ONE PIECE サイヤ人の変異体 作:きょうこつ
「さて…さっさと掃除を済ませるか…!」
その場から敵軍に向かってニソラは態勢を低くすると一気に飛び出す。
「な…何だコイツ…ガハッ!?」
「ぐぅ…!?」
「ガバァ…!」
そして、一人の海兵に向かって空手の基本技である正拳突きを放つ。だが、その威力は一人の海兵だけでなく、発生した衝撃波によって目の前にいる海兵全員を吹き飛ばしていった。
「ひ…怯むな!!かかれぇぇ!!!」
『うぉおおお!!!』
仲間の鼓舞によって、調子を取り戻した辺りの海兵はニソラを囲むと、一気に武器を構えて向かってきた。
「邪魔だ…!!」
その状態からニソラは自身の反射神経で一番自身に近い武器を察知、その相手に向かって右脚を突き出す。
「ガバァ!?」
その蹴りは裸足であるにも関わらず、剣を粉砕し、所持者の腹へと深く突き刺さると、一気に吹き飛ばした。
「ハッハッハッ!!!」
まるで遊んでいるかの様に高らかに笑うとその体勢から振り上げた右脚を、左脚を回転軸として、振り回した。
その蹴りは風を発生させ、辺りにいる海兵を一気に海へと吹き飛ばし、海へと落とした。
「ふぅ…」
息を整える為に一呼吸する。辺りにはまだ海兵が何人か残っていた。
「そろそろ大詰めだな…!!」
そう言い残る海兵を片付ける為に態勢を再び取る。だが、その表情に余裕はない。若干だが、汗が所々に出ている。
活動時間も限界が近づいており、あまり長くは戦える状態ではない。
その時
グキッ!!グキグキッ!
「「「ぎゃぁぁぁぁ!!!」」」
「ん?」
突然 海兵達の身体が後ろにエビの様に曲がり始めた。その衝撃は半端ではなく、骨の音が正確に耳に伝わってくる程であった。
見るとその海兵達の身体には何者かの手が“咲いていた”まるで花のように。
「何だ?まさか…これって…」
その能力はニソラでも見覚えがあるようだ。まさかと思ったニソラは振り返る。そこには手を交差させたロビンとフランキーが立っていた。
「はぁ…俺一人で十分っていっただろ?」
「文句ならニコ・ロビンに言え。お前にばかり任せてられないんだってよ」
「フフ。ごめんなさいね」
ロビンは悪戯をするかのように笑みを浮かべる。けれども、ニソラは満更では無さそうだ。
この場を制圧した3人は護送船へと乗り込む。
「よし、後はアイツらを待つだけだ。だが、早いとこ来て欲しいモンだな…」
そう言いフランキーはふと海を見る。辺りには霧が立ち込めており、後方にある橋以外の視界を遮っていた。
「!?」
その時 その視界全てに巨大な影が写る。それはこの船と同じシンボル。だが、サイズはこの船の数倍。
それが何隻も霧の向こうからこちらへと迫ってきた。
「…おいおいマジかよ…」
「…!」
フランキーは冷や汗を流す。
そして、ロビンはあの日の惨劇を思い出し、身体が震え出した。
「!大丈夫か?ロビン」
すぐさまニソラはロビンに駆け寄り肩に手を添える。
「震えが…止まらない…!」
「…」
ロビンの身体が痙攣を起こしていると気づいたニソラは己の内に秘める殺気を軍艦へと向ける。
ーーーーーーー
軍艦の上に乗っているのは海軍の中でも幹部とされる『中将』 バスターコールでは全中将の中から5人が抜擢され、出動する事となっている。
スーツの上に海軍コートを羽織るというのが一般的なスタイル。厳格な雰囲気を漂わせている中将は甲版に立ちながらこれから消えるエニエスロビーを見つめていた。
すると、全軍艦に放送が入る。
『バスターコール発動。標的 麦わらのルフィとその一味約60名!!___なお大将“青キジ”との内約により“ためらいの橋”に確認済みのニコ・ロビンのみ標的外とする!!現状把握不要!!司法の島“エニエス・ロビー”全てを破壊せよッ!!全員配置に向かえ!』
その放送と共に軍艦はためらいの橋を次々と通り抜けていく。
そのうちの一隻 中将を乗せた船はロビン達が護送船を確保している所を目撃する。
「ドーベルマン中将殿!ニコ・ロビンを含め3人の海賊を護送船にて発見!!護送船には兵が一人もいないので奪った模様です。如何なされましょう…」
「…」
海兵の報告を聞いたドーベルマンは少し黙り込むと、すぐに答えを出す。
「…作戦変更だ。我々中将は司法の塔へ。残る5隻はためらいの橋に残りニコ・ロビンの奪還を優先せよと伝えろ」
