ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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ロビンの望み

「あとは俺たちに任せろ!!」

前に並んだ麦わらの一味とニソラ。

 

だが、立ちはだかるはCP9。メンバーは品定めするかのような目でこの場で初めて会ったニソラを見た。

 

「あの小僧、ちょいとばかし舐めてたが、結構強ぇじゃねぇか」

「あんな場所からこちらへ瓦礫を投げるとは…大したもんじゃのぅ」

「よよい!!見た目はもちろん!!闘気もしかり!!あの小僧 我が“生命帰還”で沈めて〜あ、やる〜ぜ〜!」

「はぁ!?ふざけんな!俺が目つけたんだぞ!?」

「よさぬか。ここは3人の中で一番道力が高いわしが行こう」

「テメェさっき道力なんかどうでもいいとか抜かしてたじゃねぇか!?」

 

ジャブラ カク クマドリはニソラに興味を持つものの、互いに譲らない。

それに対してニソラは不適に笑うと指で挑発した。

 

「1人だけなんて遠慮ぶるなよ。仲良く3人まとめてっていうのも“あり”だぞ?その方が俺も楽しめる」

その言葉はCP9の中でも血の気が多いジャブラを刺激した。

 

「ほぅ?そんな事言っちゃっていいのかな“僕ちゃん”?おじさん達 怒ると怖いよ?」

「良いって言ってるだろ“坊や” 」

互いに互いを挑発する空気の中 先程までのたうちまわっていたスパンダムが割って入る。

 

「静まれ!!おいクソガキに麦わらァ!!俺にはCP9に加えてもう一つ切り札があるのだ!!これを見ろ!!」

 

スパンダムが取り出したのは金色に輝いているも、大きさが一回り小さい電伝虫。だが、受話器が取り付けられていない。

 

「今の俺にはCP9の力も然り!コイツを押して『バスターコール』をかける権限もあるっ!!」

 

 

 

「…!!」

「…!!」

その単語を聞いた瞬間 ニソラとロビンは硬直する。

 

「あ〜そうさ。思い出したか?20年前 お前の故郷『オハラ』を地図から消した力だよ!!」

「…!!」

スパンダムはロビンへゴールデン電伝虫を見せつけると共にまたもや大爆笑をはじめる。その行為はロビンだけでなく、麦わらの一味全員を不快にさせた。

 

「あの仮面野郎…今すぐ谷底へ叩き落としてやりてぇよ…!」

「それだけじゃ足りん」

「ん?」

サンジは横を見ると息を呑んだ。

 

ニソラの表情が今まで見たこともない冷酷な表情に変化しているからだ。

 

「あの小僧……簡単には殺さん…」

怨みと怒りが次々とニソラの目を侵食し、ついにはその瞳は緑色から血のような赤に染まった。

 

その一方で ロビンはすぐさまバスターコールのボタンに触れようとするスパンダムに叫ぶ。

 

「やめて!!それをしたらどんな事が起きるか分かっているの!?」

あの日の恐怖を思い出し汗を垂らしながら叫ぶ。するとスパンダムはにやけだす。

 

「分かるとも!アイツらがこの島から出られる確率は0になるんだ!何か思い出す事でもあるか?」

そう言いボタンに手を近づける。

 

「そんな簡単な事じゃ済まされないわッ!!!やめなさい!!!」

 

ロビンは極限状態に陥り、今までにない程の大声で叫ぶ。

 

「地図から消えたと言ったわね…。地図の上から人間が確認できるの…?貴方達がそんな目で世界を見ているからあんな非道な事が起きるのよ!!!」

 

次々に出る恨み。その中で今まで言う事が出来なかった自身の本音も漏らす。

 

「20年前…私から全てを奪い…大勢の人達の人生を狂わせた……たった一度の攻撃が『バスターコール』…!!その攻撃が…やっと気を許せる仲間達に向けられた…。私が一緒にいたいと望めば望むほど!!私の運命が貴方達に牙を剥く!!私にはどんな場所に行っても振り払えない巨大な敵がいる!!その敵が…“世界”とその“闇”だから!!」

