ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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混沌なる戦場

『報告します!!オニグモ中将並びにモモンガ中将が倒されました!!』

 

「…そうか」

通達を受け取ったストロベリーは静かに受話器を戻す。中将が続けて2人やられる事は想定外であった。故にストロベリーは打開策を練る。現状は罪人を連行する事を優先。ならば、まず退路を断つ。

 

「護送船に一番近い船に伝えろ。すぐにその護送船を砲撃せよと」

「了解!!」

 

その通達は即座に付近にある中将不在の軍艦へと送られ、砲撃が開始された。

 

ドガァァァン!!!!

 

その砲撃の様子はこちらからも確認できる程の距離にあり、巨大な爆発音と共に護送船は砲弾1発で大破すると共に火を起こし煙を上げながら海へと沈んでいった。

 

「奴らの事だ。既に砲撃に気付いてためらいの橋に移っているだろう。そこへ総攻撃を仕掛けよ」

「ハッ!!」

 

その通達も一瞬で全艦に伝えられる。

 

『全艦に告ぐ!!橋にいる麦わらの一味を直ちに迎撃せよ!!なお罪人2人は生かして捕らえよ!!』

 

そう放送が海上に響き渡り、すぐに辺りの軍艦は移動を始める。橋付近の軍艦3隻は次々と橋へ飛び降りていった。一方で自身の軍艦にいる海兵達は少しばかりが痙攣を起こしていた。無理もないだろう。大将でさえも手に負えない化け物が自身達のすぐそばにいるのだから。さすがのストロベリーも同情していた。

 

ーーーーーーーー

 

一方で、脱出口を失ったロビン達は橋に取り残され、辺にある3隻の軍艦から多くの海兵達と戦っていた。

 

「オラァ!!」

 

「火薬星!!」

 

ニソラに戦いを持っていかれたゾロとそげキングは体力が余りにもありあまっており、驚異的な立ち回りを見せていた。中でもゾロは暴れ足りないのか物凄く活き活きとしていた。

そんな中で、ナミはなぜか違和感を感じていた。ロビンもだ。

 

「変ね。皆 マントを羽織ってない下っ端ばかり…大佐クラスがちょっとしかいないなんて…」

 

「えぇ…軍艦一隻に必ず100人はいるはず…。なのになぜかしら…」

そんな疑問を打ち消すかのようにナミに向かってくる大佐をサンジが蹴り飛ばす。

 

「好都合じゃねぇかナミさん、ロビンちゃん。スモーカーみたいな奴が出てくると思うとゾッとするぜ」

「そうね。早いとこ片付けちゃいましょう」

「えぇ」

2人もサンジに続くように戦闘態勢を取る。

 

皆は気付かないであろう。軍艦3隻分の大佐達は殆どがニソラによって嬲り殺しにされた事を。

 

そんな中で人間の姿で海軍と応戦しているチョッパーはこの場にニソラがいない事を思い出す。

 

「そういえばアイツどこにいったんだ!?姿がねぇぞ!?」

 

「恐らくだが、他の船に乗り込んで足止めしてるんだろう。アイツのお陰で楽だぜ」

 

サンジはチョッパーの質問に答える。先程、近くの軍艦から海兵達が次々と放り投げられる状況を見ていた者達は皆、ニソラが無事である事を読み取っていたのだ。

 

さらに、ニソラだけではない。先程死亡が確認されたガレーラの船大工達、フランキーの子分達、そして、ソドムとゴモラの生存も確認された。砲撃の際、寝返ったオイモとカーシーが全てを受け切り、崖に落ちる瞬間にロープを引っ掛け、ずっと息を潜めていたらしい。フランキーはそれを知った瞬間から、奮起し、皆よりも奮闘していた。

ーーーーーーーーー

 

「面白くねぇ。これが中将の力なのか?」

ニソラの目の前には頭部から血を流し、仰向けに倒れ伏すストロベリー。そして辺りにはそれを絶望で満ちた眼差しで見つめる海兵達

海兵達はもう完全に希望を失っていた。あるのはただの後悔。“こんな作戦に参加しなければ良かった”それだけである。

中将の部下ならば手強い相手とぶつかるのは当然。だが、今回は全く“格”が違う。入隊したばかりの兵が四皇と遭遇する事と同等である。

 

そんな中で、中将を一撃で仕留めた“怪物”ニソラの目が自身達へ目を向けられる。

 

『『…!!』』

 

一般兵だけでなく、将校である大佐も恐怖のあまり一歩後ろに下がる。

 

