ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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反撃。そして合流

「今度は俺が楽しむ番だ…!!」

 

言葉が言い終わったその瞬間 ニソラの5本の指が一本の腕と化すとゆっくりと動き出した。その動きは遠くからでも分かるほど無駄のない繊細な動きであった。

 

右腕が盾のように前に出され、左腕が握られ、砲台の如く腰に構えられた。

独特な姿勢を取るその姿はまるで一人の武道家の様であった。だが、それはただのニソラの基本的な構えに過ぎない。

 

「テメェにあの“武術”を使うまでもねぇ。一方的な暴力で葬ってやる」

 

辺りは静寂に包まれていった。対するジョンも最大限に警戒し、ニソラを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___いくぞ?」

 

その瞬間ニソラの姿が消えた。流石のジョンも予想していなかった為に一瞬ながら数秒だけ硬直してしまう。

 

その“数秒の硬直”が命取りとなってしまった。

 

 

 

「ごはぁ…!?」

鈍い音と共に体内に無理やり補強された骨が砕ける音が響き渡る。

 

見るとそこには先程まで上空で浮いていたニソラがジョンの腹へと拳を突き刺していたのだ。

ニソラのストレートパンチの直撃を受けたジョンの身体はその場からマグナムの如く一直線に吹き飛ばされた。

 

「カッカッカッ…!!!」

ニソラは笑い声を上げながら、その場から空気を蹴り地面との差が僅か数センチの超低空飛行を行い、城に向けて巨大な土煙を巻き上げながら吹き飛ぶジョンに一瞬にして追いつく。

 

その瞬間 吹き飛ぶジョンに向けて無数の拳が放たれていった。

 

「ソラソラソラソラァァァァ!!!!」

 

「がぁあ…!!」

次々とニソラの両腕から“流水の如き滑らかな動き”で拳が放たれていき、ジョンの身体を鈍い音と共に歪めていった。

その拳の連撃は止まる勢いを見せず、遂には光る軌跡を残しながら放たれる光弾と化していき、まるで激流の中に佇む岩に迷いなく打ち付ける様に次々とジョンの身体へと連撃を打ち込んでいった。

 

 

「おっと、つい癖で出しちまったか。まぁいい…!!」

そう言いニソラは連撃の手を止めると、一瞬だけ後ろにステップを踏む様にして下がり、脚を踏み締め地面を蹴った。

 

「ハッハァァァァっ!!」

地面を蹴り、飛び上がった瞬間 ニソラのスピードは先程よりも加速し、何と吹き飛ぶジョンの方向へと先回りしてしまった。

 

「ぐぅ!?」

吹き飛ばされる中、ジョンはニソラが自身が向かっていく方向にいる事を察知すると、状態を立て直そうとするが、その吹き飛ぶ速度が速すぎる故に身体を動かすことができなかった。

 

「ヒヒッ…!!」

対して向かってくるジョンにニソラは笑みを浮かべると、脚を振り上げジョンをその場からほぼ垂直に蹴り上げた。

 

ドォンッ!!!

 

 

「グヘェ…!?」

 

またもや鈍い音が響き渡るとジョンの身体はニソラの脚によって凄まじい速度で上空へと打ち上げられ、スリラーバーク全体が見渡せる程の高度まで吹き飛ぶ。

 

吹き飛ぶ中、次々と襲いかかる重い一撃にジョンの身体は限界に近づいており、手足は既にボロボロ。身体に至っては脇腹が崩れ落ちていた。

どれほど強靭な肉体といえど、所詮はゾンビ。ただの朽ち果てた肉体である。

 

すると

 

「なんだ。楽しめると思ってたのに身体の強度はダメダメじゃねぇか」

 

上空から声が聞こえてくる。見れば吹き飛ぶ軌道上には先程と同じくニソラが先回りしており、手をジョンに向けて掲げていた。

 

「お前、動きはいいが肉体の強度は弱いな」

ニソラは殴りつけたその瞬間から既に気づいていたのだ。攻撃力はあるものの、その身体はそれに見合わない程まで貧弱である事を。それによってニソラはジョンに対して興味を失ってしまったのだ。