そして、自身が一番恐れている事も告白する。

 

「今まで二度も貴方達を危険な目に合わせた!これが永遠に続けばどんなに気のいい貴方達だっていつか私を重荷に思う!!そして切り捨て裏切る!!それが一番怖いのッ!!……だから…助けに来て欲しくもなかった…!!」

 

その叫びを聞いた皆はロビンが何故 助けを拒んだのか理解した。

 

だが、スパンダムはその主張を嘲笑い、貶す。

「は…ハハハハハハ!!!実に正論だ!!お前を邪魔だと思わねぇバカはいねぇよ!!」

そう言い志望の塔のてっぺんに立てられる旗に指を刺す。

 

「この象徴を見ろ!!この旗は170カ国以上の加盟国の“結束”を示すもの。それが世界だ!!この女がどれほど巨大な組織に追われているか分かったか!!??」

 

全てを聞いた麦わらの一味は黙り込む。

そんな中でニソラはこの場にしか聞こえない声で切り出す。

 

「そろそろ行っていいか?俺ならあそこまで一気にいけるぞ?」

 

「待て……ロビンの意思を聞いてねぇ…。アイツが本当に俺達の助けが欲しいのかを確かめねぇと…」

 

ルフィの真剣な眼差しにニソラは引き下がる。確かに、このまま助けにいってもロビンは同じく抵抗し、行こうとするだろう。それはそれでニソラも気が引ける。

 

「ロビンの敵はよく分かった…。ニソラ、巻き込んじまうかもしれねぇけど、いいか?」

 

「あぁ」

ニソラは頷く、そしてルフィは左隣に立つそげキングに指示を出す。

 

「そげキング あの旗……撃ち抜け」

「了解…!!」

 

そげキングは躊躇う事なく背負っていたパチンコ『カブト』を取り出すと狙いを定める。

 

「新兵器『カブト』……その威力とくと見よ…!!必殺…『火の鳥星』ッ!!!!」

そのパチンコから放たれた弾は空中で弾け飛ぶと燃え始め鳥の姿となり、世界政府の“旗”めがけて飛び立つ。

 

そして、燃え盛る火の鳥は咆哮をあげながら見事にその旗を黒焦げに撃ち抜いた。

 

『!!???』

それはこの場にいる全員の心臓が飛び出る程の異常事態だった。

 

「て…テメェら正気か!!??世界政府を敵に回して生き残れると思うなよ!?」

スパンダムの震える声の主張に対し、ルフィは大声で怒鳴る。

 

「望むところだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

そして、ルフィはロビンへ首を向けるともう一度叫ぶ。

 

「ロビン!!お前の口からまだ聞いてねぇ!!!『生きたい』と言えぇぇ!!!!!!」

 

その投げかけにロビンは困惑する。

 

次々と思い出してくる自身の生を否定された言葉

 

『お前は生きてちゃいけねぇ存在だ!!』

 

『テメェは存在自体が罪なんだ!!』

 

故に自身は生きる事を望んではいけないと思っていた。誰もそれを許してはくれなかった。

 

今まで望んでいない死をずっと望み続けてきた。

 

『海は広いんだで!!いつか必ず!!お前を守ってくれる仲間が現れる!!』

別れる直前にサウロが残した言葉を思い出す。

 

 

涙が溢れ出てくる。

 

「…(もし本当に…少しだけ望みを言っていいなら……私は…!!!

 

 

 

 

皆に向かって心の底から叫ぶ。

 

 

 

 

     “生ぎだい”ッ!!!!!!!

 

 

 

 

「私も一緒に!!!海に連れてって!!!!」

 

自身の本当の望みを伝えると皆は笑顔になる。

 

 

そして言葉と共に跳ね橋が下される。

 

「よし!!行くぞ!」

 

司法の塔 突入。

 

 

 


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