“殺される”

 

そう思った時だった。

 

 

「…?この気は…」

 

突然目の前の怪物は海へと飛び立っていった。

 

ーーーーーーーー

 

 

「ふぅ…」

波打つ海。誰も立つ事がままならない場所に、1人のママチャリに乗った男がいた。その男は少し息を吐く。すると、その息はまるで冬の時に吐く息のような白いモヤとなり、消えていった。そして、足場はなぜか凍結していた。それはその場だけではなく、その男の後ろから狭い幅で続いていた。

 

「さてさて…状況はどうなってるかな」

その男は身長が3メートルに近い程の長身。そして、特徴的なのは額にアイマスクをつけていた。

彼の名は『クザン』またの名を『青雉』海軍の中でも最高戦力と記される『大将』の地位を持つ男だ。能力者でもあり、その能力は万物を全てカチコチに凍らせる『ヒエヒエの実』。大将は他にも2人存在し、たった1人だけでも、強豪な海賊達の船団を壊滅させられる程の力を持っている。

なぜ、そのうちの1人である彼がこの場にいるのか。それは、本来自身の権限であるバスターコールが発動されたので、ただ見に来ていたのだ。

 

その時だった。

 

「…!!何か…来てるな…」

 

上空から何かがこちらへ向かってくることを察知する。すぐさま自身の周り半径50メートルを凍結させる。

 

「……あらあら…コイツは…」

 

その存在は自身を上空から見つめていた。その瞬間から青雉は自身に武装色の覇気を纏わせ、いつでも凍結できるように手から冷気を出す。

 

「まさかこんなところで会うとはな。『MASK MAN』」

すると、仮面をつけ、裸足で宙に浮いている仮面の男は口を開く。

 

「まさかここで大将に会えるとはな」

 

仮面をつけた男『MASKMAN』は仮面の目の部分から分かる鋭い眼光を青雉へ向ける。

 

「まさかこんなところで政府が血眼で探し回っている怪物に遭遇するとは…運がいいのか悪いのか」

やれやれと青雉は顔を手で覆うが、一方でマスクマンはその状況になった事が嬉しいのか、笑っていた。

 

「カッカッカッ。俺は良いと思うぞ。ちょうど中将だけで退屈だったからな」

その口ぶりから青雉は派遣された中将の何名かが既に戦闘不能にされている事を見抜く。そして、現在は自身が標的にされている事に気づく。

 

「堅気の言う事じゃねぇな。一つ聞くが…なぜ麦わらの一味に加担する?お前程の実力者が」

 

青雉は1番の疑問に思う事を問う。このマスクマンは麦わらの一味との接点は何一つない。協力してもメリットは無いはずだ。けれども、なぜ彼は協力しているのか。それだけが不思議だった。

それに対してマスクマンは答えた。

 

「友人を助けるのに理由なんているか?」

 

「ほぅ。これまた驚いた。アンタがねぇ」

 

発覚した事実に青雉はやれやれと頭をかく。けれども、彼はこの数分間、決して警戒を解いてはいなかった。姿は小柄ではあるものの、仮にも自身と同じ役職である大将を倒した猛者。戦闘になれば自身も無事では済まないだろう。故に青雉はいつでも彼の動きを封じれるように辺りに冷気を撒き散らせていた。

 

「まさかアンタが麦わらと友人とはな」

 

不意にそう溢す。青雉は一度、ルフィと接触していたのだ。初めて会ったあの時を思い出した。大将である自身に仲間のために立ち向かってきたあの姿や心意気。あれならばこの男もそれに惹かれたのだろうか。そう思っていた。

 

「ん?何を言ってるんだ?俺の友人はルフィじゃねぇ。ロビンだ」

 

「…!!」

 

青雉は目を見開く。友達?あのニコ・ロビンと?おかしい。オハラの生き残りは彼女1人の筈だ。

だが、青雉はあの日の記憶から一つの不可解な現象を思い出した。

ニコロビンが船を出した後、燃え盛る島の中心から突然の緑色の光の柱と共に辺りに鳴り響いた獣の叫び声。そして、それは一瞬で地平線へと消えていった事を。

 

「(マジかよ…だとしたらコイツもオハラの生き残り……いや…だとしたらあの緑色の光の正体もコイツって訳か…?)」

 

そんな憶測をしていると、突然マスクマンが呼びかけてきた。

 

「お前はどうなんだ?ロビンを助ける邪魔をしにきたのか?だとしたらここで殺す」

 

「…」

 

