ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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止まることのない闘争心

「さぁ…!次はお前だ…!」

「ぐぬぅ…!」

ジャブラを片付けたニソラは次の標的をカクに向ける。

 

一方でその場にいたゾロとそげキング。二人は数分前にカクの放った技の衝撃により、二人とも、手錠で繋がってしまい、バタバタとしていた。だが、ニソラのジャブラを一瞬で倒した瞬間にいがみ合いを即座にやめ、驚きのあまりずっと直視していた。

 

「な…何て力だ…いや…あのチャックの男の時も驚いたが…あんな凶暴な男も一瞬で片付けるとは…」

 

「どうなってやがるんだアイツの身体!海兵をほとんど倒しちまうは、CP9を3人とも一瞬で片付けるわ…。訳がわかんねぇ…!体力は底無しかよ!!」

 

そげキングに続いてゾロもニソラの驚異的な力に圧倒されていた。だが、そんな事をしている合間にも事態は進んでいく。

 

「ぐぬぅぅ……!!」

カクは向かってくるニソラの拳を2本の刀、そして自身の嵐脚を放つ2本の脚を駆使して何とか受け流していた。

 

だが、それでも確実に自身に傷を負わせていた。

自身は独自の技術で編み出した四刀流。対してニソラは2本の腕だけ、手数は圧倒的にこちらが多い筈。なのに、対抗するどころか、逆に上回ってくる。

 

「嵐脚“手裏剣”ッ!!!」

カクの放った無数の円盤状の斬撃をニソラは笑いながら次々と手で弾き飛ばした。

 

「ハハハッ!!どうした?なす術無しか?」

「調子に乗るでないッ!!」

 

ニソラの挑発に激怒したカクは後方へ大きく後退すると、自身の首を大きく後ろへそらす。

 

「見るが良い!!指銃の速度で放つワシの鼻の威力をッ!!」

「お?」

そう言うとカクは振り上げた鼻の先端を刺すように突き出す。

 

「『鼻銃』ッ!!!」

「…!」

すぐさまニソラは横へ回避し、その向かってくる鼻の弾丸の軌道上から逸れる。カクの鼻はニソラの横を突き抜けると地面に勢いよく突き刺さる。

 

すると、その足場にはカクの鼻の跡がくっきりと残っていた。

 

「これだけでは終わらんッ!!“鞭竹林”ッ!!!」

 

「お!?」

その瞬間 避けたニソラに向けてカクは先程とは違い、まるで金槌を打つかのように次々と鼻を振り下ろしてきた。

その速度は打つ度に増しており、次々とニソラに向けて放たれた。

 

 

砂煙が立ち込め始め、突き続けてきた箇所が見えなくなるとカクは首を戻し、一気に縮める。

 

「トドメといかせてもらうぞ…!!」

その首は限界まで縮む。まるでルフィのゴムのようだった。

 

まだ煙でその場が見えない場所へカクは狙いを定める。

 

「極・鼻銃…“麒麟マン射櫓”ッ!!!!」

そう叫ぶと同時に限界まで溜められた首が一直線に放たれた。風を切り、驚異的な弾性力があるその突きは一気に煙を突き抜けた。

 

 

だが、その極限に放たれた鼻は一瞬で動きを止めた。

 

「…!?なんじゃ…!?」

カクの鼻銃が何かに受け止められた。

 

目の前がまるで巨大な壁であるかのように。何ど押しても全く進まないのだ。

 

「……!!まさか…!!」

 

カクは冷や汗を垂れ流す。 次第に煙は晴れてゆく。それと同時に盛大な笑い声が響く。

 

「ふふ…ハハハハハ!!中々やるではないか…!!」

「な…!!」

そこには 先程の連打の雨に打たれたというのに、ただの切り傷、そして服が所々に破れているだけという傷だらけの状態であるにも関わらず笑っているニソラの姿があった。

 

「鼻を武器に使うとは面白い…!!曲芸としては見事だ…!!」

「ぬぅ!?小癪なッ!!」

カクはすぐさま脚を振るい風の刃を放つ。

 

