アルフィミィちゃんになってスパロボ時空で暗躍する   作:アルフィミィ好き

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こちらの世界は結構、原作キャラが死にます。エクセレンお姉さまの世界では普通に生きておられます。こちらの世界はハードモード以上。エキスパート状態ですからね。味方は頑張って作ろうね!
まあ、地球連邦は敵だから仕方がなし。


第6話

 コードネームと名前を決めたので、アクセルに指定された住所に携帯端末を見ながら向かう。本当はネットカフェとかで情報を収集したいのだけど、このチョーカーによってアクセル達に位置を監視されている。それに持っている携帯端末も同じようにアクセス履歴は確認されているはずだ。

 なので、今は大人しく進んでいく。手にスーツケースを持ち、明らかに旅行などで来たように見せながら移動していく。

 

「こっちは完全に……」

 

 端末に従って進んでいくと、裏路地に入る。そしてどんどん人気も無くなって危なそうな雰囲気の場所に入って来る。道端に何人か座り込んでいる人達からもじろりと見られる。何せ美少女だから仕方がない。

 

「ここ、ですね……」

 

 思わず声を出してしまうほど怪しさが感じられる薄汚れた場所。そこにある階段を降りて扉を開くと、酒場があった。中ではいかつい怖い男達に透けるような薄い衣装を着た若い女性達がしなだれかかって奉仕したりしている。

 もしかして、ここはそういうお店なのか? 

 いやいや、そんなはずはない。いや、例えそうだとしてもこのアルフィミィちゃんの身体は私の、俺の物だ。だから他の男になんて絶対にくれてやらない。むしろ、そういうことなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ここはお嬢ちゃんが来るような場所ではないぞ」

 

 声をかけられてそちらの方を見ると、カウンターにオールバックの男性が居た。おそらく、彼がマスターなのだろう。そう思ってそちらに近付いて、トランクケースからアクセルに渡された紹介状を出す。

 

「ディザイアさんから、こちらで仕事の斡旋が受けられると紹介されてきました」

 

 アレ、ロールプレイをしているせいか、口調が「ですの」じゃなくなっている。いや、意識をしているからかもしれない。つまり、ロールプレイが重要ということなのかも? 

 

()()()()()からか……」

 

 そう言ってマスターは私の頭から下まで値踏みするかのようないやらしい視線で見詰めてくる。

 

「いいだろう。こっちだ」

 

 マスターがカウンターからグラスと何かの瓶を持ちながら出てきて、私を先導して奥へと連れていってくれる。扉を二つ進んだ後、一つの部屋に案内された。部屋の中にはテーブルとイスがあり、それだけだ。窓なんて一つもない。

 

「コイツを飲んでここで待っていろ」

「わかった」

 

 イスに座るとマスターがグラスを置いて瓶から飲み物をくれる。赤色の物で、どんな物かはわからない。

 

「未成年だけど……」

「ワインじゃない。ただのぶどうジュースだ」

「なるほど」

 

 グラスを持って臭いを嗅ぐと、確かにぶどうジュースみたいだ。そういえば、この身体に毒物が効くのかはわからない。まあ、何があってもカウンターウエポンの護衛アインストちゃんが居るので問題ない。そんな訳で口をつけて飲んでみる。

 

「それじゃあ、待っていてくれ」

「了解」

 

 マスターが部屋を出ていき、扉を閉めて鍵をガチャリと閉めた。一応、女の子としては確認しなくてはいけないだろう。そんな訳で扉まで近付いてドアノブを掴むけれど、開かない。やはり、閉じ込められたみたいだ。

 仕方がないのでそのままイスに座ってぶどうジュースを楽しむ。携帯端末を出して確認すると、残念ながらというか、当然ながら圏外になっている。

 待っていると部屋全体が少し動き出す。それに床から少しずつ薄い霧のような物が出てくる。おそらく睡眠薬とかそういうものかな。まあ、しばらくしても全然眠くならないので、ジュースを飲んでからそのままテーブルに寝そべるようにして目を瞑る。これで寝ているふりをしていればいい。

 それにしても、この振動から感じる限り、この部屋自体がエレベーターになっているみたいだし、思ったよりも大掛かりな連中みたい。一応、保険としてテーブルの下にアインストの一部を仕掛けておく。いざとなればコレをマーキングとして数体を呼び出して暴れさせてやる。ここが普通のところなら、暴れさせはしないけれどね。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 しばらくすると、扉が開いて男達が入ってくる。放置していると、私の腕を掴んで持ち上げて、顔を覗いてきた。