 

「もうお前にはガッカリだ」

その言葉と共にニソラの手には光が収束し黄緑色に輝き出した。

 

 

そして

 

「……“消えろ”」

 

その言葉と共に収束していた光が一つの光の玉として放たれ、こちらに向かってくるジョンの身体に吸い込まれる様にして消えた。

 

 

「ご…この…___」

 

最後の言葉を言い残す前にジョンの身体が発光すると巨大な爆発音を轟かせながら破裂した。

 

 

「ふぅ。“あの師匠”から教わった技を使ったら一瞬で終わっちまったか…。つまんねぇな」

ニソラはそう呟きながら掲げていた手をさげた。

 

「…ん?」

すると、爆発した際に発生した煙から黒い物体が現れた。それはなんともクネクネとした得体の知れないモノである。

だが、ニソラはその物体から殺気を感じない為に警戒はしなかった。

見ると現れた黒い物体は自身の身体に迫ってくると、ゆっくりと身体の中へと侵入して来た。

 

「…!?」

 

その瞬間 全身を何かが駆け巡るとまるでパズルの最後の1ピースを埋めたかの様な心地よい感覚に包まれた。

 

「なんだ…?この感覚…」

 

別の例で例えれば、まるで溜まっていた便を全て排出した時に感じるスッキリとした快感。それは全身を満たしていき、自身の影の奪還に対する欲求を解消させていった。

 

「心地いいな…何なんだ一体…?」

 

そんな感覚に首を傾げていると

 

「お〜い!ニソラ〜!!」

 

「ん?」

 

下から自身の名を呼ぶ声が聞こえて来た。見下ろすと城入り口付近にルフィ達がおり自身に向けて手を振っていた。

その中にはロビンもいた。

 

それを見たニソラはその地点に向けて降下していった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

ニソラがその場に降下すると、そこにはロビン達だけでなく、3つの頭を持つ狼らしき動物がいた。

 

「なんだ?その動物」

 

「ケルベロスさんよ。ルフィが手懐けたの」

 

「へぇ。お手」

「ワン!」

 

意外と人懐っこいのか、ニソラからヤバイ何かを感じたのかケルベロスは行儀良く手を差し出す。

 

そんな中 ニソラが降り立つや否やルフィは目をキラキラさせていた。

 

「なぁなぁニソラ!さっき空飛んでたよな!?どうやって飛んでるんだ!?教えてくれよぉ〜!!」

 

「え?」

ニソラが空中を浮遊することにたいして皆は疑問を抱いていたのだ。それについてサンジやロビンも不思議に思っていた。

 

「それだけじゃねぇだろ!?」

すると、そのルフィに突っ込みを入れるかの様にサンジがルフィの両頬を引っ張る。

 

「アンタは…ぐるぐる眉毛…」

 

「サンジだッ!!」

ルフィの動きを止めたサンジは改めてニソラに対して警戒するかの様に強い口調で尋ねた。

 

「俺たちが聞きたいのはお前が何者だってことだ!空は飛ぶわCP9を瞬殺するわ!お前は何かの能力者なのか!?」

 

「……」

 

サンジから尋ねられたニソラは「う〜ん…」と唸りながらも答えた。

 

「俺も自分が何なのか分からない」

 

『『分からない?』』

 

ニソラの答えにルフィや質問したサンジ、そしてゾロやフランキー、ケルベロスも首を傾げる。

幼馴染であるロビンはそれについて理解しており、代わりに皆へと伝えた。

 

「ニソラは私と会った時から自分がどこで生まれて何者なのか、それに関する記憶を失っているらしいの」

 

「要するに記憶喪失か」

 

「えぇ。だから出身地も不明で親も不明。本を読んでも分からないからずっと不明確なまま一緒に過ごしてきたの……あら?」

 

ゾロの言葉にロビンは頷く中、ふとニソラの身体を見ると違和感を感じた。

 

