ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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バスターコール

それは突然だった。

 

普段 何もない海に突然 変な旗を付けてるでかい船が何隻も現れて次々と島に大砲を撃ち込んでいた。

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

辺りは火の海だった。建物は次々と炎で崩れていた。

 

「なんだよ…これ…どうなってるんだよ…そうだ!ロビンは!」

すぐさま彼女の名を叫ぶ。

 

「ロビン!!どこだ!!ロビン!!」

いくら叫んでも彼女の姿は見えなかった。その時だった。

 

「!」

黒い玉が目前に落ちてきて爆発した。

 

ーーーーーーー

 

ロビンは走っていた。

 

船に向かったとき、誰かがロープを下ろしてくれた。そんな時 無線がその場に響き渡った。

 

『そのガキを捕まえろ!ソイツも学者だ!』

その瞬間 皆の目が変わった。

それを恐れたロビンはすぐさま逃げるように走りだした。多分 あの船に『ニソラ』がいる。彼といたかったが、それはもう叶わない。

自身を理解していた博士達も殺され、何もかも失った彼女は泣き出しながら走った。

 

「ッ!余計な真似を!!」

巨人族であり、この事態を予測していた元中将のサウロはすぐさまその通信を出した海軍船へ向かうとそのふねを壊す。

 

その時 ロビンの目の前に1人の影が飛来した。

 

「あららバスターコールが元海兵に阻止されたんじゃ、格好つかんじゃないの」

サングラスをかけた長身の男。その男の身体の周りには冷気が漂っていた。

 

「ク…クザン…!お前もこの攻撃に意味がなせるのか!?退却しろ!!おかしいだろ!こんなのただの見せしめだ!!」

「サウロ。お前の言いたい事はわかる。だが…正義は時に形を変える。俺たちの邪魔をするなら…容赦はしねぇよ」

 

サウロの抗議をクザンは受け入れなかった。すると彼の右腕が凍りつく。

 

その時だった。

 

ドォオオオオオオオオンッ!!!

 

突然 近くの距離から爆発音が聞こえる。何かを砲撃した音だった。

 

「…!!」

サウロとロビンは絶句する。クザンもだ。

 

『避難船がやられたぞ!!』

『サカザキ中将の船からだ!!』

 

その通信を聞いた瞬間 クザンは汗を流す。彼もこの事態はまったく予想していなかったのだ。

 

「何やってんだ…!馬鹿野郎…!!」

 

その事態を目の当たりにしたサウロは怒り、腕を振り上げる。

 

「クザン!これをみてまだ言えるのか!!これでも正義って言えるのかッ!!」

張り上げられた腕はクザンに向かって振り下ろされるが、クザンはそれを避ける。

 

「俺はあのバカ程いきすぎてねぇよ!」

 

すぐさまサウロはロビンを手に乗せると走り出す。

 

「ロビン!逃げるぞ!!」

ロビンは既に放心状態となっていた。

 

「あ…あぁ…ニソラ…!!」

たった1人の友達の死を目の当たりにしたロビンはショックを受けていた。

 

その時 サウロの身体が倒れる。

 

見ると足が凍り付いていた。

 

「サウロ!!」

気を取り戻したロビンはサウロを見る。足は氷によって地面と一体化していた。

 

自身の終わりを悟ったサウロはすぐさまロビンを手から下ろした。

 

「ロビン!!逃げろ!!海は広い!!お前を理解してくれる奴は必ずいる!!」

その瞬間 脚の方から少しずつサウロの身体を氷が侵食してきた。

 

「辛い時は笑え!!」

既に顔を残して身体は凍り付いていた。

 

「サウロ!!」

顔が半分まで凍り付いた時 彼は笑った。

 

「デレシシシシシ!!デレシシシシシ!!」

 

そう笑いながら彼は笑顔のまま凍り付いた。

 

「!」

すぐさまロビンは走り出した。

 

「うぐぅぅぁぁぁ…!!!」

涙が溢れ出てくる。友も母も何もかもを失った彼女はただ逃げた。

 

 

見慣れた坂を走り 辿り着いたのはいつもニソラと話していた浜辺だった。

だが、そこにいたのはサウロを凍らせた海軍だった。

 

「俺はお前を逃す事にした。サウロが救った奴がどんな奴に育つか賭ける。海に氷を張っておいた。まっすぐ漕げば向こうの大陸につけるだろう」

そう言うとクザンは立ち上がるとロビンを横切る。

 

「だが忘れるな。俺は味方じゃねぇ。お前が世界に害を及ぼす存在になってもしたら、俺はお前をとっ捕まえる」

 

「…!街にはまだお母さん達が!!」

「もう間に合わん。まぁ母と共に死ぬ…それもまた選択肢だ」

それだけ言うとクザンは去っていった。

 

 

ロビンは船に乗り 漕ぐ中 思い出した。

『ロビン!!博士号取得おめでとう!!!』『苦しい時は笑えよロビン』『立派になったわねロビン』『もっと教えてくれよ!ロビン!』

 

自身に接してきてくれた学者の皆 サウロ 母 そしてニソラ。

 

 

彼らはもういない。

 

「で……てれししし……でれしし………」

 

彼女は涙を流しながら辛い気持ちを押し殺すために笑った。

 

ーーーーーーーー

 

ロビンが海を渡る姿を見送ったクザンは船に戻ろうと足を進めた。

 

その時だった。

 

 

『ヴゥァァァァ!!!!』

「!?」

既に火の海となったオハラの中心からとてつもない咆哮が聞こえた。

 

「なんだ!?」

それは獣のように太い雄叫びであった。

 

見ると炎の中から緑色の光柱が見えた。

 

「何だよありゃ…!?」

突如現れる謎の物体。近くにいる海兵達も唖然としていた。

 

「あれは…!?」

「なんだ!?学者達まだ何か隠してやがったのか!?」

皆が眺める中 その緑の柱は突如消え、中から緑色の発光体が現れる。

 

その緑の発光体は一瞬 光を放つと驚異的なスピードで地平線の彼方へと消えていった。

 

「何だったんだ…?ありゃ…」

クザンはもちろん 海軍の皆もその発光体の正体を知らなかった。

 

 

 

 


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