携帯電話の目覚まし機能のうるさい音が耳に届く。私はこの音を少し煩わしく思いながら、アラームを止めつつ時間を確認した。
朝の6時だ。いつもならとっくに起きている時間だけど、私は携帯を放り投げもう一眠りする。
いつも早起きしていたのは、朝のランニングのためだからだ。朝のランニングは、私に健康と眠気覚ましとスタミナを与えてくれていた。
その朝のランニングが足の捻挫で出来ない以上、こんなに早く起きる必要はない。ていうか、起きる気力がわかない。
あー、何かついでにやる気もわいてこない。もう夏だし暑いし。それなのに制服は長袖だし。学校行っても授業もわけわかんないし、今やってる数学の因数分解とか難解過ぎて嫌になってくるし。何で分解するんだろう、勝手に分解するなよ、そのままにしといてあげなよ。
もういいや、休もう。何かダルい気がしないでもなくもないしきっと熱があるに違いないと思いたい。戦車道が出来ないのに学校に行く理由なんてはたしてあるだろうか?いや、ないよね。
単位とか出席日数とかもうしらなーい。私は寝ると決めたもんね。たまにはこういう日もいいでしょ。
布団を頭から着る。夢の世界に誘われるのだ。だんだんうとうとしてきて、目蓋が閉じかけたそのとき、携帯電話が鳴りだした。一体誰だろう、こんな朝早くに。
どうせエリカだろうと予想する。無視して後で小言を言われるのも面倒だし携帯に出たいが、さっき放り投げてしまったから手の届く位置に携帯がない。
布団から出て取りに行けばいいだけの話なのだけど、それも少し面倒くさい。今の私は布団から一歩も出たくない。
どうしようと、ゴロゴロしながら考えてると着信音が途切れてしまった。
誰がかけてきたのかわからないが、少し申し訳ないと思いつつも、また目蓋を閉じる。
微睡みに落ちかけていると、今度はピンポーンとインターホンが頭に鳴り響く。
さすがにこれには出なくてはいけないと思い、必死に気力を絞りだして布団から離れて寝ぼけながらもドアへ向かい、ロックを外す。そこには見慣れた人が立っていた。
「あ、おはよう紅葉さ……って、なんでまだパジャマなの!?」
「……みほさんか。おはよ」
「うん……じゃなくて、もう登校しないと遅刻するよ。ほら急いで着替えて」
「え、あちょっと」
みほさんが私の手をつかんで部屋の中に入る。寝ぼけていたせいで、その時のことをあまり覚えていない。
気づいたら私は、髪を整えられていて制服に着替えさせられていて手をつないで学校に登校していた。
頭が冴えてきた頃には何かおかしいと思わなくもなかったけど、みほさんが楽しそうにしてたし、別に嫌な気分でもなかったからまぁ、いいかと思うことにした。
※
はい、よーいスタート。
前回のつづきからやっていきたいと思いますわ。西住殿と親友へランクアップしましたね。本来なら遊びに行くイベントで反応がより仲がいいものに変わったり色々ありますが、残念ながらそのイベントは起こさないので見ることができません。
ほもちゃんの怪我もそろそろ完治しそうですね。アンツィオ戦まで時間はそれほどありませんが、今までの練習で培ったパラメーターのおかげでそれほど問題はありません。
現在ほもちゃんは、カバさんチームのシェアハウスで、アンツィオ校の戦車の資料を探すのを手伝ってます。
置いてある場所は固定なのでとっとと見つけましょう。
>紅葉はイタリア戦車の資料を見つけた。アルファベットで書かれていて文字は読めないし、イタリア戦車とか見たこともないからわからないけど、他に戦車が表紙の本はなかったし多分これだと思う。
「エルヴィンさん、あったよ。多分これであってるよね?」
「お、それだそれ。でかしたぞ」
>どうやら合ってたみたいだ。よかった、と安堵する紅葉は資料を机に置いておく。歴女ってイタリア戦車にも通じてるんだな。
次の対戦相手の情報を少しでも知りたい紅葉は、積んである本の中から一番上のものを一冊手に取る。
表紙を見る。パラパラめくる。本を閉じる。全くわからなかった。
英語なんてわかるか。
「本城これイタリア語ぜよ」
「私からしたらどっちも似たようなものだよ」
