ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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目覚める闘争心

「ハッハハハ!!助けなんざ来ねぇぞニコ・ロビン!!なんせ奴らは正義の門への行き方を知らねぇからな!!」

 

「…」

そう言いスパンダムは階段を降りながら高らかに笑う。ルッチは無言でロビンを引っ張っていった。

 

 

ーーーーーーー

 

塔を散策する麦わらの一味。そんな中、ついてきたニソラは一人で次々と塔の部屋を調べていった。ロビンの気を感知しようにも上手く感じ取れない為に塔を虱潰しに探していたのだ。

 

「ここにもいないな。……ん?」

近くで何やら気配を感じる。その気配を辿っていくと、巨大な扉があった。

 

「なんだこの扉…?取り敢えず…フッ…!!」 

 

その扉を見つけたニソラは開けるという常識行動さえもする素振りを見せず、蹴りで無理矢理吹き飛ばした。

 

バシィンッ!

 

「ぎゃぅ!?」

「お?」

すると、その吹き飛んだ扉が何かに当たったのか、中から悲鳴が聞こえてきた。

 

「(誰かいるのか…?)」

扉を蹴り飛ばしたニソラは砂煙が立ち込める中、その場を見つめる。すると煙の中から一人の男の影が現れた。

 

「チィィ!!誰だ!!せっかく寝てたのによぉぅ!!」

 

「…?この声は…」

 

どこかで聞いた事がある声。いや、今さっき聞いていた声だった。砂煙が少しずつ晴れ、景色が鮮明になっていくと、互いの姿が見えた。

 

「あ?テメェは!さっきのガキじゃねぇか!」

 

「あぁ。お前はさっきの坊やか」

その男は先程 自身を挑発したCP9の一人『ジャブラ』だった。

 

「運がいいなぁ!いきなり目をつけた奴が現れるなんてよぉ!」

ジャブラは肩を鳴らすと身体を変化させ、二本足の巨大な狼となった。

 

「イヌイヌの実モデル“狼”ッ!!初めから全力でいかせてもらうぜ…!」

肉食の動物系なのか、先程よりも凶暴性が増していた。一方でニソラは静かにジャブラを見つめ、言い放つ。

 

「その前に、鍵をよこせ。渡せば半殺しで済ましてやるぞ?」

 

「はぁ?……まぁ、いいだろう」

 

「え?」

挑発目的で言った事をジャブラはアッサリと受け入れてしまった。流石のニソラも予想外で驚く。

 

「ホレ」

そう言いジャブラはニソラに向けて鍵を投げる。

 

「じゃ…遠慮なく」

そう言い鍵を受け取ろうと手を伸ばした。

 

だが、その行為自体がジャブラの思う壺だった。

 

「十指銃ッ!!!」

「ん?」

その瞬間 ジャブラの巨大な身体がニソラに迫り、両手の指を突き出した。

 

「うぐ…!?」

その指はニソラの身体に突き刺さると同時に出血させ、小柄な体を部屋の外へと吹き飛ばした。

 

ドガァァァン!!!

 

「ハーハッハッハッ!!!とんだ間抜けがいたもんだぜッ!!素直に渡すと思ってたのか?ギャハハハハッ!!」

 

 

ーーーーー

一方で吹き飛ばされたニソラは部屋の廊下にある手摺りに、身体を叩きつけられていた。

 

「…俺としたことが…」

油断してしまった。アッサリと敵を信じていた自分がバカだった。だが、怒りは湧いてこない。

 

「フフ…(けど…安心した…これで容赦なくぶちのめせる…!!)」

 

ただ、興奮していた。このまま鍵を渡されていたら“闘い”は避けられた。それはまだ良い。だが、今の出来事によって、ニソラの頭の中に『ロビンを救いたい』という思考の他にもう一つの思考が出来上がる。

それは『相手との闘い』。サイヤ人特有の『闘争心』がジャブラの騙し打ちによって目覚めてしまったのだ。

 

不気味に笑いながら一気に殺気を湧き上がらせて起き上がる。すると、もう一人の人影があった。

 

「うぉぉ!?なんじゃありゃぁぁ!?」

その叫び声はやや甲高い。見ると、マスクをつけた長鼻の男『そげキング』がいた。

 

「お前は…」

 

「ん…!?君はニソラ君ではないか!?酷い傷だ!アイツにやられたのかい!?」

そげキングは調子を取り戻したのか丁寧口調でニソラに話しかける。だが、ニソラにとってそれはどうでも良かった。

 

「別にどうって事ない」

そう言い立ち上がると首を左右に曲げながら、再び部屋に入る。

 

「お?何だ。意外とタフだな。俺の“十指銃”をモロに受けたっていうのによぉ?」

 

「あぁ。案外気持ちよかったぞ?ツボマッサージとしては丁度いい」

 

「あぁ”?」

その言葉が短気なジャブラを刺激した。目の色を変えたジャブラは確実な捕食者の目をする。

 

「同じ事が言えると思うなよ…?次は今よりも倍は痛いぜ?」

 

「やってみろよ。1秒で片付けてやる」

互いに互いを挑発すると、一気に踏み出そうとした。

 

その時

 

 

ドガァァァン!!!

