「やってやるやってやるやぁってやーるぜー♪」
先日の気だるさが嘘のように足取りが軽い。夏の暑さに嫌気がさす通学路、周りの生徒やすれ違う社会人達はこのジメジメした空気にうんざりしているようだ。
「いーやなあいつをボコボコにー♪」
道行く人々を走って追い抜いていく。暑さなんて今の私にはなんてことのない。
そんなことより、今日の授業が楽しみで仕方がない。早く三突に乗りたいなぁ。
「喧嘩はうーるもの堂々とー♪」
「朝から元気だな」
「左衛門佐ちゃん、おはよ!」
「おはよう、うるさいくらいに元気だな。こんなに暑いのに」
左衛門佐ちゃんも暑さにやられてるらしく、手をうちわ代わりにして扇いでいた。
「やっと怪我が治ったからね。今日から練習に復帰だから」
完治したことを示すために、右足のつま先でトントンと地面をつつく。痛くない!もう絶好調だ!
「本当に練習が好きなんだな。よくわからん歌を歌うぐらいテンションが高くなってる」
「よくわからん歌じゃなくて、おいらボコだぜっていう名曲だよ。知らない?」
「知らん」
「もったいない」
歌詞は少し物騒だが、歌うと不思議と元気になる曲なのに。これを歌うとボコがボコボコにされる光景が脳裏に浮かんで元気つけられる。
ボコといえばと、紅葉はカバンの中にある少し前に買った愛里寿ちゃんとのおそろいのキーホルダーを取り出す。結局どこにつければいいのか迷って、どこにもつけずにいた。
そういえば愛里寿ちゃん元気にしてるかな。予定が合えば会いに行きたい。でもしばらくはカエサルさんの練習の手伝いだったり自主練だったり趣味のマラソンで忙しくなりそうだし、中々難しいかもしれない。
でもまた遊ぶ約束してるし、準決勝が終わって少し一息ついたら会いに行こう。
※
はい、よーいスタート。
前回のつづきからやっていきたいと思います。
今回からほもちゃんの長い長い休憩が終わりました。ほもちゃんは練習大好き運動大好き、健康優良不良少女なので怪我が治ったことにより一気にやる気があがりました。
周りとの遅れをとりもどすために、今日から練習の厳しさをまた1段階上げてさしあげましょう。
今回の練習はP40に見立てたⅣ号を撃破です。アヒルさんチームの妨害もあります。
同じチームで同じ目標のために戦う仲間同士でありますが、模擬戦なので遠慮せず撃破してやりましょう。
>模擬戦をやることになった。ひさしぶりの操縦だから少し不安ではあるが、きっとなんとかなるだろう。
あんこうチームの戦車を見る。何故かぴよぴよと塗装されてる。
遠慮せず撃破しますが、試合ではなくあくまでも模擬戦なので難易度はそれなりに楽な方です。私が操作しなくても撃破できますし、なんなら片手で操作してても余裕です。
アヒルさんチームの妨害は無視しましょう。撃破しても別にメリットはないです。
カメさんチームとウサギさんチームが仲間です。連携して倒すと友好度が上がりますが、別にいりません。
唯一注意すべき点として、あんこうチームは丘の傾斜を利用して隠れてきます。ですが、見失っても戦車は瞬間移動しないので、隠れている場所を大まかに予想して、隙を作って背後をとられないようにしましょう。
背後真横は砲塔を動かせない三突の弱点ですからね。旋回しても間に合わない時は間に合いません。
では、模擬戦開始です。
ここではカメさんチームに途中まで先導してもらい、アヒルさんチームの機銃の盾となってもらい、そのままアヒルさんチームとやりあってもらいましょう。
アヒルさんチームがあんこうチームと散開したら、あんこうチームを全速力で追いかけます。
あんこうチームはこちらの砲弾から避けるため、傾斜を確定で利用してきます。本当なら傾斜を利用する前にあんこうチームを倒したいのですが、距離がそれなりに離れていて撃っても的確に避けてられるので無理でした。
>あんこうチームのⅣ号が丘を次々と越えては下っていく。傾斜のせいで見通しが悪すぎて追いつくどころか、戦車の姿を目で捉えることが難しい。
このままでは見失ってしまう。そこで紅葉はみほさんのことを少し考えた。
もし逃げたとしてその後みほさんはどうするだろうか?彼女のことだ。確実に仕留めるために待ち伏せして死角から接近してきてからの射撃を行ってくるだろう。
じゃあ次にどこから攻める?正面からくるわけないだろうし、多分背後から攻めてくるはずだ。三突の弱点だしそこを突いてくるに違いない。
次に考えるのはどこに待ち伏せしているのか。待ち伏せなんだからまず姿を隠せる場所にいるはず。この辺りは木々はあるが、戦車を隠すのは無理。草むらもあるが小さすぎる。三突ならやれるかもしれないだろうが。
なら傾斜だ。傾斜なら角度的に身を隠せるだろうしここにはいないだろうという盲点をつけることができるかもしれない。彼女のやりそうなことだ。
丘を登って、戦車を止めて彼女の出方を待つ。するとⅣ号の履帯が地面をこする音が聞こえる。音の方向に急いで旋回させる。
傾斜からⅣ号が現れた。戦車は向き合う形になった。
三突から砲弾が放たれる。Ⅳ号が砲弾を発射させる。
砲弾は交差する形に短い軌道を描いて、互いに目標の戦車に向かって着弾した。
相討ちにならないで倒す方法もあるにはあるのですが、やや面倒くさい上に時間がかかるのでやりませんでした。
相討ちとなりましたが、ちゃんと撃破判定にはなっており経験値ももらえます。
模擬戦とはいえ隊長格を撃破したのでそれなりに経験値ももらえます。うん、美味しい!
模擬戦が終わったところで今回はここまでです。次回はアンツィオ戦をやっていきたいと思います。
ありがとうございました。
※
三突が煙をふいている。被弾したからだ。私は歯を食いしばる。めちゃくちゃ悔しい。なんならここで子供のように地団駄を踏み両手をばたつかせたい気持ちだが、なんとかそれをこらえる。
傾斜に隠れているそれ自体は合っていた。だけどまさか斜め上から攻めてくるとは思わなかった。てっきり後ろから攻めてくると思ってしまった。
撃破したとはいえ、相討ちだ。こんなの引き分けだ。勝ってない。私は勝ちたいのだ。
深呼吸する。頭の中にボコボコにされるボコを思い浮かべる。なんとか落ち着いてきた。
結果は変えられない。事実として受け入れなくては。今回は引き分けだったが、次こそはみほさんに勝ってやる。
感想、評価、お気に入りありがとうございました