ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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会敵 ゲッコー・モリア

突然と向かっていたニソラを目にしたロビンは目覚めた皆と共にすぐさまサニー号から離れて再び古城へと向かった。

 

「早く急がないと…!ニソラがまた影を取られてしまうわ!」

 

「おぅ!」

 

ルフィが頷くその傍ではサンジは炎を纏いながら爆走していた。

 

「ちくしょぉぉお!!!奴に美味しいところ持ってかれてたまるかぁぁぁ!!ナミさんを助けるのはこの俺ダァァ!!」

 

「あ、確かその透明人間 ナミの裸をジックリと見てたぞ」

 

「オ〜ノ〜レェェェエエァァァァ!!!!」

 

ウソップのその火に油を注ぐかのような一言で更に激昂したサンジはそのまま速度を上げて先へと進んでいってしまった。

 

その一方で、ゾロは自身の足元を見ていた。見ればゾロの足元には影が戻っていた。それは彼が目覚めた直後の出来事であり、島から二つの黒い物体が部屋へと侵入すると共にゾロだけでなく、サンジの足元に吸い込まれるようにして消えていき、やがて影となった。

 

即ち、ゾロだけでなく、サンジも影が戻っていたのだ。

 

「まさか、取られたと思っていた影がこんなに早く戻って来るとはな…」

 

「きっとニソラの仕業よ。貴方のゾンビを倒したんだわ」

 

「っ…またアイツに助けられたってのかよ…」

 

それから一味は城を目指していく。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

突如として自身の傍に現れたニソラ。それを見たモリアは顔から血の気が引く。

 

「(おいおい…コイツどこから入って来やがった!?しかも海賊狩りと黒足のゾンビの気配も消えちまってるじゃねぇか!?)」

 

モリアはニソラの気配を感じ取る事ができなかった為に、突然と現れた事に動揺を隠しきれなかった。

 

「お前がモリアーティか?」

 

「モリアだ!!間違えてんじゃねぇぞクソチビ!」

 

「そうだそうだ。モリアだモリア。会って早々だが、取り敢えず俺と戦えよ」

 

「…!!」

 

モリアは全身から冷や汗を流す。

 

「(……いや…待てよ…?)」

だが、ふとモリアは冷静に考え直した。今ここにいるのは自身と更に復活したオーズ。

 

 

__負ける要素などない。それにこのような敵にも対抗する為にオーズを復活させたのだ。

 

 

「キシシシシ…!!いいだろう!」

 

自信と気を取り直したモリアは再び悪魔のような不気味な笑みを浮かべると、能力である自身の影を変形させる。それは次第に粘土のように形を変えていくと、遂にはモリアと同じ形へと変わっていった。

 

「俺に触れる事ができるならなァ!!」

 

 

その影は実態と同じく発達した両腕を振り上げると、ニソラに向けて振り下ろされていった。

 

「『影法師(ドッペルマン)』ッ!!やれ!」

 

「よ」

それをニソラは後ろに跳躍し、回避する。

 

「___!!!」

 

だが、モリアの影は攻撃の手を止めなかった。次々とその鎌の様な腕を振り下ろし、ニソラを叩き潰すかの如く迫って行った。

 

「よっはっほっ」

 

それを次々とニソラは飛び退く形で避けていく。一向に当たらない状況にモリアは額に筋を浮かべると手を握り締めた。

 

「意外と動けるじゃねぇか!」

 

ニソラを追い詰めていた影が次々と細かい粒を形成しながら分離していくと、その粒は粘土の如く変形し、1匹の蝙蝠と変化した。

 

「『影蝙蝠(ブリック・バット)』ッ!!」

 

無数の蝙蝠達はモリアの命令を実行するかのようにニソラへと向かっていく。

 

「はっ。んな小細工」

 

対してニソラは不敵な笑みを浮かべると、ゆっくりと態勢を低くすると右腕に赤いオーラを纏い前へと突き出し、親指と人差し指そして中指で空気を切り分けるかのように横へ捻った。

 

すると 

 

その蝙蝠の群れが次々と切り刻まれていった。まるでニソラの捻った手の軌道上に刃が存在しているかのように。

 