 

 

『!?』

 

突然 部屋の天井に亀裂が走ると、一気に壊れ、そこからゾロと一匹の“キリン”が落下してきた。

 

 

「ぬぉぉぉ!?しまった!!“人獣型”で留めておくつもりが、“キリン”になってしもうた!!」

 

「キリンが喋りながら降ってきたぁーー!!???」

 

「ギャ〜ッハッハッハッ!!カク、お前その能力最高だ!!!」

奇想天外な事態にそげキングは目を飛び出し、一方でジャブラは涙を流しながら大爆笑していた。

 

「うぉ!?狼!??動物園かここ!?」

カクと落ちて来たゾロも下に狼がいる事に驚く。

 

ドガァァァン!!!!!

 

 

二人が地面に落下と同時に天井の部品も落下してきた事で辺りには再び砂煙が舞い散る。

 

「いつつ…?お前!ルフィと一緒に行ったんじゃねぇのか!?」

ゾロは自身の落ちてきた部屋にニソラがいる事に驚き、なぜここにいるのか尋ねる。

「あぁ、アイツとはぐれて探してるうちにここに着いた」

 

「迷子かよ!?困ったモンだ!」

 

「…(流石にお前に迷子呼ばわりはされたくないだろう…)」

そのやりとりにそげキングは方向音痴を極めたゾロに迷子呼ばわりとは屈辱に他ならないと思っていた。

 

一方で落ちてきたカクの姿にジャブラの笑いは止まらない。

 

「ぷははは!!!ウシウシの実モデル“麒麟”!!お前も不憫だなぁ〜!!一生“麒麟人間”とはよぉ〜!!」

 

「ぬぅ!?笑うな!!ワシは気に入っておるのじゃ!キリン大好きじゃ!!」

 

キリンと狼のいがみ合い。そのやりとりにいつも冷静であるゾロはどうすればいいのか分からなかった。

 

「おい!キリン野郎!!いつまで言い合ってんだ!俺には時間がねぇんだ!そのままでいいんならそのまま斬らせてもらうぞ?」

 

「ぬぅ…?愚かな…!!キリンの持つ底知れぬ破壊力を甘く見るな…!」

その言葉にカクは反応すると、目を鋭くさせた。

 

「変形“人獣型”…!!」

すると、カクの姿に変化が現れる。身体の輪郭が角ばり、四本足で立っていた身体が二本足で立ち上がる。そして、顔は細長いモノから、鼻が長くなった。

 

「見せてやろう。生まれ変わったワシのパワーを…!!」

 

その姿をゾロは数秒見つめる中 一言

 

 

 

「______かっこ悪!!!」

 

「ガビーン!?き…貴様!今なんて!」

 

「ギャハハハハ!!まさにそうだ!!ごもっとも!!ギャハハハハ!!!」

 

まさに予想していた結果に見ていたジャブラも大爆笑どころか、腹を抱えながら辺りを転げ回る。

 

その時だった。ニソラがゾロの横を通り過ぎると二人に向かう。

 

「お…おい。何する気だよ」

何の警戒もなく進み歩く姿にゾロは疑問に思い尋ねる。すると、ニソラは答えた。

 

「もう時間がない。早いところ終わらせる」

 

「そうか。だったら俺もそうしなきゃな…!」

そう言いゾロは剣を構える。

 

ガチャ

 

「…ん?」

不意にゾロの右手から嫌な音が聞こえた。それは何かをロックする音。見ると右腕が手錠にはめられていた。

 

「なんだこりゃぁ!?」

「すまない!ゾロ君!おそらくそれはロビン君と同じ海楼石の手錠!」

「じゃあなんで俺につけたんだよ!?」

「いやぁ…ぷぷ…あのキリンが想像以上の見た目で手元が狂って…ブゥゥ!!」

「ふざけんじゃねぇー!!!!!」

つまり、ウソップは敵の無力化を図ろうと手錠を投げ飛ばしたのだ。だが、カクの角ばった姿につい爆笑してしまったのが原因で狙いが逸れてしまったようだ。

そのやりとりをニソラは呆れながら見る。

 

