状況確認回
第一特異点クライマックスまであと少し
久々にアサシンさんとオリ主が直接絡みます。
復刻大奥、相変わらず重かった……
「……ふむ……ロマニ、少し調べたいデータを見つけたんだけど、今いいかな?」
「……?アサシンを除けば、戦闘も落ち着いたところだし、構わないけど……何か気になることでも?」
「いや、何……少し
ダ・ヴィンチちゃんが一言呟いた。
カルデアにて、戦闘を終了した二人のマスターのバイタルチェックを行いながら、ロマニは彼女の言葉に対し、キョトンとした表情を浮かべる。
そして……
「足りないって……何が?」
疑問を浮かべたロマニに対して、ニコリと微笑みを浮かべながら、ダ・ヴィンチは言うのだった。
「魔力♪」
「…………はい?」
◇◆◇
マスターが私を放置し、隣町へと出かけて行ったのが一時間ほど前のこと。
……いい加減、少しは連絡があってもいいんじゃないですかね。
なんて考えながら、ファヴニールで遊んでいると、オルガからリンクが繋げられたのがわかった。
なんというか……
タイミングがあざといと言いますか……
ズルイですよね、ほんと。
声が聞きたい……そう思った時に、連絡をとってくれるなんて……こんなの、嬉しくないわけないじゃないですか。
「……はいはい。こちら、あなたの愛しのアサシンさんですよ〜」
『悪いわね、結じゃなくて』
「………………っ!?!?こ、交互に出てくるのは、卑怯じゃないですか?」
瞬間、顔から火が出るような感覚を覚えた。
余りの恥ずかしさに一瞬だけ行動不能に陥ってしまい、隙を作ってしまった結果、ファヴニールの尾で数十メートル程吹き飛ばされてしまったぐらいである。
割と痛くて重いんですが……この蜥蜴、そろそろ見飽きて来ましたし、本気でぶちのめしてあげましょうか。
『貴方が勝手に間違えたんでしょう……まあ、ドジっ子っぽくて可愛いと思うわよ?』
「うっさいです!……というか貴方、結構私に対して遠慮なくなってきましたね!?別に、いいですけども」
吹き飛ばされた拍子についてしまった、土汚れや埃をパタパタと音を立てながら両手で落とし、そのついでに顔に風を送るようにして熱を冷ました。
コホン、と気持ちを切り替えるようにして咳払いをした後、先程のお返しで蒼炎を球体へと凝縮させた凶器を四つほどファヴニールの方向へと飛ばしておく。
少しずつ装甲を突破しつつあるのか、呻き声を上げている邪竜を冷ややかな目で眺めながら、アサシンは問いかけた。
「それで……次は何の用ですか?」
『え、えっと……その、今までずっとファヴニールを引き留めてくれてたアサシンには、悪いんだけど……』
何故だか、オルガは言いにくいことを口にするかのように、気まずそうな雰囲気でそう前置きを入れてくる。
「…………?はっきり、言ったらどうですか?別に、ちょっとやそっとで怒る私じゃないですよ?」
ため息をつきながら、先を促した私に対して、彼女は意を決したように言うのだった。
『…………だって』
「…………?」
『だから、その……撤退、だって』
「へ?」
"撤退"
その言葉の意味を脳が理解し、硬直する。
そんな私に対して、ファヴニールは再びその長く重い尾を叩きつけたのだった。
◇◆◇
深い傷を負っていたジャンヌの治療を行い(オルガが)付近の霊脈を探知して(オルガが)移動してから、アサシンと立香へと連絡を取った。(オルガが)
……頼りすぎてる自覚はあるので、後でしっかり労おうとは思ってます。
ゲオルギウスに周囲の見回りを任せて、俺はカルデアから送られて来た茶葉を使い、紅茶を飲んでいた。
……ロマンさん、中々良い茶葉を溜め込んでたみたいですね。
本人は必要ないと強がっていたが、ジャンヌには無理矢理、療養に勤めさせている。
お茶請け?と呼んで良いのか分からんが、一緒に飛ばされてきたどら焼きを片手に、一息付いていたときだった。
「ちょっと、ますたぁぁあ!!」
「おや、久しぶりだね。アサシンくん」
「久しぶりだね、アサシンくん……じゃないですよ!?撤退って何ですか、撤退って!?」
アサシンが、どどど、と効果音がつきそうな勢いでこちらに疾走してきた。
落ち着かせるように、頭をポンポンと撫でてみると、少し目を細めて嬉しそうに笑う。
「……っ、マスター……そうやって、頭を撫でておけば、私が大人しくなるとでも思ってるんじゃないですよね」
「割と思ってたわ……やめた方がーー」
「いえ、続けてください」
