はい、よーいスタート。
前回のつづきからやっていきましょう。
「わぁ…!」
>紅葉は貰ったパンツァージャケットを身に付けていた。藍色を基準として、背中には私達のチームのマークであるカバがプリントされている。
………うん。気に入った。今鏡を見ればおそらくとてもマヌケな顔をしているだろう。それぐらい頬がゆるんでいる。胸のなかで嬉しさと興奮が入り交じっている。
あぁ、早くこれを着て試合がしたい。
「すごい顔をしているな、紅葉」
「そう?」
>左衛門佐さんが携帯を開いてこっちを写す。そこに移っていた自分は予想通り、他人には見せられない顔をしていた。
紅葉のやる気は絶好調だ!
今、ほもちゃん達は戦車を塗装してます。前回の色を戻すのとは違って、三突にカバのエンブレムを刻んでいますね。ここで、ちょっとしたカバさんチームだけ出来る裏技を使います。
>紅葉は三突にカバのエンブレムを塗装する。左右から見えるようにするだけじゃなく、後ろからでもカバのエンブレムが見えるように塗装する。
他のチームと違ってカバさんチームだと、戦車の後ろ側にカバのマークを塗装すると何故か相手選手が挑発にのってきやすくなります。なんでなんでしょうね。
とにかく、これで試合への準備は完了しました。
後は試合に挑むだけです。
>紅葉は今日はバイトの日だ。ボコのショーの練習をしつつ、初めて舞台に立つ。人はほとんどいなかったが、あの常連客の少女だけは見にきていた。
遠くから見てもわかるくらい、期待に満ちた顔をしている。ショーが楽しみなのだろう。
紅葉は、不安とプレッシャーと恐怖に押し潰されそうになるが、鍛え上げたメンタルにより何とか耐えきる。
「大丈夫…私なら出来る……」
>いよいよ、ショーが始まる。練習通りの振り付けをする。
「おい、今ぶつかっただろ!気をつけろ!」
「あぁ?」
>ボコは粋がりひたすらにボコボコにされている。紅葉は着ぐるみの中でボコボコにされながら思った。一体自分は何をしているだろうと。
何故ボコはこんなにも弱いのだろうか。
何故ボコは負けるとわかっているのにこんなに態度が大きいのか。
何故ボコはいつも負けるのだろうか。
何故ひたすらボコボコにされるだけのキャラクターが生まれてきてしまったのか。
何故あの少女は、ボコがひたすらボコボコにされるだけのショーをあんなに楽しそうに応援しながら見ているのだろうか。
「きたきたきたー!みんなの応援がオイラのパワーになったぜ!ありがとよ」
>みんな(一人)の応援により、立ち上がるボコ。普通のヒーローショーだと、逆転の流れだが、ボコは一味違う。普通に負けた。一体何だったんだこの流れ。
「また負けた……。次は頑張るぞ!」
>ショーが終わった。紅葉は着ぐるみを脱ぎながら思った。
何だこれ、と。
今日のバイト代を貰ってスタッフルームから出る。疲れたし飲み物でも買おうかと思ってミュージアムをうろついていると、常連客の少女と鉢合わせた。
「あのときのお姉さん……」
>向こうは私のことを覚えていてくれたらしい。紅葉は少女と少し雑談をした。
「お姉さんも、ボコ好きなの?」
「え?う、うん。す、すす、好きだよ。いいよね、ボコ」
「うん!」
>笑顔で答える少女を見るとかなり罪悪感に苛まれる。本当はボコのこと好きでもなんでもないのだが。かといって嫌いでもない。正直あまり興味ない。
少女が楽しそうにボコのことを語っている。これは、チャンスではないかと、紅葉は思った。
この少女にボコの良いところを聞けば、今よりもっと良い演技ができるかもしれない。紅葉は聞いてみた。
「ボコのどういう所が好き?」
「ボコボコにされても、何度でも立ち向かうところ」
>諦めない姿勢が好きということだろうか。たしかに何度も負けるとわかっているのに、それでも諦めないその姿勢は素晴らしいと思う。そういう視点で見ると、ボコはかっこいいかもしれない。
紅葉はボコについて理解を深めた。
「じゃあ、またね」
「……あの、お姉さん」
「なに?」
「また、会える?」
「もちろん。ここでバイトしてるからね。またおしゃべりしよう」
「うん!」
>時間はあっという間に過ぎていく。この前抽選会に行ったばかりかと思えばもう、試合当日だ。紅葉は試合会場を見る。
「……?どうかしたか」
「見に来てる人、少ないなと思って」
>前の聖グロリアーナ女学院との練習試合のときはたくさんの人が見に来ていたのに、大洗側の見学者はサンダースの見学者に比べると少ない。サンダース側の見学席は埋まっていてチアガールもいる。
「まぁ、まだ1回戦だし、うちは無名高だからな」
「うん。……何か寂しいね」
>仕方がないといえば仕方がないのだが、少し寂しさを感じる紅葉。整備を終え待機となった。
「のんきなものね」
>聞いたことがない声がする。声の方向を見ると、サンダースの生徒がきていた。
試合前の交流を兼ねて食事に誘ってきたらしい。
何故かわからないが、のんきと言ったとき、私の顔を見て言われた気がする。そんなにのんきな顔をしていただろうか。カエサルに聞いてみる。
「そんなにのんきな顔かな、私」
「……気の抜けた顔ではあるんじゃないか」
>向こうで会長と喋っている金髪の人がいる。たぶんあの人が相手の隊長なんだろう。秋山さんに、オッドポールがどうたらこうたら言っていたが知り合いなのだろうか。
紅葉は三突に乗り込んだ。緊張はしてはいるが、前よりはだいぶ落ち着いている。操縦席から相手の戦車を見ると、相手の戦車はこちらより多い。性能もきっと相手の方がいいのだろう。だけど、負けられない。
「説明した通り、相手のフラッグ車を戦闘不能にした方が勝ちです。サンダース付属の戦車は攻守ともに私達より上ですが、落ち着いて戦いましょう。機動性を生かして常に動きつづけ、敵を分散させて三突の前に引きずり込んでください」
「了解」
試合が始まるといったところで今回はここまでです。ありがとうございました。
※
また、おしゃべりしよう。たしかにそう言ってくれた。私は顔を緩ませ、ボコのぬいぐるみを締め付けるように抱き締める。
「……楽しみ」
次は一緒にミュージアムを回れたらいいなぁ。
感想、評価、お気に入りありがとうございました。
ガルパンで好子さんかわいいですよね