「何やってんだコイツら」

その時だった。自身の姿をバカにされた事で怒り出したカクが突然状態を低くした。

 

「おのれどいつもコイツも…!!」

自身の長い首を水平にすると、その小さな右腕だけを地面に立て、その腕を軸に回転を始めた。

 

「食らうがぃぃ…!!嵐脚“周断”ッ!!!」

 

「…!」

その瞬間 突風が吹き荒れ カクを中心に斬撃が円状に放たれた。ニソラはすぐさま状態を低くしてその軌道上から回避する。ジャブラも月歩で上へ。ゾロやそげキングもすぐさま伏せる形で回避した。

 

突風が止むとニソラは辺りを見回す。すると、部屋の隙間から空が見えた。本来この階からは外の景色は見ることは不可能。なのになぜ見えるのか。それは、この階を中心に塔がズレてしまったからだ。

 

つまり、カクの放った嵐脚は塔そのものを切断してしまったという訳だ。

 

「フン!みっともねぇ。戦闘で感情さらけ出しやがって!」

「やかましい!ワシは気に入っとるんじゃ!キリン大好きじゃ!」

そんなやり取りをニソラは変な目で眺めていた。

 

「…(もう待つのもめんどくさい…一気に片付けるか…!!)」

ニソラは深呼吸をし、息を整える。ゆっくりと肺に空気を入れて乱れた調子を取り戻す。

 

「ふぅ…!!」

ニソラの目が変化した。それは相手を確実に仕留める“獣”の目だった。

 

「…!」

その目を見た瞬間 ジャブラは勿論だが、カクも警戒する。

 

「なんじゃ…?あの小僧…雰囲気が変わったぞ…!?」

「へ!手を出すなよキリン!アイツは俺が仕留める…!!」

カクを押しのけるとジャブラは前に出る。先程の攻撃はもはや通用しないと理解しているのか、すぐさま戦闘態勢を取る。

 

 

「…」

 

だが、ニソラが動く気配は無かった。

 

「………あ?何だ?全然攻撃してこねぇじゃねぇか」

ジャブラはいつまで経っても動かないニソラを不思議としか思えなかった。そんな中、ニソラが切り出す。

 

「お前のさっきの十指銃だっけか?ちょっと真似させてもらったぞ」

 

「は!?何言って……な…!?」

ニソラの手には血がついていた。それはニソラの血か?いや、全く違っていた。それは“自身の血”だった。

 

それを認識した時、脇腹から痛みが感じられた。見るとそこには5つの穴が開けられており、そこから大量に血が流れていた。

 

「う…嘘だろ!?いつだ!?いつ俺に攻撃したぁ!?」

 

ジャブラの涌いていた好奇心が恐怖心へと変わった。それに対して、ニソラは笑いながら答えた。

 

「カッカッカッ。今に決まっているだろう?見えなかったのか?」

「…!」

 

もうジャブラの戦意はこの時点で消失した。念のために戦闘態勢の際に『鉄塊』を発動していた。だというのにこの男は自分に気づかれる事なく、分厚い皮膚を貫いていたのだ。

 

「(か……勝てねぇ…!!)」

 

 

 

 

冷や汗が出てくる。目の前に『大将』が立っていると見てもいい程だ。いや、それ以上かもしれない。感じられる威圧感と狂気は自身のライバルであるルッチでさえも可愛く見えてしまうものだった。

 

その恐怖感は時間が経過していくほど……巨大化していった。

 

「さて、来ないなら行かせてもらう…!!」

「…!!」

その瞬間 目の前からニソラが消えた。

 

「どこ行きやが…がばぁ…!」

 

突然 ジャブラが前のめりになる。

 

腹に何がを突き立てられたようだった。みるとジャブラの懐にニソラが現れ、ジャブラの腹の中心に拳を突き刺していたのだ。

 

「遅い」

 

「!?」

その言葉と共にニソラの姿が再び消え、今度は宙に浮くジャブラの横に脚を構える状態で現れる。

 

「そら」

ニソラはその脚を振り回した。

 

ドガァァァンッ!!!

