ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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突入

ロビンの望みを聞いた皆は気合を入れる。

 

それと共に跳ね橋が降り始める。

作戦通りフランキー一家がレバーを引いたのだ。

だが、すぐさま敵が迫撃砲を撃ち、その妨害によって跳ね橋は途中までしか下されなかった為、ルフィは苛立つ。

 

「ッ…!!邪魔しやがって!!誰だ!!」

「これじゃあ突入できねぇか…」

 

皆が行き詰まったと見たスパンダムはすぐさまロビンを引っ張る。

「おい!CP9!!この司法の塔で奴らの惨殺を許可する!!ルッチは俺と来い!!何かあったときは俺を守れ!!」

スパンダムはロビンを無理やり引っ張るとルッチを引き連れてこの場から去ろうとした。

 

「…お前…逃げるとは、随分と腰の抜けてる奴だな」

「ハッ!お前ら程度なんて取るにたらねぇんだよ!コッチにはCP9がいるんだ!!兵器復活を目論んだ学者の島『オハラ』の生き残りニコ・ロビンとその設計図を受け継いだ男カティ・フラム!この大権力を手にするチャンスをみすみす逃してたまるか!!」

 

「ッ!!!」

その言葉はニソラを更にイラつかせる。

 

「へぇ…中々舐めてくれるじゃねぇか…」

首に青筋を湧き出たせたニソラは一気に殺意をスパンダムへと向ける。確実に殺す気だろう。

 

 

一方でロビンを連れて行こうとするスパンダムをフランキーは呼び止め、懐をさぐり何かを取り出した。

「おい待てスパンダ。コイツを見ろ」

それはとても古い紙が何束もまとめられたものだった。表紙には『PLUTON』と書かれていた。

 

「げ…!?まさかお前それは!『古代兵器』プルトンの設計図!!」

その名を聞いた瞬間 CP9のルッチ、カク、カリファが目を細める。

 

「ルッチ、カク、お前らなら分かるだろ?」

「…ッ!」

「まさか…お前が隠し持っておったとはのぅ」

設計図を見せられたルッチは初めて汗を垂れ流した。一方でスパンダムはその設計図を見た瞬間 目の色を変えた。

 

 

「本物なのかそれは!?寄越せ!!俺の念願の設計図!!」

フランキーは設計図を取り出すとロビンを見る。

 

「ニコ・ロビン お前が世間の噂通り兵器を悪用しようとする輩じゃねぇ事はよく分かった。……何も、ウォーターセブンの大工達が代々受け継いできたものは兵器の作り方なんかじゃねぇんだッ!!」

そう言いフランキーはその設計図に手を伸ばそうとするスパンダムに目を向けた。

 

「なぁスパンダ…トムさんやアイスバーグが命懸けで守ってきたものは…もし古代兵器がお前みたいなバカの手に渡り暴れ出した時…もう一つ兵器を生み出し…その独走を阻止してくれという“設計者の願い”だっ!!!!

ニコ・ロビンを利用すれば確かに兵器を呼び起こせる危険な女だ。だが、コイツにはその身を守ってくれる仲間がいる!!だから俺は“賭け”をする」

そう言うとフランキーは設計図を掲げる。

 

「俺が今この状況で“設計者”の意思をくんでやれる方法があるとすりゃ一つだけ…!!」

「ぐたぐだ言ってねぇでさっさと寄越せ!!!!」

スパンダムの手が近づこうとした時

 

 

フランキーは口から炎を出しその設計図を燃やした。

 

 

「…」

その燃え盛る設計図をルッチは虚な目で見つめる。一方でスパンダムは手に入れようとした設計図を燃やされた事で激しく動揺した。

 

「ああぁぁ!!俺の設計図がぁぁ!!テメェ!!殺してやるッ!!」

燃え尽きた設計図の破片を見るとスパンダムは恨みの目を向ける。だが、フランキーは動じない。

「抵抗勢力を作るために残された設計図がお前ら政府に狙われた…!!本来こんなものは人知れずある物で明るみに出た時点で消さなきゃなんねぇーんだッ!!」

その言葉を言い終えると同時に設計図は全て燃え尽きた。

 

「だがこれで“兵器”に対する勢力は無くなった!!ニコ・ロビンがお前らの手に渡れば『絶望』そして麦わら達が勝てばお前らに残されるモンは何一つねぇ!!俺はアイツらの勝利に賭けた!!」

 

その時、向かいの裁判所の下。吊り橋の窓から声が聞こえた。

 

「アニキぃぃ!!!!!!」

 

「フランキーのアニキぃー!!!」

見るとそこにはフランキー一家全員が立っていた。

 

「アニキィィ!!助けにきたわいなぁぁ!!!」

「麦わらさん達と一緒に来たぜぇ!!」

「ソドムとゴモラも頑張ったんだぁぁ!!」

「一緒に帰りましょうぜぇぇ!!!」

「怪我はないですかぁ!!!」

 

「てめぇら…」

次々と聞こえてくる仲間の声。それを見た瞬間 フランキーは涙を大量に垂れ流す。

 

