ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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別れと共に発覚する事実

一足先にウォーターセブンへと帰還したニソラは高い塔に登り、果てしなく続く海を見ながら久しぶりのロビンとの再会を喜んでいた。

 

「元気で何よりだったな。また、会えるよな」

その手には小さな麻袋が握られていた。

ニソラは次の目的地へと向かおうとしていたのだ。このままロビンを待つのもいいが、今回は無事を確認しに来ただけである。

 

「(ロビン…またな)」

 

そう心の中で呟くとニソラは空高く飛び上がり、海に向かって飛んだ。

 

その日 ウォーターセブンに住まう多くの人達が地平線の彼方に向かう流星を見たという。

 

ーーーーーーーー

 

ニソラが去って数時間後。アイスバーグが出した巨船に乗りながら麦わらの一味は無事に帰還した。

 

だが、メリー号との別れた直後もあり、皆は喜びの表情は浮かべていなかった。

そんな中、ロビンは辺りを見回していた。ウォーターセブンの方へと飛び去っていったニソラの姿を探していたのだ。

それは他の皆も同じだ。

 

「ニソラの奴…どこにいったんだ?」

ルフィは辺りを次々と能力を使って探索するも、彼の姿は見えなかった。

 

すると、アイスバーグは、船大工の一人から耳打ちを受ける。

 

「…そうか」

アイスバーグは残念な表情を浮かべながら頷くと、探し回る一味の皆に伝えた。

 

「少し前に空に人の形をした流星が見えたらしい。恐らく、お前たちが探しているのはソイツだろう」

 

「え!?もう行っちまったのか!?」

「恐らくそうだろう…まぁ、何とも信じ難い話だが…」

アイスバーグはニソラの素顔や、空を飛ぶ姿を知らないために、半信半疑であった。

一方で、その知らせを聞いて衝撃を受けたのはロビンだった。

 

「…」

約十数年ぶりの再会だというのに、まだ話したい事がたくさんあったというのに。

だが、ルフィはその沈黙を破る。

 

「まぁいつか会えるからいっか〜」

まるで予言しているかのように。その一言にロビンも暗い表情をやめた。そうだ。生きていればまたいつか会える。

 

「…(ニソラ。また会えたらいいわね…)」

その後 一味は疲れるように借りた屋敷で休息を取った。

 

そして、次の日はロビンの帰還を祝い、一味はフランキー一家、そして巨人族のオイモとカーシーと共に豪快な宴を開いた。

 

その宴会は今まで輪に入る事がなかったロビンも笑顔を見せていた。

 

だが、一味はこの時まで知らなかった。自身らと共に闘ったロビンの幼馴染であるニソラが後世に名を残す程の凶悪な人物であった事を。

ーーーーーーーー

 

次の日だ。

皆はそれぞれ買い物で服を買い揃え、屋敷で休んでいた時、フランキー一家のザンバイに加えて全員が走ってきた。

 

 

「麦わらさん!!大変だぁあ!!今朝の朝刊にアンタ達の一面が!!」

 

『!?』

胸の高鳴り。懸賞金の値上がりは海賊にとってはまさに宝くじのようなものだった。

ザンバイは次々と並べる。

 

『麦わらのルフィ』懸賞金3億B

 

「うっほぉ〜!!!上がった〜!!」

 

 

『海賊狩りのゾロ』懸賞金1億2000万B

 

「ほう?」

 

泥棒猫ナミ 1600万B

「うぅ〜!とうとう私も賞金首…」

 

狙撃の王様そげキング 3000万B

 

悪魔の子ニコ・ロビン 8000万B

「ふふ」

 

黒足のサンジ 7700万B

わたあめ大好きチョッパー 50B

サンジとチョッパーは魂が抜けてしまう。その理由は簡単だ。まずチョッパーはペットという括りで50B。簡単に言えば飴玉程度だ。だが、もっと悲惨なのはサンジだった。

その手配書の顔は完全に別人だった。

 

「…誰だ…?」

まさかの顔写真入手失敗な故に似顔絵となっていた。

 

一味の写真の中にはそげキングも混じっていた。

この世界では、億を超える海賊は希少であり、若くして億越えとなった賞金首は『超新星』と呼ばれていた。即ち、ルフィとゾロは超新星の内の2人となったのだ。

 

そんな中でザンバイは冷や汗を流しながら一枚の写真を取り出す。

「それとだ麦わらさん!この前アンタらと闘った仮面の兄ちゃんなんだが…アイツも載っていたみたいなんだ!だが…ソイツが相当やばい奴だったんだ!」

 

「え?ニソラのことか?」

 

ザンバイは一枚の手配書を目の前に出した。

 

『…!?』

 

その手配者に皆は言葉を失ってしまった。そこに貼られていたのはエニエスロビーにて自身らと共に闘ったニソラの素顔だった。皆が注目したのはその懸賞金だった。

 

『MASK MAN もとい仮面のニソラ』懸賞金 8億5000万B

 

8億5000万とは、現在の一味の総額でさえも足りぬ額であった。懸賞金が実力に比例するとよく言われており、そうなると、ニソラの実力は自身ら全員が束になっても敵わない程である事が読み取れる。

 

「おいおい嘘だろ!?あの野郎こんなに凄ぇ奴だったのか!?」

 

「通りで強ぇ訳だ…」

驚くサンジに対して、間近でその強さを見ていたゾロは冷や汗を流しながらも納得した。

それと同時に皆はニソラのエニエスロビーでの活躍を思い出す。まず、CP9のフクロウを鉄塊を発動していたにも関わらず1発でノックアウト。ジャブラを一方的に痛めつけた上に、右脚を複雑骨折に追い込んだ事。更には軍艦を奪う為だけにたった1人で何千もの海兵を相手にした上に、その軍艦を持ち上げる。

正に常識を覆していた行動の数々にゾロに続き皆も納得する。

 

「新聞記事にはニコ・ロビンとの関係および出身地も公開されてやがるんです!しかも過去には海軍大将をぶっ飛ばしたとか!」

 

「大将を!?」

ルフィは過去に大将と一戦を交えていた。当時は全く歯が立たないどころか、完全に遊ばれていた事を理解していた故に驚いていた。

まさか、自身が全くダメージを与える事が出来なかった大将を撃退する程の人物だとは思いもしなかったのである。

そして、一番驚いていたのはロビンだった。

 

「ニソラ…そこまで強くなっていたなんて…」

 

「えぇ!?ロビンは知らなかったの!?」

 

「え…えぇ。ただ、MASK MANという名前は以前から聞いていたわ。それがニソラだったとは思わなかったわ」

ナミはロビンに問うが、ロビンも全く知らずにいたのだ。ただ、知っていたのは仮面を被っていた時の姿だけであった。

 

「それとだ麦わらさん!俺達がここに来たのは______

皆が話している中、ロビンはふと空を見上げる。果てしなく続く青空。今もこの世界の何処かでニソラは生きている。

それと同時にロビンはニソラの顔を思い浮かべる。

 

『大丈夫か!?ロビン!』

何も変わらず、ただ自身を守ってくれた。あの姿がロビンは忘れられなかった。

空を見上げながらロビンは心に零す。

 

「…(ニソラ…貴方は今どこにいるの…?)」

 

 

 

 


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