「ニソラ…貴方 尻尾はどうしたの?」

 

「尻尾?あぁ。気付いたら取られてた。でもまた生えてきてる。短いけど」

 

「「「尻尾!?」」」

ロビンの漏らした言葉の中にある『尻尾』という単語に皆は引っかかり驚いた。

一方でロビンに指摘されたニソラは腰の辺りをパンパンと叩きながらロビンに説明していた。

 

「尻尾って…えぇ!?ロビンちゃん…どういうこと!?」

 

「会った時から彼の腰にはお猿さんのように毛の生えた長い尻尾が生えていたの。その時、ニソラは海の中に普通に潜れていたからその尻尾は能力によるモノでも無かったわ」

 

「すんげ〜!!!」

 

ロビンの説明に皆は驚きのあまり言葉が出せなかった。一方で能天気なルフィはニソラの更なる特徴に目を輝かせていた。

 

一方でルフィとロビン以外の皆はニソラの様に尻尾が生えている人種について思い当たる人物を思い浮かべようとしていた。

 

だが、誰も該当する種族を思い浮かべる事はできなかった。

 

「尻尾が生えてる種族なんて…聞いたことねぇぞ?」

 

「あぁ。CP9のような悪魔の実でなけりゃな。そうじゃねぇんなら、分からねぇな…」

 

サンジの言葉にフランキーは頷きながら頭を捻る。尻尾が生えている人種など悪魔の実を喰らわない限りこの世には存在しない。故に皆はニソラに関係する人種を考え出す事はできなかった。

 

「俺はただ自分の正体が知りたい。それだけだ。あとハラハラドキドキと闘い」

 

ニソラの目的を知った皆は頷く。そんな中 ルフィがある事を切り出した。

 

「じゃあよニソラ。__

 

 

____俺の仲間にならねぇか?」

 

 

 

「「「!?」」」

 

突然の切り出しにルフィの後ろにいたサンジやゾロが驚く。その一方でロビンは驚きながらも笑みを浮かべていた。

 

その一方でニソラは首を傾げる。

 

「なぜだ?」

 

「だってお前よお。自分が何なのか知りたいんだろ?俺たちはこれから色んな島を冒険するんだ!そうすりゃお前の知りたい事だって分かるかもしれねぇだろ?」

 

「私も賛成よ。また一緒にいられるし。それに本を読むに当たって読めない文字があれば教えてあげられるわよ」

 

ルフィの意見にロビンも賛成するかの様にニソラの肩に手を置いた。サンジやフランキーも反対ではなさそうだ。その一方で、ゾロは能天気なルフィに目を向けると尋ねた。

 

「でもいいのか?コイツの懸賞金って確か8億は超えてただろ。自分よりも高い奴がいたらお前にとっちゃ複雑じゃねぇのか?」

 

「確かにそうだけどよ。そんなのは俺が上げればいいだけじゃねぇか」

 

「まぁ、確かにそうだが…」

 

「それによぉ!一緒にいると何か楽しそうな気がしてきたんだぁ〜!!」

 

「お前それ骸骨の時と同じじゃねぇか!?」

 

ルフィの少年の様な単純な思考にゾロは突っ込みながらやれやれと呆れながら額に手を当てる。

 

「どうだニソラ!?」

 

「う〜ん…」

ルフィは目をキラキラとさせながらニソラに再び問いかける。それに対してニソラは少し考え込む。

 

「確かにお前らといれば多くの島を回れる。それにロビンも一緒…。悪くない…。それに賑やかで楽しそうだ」

 

ニソラは次々と麦わらの一味を分析していくと、答えを固めた。

 

「よし、決めた」

 

「うほぉぉ〜!!」

 

ルフィは期待を込めた目をキラキラと輝かせながら答えを待った。

 

そして 答えを決めたニソラは真っ直ぐにルフィ達を見つめると、自身の答えを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

「丁重ニ、オ断リサセテイタダキマス」

 

 

ルフィ・サンジ・フランキー「「「断るんかいッ!?」」」

 

 

 

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