ONE PIECE サイヤ人の変異体 作:きょうこつ
キッパリと断るニソラにルフィは口をアグァと垂らしながら驚くと理由を尋ねた。
それに対してニソラは答えた。
「仲間って…言うなら“海賊の一員になる”って事だろ?一員になったら規律を守り身勝手な行動が許されない…という事になる。俺は本を見つけたら読み終えるまで動かないし、勝手に他の島にすぐに向かう。だから断る」
「えぇ〜」
キッパリと理由付けをされて断られたルフィは落胆してしまうも、すぐに切り替える。
「まぁ、お前がそう言うなら仕方ねぇな。諦めるよ」
「あぁ」
ニソラの勧誘に失敗したルフィは話題を変えた。
「じゃあその代わりにトモダチになろうぜ!」
「友達?まぁいいぞ」
「よぉ〜し!!じゃあ握手!」
「ん」
ルフィと友情を結んだニソラは差し出された手を掴みブンブンと振った。ニソラと友達になれた事が嬉しいのか、ルフィは目をキラキラとさせていた。
「あ、そうだ。さっきの話だけどよ。どうやって空飛んでんだ?俺にもできるのか!?」
ルフィから先程の浮遊について問われたニソラは、頬をぽりぽりと人差し指で掻きながら答えた。
「俺は原理は知らんが…“気”というモノが動力らしい」
『気…?』
「あぁ。俺に戦い方を教えてくれた奴によると、“気”とは人や動物の体内に流れるエネルギーの比喩らしく、それを応用させる事で飛べるらしい」
その説明に皆は首を傾げていたがルフィだけは訳もわからず目をキラキラとさせていた。
「つまり、その“気”というものを扱えれば誰でも飛ぶ事が可能になる…という事かしら?」
「多分…。だが、感覚が掴むのが難しいらしい。俺でも数週間は掛かった」
ニソラの話を聞いたルフィは目を相変わらずキラキラと輝かせ興味津々であった。
「すんげぇ〜!!!なぁなぁ!そいつのとこに連れてってくれよぉ〜!!俺も空飛びて〜!!」
そう言いルフィは目をキラキラとさせながら手を翼に見立ててパタパタさせる。
すると
「…」
空を飛ぶ事に興味津々のルフィの言葉を聞いた途端にニソラは黙り込んだ。その様子を見たルフィは不思議に思い首を傾げた。
「ん?どうした?」
「いや、今思い出したんだが…、その師匠がどこにいるのか分からねぇんだ」
「分からない?」
「あぁ」
ニソラは忘れかけていた自身の師匠の事を思い出すと、話し出した。
「最後に会ったのが10年以上前でな。何ヶ月か一緒にいて闘い方を教えてくれたが、気がつけば消えてたのさ。覚えているのが…何故か俺の名前を知ってた事と、俺と目が似てた事。あとは、何故か初めて会った気がしなかった事だけだ。まぁ、特に会いたいとは思ってないがな」
「そうなのか」
ニソラが師匠について語ると、ルフィと皆は不思議そうに頷いていた。出会ってしばらく一緒に暮らし、気がつけばいなくなっていたという何とも摩訶不思議な出来事だった。
一方で、会えない事に落胆していたルフィは再び切り替えると、ニソラにある事を持ち掛けた。
「そうだニソラ。俺たちこれからブルックの影を取り返しに行くんだけどよ。どうする?お前も来るだろ?」
「確かに。貴方、影が無かったわよね」
ルフィの質問に同調するかのようにロビンも頷いた。その誘いに対して、ニソラは首を傾げる。
「うぅん…。それなんだが…何故か奪い返したいとか思えなくてな…」
「え?」
そう言いニソラは先程の事について話しだした。ゾンビと闘っている中、影を奪還する事に対しての執着心が、今では嘘のように消え去っていたのだ。
「…」
それについて話すと、ロビンは不思議に思い顎に手を当てながら考え込んだ。
ロビンが考えている横では、ルフィはニソラの言葉に頷くと、手を握り親指を後ろの景色に向ける。
「でも影が奪われてるんなら取り返した方がいいだろ!じゃねぇとお前、灰になっちまうぞ!お前が灰になったらロビンが悲しむだろ」
「それもそうだな…。あぁ分かった」
ニソラはロビンを悲しませる訳にはいかないと思い、ルフィの説得を飲み込むと、頷いた。
「俺も行く」
「よぉ〜し!冒険再開だぁ〜!!!」
ニソラの同行にルフィは目を再びキラキラと輝かせると、虫取り網を肩に掛けながら再び森の奥へと進む。
「「はぁ…」」
ルフィの相変わらずのテンションにゾロやサンジは呆れているが、フランキーはガーハッハッハと笑っていた。
その一方で
「……」
ロビンは未だに考え込んでいた。それはニソラの先程の言葉についてだ。『長い間、影を奪われていたから取り返す事に対する執着心が消え失せた』と解釈できるが、これは果たして能力によるものなのか。だとすれば矛盾が生じる。ブルックは50年も影を奪われていたのだ。それなのに彼は未だに影に執着している。
「……どういう事なのかしら…」
するとその様子を見ていたニソラは裸足でテトテトと歩きながら近寄り、ロビンの手を握った。
「おいロビン。行くぞ」
「…!?え…えぇ」
ニソラに手を掴まれたロビンは一瞬ながら頷くと、脚を進め皆と共に森の奥へと進んでいった。
◇◇◇◇◇◇
その頃、スリラーバークの城の最奥にある巨大冷凍室では。
「キシシシシ!ようやく治せたぜ!手間かけさせやがって!俺の影の力で前よりも頑丈に仕上がった!」
絶頂に達していたモリアが巨大な笑い声をあげながら目の前で座る巨大な怪物『オーズ』を見上げていた。
ニソラの影によって粉々に砕け散ったオーズの全身の至る所には黒い糸のような縫い目があり、その縫い目は黒い艶を見せながら不気味に輝いていた。
「よぉしオーズ!お前にピッタリな影を入れてやるからもう少し待ってろ!」
そう言いモリアはオーズの巨大な右の二の腕をパンパンと叩く。
その時だった。
「モリア様ぁ〜!!!!」
「あぁ?」
冷凍室の入り口の扉が乱暴に開かれると手下であるリスのような動物ゾンビ達数匹が額に汗を流しながら走ってきた。
「なんだよこんな時に!」
「大変です!超ゾンビであるキャプテン・ジョンが破壊されましたぁ!!」
「は……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!???」
その知らせを聞いたモリアは目玉が飛び出る程まで驚くと、報告にきた動物ゾンビの内の一体を掴み上げる。
「ふざけんじゃねぇ!!いくらゾンビとはいえアイツの肉体強度はオーズよりも上なんだぞ!?しかも8億もする仮面野郎の影を入れたんだ!やられる訳ねぇだろうが!?」
「ぐぐぐ!苦しいですモリア様〜!確かに見たんですってば〜!!」
動物ゾンビの報告をようやくモリアは聞き入れ、動物ゾンビを掴むその手を離した。
「ぐぅぅぅ…!!」
その場に高い唸り声が響き渡ると共に、その顔は怒りによって恐ろしく歪んでいった。
影を入れたゾンビが撃破されたのならば、既に影は持ち主に戻っているだろう。
「もう一度、奴をとっ捕まえてやる!!おい!『夜討ち』をおっ始めるぞッ!!」
「「「はいぃぃ!!」」」
モリアの怒声と共に動物ゾンビ達はすぐさま敬礼すると、その場から走り、スリラーバーク中のゾンビ達へと知らせていった。