 

「ほう、随分と別嬪じゃないか」

「こいつもコーディネーターなんだろ?」

「そうらしいな。何も知らずに仕事を探しに来たみたいだぜ」

「馬鹿な奴だよな。ディザイアってブローカーなのによ」

「そう言うなよ。それにコーディネーターは美男美女になるように調整されている。その分、楽しめるだろう」

「だが、俺達にはこないだろう」

「まあ、金持ち連中の玩具になって、飽きられたら実験体行きだろうよ」

 

 連中は私を運びながら物騒な話をしていくが、まだ何もしない。今すぐぶち殺したいけど、ターゲットに接触するまでは何もできない。逃げられたら困るし、ここで全滅させた方が根伐りも可能かもしれない。それに人質が居るかもしれないのだから、ここは気持ち悪くても我慢するしかない。

 しかし、それよりも問題なのはコーディネーターという言葉。これはもうSEED作品の参戦は決定しているのかもしれない。ただ、そうなると原作よりも地球連邦軍は強化されている事になる。何せ既にパーソナルトルーパーが作られ、部隊まで存在してインスペクターやDC戦争を経験している。

 

ゲシュペンストMK-Ⅲに乗り、アインストに汚染されたキョウスケ・ナンブが敵として存在するという事である。

 

 ザフトにとってどう考えても絶望である。だって、考えるだけでキョウスケ相手に勝てるのって居ない。ラウ・ル・クルーゼでもおそらく、勝てたとしても運が良くてアクセルぐらいだろう。ただ、キョウスケには絶対に勝てない。それはつまり、どう考えても負けが確定だ。

 そういう意味では気にしなくてもいいかもしれない。いえ、ザフトを使って地球連邦の戦力を下げ、アクセル達の勝機を作れるのかもしれない。

 

 まあ、それは置いておいて、運ばれていった先は牢屋だった。そこに放り込まれたので、その衝撃で起きたようにみせてそちらを見る。すると男達はニヤニヤと笑いながら牢屋を閉じていく。私の荷物は全部取られてしまったようで、牢屋の外にトランクケースが置かれている。それに両手と両足に枷が嵌められていて、動きづらい。

 

「……何を……」

「まだ騙された事がわかってないのか? まあ、どうでもいいか。どうせすぐに覚える。67番、新入りにここでの生活を教えてやれ」

「は、はい……」

 

 そう言われて返事をした女の子の声に周りを確認すると、牢屋の中には私以外にも可愛らしい見目麗しいであろう少女達が何人も居る。彼女達は皆、ボロボロの服を着ていて、身体中に殴られた痕やみみずばれのようなものがある。

 

「あの、ここは……」

 

 青色の髪の毛に水色の瞳をした女の子がこちらに話しかけてきた。彼女は片方の目を包帯で隠しているし、身体にも包帯が沢山巻かれている。

 

「ああ、別にここの説明はいりません。わかっていますから。それよりも、この中に居るのが全員ですか?」

「いいえ、他に何人かいます……」

「そうですか。ところでこの中にステラという女の子は居ますか?」

 

 聞いてみるけれど、皆が首を振る。

 

「聞いた事がないので、居るとしたらその子はナチュラルですね。別の牢屋だと思います。ここは遺伝子改造をされたコーディネーターかその人が居るだけですから」

「なるほど」

 

 遺伝子改造をされた子達というわけだ。だから皆、手枷と足枷をつけられ、中には繋がれている子もいる。しかし、私に話しかけてきてくれている女の子は何処か見覚えがある。

 

「あの、お顔を近くで見せてもらってもいいですか?」

「どうぞ」

 

 彼女の頬を両手で挟み込んで至近距離から見ると、やはりどこかで見た感じがする。それになんとなく彼女からは嫌な感じすら伝わってくる。アインストちゃん達も同じで彼女をかなり警戒しているみたい。

 

「貴女、名前は?」

「名前はありません。ここでは番号で管理されていますから。貴女は125番です」

 

 そう言って首輪につけられたプレートを見せてくる。相手の番号は67番となっていて私は125番みたい。

 

「あっても無駄。どうせ記憶も消されたり、弄られたりするだけ……」

「ふむふむ」

 

