カーマさんとイチャコラしながら人理修復する話     作:桜ナメコ

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 やっと受験終わったああああ!!!!
 後期? 多分、前期で決着ついたでしょう。うん、知らん。
 
 ボチボチペースで更新再開しますので、気長に見守ってください。

 誤字脱字感想評価ありがとうございます!


 



強化クエスト『1』
39話 強化クエスト 結・オルガ(1)


 

 

 

 

 オルレアン攻略を終えてから、二日後の昼下がり。

 

 

「よっす、元気してるか?」

「…………」

「ひっっでぇ渋面……ポテチ食う?」

「ポテチ片手に召喚してんじゃないわよ!?」

 

 とりあえず黒聖女を召喚して、契約を交わすことにした。

 

 アサシンに土下座かまして、撫で撫でしまくって、甘味捧げて、膝枕して、腕枕して、添い寝までしたところで、黒聖女をオルガのサーヴァントとして迎える許可を貰ったのだが、俺としては役得でしかなかった。言うまでもないが、このフルコースには脳内オルガさんもご満悦であったりする。

 

 因みに、黒聖女より一足先に召喚されていたオルレアン組だが、白聖女を除いた全員が立香との主従契約を結ぶことに落ち着いたらしい。

 具体的に言えば、マリーにアマデウス、ゲオルギウスとジークフリート、清姫は呼ばずとも来たとして、意外にも縁を辿って訪れてくれたのがサンソン、最後に白聖女…………なんかうるせえピンク頭が、居ない気もするけど大体全員揃ったな。

 団体様ご一行のお出迎えに、電力的問題が深刻みを帯びているらしいが、俺にできることはないので、頑張ってとしか言いようがない。

 

 白聖女については、アサシンが既にオルガのサーヴァントだと認めていたらしいので特に問題なく、俺(オルガ)との再契約を交わし終えている。

 

「で、何その紙?」

「契約書です」

「あら、お可愛らしい字ですこと」

「ぶち殺すわよ」

「殺意高過ぎません?」

 

 ピラピラこちらへ向けてきていた契約書とやらに目を通している間に、黒聖女はぼりぼりと俺が持っていたうすしおポテチを摘み始める。食べたいなら、食べたいって素直に言えばいいのにな。

 

『字、練習したのね』

「健気だなぁ……」

「アンタらの為じゃないわよ!?」

「『え、違うの?』」

「仲良しか!?」

 

 バレたか。

 24時間どこでも一緒が当たり前になった結果、最近の会話量はアサシンよりもオルガの方が多かったりするんだよね。

 

「オルガばっかズルいですよ!」

『貴女はこの前、散々甘やかされていたでしょうに……』

「お前はいつでも可愛いなぁ……」

 

 オルガに対抗しようとするアサシンのむすっと頬を膨らませている顔が、とんでもなく可愛らしくて、思考の全てが吹っ飛んだ。

 というか、四六時中一緒のオルガと会話量で勝負になってる時点でこの子もこの子なんですけどね。

 まあ、それはそれ。話を戻そう。

 

「サバイバー……ね、体に不調はないか? その霊基、俺が弄ったようなもんだからな。異常があったら直ぐに言えよ?」

「…………ええ」

「真面目にしてみたら、それはそれで気持ち悪いわね、の顔するんじゃない」

「勝手に心読まないでくれるかしら!?」

「表情読んだって言ってんだろうが……で、だ。本題はそこじゃねえ」

 

 表情、雰囲気を真面目モードに変更。

 にこりと微笑み、口にする。

 

「お前、武器は?」

「…………ステゴロ」

 

 沈黙を挟む。

 凄女違いだ、アホ。殴ルーラーはお呼びじゃねえ。

 さしものアサシンですら、頬を引き攣らせて目の前の黒聖女を眺めていた。

 

「……………………バカなの?」

 

「しょうがないじゃない!? なんか何も持ってなかったの! アンタこそ私の旗と剣返しなさいよぉぉ!?」

 

 ガクガクと俺の肩を()()()握り、前後に揺さぶる黒聖女にもう一つの現状を叩きつける。

 