「嵐脚“ネジ白刃ッ!!!」

身体を回転させると、それに伴い足が回転し、その軌道上から螺旋状の刃を形成させる。

 

「ハハっ!!面白い形の斬撃だ…!だが…!!」

スゥゥ…

ニソラは手を離すと腕に力を集中させ、向かってくる斬撃にソッと手を添えると払うかのようにイナす。

 

「なぬ…!?」

「所詮はただの風。ちょっと払って逆風を当てれば威力は皆無になる!」

そう言いニソラは状態を持ち直そうとするカクに向かって駆け出す。

 

「ぬぅ…!?ら…嵐脚“手裏剣”ッ!!!」

焦り出したカクは脚で無数の刃を放つ。

 

だが、既に戦闘モードに入っているニソラにとって、その斬撃を避ける事など容易い。いや、避ける必要などなかった。

 

「くだらねぇ」

ニソラは右手で向かってくる手裏剣を全て弾き落とした。

 

「なぬ!?」

 

そして 遂にカクの腹へと辿り着き、拳を構えた。

「終いだ…!!」

 

「…!?」

 

指銃の速度を遥かに凌ぐ超高速のかつ身体の内部へと衝撃を送るストレートパンチ

 

『超拳撃』

 

 

ドンッ!!!

 

「ア……ガハァッ…!?」

 

ドサッ

 

鍛え抜かれた肉体に突き刺さるその拳は 一瞬でカクの能力を強制解除させ、地面へと沈めた。

 

「ふぅ…」

闘いに一段落ついたニソラは背伸びをする。その顔にはやや汗が垂れていた。それに加えて、あたりの景色も少しばかりか陽炎のように重ならずに見えてきていた。

 

「はぁ…はぁ…(まずいな…食事を取ってない為か意識がボウっとする…)」

それはただの空腹。だが、ニソラにとってそれは致命的だった。本来 ニソラの戦闘は消費カロリーが基本的に多い為、最低でも平均的な量の食事を5回はとっていた。だが、ウォーターセブンに来てからここに行き着くまで何一つ口にしていない。ほとんど睡眠ばかりであった。故に本来ある筈の膨大な体力が少しずつ減り続けているのだ。

 

その時

倒れ伏したカクが笑いながら目を覚ました。

「は…はは…身体が動かんわい…。さっきのパンチ…直接的ではなく…内部に刺激を与えたのか」

「…意識保ててるのか。ッ…やっぱり力が落ちてやがる」

「あれでもまだ全力ではないとわ…こりゃ、いくらなんでもワシじゃ敵わんわい」

「ハハッ。まだ慣れてもいない能力を自在に使ってやがったじゃねぇか?」

「はは…!そりゃあ偶然運が良かったとしか言えん。…ほ…れ………」

薄く切れそうに笑うとカクは懐から鍵を取り出すと同時に意識を失った。地面に落とされたニソラは鍵を拾うと すぐさまロビンの事を考える。

 

「…(結構時間が経ってる…まずいな…。すぐに行けるが…ここにいるなら鍵を全部取っておきたい…。せめてロビンが何番か分かれば…)」

 

ーーーーーーーー

 

一方でロビンを連れているスパンダムはすぐそこまでルフィが来ていると知り、ルッチに足止めを頼み、進んでいた。

 

「急げ!!畜生何てこった!!こんなところまで海賊に踏み込まれるとは!」

スパンダムは更に応援を呼ぶ為に電伝虫を出す。

 

カチャ

「おい!全員応答しろCP9!!てめぇら一体何やってやがんだ!!海賊が一匹 ここに来やがったんだぞ!?」

 

 

………

 

応答はない。おかしいと思ったスパンダムは何度も呼びかける。そんな中、無理矢理 手を引かれるロビンはその電伝虫を見た瞬間 驚愕した。

 

 

「あなた…!それ!」

 

「ん?………えぇぇぇ!!??」

その電伝虫を見た瞬間 スパンダムの顔は恐怖に包まれる。

 

それは金色に輝く“ゴールデン電伝虫”だった。

 

 

 


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