その臨機応変な対応をすぐさま海兵は全軍艦に通達する。
他の4人の中将はこの変更に意義なし。通達された直後、すぐに了承し、司法の塔へと向かっていった。
ーーーーーーーー
「あ?次々と素通りしてくじゃねぇか」
護送船に大砲か兵を投入してくるかと思っていたフランキーは開けていた手の砲口を閉める。
「…」
ロビンを介抱していたニソラは軍艦全てが通り抜けるまで警戒を解かず、臨戦態勢をとっていた。
しばらく時間が経ち、軍艦が司法の塔へと向かった事を確認したニソラはロビンの安否を確認する。
「大丈夫か?」
「えぇ…ありがとう…」
手を離しゆっくりと支えながらロビンを立ち上がらせる。
その時だった。
「!おい兄ちゃん!!やべぇぜ!!軍艦5隻がこっちに向かってきやがった!」
「!?」
ニソラはすぐさまためらいの橋の方向へ首を向ける。見るとためらいの橋に軍艦5隻が側面を接着させており、そこから何百もの兵達が向かってきた。
「やっぱり放ってはおかねぇか。まぁそれもそうだ。退路を確保してる海賊を無視するほど海軍も馬鹿じゃねぇ。だが、何としてでも船は守らねぇとな…!」
フランキーは砲口を開ける。だが、ニソラは前に出て手を横に出し、フランキーを静止させる。
「お前はここに残れ…。俺がやる」
「はぁ!?お前 さっきから戦いっぱなしじゃねぇか!?これ以上やれば確実にぶっ倒れるぞ!?」
「余計なお世話だ」
フランキーの静止を気にも止めないニソラはゆっくりと、後ろを振り返るとロビンに笑みを零す。
「ロビン、また後でな」
「…!待って…!!」
ロビンの呼び止める声を聞く前にニソラは高く飛び上がり、橋の方へと向かっていった。
「…行っちまったか…」
「…」
2人はニソラが向かった橋を見つめていた。だが、ロビンはじっと待っている訳にはいかなかった。
「すぐに行きましょう」
そう言い船から離れようとした。その時
「死ぬんじゃぁ〜………らいよぉぉ!!!!」
ザバァァン!!!
突然 目の前に上半身が裸というより、貝の胸当てをつけ、下半身が魚となったココロが飛び出してきた。
手に持っているのは白い布で、そこにはルフィとロビンを除いた麦わらの一味に加え、チムニーとゴンベが縛られていた。
「うぉぉぉ!?」
「!?」
あまりにもの奇想天外な事態にフランキーは目を飛び出す。その一方でロビンは冷静に目を開いているだけだが、内心は驚いていた。
ーーーーーーーーー
「長官!!気を確かに!!すぐに船に乗せろ!!」
海兵に介抱されているスパンダムと護送船にいた海兵。スパンダムの顔にもはや生気は宿っていない。右腕は既に応急処置が施されているが、それまでに大量の出血をしていた為に深刻な状況だった。
そんなスパンダムが船に乗せられ、ロビンを奪還する為に大佐や中佐を含めた約 500名のもの大量の海兵が召喚される。
「すぐに迎え!!奴らはすぐそこだ!!」
先に降りた数百名の部隊は一足早く進軍する。
橋の端が見えてきた時、
向かう前方から人影も見えてきた。
「誰かいるぞ!?」
「構うな!!突き進め!!」
大量の海兵達は速度を落とす事なく、その黒い影に向けて突き進む。
その時
______目の前の何百もの海兵全員の身体中から血が大量に吹き出した。
「!?下がれ!!」
すぐに大佐はまだ無事である部隊を退却させる。
次々と出血しながら倒れ臥す海兵。全員がその場に倒れ、辺りを血液で浸し、血の海が出来上がると、その上を平然と歩いてくる影があった。
その者の衣服には大量の返り血がついていた。
「やれやれ…結構いるな。ま、それもまた運動のしがいがある」
やや高い声。小柄な体躯。だが、その手には大量の血がまるで池に浸したように次々と滴り落ちていた。その素顔は見えず、不気味な仮面をつけていた。
「…!!大佐以下は速やかに退却せよ!!」
すぐさまこの場を授かっているリーダーらしき海兵がその人物に相当な危険度を感じたのか、汗を流しながら司令をだす。すると、海兵達は次々と逃げるように船に戻る。入れ替わるように海軍コートを羽織った海兵が何人も船から降りてきた。
「ほぅ?さっきより数は減ったが、まぁこっちの方も面白いか」
その者はこの状況を楽しんでいるかのように囁くと戦闘態勢を取った。
「さぁ…!来るがいい…!!」
活動限界残り20分 今 ニソラの進撃が始まろうとしていた。