ONE PIECE サイヤ人の変異体 作:きょうこつ
「キシシシ!!やったぜ…ようやく影が適合したか…!」
窓の外からニソラと対峙するゾンビを見ながらモリアは不気味な笑い声をあげていた。
「流石は財宝の為だけに残虐な限りを尽くした大海賊『キャプテン・ジョン』ッ!!あのオーズのデカブツでさえも収まらなかった影が収まるとはなぁ!カイドウの野郎と同じロックス海賊団の元クルーなだけあるぜ!」
モリアは高笑いするとオーズの復元に再び手を伸ばした。
「そろそろオーズの修復も終わる!麦わらの一味も上陸してるらしいからコイツに麦わらの影を入れて動かせれば怖い者無しだぜ!!」
モリアだけが可能とする影の引き剥がし。引き剥がされた影はその瞬間に物体と化し、持ち主に戻らなければ誰にでも掴む事が可能である。
一見しょぼい能力だと思うが、これには複数の強力な特徴があった。
中でも最も強力な特徴。それは___
____引き剥がされた影を他人が取り込めばその影の持ち主の力がプラスされる事だ。
◇◇◇◇◇◇
「お前もニソラなのか?俺と同じだな」
「んん?あ、いや違う違う。ジョン。ジョンだ。俺の名前ジョンだよ」
頭を掻きながら何かと抜けているかの様な素振りにニソラは警戒する。それに対してジョンと名乗った男は懐から酒を取り出すと口の中に流し込む。
「うぃ〜ぷ。モリア様に通すなって言われてるんだ。帰ってくれねぇかな〜?」
そう言いながらジョンは手を前に出し門前払いの如くシッシッと手を振る。それに対しニソラは額に筋を浮かび上がらせた。
「何言ってるんだ?俺は影を取り戻しに来ただけだぞ?」
「だからそれがダメだって」
「…!?」
その瞬間ニソラの腹にジョンの拳が一直線に放たれ突き刺さった。
「言ってるんだよ。分かったかい?坊ちゃん」
「そうかい…!!」
「…お…!?」
突き刺さったジョンの拳をニソラも掴んでいた。それと共にニソラの全身から黄緑色のオーラが溢れ出すと周囲の空気を振動させた。
◇◇◇◇◇◇
「うぅ…何なのよここ…早くサニー号に戻りたいわ…」
「俺だって戻りてぇよ!こんな薄気味悪いとこなんてさっさと出ちまおうぜ!」
「俺も…患者…置いてきちまっだぁ…医者失格だぁ〜!!!」
「うぉい!泣くなよチョッパー!ロビンが代わりに見てくれてるから!お前も最初は残ろうとしてたんだしギリギリセーフだよ!」
「だっで〜!!」
メリーに乗りたいがために患者であるニソラを残して来てしまったチョッパーは自己嫌悪に駆られ大泣きしてしまう。それをウソップは何度も宥めながら落ち着かせた。
その時だ。
ドガァァァァンッ!!!!
「「「!?」」」
森の奥から巨大な地鳴りが聞こえてきた。
◇◇◇◇◇
「ヒヤァァァ!!!」
巨大な叫び声と共にジョンの拳がまるでガトリング銃の如くニソラヘ放たれた。
次々と放たれるその拳は初速からマッハを超えておりニソラは一瞬で防戦一方へと立たされた。
「そらそらそらそらそらぁぁぁ!!!」
「…!!」
放たれてくるその拳全てをニソラは受け止めていく。だが、いくら受け止めてもその拳の放たれるスピードは落ちる事はなかった。いや、それどころか速くなっていった。
「(なんだ…?この速度…俺と同じじゃねぇか…!?)」
この拳の速度と不規則な軌道。まるで自身と戦っているかのような感覚であった。
「ぐぅ…!!」
ニソラは歯を食い縛る。身体が鈍っているために久々の強敵になす術がなかった。
そんな中 僅かに隙が生じてしまい、それによって相手の拳を打ち込む機会を作ってしまった。
「よいしょぉッ!!!」
「がぁ…!!」
鈍い音が響くと共に腹の中にジョンの放った拳が深々と突き刺さりニソラの身体をその場所から吹き飛ばした。
「に〜がさないよぉ〜?」
巨大な土煙を次々と上げながら森の中へと吹き飛んでいったニソラに不気味な黒い目を向けたジョンは脚に力を込めるとその場から飛び立ち、空気を突き抜けながら一瞬にしてスリラーバークの最西端へと吹き飛ぶニソラに追いついた。
そして 追いついたジョンは身体を回転させると遠心力を纏った脚をニソラに向けて振り回した。
「オラァッ!!!」
放たれた蹴りはニソラをその場から更に吹き飛ばし何とスリラーバークの外へと叩き出した。
本来ならばここで追撃する事なく引き返す筈だろう。
だが、ジョンは違った。
「イ〜ヒッヒッヒ♪」
不気味な笑い声をあげると腰にある剣に手を伸ばし刀身を見せるとニソラに目掛けて刃を向ける。
僅かに差し込んだ光がその刀身を照らした瞬間
「ヒヤァ〜ハッハッハッハッハァァァァ!!!!!」
巨大な笑い声と共にジョンの腕が剣と共に見えなくなる程まで振り回された。振り回されたその腕からは幾千万もの斬撃が風の刃へと変化し吹き飛ぶニソラに向けて放たれていく。
一方で吹き飛ばされたニソラは不気味に笑みを浮かべていた。
刃の雨が向かってくる中、その身体を回転させると状態を持ち直し、それと共に脚を踏み締めると空気を蹴り上空へと飛び立つ。
久しぶりに自身を驚かせる程の強敵に出会った事で心の奥底に眠っていた闘争本能を刺激され自身本来の目的を忘れてしまう程まで__
____高揚していたのだ。
「ヒヒッ!!」
野生に生きる獣の目と化した鋭い瞳がジョンへと向けられた。
一方で、剣を振り回す手を止めたジョンは懐にしまうと、不気味な黒い目をニソラに向ける。
「おいおい坊ちゃん。そんな野獣の眼光をむけないでくれよ〜。可愛いお顔が台無しだぜ?それに坊ちゃんに死なれて困るのは俺なんだよ。だから___」
最後まで言い終えようとしたその瞬間
「がはぁ…!」
ジョンは突然と膝をついた。それと共に身体の所々から先程口の中に流し込んだビールが流れ落ちてくる。
不審に思ったジョンはビールが流れ出てくる箇所に手を当ててみる。するとそこには小さな穴が5つ程空いていたのだ。
「…おいおい…なんだこりゃ?こんな穴なんてあったかな?……まさか…!?」
ジョンは咄嗟に上空に浮かぶニソラへと目を向けた。ニソラの垂れ下がる右腕にある5本の指には__
__腐肉がへばりついていた。
「お前のお陰で感覚が戻った。今度はこっちが楽しませてもらう番だ…!!!」
その声が聞こえると共に霧越しでも視認できる程までニソラの眼が黄緑色に輝き出した。