「…!!」

 

モリアはその構えを見てあることを思い出した。

 

「テメェその構えはまさか…」

 

「お?お前も知ってるのか?この拳法」

 

ニソラが意外な表情を浮かべている一方でモリアは即座に動揺を抑え、気持ちを落ち着かせると次の攻撃へと移る。

 

「ぬん!!」

 

モリアは掌を掲げる。

すると、粉々に切り刻まれた影が地面に吸い込まれるようにして消えていき再び影となると、ニソラのすぐ足元まで侵攻しその地点を中心に無数の針の様に広がった。

 

「串刺しになっちまえ!」

 

「お?」

 

モリアが手を握り締めた瞬間 ニソラを中心に張り巡らされていた影の先端部分がまるでトカゲの様な姿となると、ニソラを囲い込むかの様に具現化し、その鋭利な先端部分を向けながら襲いかかった。

 

『角影帽子ッ!!!(トカゲドーム)』

 

 

「…ッ!!!!!」

 

 

ニソラの目が一瞬ながら緑色に発光すると両手が再び消え、ニソラを中心に水色の軌道がドームを形成するかのように駆け巡り、迫り来る影法師全ての攻撃軌道をまったく違う方向へと逸らして行った。

 

「な…!?」

 

 

またしてもモリアは驚愕する。先程の蝙蝠を刻んだ際に見せた構えと今の攻撃を捌く拳法。

 

それはロジャーが海賊王と呼ばれた日と同時期に海賊や海軍の間で名前が出始め、武術界の大御所と呼ばれた“2人の武術家”を彷彿させていった。

1人は鉄壁の防御を誇る護りの拳。

もう1人は殺傷能力を持つ特攻の拳。

 

「テメェ…あのくたばったジジイ共の血縁か?いや、血縁じゃねぇな。弟子が何かだろ?」

 

「ん?」

モリアはニソラを睨みながら尋ねる。その一方でニソラはまるで一仕事終えたかのように息をつくと、その質問に驚きながら答えた。

 

「驚いたな。まさかお前も爺様達を知ってるのか?」

 

「当たり前だ!同じ七武海のボア・ハンコックの次に政府嫌いで有名だったからなぁ!その武術に目をつけたセンゴクや前元帥が海軍勢力拡大のために本部での指南役として何度も頼み込んだのは俺たち海賊の間では有名だぜ?何度も門前払いを受けて結局諦めちまったらしいけどなぁ」

 

「あぁ。確かにあの2人は海軍や天竜人を見つけたらツバ吐きつけるぐらい嫌ってたなぁ」

 

「キシシシシ!やはりテメェは門下生だったか!コイツは驚いた!なら、話が早ぇ!!こっから本気でいかせてもらおうじゃねぇかぁ!」

 

モリアは即座に攻撃へと戻る。

 

 

モリアにも海賊としてのプライドがある。たった数年前に名の上がった賞金首如きに自身が倒されて良い訳がない__と。

故にモリアは自信作のゾンビであるオーズへと叫んだ。

 

「オーズ!最初の命令だ!このガキをぶち殺せ!!」

 

「オーズ?」

 

その叫びはオーズへと届く。すると、ニソラの目がオーズへと向けられた。

 

「へぇ。随分とデケェな。コイツもゾンビなのか?」

 

ニソラが尋ねてくるもモリアは耳を貸さず、オーズへと叫び続けた。すると、その声にオーズは目を向けるも__。

 

「んあ?」

 

命令を聞き入れるどころか、まるで耳が遠くなった老人かの様に耳を傾けていた。

 

「コイツを殺せって言ってんだよ!さっさとしろ!」

 

「んぁぁ?」

 

だが、

 

「____いやだね」

 

「はぁぁぁぁ!?」

 

アッサリと断られてしまった。そのままオーズは目の前の崩れた外壁へと手を掛けていくと、地鳴りの様な足音を響き渡らせながら外へと向かっていった。

 

「俺は海賊王になるぅ!!!」

 

「お…おい待ちやがれオーズ!おい!」

 

