ONE PIECE サイヤ人の変異体 作:きょうこつ
スパンダムが乗る軍艦とニソラが投げた軍艦は衝突すると、巨大なキノコ雲をあげながら大爆発を起こす。
大爆発によって辺りには軍艦の木材や大砲などが次々と散らばり、爆風によって吹き飛ばされた海兵達が宙を舞っていた。
「…」
ニソラはスパンダムの肥溜めにある様な腐敗した気を探す。生き残っていれば確実に殺す為に
だが、スパンダムの気は感じ取れない。即ち、スパンダムは生き絶えたと言う事になるだろう。爆発のキノコ雲が治ると、そこにあったのはバラバラになった二つの軍艦の木材や帆。そして、辺りからは次々と爆死した海兵達の遺体が浮かび上がってきた。
「ようやく死んだか」
その状況をニソラは見ると、残る軍艦へ目を向ける。まだこちらへと砲口を向けている。もしここで目を離せば奴らはロビン奪還のためにメリー号を狙うだろう。
「ついでに沈めておいて損はないな…!!!」
ニソラは手を空に掲げると巨大な光球を作り上げる。それはまるで小規模の太陽の様だった。生み出した巨大なエネルギーは周りの暗雲を次々と光球の中に吸収していく。
「……やめておくか」
ニソラは生み出した光球のエネルギーを自身に戻す。
青雉との取引を思い出したのだ。自身を見逃す代わりに残った中将達へは手を出さない事を。
約束は約束だ。破るほどは落ちぶれていない。
ニソラは大海を進むメリー号へと目を向ける。そこには無事に避難した麦わらの一味に加えて救出されたロビンも乗っていた。
距離を見る限り軍艦も追いつけないし大砲の射程圏外だ。
「ロビンは……もう大丈夫か」
安心したニソラは目的を達成した事でこの島に用は無いと考え、気を纏うとウォーターセブンへ向けて飛んだ。
途中、彼らの呼ぶ声が聞こえるも、ニソラは耳を貸さない。
その時だった。
『どうもありがとう』
「…!」
脳に突然 何者かの声が響く。辺りを見回すも誰もいない。すると、続け様に聞こえてきた。
『君のお陰で…僕ももう一度皆を乗せて走る事ができた』
聞こえてくる度に心が安らぐ声だった。
ニソラにとって、この声の主はどうでもいい。だが、もし、この声がメリー号なる船の声だとしたら、ニソラは多大なる感謝を示すだろう。
『メリー号?』
『えぇ。それが私達もう1人の仲間の名前よ。私達をいくつもの島へと運んで行ってくれたわ』
助けた時にロビンから聞いたもう1人の仲間の名前。幾度となくその船に彼女は仲間共々助けられたらしい。
故に、ニソラはある島で習った文化を思い出す。胸に手を当てて、その声の主へと自分自身の正直な感謝の心を念じた。
__お前の正体は分からないし興味もない。だが、もしお前がルフィ達が乗ってるメリー号っていう船なら、今までロビンを助けてきてくれて感謝する。もしそれが最後なら俺は見届けてやれないが、ロビンを助けてくれた恩は一生忘れない。
それだけを念じると、ニソラはそのままウォーターセブンへと飛んでいった。
『こっちこそ…僕の仲間を助けてくれて…本当にありがとう!』
それを最後にその声は聞こえなくなった。