 他の女の子が教えてくれたけど、完全に番号しかないみたい。それに記憶を薬などで消すというのも納得できる。消してしまえば逃げられる確率も減るのだから。

 

「とりあえず、ここで行われる事を詳しく教えていただけますか?」

「わかりました。気をしっかりと持ってください」

 

 67番の女の子は震えながら教えてくれた。基本的に拷問されたり、奉仕させられたり、お金持ちの玩具にされるみたい。67番の子は片目を抉り取られたらしい。

 

「私はもうすぐここから居なくなります。今日のステージからは帰ってこれないでしょう」

「何故ですか?」

「ステージが終わった後、身体の一部を失った子は施設に送られるからです。そこで幸せになれるらしいです」

 

 それはきっと嘘だろう。薬品での強化実験か何かにされるらしいし。もしくは死こそが幸せという感じになるのかもしれない。

 

「皆さんはここから逃げたりしないのですか?」

「無理です。逃げようとしても、酷い目にあわされるだけです。それに取り付けられている首輪には爆弾と発信機がついています。逃げようとした子は嬲られて殺され、他の子達はお仕置きされます」

「連帯責任ですか」

 

 こくりと頷く彼女を抱きしめ、頭を撫でてあげながら色々と聞いていく。

 

「皆さんはもしも助かるのなら、人を止める覚悟なんてあったりしますか」

「ないです……」

「逃げるなんて考えられない」

 

 どうやら、すでに心が折れている様子。仕方がないのでこのままにしておこう。いざとなれば行動を起こせばいい。期限は67番の女の子が連れていかれるまでとする。

 後は怪我をしている女の子達の治療をしよう。幸い、アクセルからも怪我人の治療方法は教えられている。それをして少しでも痛みがなくなれば幸いだ。彼女達のほとんどはされるがまま、言われるがままの状態だったので治療自体は簡単に終わった。それに仕込みも簡単だった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 その日の夜、複数の男達がやってきて私達を連れていく。目隠しをされて車に乗せられ、VIPルームみたいな豪勢な部屋へと案内される。そこではかなり悲惨な状況になっていた。

 天井から伸ばされた鎖に女の子達が吊るされ、鞭で打たれたり、殴られたりしている。ステージでは様々な拷問器具や拘束台が取り揃えられていて、白衣を着た連中が薬品などを準備している。

 

「逃げようなんて考えるなよ。その首輪で一瞬でボンッだ」

 

 私と67番の女の子は首輪につけられた鎖を引っ張られ、ひときわ高い位置にある豪勢な席の場所へと連れていかれる。その席ではくつろいでいる男性二人と、その背後に護衛だと思われる黒服たちがアサルトライフルを持って待機しているのが確認できた。

 その男の一人はターゲットで、もう一人は見覚えがある男だった。なんでここに居るのかは知らない……いや、こいつだったらコーディネーターを拷問して殺すためだけに来ていてもおかしくないか。

 

「コネア議員。アズラエル理事。新入りのコーディネーターです」

 

 そう、ここに居る一人はSEEDで出てくるムルタ・アズラエル。ブルーコスモスという遺伝子操作した存在を排除しようとする政治団体・ブルーコスモスの盟主。古くから反コーディネイター運動に最大の出資をしてきたアズラエル財閥の御曹司でもある。また、国防産業連合理事の任にあり、デトロイトに本拠を置く大手軍需産業の経営者。

 

「おやおや、新しい玩具ですか。いいですね」

「どちらが先にお試しになりますか? 見ての通り、見た目もいいですから色々と使えますよ」

「理事からどうぞ」

「そうですね……まずは昨日、抉り取った瞳でも犬のように食べさせますか」

「それもいいですが、まずはあちらのコーディネーターに立場を教えるためにも67番の瞳を抉り取らせるのもどうですか?」

「ああ、いいですね。どうせ本日の実験体なわけですし……」

 

 男共の話を聞きながら、周りを確認する。出入口を確認する。出入口は一つで、その前にもアサルトライフルを持った護衛が立っているのでこちらはどうしようもない。壁は透明な防弾ガラスのような物で覆われているので普通なら逃げる事はできない。

 

「では、貴女。彼女の目を抉り取りなさい。ああ、自分の目を代わりに抉り取ってもいいですよ」

「あの、こんな事をして警察や軍が黙っているとは思えませんが……」

 