『すごい、食い気味に返事したわね……』
効果覿面、とまではいかないが、大人しく話を聞いてくれるぐらいまでは、落ち着いてくれたようなので、よしとしておこう。
……あぁ、相変わらず撫で心地のいい頭してるなぁ、お前は。
髪の感触とか、もうサラサラで柔らかくて極上なんですけど。ぶっちゃけ、これだけで惚れるまである。
『ニヤニヤするのやめなさい。絵面が犯罪ギリギリだから』
オルガのツッコミで意識を現実へと戻し、コホンと一つ咳払い。
……真面目モードへ精神を入れ替え、アサシンへと事情説明を開始した。
「まず、一つ最初に言っておくぞ?陽動作戦……に見せかけた、二方向同時攻略作戦が失敗に終わった」
……………………
時間軸は、聖女マルタを迎撃した頃。
「……陽動作戦、だな。これが最良の手だ」
俺が、オルレアン攻めの作戦を提案した所まで遡る。
陽動作戦、その言葉を聞いてマリーとロマニの表情が硬くなったのがよくわかった。
出来ることなら、誰にも傷ついて欲しくない……その思いは確かに大切で尊いものだが、理想を現実に求めて失敗するのは愚行である。
まぁ、俺も基本的にはそっち側の思想の人間ですし……ほんの少しの自己犠牲と偽善が混ざってる分、俺の方が性質が悪い気もするので、彼らの信条を否定することなどできないのだが。
「まぁ、待て……一番有効で、わかりやすいのが陽動作戦ってだけだ……何も、特攻するわけじゃない」
「……でも陽動、ってことは誰かが囮にならないといけないよね?」
俺の言葉に、立香が疑問を浮かべる。
議論の中心になるポイントは、正にそこである。
囮が、隠さず言えば"捨て駒"が存在することになるため、マリーもロマニもこの作戦に反対するのだ。
「……だからさ……
その言葉を聞いて、全員の視線が一人の少女の元へと……俺の胡座の上でウトウトしていたアサシンの元へと集中した。
……緊張感ないなぁ。
視線に気付いてキョトンとした後、パチパチと瞬きをしている彼女を見ていると、本当に癒される。
『……つまり、アサシン一人を、オルレアンに向かわせるつもりかい?』
ロマンの極端な言葉に、苦笑いを浮かべながら返答する。
「まさか、流石にそこまで鬼じゃない……頑張れば出来そうな気がして怖いけど……」
「では、もしかして……」
マシュの言葉に割り込むようにして、告げる。
「ああ、俺とアサシン……それにジャンヌ。この三人で、オルレアンへと向かう」
「……私、ですか?」
自分を指差して、首を傾げたのはジャンヌ。
全ステータスの低下、ルーラー権限の喪失、更に言えば黒聖女との邂逅以降は精神面の乱れも大きい……そんな自分が、どうして陽動部隊に選ばれたのだろうか。
そんなことを伝えようとした彼女だったが、結はそれすらもを予想していたかのように話を続けた。
「ああ、弱体化の対抗策も有るにはある。純粋なステータスだけを見れば、戦闘能力は抜群だろ?」
「…………そこまで言われると、少し照れますが」
「チッ」
「痛い痛い、アサシンさん太腿抓るのやめて」
陽動部隊のメンバーを確認した後、俺はこの作戦の肝を伝える。
「……陽動作戦、最初にそう言ったけど、実際は違う。陽動部隊は言わば先行部隊と見てもらっていい」
『…………っ!そういうことか……』
漸くロマニが、俺が何を言いたいのか理解したようだ。
驚きの声を上げると同時に、うーんと頭を抱えて、作戦決行を許可するかどうかを悩み始める。
「ファヴニールを引き摺り出して、竜殺しの英霊を捜索する時間を作る……これは、飽く迄も副産物。俺とアサシン、ジャンヌの目的は……敵戦力を削ぐこと、つまり対サーヴァント戦で敵サーヴァントを消滅させること」
「ふむ……英霊でもない君が、かい?」
「……そんなの、今更だろ」
アマデウスのニヤッと笑いながらの問いかけに、肩を竦めて答える。
いい性格してるな、こいつ。
「俺たちが掻き乱し、消耗させたところで……立香達が竜殺しを連れてオルレアンへ侵入する。タイミングを合わせて俺とジャンヌ、アサシンが合流してボスの居場所へ殴り込みをかけ始める…………つまり、相手の手駒を減らしてから、多数で囲んで磨り潰す」
気がつかないうちに、威圧感でも放ってしまっていたのだろうか。
マシュに、少し怖がられている気がする。
おい、立香「鬼畜だ……!」ってキラキラした目でこっち見てくるんじゃない。
ジャンヌも、なるほど……みたいな感じに頷きながらこっち見てくるんじゃない!