>どっちもアルファベットを使っていて、ひらがな片仮名漢字じゃない。似たようなものじゃないか。
ほもちゃんが何か馬鹿なことを言ってますが、無視して庭で練習中のカエサル殿の所へ移動させましょう。
アンツィオ戦の後、残っているのはプラウダに黒森峰、それに大学選抜、かなりの強敵ばかりです。
ほもちゃんの操縦技術だけでは、この先生き残ることはできません。
カエサル殿はご存じの通り、装填手です。彼女がどれだけ早く装填できるのかもこの先重要になります。
なので、彼女の訓練に協力させてもらいましょう。
自分の運に自信がある人はこの行動はしなくても良いと思いますが、私は安定をとります。
>改めて見てもこのシェアハウス大きいよなぁ、庭も広いなぁ、少し羨ましいなぁ。とぼんやり考えながら庭を歩く紅葉。
カランカランと一定のリズムで音がなっている。紅葉は音がする方向に迷わず足を運ぶ。
庭を曲がるとカエサルさんがいた。ちょうど休憩の最中だった。
「お疲れ様、はいこれ」
>紅葉は飲み物を渡した。
「あぁ、ありがとう」
>カエサルさんにスポーツドリンクを渡す。喜んでくれたようだ。
「資料は見つかったのか?」
「うん。後はみほさんが来るのを待つだけかな」
>カエサルさんと会話をしていると、縁側に置いてあったノートパソコンからピロンと、音がなった。
反射的に音がした方向へ首を向けてしまった。パソコンにはひな@伊多利という人からのチャットが送られてきていた。他人のプライベートを盗み見る気は更々ないため、紅葉はパソコンから目を背け、カエサルさんが練習に使っている器具に目を向けた。
古くなった勉強机や、岩のブロックを使って作ったお手製の練習器具だ。地面には無数の練習用の砲弾が無造作に落ちていた。
カエサルさんは楽しそうにチャットをしているため、邪魔にならないように気をつけながら、紅葉は落ちてる砲弾を拾い、空のビールケースに1つ1つケースに戻しておいた。
重かったが、鍛えられた紅葉の身体のおかげで、それほど時間をかけずに戻すことができた。
カエサルさんのチャットが終わったのを確認できた。
「すまないな、本城。片付けを手伝ってもらって」
「良いよべつに、同じチームじゃない」
>紅葉は縁側に向かい、カエサルさんの隣に座る。
「怪我はどうなんだ?」
「もうすっかりよくなったよ。明日からは練習ができる」
「ならよかった。次の試合も頼りにしてるからな」
>カエサルさんから称賛をもらった。照れるなぁ。
「さっきのチャットの相手、小学校の同級生でな。ずっと戦車道をやってる子で、次の対戦相手でもある」
「そうなの?」
>紅葉の頭の中にプライドが高くて、少し口が悪い幼馴染みがふと思い浮かんだ。
カエサルさんは、その幼馴染みについて楽しそうに語っている。
「次の試合、友達が相手だからこそ負けられないんだ私は」
「わかるよ、それ」
>紅葉はカエサルさんの気持ちがよくわかった。紅葉自身も、あの幼馴染みには負けたくない。彼女のプライドを叩きおってやる勢いで挑むつもりだ。
カエサルさんの力になりたい。紅葉は強く思った。
「カエサルさんで良ければなんだけど、私も練習に手伝わせてもらえないかな?」
「え?いや、お前バイトで忙しいんじゃなかったか」
「少し前に辞めたから今は忙しくないよ」
>お願いっと手を合わせてカエサルさんに頼む紅葉。カエサルさんは少し戸惑っていたが。
「むしろ、こっちこそ助かる」
>快く承諾してくれた。これからは休日には彼女の練習を手伝おう。
ほもちゃんの幼馴染みが戦車道をやっている場合には、こうなったように、同じ境遇のキャラに共感してこういったイベントが起きるようになります。
前に言ったメリットはこういうことです。
「ごめんくださーい」
>みほさんの声だ。やっと来たようだ。私は靴を脱ぎ、広間に向かった。この後、イタリア語を読めるカエサルさんのおかげで、資料を日本語訳することができ、私達はそれをコンビニでコピーした。
今回はここまでです。ありがとうございました。
感想、評価、お気に入りありがとうございました。
1話のキャラメイクの後書きに遊び屋さんちゃんで作ったほもちゃんを載せました。