集まっている。彼等の技術や発想は新しいインスピレーションを……」
「教授?」
「こほん。私はここで新しいインスピレーションを受けてね。それでクジョウ君にも意見を聞きたかったんだ。この資料を見てくれ。工学部だった君はどう思う?」
「はぁ……」
タブレットをクジョウに渡したエイフマン教授は彼女を見守る。彼女はその資料を見て驚愕したような顔に一瞬だけなってすぐに元の笑顔に戻った。
「教授、これは?」
「テロリストが使っていた太陽炉と呼ばれる物らしい。それを解析して再現した物だよ。既に試作機は完成して運び込んでいる。アレは何処にやったのかね?」
「関係者以外立入禁止のブロックです。そこから見えるでしょう。あそこでゲシュペンストに搭載している最中です。というか、機密なので言わないでくれますか?」
「おっと、すまなかった。まあ、彼女の意見は参考になる。完成の為に許してくれ」
「構いませんよ。こっちはあくまでテストと護衛が仕事ですし、社長から開発を最優先にしろと言われていますから」
「助かるよ。それでどうかね?」
「そうですね……」
彼女が専門的な言葉でエイフマン教授と話していくが、私にはサッパリわからないし、不穏気な残る二人を警戒しておく。
「ありがとう。参考になったよ。それじゃあ、これで失礼する。元気でいるんだよ」
「エイフマン教授こそ、お身体にお気をつけて」
扉を開けて出ようとした瞬間にアラートが鳴り響いた。私は即座にメンデルの管制室に繋いで状況を確認しているローンに聞く。
『何事?』
『アンノウンの襲撃のようです。数は観測できただけで虫のような機体が47機。大型のアーマードモジュールが三機ですね。どれもデータベースにはありませんが、お母様から聞いた話に出てくる物と外見が一致します。ただ、確定ではないので調べる必要があります。それとソレスタルビーイングの機体を探しに出た部隊が遭遇したようです』
『了解』
このタイミングで襲撃か。ソレスタルビーイングが来ると思っていたのだけれど、社長は方々に恨まれているでしょうし、仕方がないわね。それに社長が敵を知っているのなら、そのデータを基礎にすればいいかしら?
「エイフマン教授。すぐに試作機の方へお行きください。アンノウンを検知しました。これから撃退します」
「了解した。しかし、彼等はどうするかね?」
「兵士に案内をさせてシェルターに移動してもらいます。そこなら……いえ、そうですね。リーサ・クジョウ」
「何か?」
「貴女はAEU軍の戦術予報士として多大な戦果を上げておられましたね」
「そんなことはないわ」
「カティ・マネキンに負けたようですが、それでも私よりは指揮が上手いでしょう。そこでアンノウンの撃退にご協力いただきたい。我々が敗北した場合、シェルターが破壊される事もあるでしょう。民間人や子供達を守る為にもご協力いただけませんか?」
「……いいでしょう。わかりました」
『お姉様、えげつないですわね。選択肢なんてないじゃないですか』
『使う物はなんでも使うわ。それよりも、社長に連絡して許可を取っておきなさい。後、彼女の指揮をしっかりと学んでちょうだい。私が復讐する時にも役に立つから、頼むわよ』
『了解です』
リーサ・クジョウはこちらを手伝うしかない。何せ三人を人質に取っているようなものだし。実際にこちらが敗北すると彼女達は道連れで死ぬ可能性もある。それなら、作戦を用意して私達の戦力を削るか、測るかした方がいいでしょう。
スメラギさんが乗り込んできている理由は現場で指揮をしないと不味いから。ヴェーダからの支援が一切なく、内部情報も不明。エージェントも何人も消されているので、臨機応変に作戦を変更できる彼女でないと情報が遮断されている内部では致命的に失敗する可能性があるからです。それを回避するために前に出て戦術予報士としての力を使ってカルヴィナ姐さんの罠を回避できました。しかし、情報が原作知識というチートで抜かれているために鬼札を使われて台無しにされました。これぞズルですね。
後書きの設定を使うか使わないか。使わないならアルフィミィの部分を普通のアインストに差し替え
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