 震える67番ちゃんを抱きしめて、頭を撫でながら他の連中を見渡す。連中はニヤニヤと笑っている。

 

「ご心配なく。私は連邦の理事をしていましてね。しっかりと抑えて込んであります。ですから、私達が捕まる事もありません」

「まったくですな。まあ、先日は危なかったですが、理事のお蔭で実働部隊を手に入れられました」

「ええ。特殊部隊を作ろうとしていた彼等を支援し、結成間近までいったのは良かったのですが、まさかコネア議員を潰そうとするとは思いませんでした。ヴィンデル君も我々ブルーコスモスの一員だったのですが……」

「まあ、これでこりたでしょう。今は反対派の排除に……」

「なるほど、わかりましたの」

「そうですか、それじゃあ……」

「はい、殺しますね」

 

 円卓会議ならぬ脳内会議を行った結果、全ちびっ子アルフィミィちゃんによる会議で、相手は悪であり、人類の為にならない。また、残しておく必要はないと、自分勝手な判断で殺す事を決定しました。偽善? 独善? おおいに結構。何故ならアルフィミィちゃんは身体を持たない純粋思念体とでも呼ぶべき存在であり、かつて地球に生命の種子を蒔き、生命を生み出した全ての源であるノイ・レジセイアによって生み出された監視者であり、裁定者。

 本来、アインストは生命体の成長を監視することを目的とし、その動向を見守り続けてきた。しかし長い時の中でその目的は徐々に狂いを生ずるようになり、更に、撒いた種より生まれた生命体・人間が無意味な争いを際限なく続ける様を目の当たりにしたことで、思念体は彼らを生命体として不適切な存在であると判断した。

 実際にアインストは12000年前にもこの活動を起こしており、地球はかつて一度アインスト・レジセイアが送り込まれている。この際に人類はライディーンの活躍により、ムー大陸の沈没と引き換えにアインストを撃退している。

 そこで猶予を与えたというのに人類は未だに外宇宙からの外敵が居なければ延々と争っている。

 そんな訳でもう一度滅ぼす決定をしたのだが、また同じ過ちを犯さないために人間を知り、確実に滅ぼすためにアルフィミィを生み出した。

 まあ、この世界でのアルフィミィがそうだとはわからない。何せさっきのはあくまでもIMPACTの設定。OGではもう一つの異なるルーツの生命が地球に干渉したため生じた危険な力や混沌を見かねて、始まりの地である地球から不純物を取り除くことにした。そのためにエクセレンを参考に新たなる人間を自分で創造しようとしたが、それが失敗に終わったと判断したために新しい宇宙で1から新たな生命を創ろうとした。ちなみにこの新たなる人間というのがアルフィミィだ。

 

「ふふ、面白い事を言うお嬢さんだ」

「ええ、まったくですな」

「知っていますか? 大切な者を傷つけられた人は手段を選ばないと」

「ええ、もちろん知っていますよ。だからこそ、確実に消して……」

「法で裁けないのなら、法じゃない方法で裁けばいいだけ。例えば──」

 

 手を大げさに振り上げると護衛達は既に私に銃口を向けている。でも、今、撃っていないのは駄目だ。だからこそ影から生えた触手に食い千切られる。

 

「なっ!?」

 

 影から現れた無数の触手達がアサルトライフルごと腕を抉りとり、むしゃむしゃと食べていく。

 

「馬鹿な、コーディネーターとはいえこんな事ができるはずが……」

「こ、殺しなさい! 早く!」

 

 議員とアズラエルがあたふたとしている間に護衛達は腕を放置して懐から銃を取り出して撃ってくる。また、別の者は応援を呼ぼうとしているので、そちらから潰す。応援を呼ぼうとした男には髪の毛を変化させてブレード状にして切断。こちらに放たれる弾丸も髪の毛に変化させたアインストで全て弾く。

 

「わたくし、とってもお腹が空いてますの。肥え太った醜い豚さん達。わたくしたちのご飯になってくださいな」

「ふざけるな!」

「化け物めっ!」

「失敬ですの。こんな可愛い美少女を捕まえて化け物なんて……それに私を生み出したのはあなた方、人間ですのよ?」

 