「で、なんだけど」

「はぁ……はぁ…………何よ?」

 

 契約書をぴらりと提示し、再びにこりと微笑んだ。

 

 

クラス:サバイバー

真名:ジャンヌ・オルタ

 

ステータス

 

筋力E

耐久EX

敏捷D

魔力E

幸運E

 

 

「舐めんな」

「私だって知らないわよ、こんなステータスッ!?」

 

 

 黒聖女——邪ンヌちゃんの絶叫が、カルデア中に響き渡った。

 

 

 

——————十分後。

 

 

「あらあら……大丈夫ですか、オルタ?」

「うぐっ……ぅぅ…………」

『抵抗なく姉からの慰めを受け取っている時点で、相当きてるわね』

「…………誰が、妹よ」

「ツッコミのキレすら、失せるとは……惜しい人材を亡くした」

「アンタ、私のことツッコミ担当で呼んだの!?」

「あわよくば、戦闘の役にも立って貰おうかな的な?」

「うわぁぁぁん……!」

 

 ギャン泣きしてんじゃねえか。冗談だよ、おバカ。

 抱きつかれてるジャンヌの顔が幸せ一色に染まってるんだけど、それでいいのか白聖女。

 

『私のサーヴァントにあんまり悪戯しないの』

「そうですよ、弄るならもっと私に構う感じでお願いします」

 

 ……ここで、性的に? って聞き返したら、面白いことになりそうなんだけど。

 

『邪な気配を感じたわ』

『ボンタンアメ二箱で手を打とう』

『私食べられないんだけど…………』

 

 個人用念話でオルガの口封じをしていると、ようやく邪ンヌちゃんがジャンヌの胸から顔を上げた…………なんで残念そうにしてんだよ、白い方。

 

「……とりあえず、邪ンヌちゃんに関しては、模擬戦でもしてみてから考えるか。ジャンヌも色々と協力してもらうぞ」

「はい、是非とも協力させて頂きます!」

「……何も出来なくても、ガッカリするんじゃないわよ? 意味のないため息とかもするじゃないわよ? 絶対だからね!?」

 

 出会って早々に貶されたからか、思考が卑屈っぽくなってる邪ンヌちゃんに苦笑する。

 

「今の『じゃ』ってどうやって使い分けたんですかね……」

『意味が通るのがおかしいのよね……』

 

 「俺が弄った霊基なんだから、責任ぐらいは取るよ」なんて口にしていたら、この子達に滅多撃ちにされそうだからやめといた。

 

 

 それにしても、このステータスでステゴロ、クラスもコイツ限定っぽいサバイバー……肉壁要員かなぁ」

 

「口に出てるんですけどぉぉぉおお!?」

 

 何にせよ、しばらくは模擬戦用のシミュレーターにお世話になることが増えそうだ。

 

 自分自身の鍛え直しも、行っていかないとだからな。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「朱雀井家、ね……アーカイブに情報はなし。代償強化に似た魔術形式を持つ名家は幾つかあったけど、どれもこれもが大掛かりな儀式系の魔術だね。その研究の終点も、戦闘用なんかじゃなくて、根源を目指す系の理想追求用の魔術。おまけに、全ての計画は失敗してるときた…………何者なんだろうね、彼?」

 

 そう言って、万能の天才は湯気の踊るコーヒーカップを片手に、近くに居た男性へと愉しげな笑みを向けた。

 男性の手元のホログラムには、彼がカルデアへと招かれた際に作られた出身地や経歴をまとめたデータが映されていた。

 

 朱雀井結

 三人姉弟の真ん中で、上と下に姉と妹を持つごく普通の一般家庭で生まれた少年。

 高校中退であることを除けば、一般人と異なっているのは、両親と姉を小学生時代に火災で失っていることだろうか。

 しかし、それ以外は至って普通の一般人。

 魔術なんてものとの関わりは一切見られないただの青年である。

 

 何度見ても、不幸な一般人としか言えないその経歴が記されたデータを前にして、男性——ロマニ・アーキマンは複雑そうな表情をしてみせる。

 