「はぁ、要するに……二面同時攻略。それが、この作戦の最終目的だ」
彼女らの視線から逃げるように、俺は顔を背けてため息を吐きながら、話を締めくくったのだった。
◇◆◇
作戦が破綻したのは、主に二つ想定外が重なったことが原因であった。
一つは、相手サーヴァントの内の一体……ランスロットが強過ぎたことである。
一人一騎(アサシンは二騎)の英霊を討ち取る想定だったのだが、あの怪物バーサーカーが紛れ込んでいたのはイレギュラーである。
もう一つは、ジークフリートの呪いだ。
洗礼詠唱、聖人二人の協力が必要だというクソ面倒な方法でしか解くことのできない呪いなど、予測できるはずがない。
恐らく、解呪を行うだけで良いならば、俺一人でも対処できたのだろうが……代償で命の一つや二つは持ってかれる可能性があるため、それは本当に最終手段である。
ランスロットとの戦闘直後に、ロマンから立香達の状況や、呪いについて話を聞いた俺は、オルガにジャンヌの治療を任せる間、思考をフル回転させて状況確認を行った。
こちらの状況を各戦場ごとのメンバーで、纏めてみたところ……
俺 暫く戦闘不可
ジャンヌ 重傷
ゲオルギウス 脇腹痛い
アサシン 恐らく無傷
立香 軽度の疲労
マシュ 軽度の疲労
マリー 軽傷
アマデウス 無傷らしい
ジークフリート 死人同然
圧倒的に俺の陣営がボロボロであることがわかる。
だが、立香達にも目に見える弱点はある。
近接攻撃を得意とするサーヴァントが少ないのである。
もう居ないと信じたいが、立香達の方へとランスロットのようなサーヴァントが現れたら、あっという間に壊滅してしまうだろう。
つまるところ、万全なのは我らがアサシン様しか居ないわけで……
さして悩むこともなく、一度撤退し、ジークフリートの復活を最優先とすることを決めたのだった。
「……と、まぁ、こんな感じ?納得頂けましたか、アサシンさん」
「……むぅ……理解はしましたけど……なんか、私があの黒蜥蜴にやられっぱなしで帰ってきたみたいじゃないですか……」
『サーヴァント一騎を倒して、邪竜の足止めをするなんて、結構な大役だったと思うけど』
「気分の問題ですよ、気分の」
ぷくっと頰を膨らませながら、不満そうにしているアサシンとオルガが、話を続ける。
彼らの話を聞き流しながら、そろそろかな、と周囲に目を向けると、立香達がゲオルギウスの案内の元、こちらへやって来たのがわかった。
際どい格好の後輩系シールダーに、キラキラ光る麗しの王妃様、ロクでなし天才音楽家に、銀の長髪を持ち体格の良い剣士のサーヴァント。
地雷臭満載のピンク髪アイドル系サーヴァントに加えて、火吹き芸をしている着物姿のサーヴァントまで、全員無事みたいで何よりだ。
『何よりだ、じゃないわよ!?なんか、増えてるじゃない!?』
「心読むなよ、おい」
遠い目をしながら、全力でスルーするつもりだった俺だが、脳内同居人がその光景にツッコミを入れてしまったので、仕方なく現実を受け入れることにする。
ああ……やだなぁ、特にピンク髪の方。
なんか、物凄く面倒な拾い物のような気がする。
「久しぶり、立香……で、誰?」
「あははは……なんか、増えちゃって……」
頰を引きつらせながら質問した俺に対して、こちらも苦笑いを浮かべながら立香はそう返答するしかなかったみたいである。
…………まあ、対応は立香に全部任せておこう。
拾ってきたペットは、拾い主さんが責任持って面倒みないといけないからね!
『一応、戦力増強ってことでいいのよね?自己紹介は後にして、とりあえず洗礼詠唱の準備を整えましょうか?』
オルガが意識を切り替え、シャキッとした声で指示を出し始める。
未だに少し不貞腐れている様子のアサシンを横目に、俺は一言呟いた。
「さてと……最終ラウンドと、行きますか」
誇り 因縁 妄執 願い
彼らが持つそれら全てが入り乱れていき……
オルレアンは、その姿を変貌させる。