 ゆっくりと恐怖を煽るように近づきながら、拾った拳銃を撃ちながら逃げようとする議員。それとアズラエルの身体を拘束して、残っている銃を拾って抱きしめている67番の女の子を見詰める。

 

「ねえ、貴女はこいつらに復讐したい? 殺したいのなら、殺させてあげます。どちらにせよターゲットは確実に滅ぼすのですから、手段はなんでも構いません」

 

 そう言いながら、彼女の手に銃を握らせてあげる。

 

「や、やめろ! 金なら払う! だから止めてくれ!」

「止めてと言われてあなた方は止めましたか?」

「もちろんだ!」

「そうですか。でも私は仕事なので止めません。残念でした」

「67番、止めろ! そいつを殺せ! そうすれば助けてやる!」

「私は……」

 

 拳銃を持って67番ちゃんは議員に向けて構えた。震えているので、手を添えて上げて口の中に銃口を入れる。これで外れることはない。

 

「ひゃ、ひゃめ……」

「後は引き金を引くだけ。怖ければ止めてもいいですし、あなた方は私が保護します。さあ……」

「っ!」

 

 銃声が響く──ことはなく、彼女は撃たなかった。まあ、そっちの方がいい。

 

「た、助かっー」

「それでは私が残さずに食べましょう」

 

 触手を生み出し喰らわせる。すると奴の記憶と知識が入ってくる。それは今は置いておいて、もう一人の方を見る。すると奴は携帯端末を操作していた。

 

「ちっ」

 

 指示を出して即座にアズラエルの両手両足を喰らわせる。悲鳴を上げるなか、67番ちゃんから返してもらった銃をアズラエルに向ける。

 

「っ!?」

 

 身体が触手に捕まれて強制的に引っ張られる。私がさっきまで居た場所には大きな光の柱が現れていた。その柱が移動し、大きな穴が生まれる。光の柱が消えると今度は巨大な機械の手が入ってきて、強制的に天井を押し開いていく。

 

「ひゃはははは! 殺せ、そいつを殺せ!」

『アズラエル様を最優先に確保して離脱しろ!』

 

 アズラエルが大きな機械、パーソナルトルーパーの手で周りごと持っていかれる。

 

「逃がしませんの!」

 

 慌てて飛び乗ろうと触手を偽装した髪の毛を放った瞬間、光の柱が壁を貫いてきて触手を焼いていく。それに伴い、即座に飛び退くと、相手も引いて外がはっきりとわかるようになった。

 

「こんな街中でゲシュペンストを持ちだしますか!」

 

 外にはゲシュペンストMk-IIのタイプRが二機いて、その内の一機の手には光の柱を発生させていたプラズマカッターが握られている。しかし、まだ中に他の人も居るのにこんな風にするとは驚きだ。

 

「ひっ」

 

 声が聞こえて後ろを向くと、最初の一撃を回避した時に一緒に居た67番の女の子が壁際に居て、彼女の周りを触手達が覆って守っている。流石は私の護衛アインストちゃん達。良い仕事をする。

 さて、ここで逃がすのも問題なので、外に出て戦いましょう。ゲシュペンストMk-II・タイプRを相手にするにはこちらもパーソナルトルーパーに乗るか、アルフィミィちゃんの専用機であるペルゼイン・リヒカイトがあれば余裕なんだけど……というか、私に専用機とかないの? 

 

『ねえ、何か知りませんの?』

 

 影から触手が出て来てふるふると身体を振っていく。どうやらないみたいだ。

 

『……えっと、もしかして、自分で用意しろと?』

 

 こくこくと頷くアインスト達に溜息をつきたくなる。それでもやるしかないので、外に出る。外では既に一機が空を飛んで逃げていく。もう一機がこちらにプラズマカッターを構えてくる。流石にメガ・ビームライフルやスラッシュリッパーを使わないか。

 まあ、それならそれでありがたい。ゲシュペンストに向かって走る。相手はこちらにプラズマカッターを振り下ろしてくるけれど、その前に手から触手を伸ばして相手の機体に吸着させ、身体を引き寄せる。対象が小さいせいで相手も殺したと思ってくれたみたいで、後は簡単。下から上に向けてスパイダーマンみたいな要領でどんどん身体を登っていく。

 コクピット付近まで登ればもう楽勝。アクセル達から貰ったマニュアルに書かれていた手順で緊急開閉用の操作をしてボタンを押す。するとハッチが自動で開いて中の人とこんばんわ。