「テメェらこのヤロォ〜!!!誰が助けに来いなんで……ごいなんで……だどんだんだでょーぅ!!!!」

自身を助けに来てくれたと理解した瞬間にその気持ちを抑えるかのように言葉遣いを荒くするも、涙の量で皆からはもうお見通しのようだった。

「アーーーーーニキーー!!!!」

「馬鹿野郎!!泣いてねぇよ!!泣いて…泣いてなんかねぇよ…!!!」

 

「うるせぇ!!お前ら!!!」

そんな感動の場面をルフィはバッサリと切り捨てた。

 

「「いや鬼か!?」」

あまりにもバッサリとした切り捨てにナミとゾロは突っ込みをいれる。

 

「ロビンが待ってんだ、早く橋をかけろ!!!」

「あァ、そうだな。さっさとしろてめェら!!!」

「そうよね!!あんたら急ぎなさいよ。ブッ飛ばすわよ!!」

「そんな取りとめの無いナミさんも好きだ〜!!!!」

ルフィに続きニソラを除いた皆は次々と掌返しをしていく。等の言われた本人は「ですよね」と納得する。

 

すると

 

「麦わらァァァァ!!!」

塔にいるフランキーがルフィに向かって叫ぶ。

 

「子分たちが世話んなった様だな! 今度は棟梁(とうりょう)の、このフランキー様がスーパーな大戦力となってやる!!!」

「勝手にしろォ!!!おれはまだウソップのこと根に持ってんだからな!!!」

「……いや、横にいるだろ…」

その会話はごもっともだった。ルフィの横には仮面はつけてはいるものの、声や特徴的な長っ鼻は隠し通せていないのだ。

 

 

「おのれカティ・フラム…よくも俺の設計図を!!」

「…え?」

スパンダムが怒りの声を上げると フランキーの背中を押し出し、司法の塔から突き落とした。

 

「あぁぁぁ!!」

「アニキィィー!!!」

 

フランキー一家が絶望する中、溜息を吐いたニソラは肩を落とすと一気にその場から跳躍した。

 

「仕方ない」

一瞬でフランキーの元にたどり着く。フランキーは突然目の前にニソラが現れた事で目を点にする。

 

「少し手荒だが、耐えろよ?」

「…は?」

その瞬間 ニソラはフランキーの脚を無理やり掴むとその場から浮かび上がる。

 

「うぉ!?お前飛べるのか!?」

「あぁ。さて、下ろすぞ」

そう言い着地しようした時だった。

 

「うぉおおお!!ニソラ!!フランキー!!あぶねぇぇ!!!!」

 

「「!!??」」

突如背後からルフィの声が聞こえ、振り返るとこの場に無かったロケットマンが突っ込んできたのだ。

 

「ンガガガガ!!伝説の会社『トムズワーカーズ』を舐めるんじゃらいよぉぉ!!!!」

 

すぐさまニソラはフランキーを掴み直すと跳躍し、ロケットマンの背中に着地をする。

 

そのままロケットマンは飛び出した勢いで塔の壁を外側から突き破り巨大な穴を開けた。

だが、それだけでは終わらない。

 

「ぎゃぁぁ!!??何か入ってきたぞ!?」

暴走列車と名付けられたロケットマンは突き破るだけでなく、その後しばらく瓦礫の山の上であるというのに中へと突き進んだ。

 

中にいた衛兵たちはその事態を予測できなかったのかすぐさま立ち退く。

 

ーーーー

 

「やっちまった…ついに来やがった…。ちくしょぉぉぉ!!おいCP9!お前らを解放する!!先程も言ったがアイツら全員を惨殺してもいい!!何としてでも俺の所まで来させるな!!来いファンクフリード!!」

そう言うとスパンダムは自身の部屋にいるゾウに声をかける。そのゾウは鳴くとみるみるとその巨大な身体を変形させ、最終的には二本の牙は柄 長い鼻は鋭利な刃となり、一つの片手剣となった。

 

名を“象剣ファンクフリード”

ゾウゾウの実を食べた剣

 

そして、スパンダムはルッチを引き連れロビンを引っ張りながらその場から去っていった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

侵入したロケットマンは横倒しとなり、辺りには瓦礫が四散していた。乗っていたフランキーの母親代わりでもあるココロと孫のチムニーとペットもその衝撃で倒れ伏していた。

 

「おいココロのババァァ!!チビ共!!何でこんなところに!!なぁオイ!しっかりしろ!!」

目を開けずに倒れるココロをフランキーは必死に揺さぶる。

 

「死ぬんじゃねぇよ!!なぁ!…頼むからよぉ!!」

すると、ココロはパチっと目を開ける。

「……鼻血出た」

「鼻血出た!」

 

「鼻血で済むのオカシイだろ!?」

ムクッと起き上がりケロッとしていた。異常なし。

 

「よっしゃぁぁ!!着いたぁぁ!!」

すると近くの瓦礫からルフィが飛び出す。彼もピンピンしている。

 

「海獣のバーさん、ありがとう!!おい、てめェらさっさと立ち上がれ!!こんなもん平気だろうが!!」

そう言いルフィの言葉に反応するかのように複数の瓦礫の山がゆっくりと盛り上がる。

 

「ゴ…、ゴムのお前と一緒にすんじゃねェ…。…生身(なまみ)の人間………、こんな突入させられて……!!無事でいられるわけ…。」

「「「「「あるかァぁぁぁっ!!!!」」」」」

 ドカァ――――ン!!!

