はい、よーいスタート。
前回のつづきからやっていくぞー。今回は愛里寿殿のイベントをメインでやってきます。イベントを見るだけなのでとくに語ることもありません。
「暇になっちゃったなぁ」
>ボコミュージアムのベンチでため息をつく。普段ため息なんてつかないのについてしまった。
今日のバイトが突然休みになった。なんでも骨折した前任者の人が少し前に退院したらしく、今日はその人がボコの中をやるそうだ。
その話を紅葉はついさっき聞かされた。人手が足りないのは知ってるし仕方がないとは思うけど、できれば早く教えてほしかった。
そうだと知ってれば今朝、左衛門佐ちゃんの誘いを断らなかったのに。どうやら私は人より間が悪いのかもしれない。何か呪われてるのかな。
「お姉さん、どうかしたの?」
「あ、愛里寿ちゃん」
>孤独に黄昏る紅葉を見かねたのか、気遣う様子で声をかけてくれた。紅葉は何でもないと手をふり、立ち上がる。
さすがに、年下の子に心配されるのは紅葉としても気が引ける。彼女は年上の自分よりしっかりしてそうだけど。
「暇なの?」
「暇なの」
「……えっと、じゃあ……その……」
>もじもじして、何か言いたげな様子だ。チラチラと、ボコーデットマンションの方を見ている。
愛里寿ちゃんは大人びてるけどたしかまだ中学生ぐらいの年齢だし、態度が本当にわかりやすい。もともと素直な子なのもあるかもしれないが。
「愛里寿ちゃんさえよければなんだけど、一緒に私と遊んでくれないかな?ちょっと暇になっちゃって」
「……うん!」
>愛里寿ちゃんが嬉しそうで私も嬉しくなる。それにしてもボコーデットマンション……どこかで聞いたことがあるような名前だ。
ボコーデットマンションは、最大3人乗りのマシンに座って回るホラーアトラクションだ。
まぁ、ホラーといっても大したことはない。あちこちにホラーな格好をしたボコを使って、暗い背景で驚かすだけだ。メインターゲットの年齢層が低いのもあって、そこまで本格的なホラーでない。
正直このボコミュージアムの見た目の方が、よっぽどホラーしてる。夜見かけたら恐怖のあまり逃げ出す自信が私にはある。
お客さんは、相変わらずいないので待たないで乗ることができた。
「お姉さん、こっちこっち」
「歩くの早いね」
>シュタタタっと早歩きで先に行く愛里寿ちゃんについていき、アトラクションに乗り込む紅葉。
隣に座ってる愛里寿ちゃんはワクワクしながら乗ってる。一応ホラーアトラクションなんだけどねこれ。
そういえばテーマパークで遊ぶのなんていつぐらいだろう。もう覚えてもない。
ボコーデットマンションは正直アトラクションより、愛里寿ちゃんの反応の方が面白かった。色んな種類のボコが出てくるたびにキャッキャしていてとても可愛らしかった。
ボコーデットマンションの次はショーを見に来ていた。普段は中の人の方だから、観客として生で見るのはこれが初めてだ。
紅葉もあれから更にボコについて勉強してきた。愛里寿ちゃんと会話に合わせるためなのはもちろん、個人的に興味がわいてきたのもあったからだ。
ボコについて欠片ほどの興味も持ち合わせていなかった紅葉だが、愛里寿ちゃんから教わったボコの良いところ、すなわち諦めない精神。何度ボコボコにやられてもそのたびに負けずに立ち上がるその姿勢は確かに格好よかった。
ショーが始まった。まぁ、内容はいつもの通り。ボコが相手に粋がって絡んで複数人にボコボコにされている。
……うわぁ、端から見ると結構容赦なくやられてたんだ。ボコは特殊素材で出来ていて、意外と怪我しにくいから派手なアクションが出来ると聞いていたが、ここまで容赦ないとは思ってもなかった。
「がんばれボコー!がんばれー!」
>愛里寿ちゃんが立ち上がって応援している。表情は至って真剣だった。その顔がこちらに向いた。
「お姉さんも応援しないと!」
「え?……いや、私はちょっと」
「応援しないと!」
>どうやら拒否権はないらしい。
「が、がんばれー」
「ボコー!がんばって!」
>ちょっと恥ずかしくなりながらも、紅葉は応援しだした。ボコは立ち上がっていつものガッツポーズを決める。
「きたきたきたー!みんなの応援がオイラのパワーになったぜ!ありがとなー!」
>そこから先はいつもと同じ展開になるだろうと紅葉は思っていたが、少し違った。なんと、ボコのぐるぐるパンチが相手のペンギンにクリーンヒットしたのだ!
