ONE PIECE サイヤ人の変異体 作:きょうこつ
謎の目眩と倦怠感に襲われたニソラはその後、意識を失ってしまった。
そんなニソラの小さな身体はスリラーバークに聳える古城の最奥地へと連行された。
「モリア様〜!!連れてきやしたぜぇぇ!!」
扉を開けると、一つの巨大な部屋へとついた。その部屋は全体が蝋燭の炎で怪しく灯されており、その中心の巨大な椅子にはとても人間には思えない程の巨体を持つ一人のラッキョのような男が座っていた。
「キシシシシ!!よくやったお前ぇら!そいつぁ上玉じゃねぇか!報告を聞いた時は耳を疑った。まさか島中を騒がせていたのが『仮面のニソラ』だったとはな!!」
『ゲッコー・モリア』
現王下七武海の一角であり、カゲカゲの実の能力者である。
モリアが不気味な笑い声を浮かべていると、ニソラを運んできたゾンビに続き次々と人型の異形な者達が部屋へと入ってきた。
「ガルル…驚いたぜ。手配書を見た時は良い女かと思ったら男だったとはな」
「フォ〜スフォスフォスフォス!とうとう男にまで欲情しちまったか!まぁ安心しろ。LGBTは悪くねぇぜ。ソイツら独特の愛の形じゃねぇか。応援するぜアブサロム!」
「ちがぁぁあう!!オイラは普通に女が好きだぁぁ!!それに嫁はもう見つけたんだよぉぉ!!!」
一人の男を小馬鹿にしながら入ってきたのは肥満体型の男とアブサロムと呼ばれた筋肉質ながらの人間…いや、人間ではない。口元がまるで豹のように突き出ており、鋭い牙も生え揃っていた。
ニソラを戦闘不能に追いやった少女に加えて肥満体型の男に異形な男を巨漢『モリア』は出迎えた。
「よぅお前ら!!遂にこの時が来たぞ。冷凍保存してるアイツを目覚めさせる時がな!!」
その言葉に肥満体型の男は歓声を上げた。
「フォーシフォシフォシ!遂にこの日が来たか!古の巨人族ゾンビをこの目で拝めるとは!これぞゾンビ科学者だからこそ楽しめ…」
『Dr.(ドクトル)ホグバック』
それが狂喜する男の名前だ。名前の通り外科医である。だが、その技術と技量はただでさえ優秀な者だけしかなれないとされている外科医の中でも突出しており、かつて世界に名を馳せていた。
「よし行くぞオメェら!コイツが目覚めると厄介だからな!鎖に繋いどけ!!」
モリアは巨大な鋏を取り出す。そして、鋏を持つ手とは異なる左腕でニソラの身体を掴み出すと、なんと、シールのように地面から影を剥がし始めたのだ。
『カゲカゲの実』
これがモリアの食した悪魔の実である。なんと、対象者の影を地面から抜き出し、立体化する事が可能なのだ。
さらに、それだけではない。影を第三者の身体に入れた場合 その第三者は持ち主の力を自身の力に上乗せする事が可能なのである。
モリアは立体化した影を掴み出すと引っ張り出し、影がゴムのように伸びた部分に向けて鋏の刃を開け、なんと紙のように切り取ってしまったのだ。
切り取られたニソラの影は手足をバタつかせながら暴れ始めるが、モリアの巨大な腕に掴まれているので抜け出す事は叶わなかった。
「キシシシシ!活きの良い影だ!さて、コイツを地下牢で鎖に繋いどけ!殺すんじゃねぇぞ?殺したら影もオジャンだ!」
手下のゾンビ達にニソラの身体を放り投げ、後始末を任せるとモリアは4人の部下達を連れて別の通路に繋がる扉を開けて歩いて行った。
◇◇◇◇◇◇
狭い通路を進む中、薄着であるホグバックはコートを纏う。それ程までに温度が低いのだ。奥へ奥へと進んでいくと共にその温度は比例するかのように下がっていく。
そして、長い長い通路を抜けていくと、一つの大広間へと出た。
そこにはなんと、7メートルものある巨体を誇るモリアさえも小ぶりに見えてしまう程の超巨体を持つ巨人が氷漬けにされていた。いわゆる品質をそのままにしてしまう冷凍保存というものだろう。
身体は紫と赤を混ぜたかのように妖しい色であり、更に顔には巨大な湾曲した角が生えていた。
「フォースフォスフォス!!腕を繋げてそれっきりだがようやく動ける姿を見れるとは感激だぜ!!」
「キシシシシ!似合う影が全然見つからねぇから諦めかけちまってたが、本当に好都合だ」
モリアは高笑いすると 手に握るニソラの影を眠る巨人の身体へと押し込める。すると、その影は段々と吸収されるかのように中へと入っていった。
すると
『『『…!!』』』
その場を巨大な地鳴りが襲う。いや、その場だけではない。場内そのものが揺れていた。
モリア以外のホグバック達は突然の地鳴りに驚く。地鳴りと共に氷漬けにされていた巨体がゆっくりと微動をし始めたのだ。
「キシシシシ!ようやくお目覚めか…!!オーズ!!」
それは約500年前。1人の魔人が一つの島を滅ぼし丸ごと持ち去ると一つの巨大な帝国を建設した。のちにその国は大変栄えたそうだ。
その名を『国引き伝説』
そして、その伝説を作ったとされる人物はこう呼ばれた『魔人オーズ』
即ち、現在 モリア達の目の前にいるのがそのオーズ本人であった。
伝説を作った魔人。ニソラの影を得て海賊が蔓延る大航海時代へと甦ってしまったのだ。
____うぅぅぅ…!!
天を揺るがす程の唸り声。そして、身体中から湧き上がるオーラ。そのオーラによって後ろに伸び放題となっていた鬣が唸り出す。
その瞬間
____ゔぉおおおおおおおお!!!!!
巨大な咆哮が響き渡った。それは獣の雄叫びか、はたまた人の怒声か。いや、それを混合したと思ってもいい程の太く力強くそして凶悪な咆哮であった。その咆哮によって、モリア以外のホグバック達は発生した風圧によって吹き飛ばされようとしていた。
「ぐぉぉ!?なんて奴だ!雄叫びで俺達を吹き飛ばそうとしてやがる!?」
ホグバック達は何とか吹き飛ばされないように耐えている。その一方で、圧倒的な存在感を放つオーズにモリアは狂喜していた。
「キシシシシ!コイツがいれば海賊王なんて夢じゃねぇ!!さぁオーズ!その顔を俺に見せろ!!」
するとモリアの声に応えるかのように咆哮が止まり、風圧の勢いが次第に弱くなっていく。そして、風が完全に止むと巨大な身体を支える脚が動き出し、ゆっくりと立ち上がった。
全長は軽く数十メートルは越す。巨人族の倍はあると見てもいい。
国引き伝説を作ったとされる魔人オーズはゆっくりと主人であるモリアの方へと凶悪な角が生えた顔を向けると同時に______
________木っ端微塵に破裂した。
「……へ?」
皆さん。突然ですがモンハンは楽しんでますか?私はスイッチがないから楽しめていませんが、来年には参戦できそうです。さてさて、宣伝になってしまいますが、モンハンの小説も書き始めました。ヒノエとミノトがヒロインなので是非見てみてください。
https://syosetu.org/novel/254834/