その声と共に他の皆が瓦礫から飛び出す。元気いっぱいに。問題はなさそうだ。

 

「お前らも大概だな」

 

そんな中 ニソラはすぐさまロビンの元へと向かおうと考え、辺りを見回す。見ると奥に階段を発見した。

 

「…あの階段使えばいけるんじゃねぇか?」

「本当か!?」

ニソラの言葉にルフィは反応してすぐさま奥の階段へ向かおうとした。

その時

「待て」

その場に聞き慣れない声がする。

見ると壁側に手足で張り付くCP9の一人『フクロウ』がいた。

 

「チャパパ 侵入を許してしまったか。だがしかし、先程の部屋に行っても無駄だぞ。ニコロビンはもういない」

その言葉にニソラが反応して近づく。

 

「じゃあどこに連れて行った?」

「チャパパ。ルッチが既に正義の門へと連れて行った。だが、行き方は教えてやらない」

「そうか。なら、力づくで吐いてもらうか」

そう言い戦闘態勢を取ろうとするとフクロウは手を前に出す。

 

「待て待て。仮に俺が行き方を教えても完全には解放できない」

「どう言うことだ?」

ルフィの問にフクロウは自身の胸ポケットから一つの鍵を取り出す。

 

「これを見ろ。ニコ・ロビンの手にはめてある『海楼石』の手錠の鍵だ」

 

「カイロウセキ?」

「能力者の力を封じる石よ。アンタ達が海に落ちるのと同じ効力らしいわ」

ナミはチョッパーに説明する。つまり、現状ロビンは自身の能力を封じられているのだ。

 

「このままお前らが助けに行ってもこの鍵がなければ永遠にニコロビンが自由になる事はない。それでもいいなら先に進め」

「…!だったら鍵よこせぇぇ!!」

ルフィはすぐさまフクロウに向けて攻撃を放つ。だが、フクロウはそれを容易に回避する。

 

「まぁまぁ落ち着け。まだこれが本物とは言っていない。別の手錠の鍵かもしれないぞ?俺を入れて5人のCP9がこの鍵を持っている。その中のどれかがニコロビンの手錠の鍵だ!チャパパ!」

そう言い空中を月歩でホバリングするフクロウ。

 

「へぇ…ならお前ら一人ずつ殺して奪えばいいって事か…?」

ニソラの問にフクロウは笑う。

「チャパパ。やれるものならなぁ」

「そうか…」

その瞬間 ニソラの姿が消える。

皆が驚く。だが、その直後

 

「チャパァァァァ!!??」

ドォオオン!!!

 

『『!!??』』

 

フクロウが悲鳴と共に目の前に落ちてきた。いや、正確には叩き落とされてきた。

 

「チャパ……こ…これは『剃』…!?まさかお前も六式を…!?」

「今のはただの高速移動だよ。お前達のヤツとは違ってコッチは踏み込む回数は1回だけだ」

「な…なんだ…グハァ…!!」

喋ろうとしたフクロウの腹に向かってニソラの拳が放たれる。その拍子に彼の手から鍵が投げ出された。

 

「鍵はもらっておく。行き方を教えないならその場で寝ててもらう」

そう言い片方の手で鍵を掴むと拳を離す。見るとフクロウは白目を剥きながら意識を失っていた。

 

周りのルフィ以外の皆は初めて見るニソラの戦闘に驚いていた。

 

「おいおい…嘘だろ…?CP9を一瞬でぶっ倒しやがった!?」

フランキーはもちろん、ゾロやナミ、チョッパーやそげキングも同じ反応を見せていた。

そんな中 ニソラは鍵を懐にしまうと皆の方を向く。

 

「さて…これで一人目だが、どうする?」

ナミや皆は気を取り戻すと冷静になり、これからの作戦を話す。

 

「取り敢えず…おいフランキー、ルッチっていうのはハトの男か?」

「あぁそうだ」

「だとしたらルフィとニソラを先に行かせるべきだ。ルフィ、お前はとにかく奴をぶっ飛ばせ」

「おぅ!」

続いてサンジはニソラへ目を移す。

「それと、気はすすまねぇが、ロビンちゃんを助けるのはお前に任せる。絶対に取り返してこい」

「あぁ。分かっている」

 

「そんで、俺たちは残りのCP9からロビンちゃんの鍵を手に入れ後を追う」

「なら…ロビン君が門をくぐれば全てが終わり…時間との勝負だな…」

サンジの作戦にそげキングは考察する。

 

「負けは時間のロスだ」

「あぁ!全員死んでも勝てッ!!!!」

『おぅ!!!』

ゾロの言葉にルフィは頷き皆を鼓舞する。その声にニソラを除いた皆は大きく頷き、階段へと向かった。

 

 


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