「お」
>普段ボコボコにしている相手から思わぬ反撃をくらい戸惑いを隠せないペンギン達。ボコはその隙を見逃さず、ドロップキックを決めたのだ!
「おぉ!」
>なんと、あのボコが勝ちそうになっている。正直全く予想もしてなかった展開に胸を踊らせる紅葉。相手のペンギンはあと1人。しかも、奇跡的にとはいえ2人を倒したボコにはノリと勢いもあって明らかに分がある。これはもしかしてもしかするかもしれない。
「がんばれー!ボコー!そこだやっちゃえー!」
>先程の恥ずかしさなんてどこかにふっとんでいて、いつの間にか夢中で応援していた。ボコは残ったペンギンに向かって走りだし、トドメの拳を振りかざした。そして、床に滑って転んだ。
「あぁ惜しかったのにぃ!」
>その後の展開はいつもの通りになった。でもあとちょっとで勝てそうだった。なるほど、ボコもちゃんと成長してるんだ。
今は、無理でもいつかはあのペンギン達に勝てるようになるのかもしれない。
「面白かったね、あり」
「……」
>さっきまで立ち上がって応援していた愛里寿ちゃんが、すごいムスーっとした顔をしている。わかりやすく、不機嫌らしい。なんで?
「ど、どうしたの?」
「お姉さん。ボコはね、負けなきゃいけないの。勝ちそうになるなんて、そんなのボコじゃない」
「えぇ……。いいじゃん、勝ちそうになっても」
「良くない!」
>どうやらボコが勝ちそうな展開は愛里寿ちゃんにとって不満らしい。紅葉としては、毎回勝つのは違うと思うけど、たまには勝ちそうになってもいいのではと思ったが、それを口に出すと、お互いにとって良くない結果にしかならないと感じとり口を慎んだ。
ショーを見終えた2人はアトラクション巡りを再開した。イッツアボコワールドや、スペースボコンテン、どれもどこかで聞いたことがある気しかしないアトラクション名だったが、私は考えないようにした。
売店で、記念におそろいのボコのキーホルダーを買った。愛里寿ちゃんが大切にする、と少し大袈裟ながらもそう言ってくれて嬉しかった。
歩き続けて、流石に疲れてきたらしい愛里寿ちゃんをベンチに休ませて紅葉は飲み物を買った。何が好きなのかよくわからなかったが、とりあえずコーラを買った。多分好きでしょ、コーラ。
飲み物を買い終え彼女のもとへ向かうと、愛里寿ちゃんは歌っていた。ボコのメインテーマだ。
なんでも、この歌を歌ってると気分が落ち着いて勇気がわいてくるらしい。大事な時や、休憩中にはよく歌って気分を紛らわしたり、自分を鼓舞するのだ。
これは、もしかしたら使えるのかもしれない。
紅葉は、『ボコのメインテーマ』を覚えた。
「じゃあ、またね。愛里寿ちゃん」
「お姉さんまたね。また、一緒に」
「もちろん」
よし、ボコのメインテーマを覚えました。これは後ほど使います。これを覚えたらもう愛里寿殿にわざわざ会う用がなくなりました。
このスキルを覚えたらボコの中の前任者が確定で復帰するので、バイトもクビになるのでわざわざ面倒な手続きをしないですむので助かります。
今回はここまでです。ありがとうございました。
※
「じゃあ、またね。愛里寿ちゃん」
その言葉を信じて、今日も私は待ち続ける。それでも、あの日以来お姉さんがボコミュージアムに来ることはなかった。
手のひらにはあの日買ったボコのキーホルダーがある。強く握りしめてしまったせいで、ボロボロになっていた。
感想、評価、お気に入り、ありがとうございました。
ほもちゃんの大洗の仲間達への友好度ランキング
1位左衛門佐
2位西住みほ
3位エルヴィン