 

「っ!?」

 

 相手は流石に軍人だけあって即座に拳銃で反撃してくる。だけど、無駄。身体を隠しながら触手を伸ばす。触手達は何度も銃弾をその身に受けるけれど、そのままパイロットの男に噛みつき、血液を吸い取っていく。血液が吸われたことで抵抗が少なくなれば大きな口を開いた触手がバリバリと食べていく。ちょっとグロいのでしばらくお外で待機。

 喰らったパイロットの知識と記憶が脳内に入ってくると、入ってきた物からゲシュペンストの操縦方法を呼び出して習得する。

 

「さて、と」

 

 ゲシュペンストの中に乗り込むと、少し血液が残っているだけで後は何も無い。なので操縦席に座り、記憶通りの操作をしていく。

 

「アインストちゃん、お願いしますの」

「こちらは護衛部隊のフェアリー03。対象の殲滅を完了。増援の必要はなし」

 

 仮面を被った男がサウンドオンリーで他の部隊にパイロットだった男の声で送信していく。

 

『了解した。そちらも帰投せよ』

 

 通信を切ってアインストちゃんを労ってから手に入れた機体をアインストちゃんに浸食させ、データの回収と擬態を命じておく。残念ながら、今のアルフィミィちゃんは機体があってもどうしようもない。流石にこれを持ってシャドウミラーに帰投するわけにもいかない。そんな事をすれば誰かに見られて私がやったことが露見するからだ。

 

「というか、一つ疑問なのですけど……もしかして、ゲシュペンストMk-II・タイプR(これ)って食べられたりします?」

 

 アインストちゃんに聞いてみると、巨大化してぱっくりと飲み込んでいく……なんてことはなかった。流石に無理みたいだ。まあ、このまま連中に回収されればその基地とかのデータも調べられる。

 

「っと、時間がありませんの」

 

 コクピットから飛び降りて、施設の中に戻る。まず、67番の女の子のところに向かう。するとそこには……

 

「え?」

 

 下半身が周りの建物ごと消し飛ばされている女の子の姿があった。守っていた触手達も大半が消し飛ばされ、生き残っている子達は彼女の下半身に蠢いている。

 何故こんな事になったのかと思えば、思い出すのは相手の攻撃を回避して突撃した時。プラズマカッターが振り下ろされたその先にこの子達がいたのだろう。私の冷静な部分がそう考える。

 

「助けられたと思ったのに……なんで……」

 

 いや、本当はわかっている。私が全て悪い。油断して調子に乗っていた。あそこで遊ばずに殺していたら良かった。いや、そもそもアクセルやレモン達と出会って一緒に居たいがためにアインストとしての特性をほぼ封じている。やるなら全力で最初からアインストの兵力を召喚していても良かった。

 

「本当、私は馬鹿ですの。何処かでゲームをプレイしているような感覚だったのかもしれません。この世界にセーブもロードも、リセットボタンもありませんのに主人公のように勘違いして、私なら助けられると本気で思っていましたの。その結果がこれ……」

 

 そもそも私が世界を守ろうなんてちゃんちゃらおかしいですの。わたくしはアインスト・アルフィミィ。()()()()()()()()だというのに……何時まで中途半端な感性でいますの、わたくし。

 

「……優先順位を決めますの。最優先はわたくしが生き残る事。次に楽しく気持ち良く生きる事。その為の手段は力と知識の吸収」

『でしたら、やることはわかっておりますよね、わたくし』

「はいですの。この子を、この子達を喰らってわたくしの血肉に変えますの。ごめんなさい」

 

 残っていた身体を触手を使って取り込むと、彼女の情報が流れ込んでくる。そして嫌な、致命的な情報と吐気を催す気持ち悪さが同時に襲われ、強烈な頭痛に見舞われていく。その間に彼女が忘れていた記憶を追体験し、両手に爪を食い込ませながら四つん這いになって何度も地面に両手を打ち付ける。

 

 暴れに暴れてようやく落ち着き、自分で壊していたボロボロの手足が急速に再生して元の綺麗な身体へと戻った。立ち上がってから、ボロボロになった服を破棄して別の服を作りあげる。アインストの能力は精神支配や生命体や物質の複製。この物質の複製を利用して触手を身体に巻き付けて服へと変化させる。どうせなら金色の闇と同じ服にしておく。