主人であるモリアの命令も聞かず、オーズはそのまま出て行ってしまった。

後に残ったのは自身と共にオーズの背中を見つめるニソラだけであった。

 

「なんだ?ただの言うこと聞かねぇデカブツじゃねぇか」

 

「…」

モリアは自身の思い通りにいかない状況に青筋を浮かべると、その怒りをニソラへとぶつけるかのように辺りから影法師を4体作り出した。

 

「ッ!まだ完全に支配下に置けてねぇか…まぁいい。いくらお前があのジジイ共の門下生だろうと、お前1人なら俺でも十分だ!!影なんざいらねぇ!ぶっ殺してやる!」

 

「やってみろ」

 

2人の間の空気が歪み始めた時だった。

 

 

「うぉぉぉぉ!!!!ここかぁぁ!?」

その部屋の入り口から猛々しい雄叫びを上げながらルフィが飛び出してきた。

 

「あれ?ここどこだ?何か寒いな。…ん?よぅニソラ」

 

「おぅ」

 

飛び出したルフィは辺りをキョロキョロと見回すと視界にニソラが入ると陽気に手をあげた。それに対してニソラも答える。

 

「やっと追いついたぜ。モリアはどこだ?」

 

「そこ」

ルフィに尋ねられたニソラは自身の目の前でルフィの登場に動揺し佇んでいるモリアに指を指す。

やっとモリアを見つけたルフィは拳を構えた。

 

「テメェがモリアだな!?お前をぶっ飛ばしてブルックの影を取り返してやる!」

 

「かぁぁ…まためんどくせぇのが現れた…」

拳を構えるルフィにモリアは額に手を当てると影法師を2体追加する。

 

「もぅいい!2人まとめて本気で相手してやる!!かかって来やがれ!!」

 

 

その叫びは屋敷全体を震わせる程まで轟く。その声に伴う威圧感は並の海賊を凌駕し、聞くものを畏怖させる程、凄まじいものであった。

 

 

 

 

 

___だが、当の本人達は。

 

ルフィ「2人で来いってよ。どうする?」

ニソラ「俺としてはタイマンがいいんだが…まぁいいか。何かさっきから動かないし影だけしか使ってこないから弱そうだし」

 

「!?」

 

ニソラ「逆にお前はいいのか?」

ルフィ「おぅ。俺、ブルックの影が戻ればそれでいいしよ!ゾロとサンジの影も戻ったし」

 

「!?」

 

そう言い2人は再び目をモリアへと向けた。それに対してモリアはニソラのポロっと零した言葉に完全に頭に来たのか、激昂した。

 

「テメェらァァァ!!!!絶対に許さねぇそぉぉぉ!!!特に仮面野郎!!テメェはブチ殺し確定ダァ!!影なんざいらねぇ!あの世に送ってやる!!」

 

その言葉と共にモリアの生成した影法師達が砂煙を上げ両手を振り回しながら一斉に向かってくる。それに対してルフィは拳を地面につけると、血流速度を高め、全身から湯気を沸き上がらせた。

 

「ギア…2…ッ!!」

 

その隣ではニソラは両手に水色のオーラを纏いながら態勢を低くしていた。

 

そして 向かってくる影法師に向け、構えた2人の怒涛の連続攻撃が炸裂した。

 

ゴムゴムの〜……JETガトリングッ!!!

 

 

流水岩砕拳__ッ!!!

 

 

 

水色のオーラを纏った拳と湯気を纏った拳の雨が次々と影法師達の群れを貫き、一瞬にして5体の影法師を粉々に粉砕した。

 

そしてその目の前にはその光景に驚きを隠せず動揺しながらも新しく影を生成しようとするモリアの姿が。

 

 

「…!!!」

 

それを見たニソラはルフィが移動するよりも早く、脚を踏み締め、モリアの気づかない程の驚異的な速度で接近すると拳を放った。

 

「一番乗り」

 

「ぐぼべぇ!?」

 

その拳はモリアの顔面に深く突き刺さると鈍い音と共に歯をへし折るとモリアの数メートルもある巨体を壁へと叩きつけた。

 

 

 


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