「少なくとも、僕たちに味方してくれているのは確かだけどね……まあ、こっち側にアサシンがいる限り、とも言えるかもしれないけど」

「アサシンに何かあった場合、なんてことは余り考えたくはないね」

「同感だよ……まあ、あのアサシンがどうこうなる未来なんてものがあるのなら、それ自体が僕たちにとっては最大の危機そのものになるんだろうけどね」

 

 朱雀井結——カルデアに残された二人の希望、その片割れ。

 類稀なる固有魔術に、高精度の瞬発的な判断能力。

 戦闘能力はサーヴァント戦についていける程度にはあり(それが、既に人外領域のど真ん中であるのだが)後輩のメンタルケアを行う視野の広さと()()、人間性をもつ、聖杯戦争の経験者である魔術師。

 正直言って、どこから湧いてきたコイツ、というレベルの人材である。

 アサシンとパールヴァティーの話を聞くに、コレでもまだまだ全力解放には程遠いというのだから、本来の実力を発揮できたのなら、Aチームとして抜擢されていてもおかしくない……というか、確実に抜擢されていただろう。

 

「全く、困らせてくれるよ。助かっているのは確かなんだけどね……僕の心臓に悪い」

「胃薬ならあるよー」

「知ってるさ……というか、僕、一応医療部門のトップなんだけど」

「まあまあ、細かいことは気にしない……ハゲるぜ?」

「キメ顔でそんな悲しいことを言わないでくれるかなあ!?」

 

 結局、カルデアのデータベースからは特に収穫はなく、仕方ないので彼のデータ欄へとオルレアンで得た補足の情報をチマチマ追加するとする。そのときに、ふと思い出した。

 

「そういえば……あのときの、一撃は何だったんだ?」

 

 思い返すのは、バーサク・バーサーカー……では、わかりにくいが、黒騎士ことランスロットとの戦いで彼が見せた宝具級の一撃。

 傍目には、というより、その後の動きを見る限り、大きな代償を払ったようには見えなかったが、あれほどの魔術を行使しておいて、ノーリスクなんていう旨い話は正直信じられない。

 

 考え込んだところで何も新しい情報は得られそうになかったので、理解を放棄することにする。

 やっぱ、色々とあの青年はイレギュラーの塊だよな、と溜息を吐いたところで、少し管制室の入り口の方が騒がしくなってきた。

 

 ……何にせよ、彼やアサシンの行動が窮地を救ったことが一度や二度ではないことは確かだ。

 大人として、所長なき現カルデアのトップとして、注意勧告はしなくてはならないにせよ、言い過ぎもストレスの素となるだけだろう。

 こちらとしても、功労者に対してとやかく言うのも、気分が良いものではないわけだし。

 なるべく、穏便に。のんびりと、彼のこれからを見守るぐらいの気持ちでいいのかもしれない。

 

 思考にある程度の結論をつけたロマニは、伸びをした状態から背もたれに全力で寄りかかるようにして、ドア付近へと視線を投げる。

 

 そこには噂の青年と、紫色の髪を持つ女性がいて……

 

「よっす、ロマン。ちょっとシミュレーター借りるぞ?」

「…………なんで?」

「パールヴァティーと殺り合ってくる」

 

 やっぱ、もうちょっと大人しくしていてほしいものだなぁ……なんて思考を引き攣った笑顔の上に示すのだった。

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

『なんで、いきなり模擬戦なのよ?』

「見た方が早いからってのが、一つ。それと、単純に俺が戦闘のカンを取り戻したいってのがある」

 

 シミュレーターの構築した市街地フィールドにて、身体をほぐしつつ、オルガからの質問に答える。

 服装は今まで通り、カルデア制服を少々改造しただけのものだが、腰元には警棒のかわりのものが吊り下がっている。

 

 オルガには言っていないが、コレは今の俺の全力でどこまでやれるかというチェックでもあった。

 過去の栄光も失態も、全部リセットして、今を見る。

 それが出来ていなかったから、オルレアンでは何度もピンチに陥った。

 