 

「貴女を守れなくてすいませんでした。ですが、クスハ、貴女の力は私が有効活用させていただきますの。借りパクになってしまいますが、許してくださいですの」

 

 両手を合わせて彼女の冥福を祈った後、残りの生き残りを探します。生きている小奇麗な服を着た金持ち連中は殺して喰らい、その知識と記憶を頂きました。生き残っていたみずぼらしい服装の女性や子供達、被害者は助けますの。

 

「た、たすけて……」

「頑張って」

 

 瓦礫を触手で持ち上げ、それでも無理なのは頭の痛いを我慢しながら、クスハから貰った念動力を使って補助し、退かしていきます。

 成長したクスハがやっていたみたいに意識確認をしてちゃんと治療していきますの。それから死にたいと願う人は痛みもなく殺して取り込んでいきます。

 生きたいと願う人の中で問題が無い人はそのままにして、問題がある人はアインストの力が結晶化した赤い宝石を埋め込む。赤い宝石によって精神支配を行ってから失った身体をアインストで代用させました。精神支配を行う理由は単純です。化け物が体内に居たら狂ってしまう。そうならないためにも怪我をしたという記憶そのものを消す。

 

「仮初の身体ですが、これでいいでしょう」

 

 何れ彼女達はアインストに浸食され、その身体を人ならざる者へと変化させていく事になる。その時に死にたいのなら、改めて殺してあげます。ただ、化け物である自分を受け入れてでも生き残りたいのなら、その時は歓迎しますの。

 

 さて、救助活動はこれぐらいにして次の仕事に入る。今日殺して手に入れた知識を使ってここに隠されている不正の証や金などを全て回収します。生き残っている端末で隠し口座にアクセスして、彼等が持つ全ての口座から全額を送金し、世界中にばら撒く。その中にある大部分は隠し口座に入金させて後で回収すればよしですの。

 他にも研究データなどは全て回収して取り込んでおく。彼等が行っていた人体実験のデータは色々と役に立つ。いや、むしろ役に立たせないと死んでいった彼女達が無駄になりますの。

 流石にこんな事をしていると、警察がやってくるので精神支配した人達を連れてさっさと逃げる。エレベーターに仕込んでいたアインストは爆発させて注意を引きながら、別の隠し通路から逃げるですの。

 隠し通路の先も同じような裏に関わっている連中だとわかっているので、容赦なく念動力の実験体として身体を圧縮して箱状にして殺す。そして、それもしっかりと食べさせますの。もったいないおばけが出たら困りますものね。

 念動力は使えば使うほど身体に馴染んでいく。アインスト達は嫌がっているみたいですけれど、この力は便利なので諦めてもらいます。例え気持ち悪くても使わせてもらいますの。

 彼等が持っていたお金や銃器類は回収し、同じく彼等の車も拝借してそれで逃亡しますの。あ、そういえば端末の回収を忘れていたので、爆発コードだけは送っておきましょう。ポチっとな。

 するととても大きな爆発が遠くで起きましたの。アクセル、殺意が高すぎますのよ? まあ、そのお蔭で逃げられるのでよしとしましょう。

 

「あ」

 

 車運転中にあるお店を見つけたので、アインストちゃんに指示を出して車を停止させます。そこから降りて買い物に行きますの。

 

「鯛焼き50個、味は10個ずつでお願いしますの」

「はいよ。すぐに焼くから待っていてくれ」

「超特急でお願いします」

「ああ」

 

 闇ちゃんと言えば鯛焼き。これは外せませんの。というわけで、鯛焼きを買ってから逃走します。どうせアクセルが回収に来るまでに時間がかかりますし、これでいいでしょう。

 というわけで、回収予定地まで移動したら、そこで鯛焼きパーティーをしながら待つことにしますの。後、ついでなのでお墓というわけではないですが、お供えもしておきましょう。南無阿弥陀仏。

 

 

 

 

 




あずにゃんが狂気に染まりました。コーディネーター絶対コロスマンに……今更ですね!

インフォメーション
アルフィミィちゃん化が進行しました。
念動力を入手しました。
資金6000万$を入手しました。
人体改造のデータを入手しました。
携帯端末を紛失しました。
SANチェックに失敗しました。

後書きの設定を使うか使わないか。使わないならアルフィミィの部分を普通のアインストに差し替え

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