 

そして その遠心力を利用した回し蹴りを浴びせ、ジャブラを横の壁へと吹き飛ばした。

 

 

「まだ終わらんぞ…!!」

 

「んぐ!?」

すぐさまニソラはジャブラの場所まで移動すると脚を掴む。

 

そして、掴んだ脚をニソラは縦横無尽に振り回した。それにつられ、ジャブラの身体までも振り回され、、四方八方にジャブラの身体を何回も叩きつけた。

 

何回も何回も、先程の屈辱を晴らすかのように。そして、何回も振り回し叩きつけた結果、ジャブラの脚は完全に骨が折れており、使い物にならなくなっていた。

 

「ぐぅぅ!?テメェェェッ!!!!」

「お?まだ喋るか」

 

まだ意識を保っており、怒りの咆哮をあげるジャブラに驚いたニソラは脚を掴んでいた腕を振りかぶり、上へと投げ上げる。

 

「んぐぉ…!?」

投げ上げられたジャブラは体勢を立て直そうとするが、脚の痛みが尋常でないために体が動かせなかった。

 

「『鉄塊』ッ!!(…何かしてくるに違いねぇ!せめて防御だけでも…!)」

苦肉の策ではあるが、ジャブラは“鉄塊”を全力で使い、全身を硬質化させた。

 

一方でジャブラを投げ上げたニソラはそこから腰を低くすると拳を構え、一気に放つ。

 

「ごぶぅ…!?」

その一撃はジャブラの腹へ。だが、それだけでは終わらなかった。

 

その瞬間 ニソラの四肢から次々と純白の光弾と化した剛拳が軌跡を残しながら放たれた。

「グバベバボバベバブベバ…!!!!???」

 

ジャブラの腹部以外、いや、全身という全身に光弾となった拳が叩き込まれる。その数はもう100はくだらない。

 

そして、拳の雨が止むとニソラは左足を後ろに一歩下げ、大きく踏みこむ。

 

「終わりだ…!!」

 

バァァンッ!!!!

 

「ガハァ…ッ!」

 

そっと囁かれた言葉と同時に落ちてくるジャブラの脇腹に目掛けてニソラの踏み込んだ左足が放たれた。

 

「(全力の鉄塊も通じねぇ……ば……バケモンだ…コイツ…)」

 

ジャブラの身体は、そのまま吹き飛び、ゾロとそげキングの横スレスレを通り、部屋の外へと一直線に放り出された。

 

 

ガシャァァァンッ!!!

 

廊下で岩やガラスが崩れる音がする。向かい側または別の階層の部屋の壁に激突したのだろう。

 

「フン。人をあまり舐めるなよ?“ワンコ”」

首を鳴らすニソラ。手にはジャブラの持っていた鍵が握られていた。

 

「…ん?辺りに同じ気を持つ奴らがちらほら…もういっその事 鍵を奪ってから行った方がいいかもな…」

 

ニソラは鍵を懐にしまうと、標的をカクに移す。

「さて、次はお前だ」

「…!?」

 

ーーーーーーーー

 

司法の塔 “カリファの部屋”

「はぁ…はぁ…」

「あら?どうしたの?もう終わりかしら」

 

ナミは地面に倒れていた。身体は所々に傷があり、服も少し破れていた。対する相手の身体には泡が多く付着している。

 

彼女はCP9の紅一点『カリファ』 アワアワの実の能力者である。

現在、ナミの身体の一部。脚は彼女の能力によって、極限まで磨き上げられてしまい、立とうとするも、立たない状況なのだ。

 

「立てないのも無理はないわ。私の泡で洗われた部位は光沢が出るほどまでに磨き上げられるの。でも羨ましいわね。そんなに“ツルツル”になれて」

「ぐ…!!」

 

カリファは長い金色の髪を掻き上げると目を鋭くさせた。

 

「さて、そろそろ終わらせようかしら?」

 

戦況は最悪。武器である天候棒も離れた距離にある。絶体絶命だ。

 

「(何とか少しでも隙が…!)」

ナミがそう願った時

 

 

 

ガシャァァァンッ!!!!

 

『!?』

 

突然 壁が崩れ、何かが中へと突き破ってきた。

 

「…!?」

カリファは冷静さを取り乱し、混乱する。すると、彼女の足元にその入ってきた正体が転がっていた。

 

 

「…っ!!ジャブラ…!?」

 

それは見るに耐えない無残な状態となった『ジャブラ』だった。歯は所々に折れ、片脚の骨が粉砕されているのか変な方向へと曲がっていた。

彼の実力はCP9の中でも3番目に強い。しかも持ち場についてまだ間もない。こんな状態に陥らせる事は余程の手練れでなければできない。

 

「…!(まさか!)」

カリファは思い出した。あの時、一味の中に一人だけ異様な雰囲気を漂わせている少年がいた事を。ジャブラを倒したのはまさしくその少年だと推測した。

 

「少し……急いだ方がいいかもしれないわね」

カリファからの余裕の表情がなくなる。あの少年はいずれ自身の鍵も取りに来る。

ならば早く方を付けてしまおう。そう思っていた。すなわち、彼女は焦り出したのだ。

 

 

 

 

 

 

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