 そろそろ、自分自身の現状を正確に捉えなければならない。曖昧にしておくには、余りにも事故率が高すぎる。

 これは、いい機会でもあったのだ。

 

 

 オルレアンの一件を終えた現在、俺の魔術回路は完全に治癒され、オルガから受け取った魔術刻印も完全適合を果たして、絶好調。

 先程少しだけ触れた礼装……ダ・ヴィンチちゃんに頼んでいたそれらは既に完成していたらしく、腰元には二十センチとちょっとぐらいの短刀と六十センチ程度の棒きれがある。

 見覚えと使い覚えが凄まじいほどにある二本の礼装からスッと目を逸らして、前を向いた。

 

 目の前には、廊下でとっ捕まえたランサーことパールヴァティーさん。

 最近暇そうにしていたので「カロリー消費できてる?」の一言でバッチリ誘いに乗ってきてくれた良妻賢母系の神霊サーヴァントである。チョロいな。

 

 何度も手合わせをしたことがあるという点でも、今の実力を測るにはちょうどいい相手ではあった。

 

『勝算は?』

「ガチでやり合えって言われたら、普通に無い……だけど、宝具は禁止にしてもらうって約束をしてもらったからな。先に五回攻撃を当てた方が勝ちっていうルールの上なら、多分負けねえよ」

『…………彼女、宝具全振りタイプなのかしら?』

「まあ、うん。そこは探ってやるな」

 

 そう、パールヴァティーが我らがなんちゃってアサシンから、なんちゃってランサーと呼ばれる所以はそこにある。

 彼女はクーフーリンなんかとは違って、自分自身が槍の勇士である、なんてことはなく、たまたまシヴァに与えられた武器が三叉槍だったからランサー扱いになったってだけだからな。

 

「そこまで勝ちを断言されると、一泡吹かせてみたくなるのですが……一応、私も訓練は積んでいるわけですし」

「うん、知ってる。お前は最初が酷すぎたんだよ」

「そこまで言われるほど…………いえ、そうでしたね。なら、こちらは胸を借りるつもりでいかせてもらいましょうか」

 

 カーマ同様、前回の亜種聖杯戦争擬きの記憶を持っているパールヴァティーは、その際に簡単な武術を()()()()から教えらているため、少々厄介だったりする。

 少なくともガチのなんちゃってランサーだった初期時代よりは、確実に手強くなっていることを、実体験から知っていた。

 

 

 

「そんじゃ…………やるか?」

「ですね」

 

 

 

 手品道具のコインをポケットから取り出し、弾く。

 

 

 お互いに、戦意も何もないような朗らかさを雰囲気の中に保ち、まとっていた。

 

 

 チャリンっと乾いた音が

 

 

 ——ズドン、という衝撃音に掻き消される、その瞬間までは。

 

 

 

『…………は?』

 

 

 

 右足を強く踏み込み、身体を捻るようにして宙へと浮かせると、先程まで俺がいた空間を紫電が突き抜けていくのが見えた。

 

「小手調べ、ですよ?」

「言われなくてもって奴だな」

「流石ですね」

 

 では、今度はこちらから……そんな含み笑いに彼女は、獰猛な笑みで答えてみせた。

 

 

 

 

「……代償強化」

 

 ——全能強化

 ——耐性獲得(雷)

 ——速度補正・強

 

 代償・相当量の魔力 

 

 

 身体中に、魔力の蒼光が奔る。

 グーパー、グーパーと右手を動かしてから、問題なしと小さく頷いた。

 

 

 相対するパールヴァティーは手に持った三叉槍へと魔力を込めていくと、そこに集められた超高エネルギーが紫電の輝きとなって空間を揺らしはじめる。

 

 

 

 命を賭けているわけではない。

 世界の命運が懸かっているわけではない。

 お互いに表情に緊迫の色はなく、けれども確かな真剣さを孕んだ瞳をもって……

 

 

 

 

「そんじゃあ…………ぶっ飛ばしますか」

 

「ええ、全力で……撃ち抜きます!」

 

 

 

 いつかの日のように、俺とランサーが激突した。

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