その問いかけには殺気が混じっていた。万が一邪魔をするという発言をしたら戦闘となるだろう。その上 この男はたった1人で大将のみならず、それに連れられた軍艦10隻を沈めたのだ。一対一で勝てるかどうかは怪しい。

しかし、青雉はその点には迷いはなかった。あるのはただ、世を恐怖に陥れている危険因子を捕らえるだけ。

 

答えは決まっていた。

 

「麦わら達の邪魔はするつもりはねぇ。だが…アンタを見つけた以上は見逃しはできん…。アンタの邪魔だけはさせてもらうぜ…!!」

 

その瞬間 辺りに撒き散らせていた冷気が一瞬でその場にある酸素へと絡みつき、絶対零度の空間へと変化させ、マスクマンの身体を氷漬けにした。

 

 

『凍結空間(アイスゾーン)』

 

範囲は直径80mという極めて狭い範囲。だが、この技は範囲が狭ければ狭い程、冷気は密集する。すなわち、威力は上昇するという訳だ。最大限まで狭めれば、氷漬けにされた者は一瞬で息を引き取る。

目の前には凍りつけにされた仮面の男。だが、青雉は警戒を解かなかった。これしきの技で勝負ありならば、誰も苦労しない。そう考えていたのだ。

 

 

「動けねぇ奴を狙うのは癪だが…まぁ許してくれよ」

 

青雉はマスクマンに向けて手をかざす。すると、青雉の周りに無数の氷の三叉槍が形成された。

 

 

『氷星』ッ!!!!!

 

 

そして、形成された槍は一斉に凍り付けのマスクマン目掛けてロケットのように向かっていった。その槍は放たれた瞬間から最大速度で発射する。故に一般の海賊はその槍を目にした瞬間、身体を貫かれているだろう。

 

放たれた槍は空気を斬りながらマスクマンの心臓部分へ駆け抜けていった。

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

目の前の向かっていた氷の槍 全てが粉々に砕け散った。

 

「…!」

 

砕かれた氷はまるで星屑のように煌きながら冷気と共に辺りを包み込んだ。

そんな中で、青雉は額から微量の汗を流す。

 

「まぁ…ある程度は効かないとは思ってはいたが、ここまでとはな…」

 

そう言葉を溢した瞬間 風が吹き、辺りの冷気を吹き飛ばしていった。すると、その目線の先の景色が鮮明になる。

 

 

 

「カッカッカッ。こんな小細工で俺を仕留められるとは…めでたい考えだ」

 

そこには最大限まで濃縮された冷気をまともに受けたにも関わらず、万全な状態で立っているマスクマンの姿があった。だが、青雉はその事はある程度予測はしていた。だが、驚いている点はそこではなかった。

 

マスクマンの足場には粉々になった木材が散らばっていた。それはマスクマンのトレードマークである『仮面』の破片だった。

 

つまり

 

 

 

 

 

『仮面』が外れていたのだ。

 

 

 

 

その素顔を見た青雉は驚きのあまり、立ち尽くす。

 

「おいおい…俺はてっきり口調からしてイかれたオッサンのような顔を想像してたんだがよぅ…。こりゃあまぁ

 

 

 

 

 

_______見事な美少年じゃねぇか」

 

長年不明とされてきた『MASK MAN』の素顔。それは何とも美しい少年の顔だった。目はくっきりとし、その目には緑色の眼が輝いており、白く長いフサフサの髪がたなびいていた。

 

だが、仮面が外れ、素顔が露わになった瞬間 その場に殺気が漂った。それは大将である自身に『死』を覚悟させる程の威力のある殺気だ。

 

「こりゃ…ただじゃ帰してはくれなさそうだな…!!」

 

「俺の邪魔だけなら殺しはしねぇ。だが、ちょいと遊んでもらおうか…!!」

 

 

 

 




青雉のオリ技

『凍結空間』

周囲に自身の冷気を撒き散らし、それと空気を適合させ、辺りを一瞬で凍らせる技。簡単に言えばMH4Gのキリン亜種のG級モーション。
この技は、冷気が狭い範囲に『密閉』『密集』さらに冷気同士が『密接』という3つの密を成し遂げる事でさらに威力が上がる。なので、範囲が広ければ広い程、冷気を撒き散らす事に時間を割くし威力も下がる。それでも、並の海賊程度では、一瞬で凍らせるため、決して弱いというわけではない。
だが、あくまで足止め。雑魚兵は一掃できる。

氷星は海賊無双をご参照ください。
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