ONE PIECE サイヤ人の変異体   作:きょうこつ

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すいません…モンハンのゲームや小説書くのにハマってました…。


激突する力

浮遊の群島『メルヴィユ』

 

多くの島が宙に浮く中、その中心に浮かぶ巨大な島に建てられた王宮の横には巨大な浮遊戦艦が停滞していた。

 

キン__キン__キン__

 

その船の奥から大勢の部下を引き連れ金属音を鳴り響かせながら歩いてくる大柄な男の姿があった。

その大男を待っていたのか、部下らしき白衣を来た科学者の1人が駆け寄る。

 

「シキの親分!大変ですよ!侵入者が!」

 

「おぅ。それについてはもう奴に任せてある。すぐに終わるだろ」

 

科学者の報告についてもう聞いているのかシキは取り乱す事なく軽く流す様に答えると葉巻を口から外し煙を吹き出す。

 

「ジハハハ。それよりも良い仲間を手に入れたぜ。お前らの上司となる航海士だ。後で紹介してやる」

 

そう言いシキは上機嫌に笑い飛ばしながら宮殿に続く回廊を歩いていった。

 

「さて、前祝いに一杯やる____ん?」

 

 

その時だった。

 

自身の拠点である宮殿の天守閣が天に向かう一筋の光と共に爆ぜた。

 

 

「「「はぇぇぇぇぇ!?」」」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

聳える天守閣の木片が爆風と共に辺りに散る中、その爆風によって生じた煙の中から二つの人影が飛び出した。

 

 

ドン_!!!

 

ドン__ドン_!!!!

 

 

飛び出した二つの影は黒煙が舞う中、空中で巨大な衝撃音を響かせる程までぶつかり合うと、互いに離れ天守へと着地する。

 

「ぐぅ…!!」

 

1人は全身の服の所々が破れボロボロになると共に仮面の半分が欠け素顔が露わとなり掛けている状態のニソラ。その顔からは完全に余裕が消え去っていた。

 

 

「ほぅ?なかなか強いな。まさかエリート戦士の俺の動きにすぐついて来れるとはな」

 

そして もう1人は目の前の天守の上で腕を組みながらこちらを見つめる無傷の青年。

 

「さて、お前の名前も聞いておこうか。親愛なる我が同族よ」

 

「…!」

 

その言葉にニソラは再び驚きの表情を浮かべる。先程から男の口から出てくる『同族』という単語と腰から伸びる尻尾。自身との共通点が多すぎるのだ。

 

故に疑問に思ったニソラは警戒しながらも尋ねた。

 

「お前…どういう事だ…?俺が…お前の同族…!?」

 

「おいおい。名前ぐらい名乗ってくれよ。それになんだ?お前、まさか自分がサイヤ人である事を忘れちまったのか?」

 

「サイヤ…人…!?」

 

「おいおい。まさかそれすらも知らねえのか?」

聞いたこともない人種を耳にいれてしまったことで思わず口に出してしまう。『サイヤ人』どの本を読んでも記載されていなかった名前だ。なぜ、男がそれを知っているのだろうか?

 

その一方でレビスはニソラが動揺するその様子を見て呆れながらも話し始める。

 

「俺たちサイヤ人は惑星ベジータで暮らしていた戦闘民族だぞ?まぁフリーザって野郎に殆どが殺されたがな。それよりも見る限りお前…尻尾がないようだな。尻尾があるからこそ、満月の夜に俺たちの真価が発揮できるのによぅ?」

 

「サイヤ人……惑星ベジータ…!?」

 

次々と出てくる聞いた事もない言葉に理解が追いつかなかった。だが、彼の話が本当ならば自身は彼と同じ『サイヤ人』という人種でこの星とは別の星で生まれた事となる。

 

「記憶喪失か。めんどくせぇ…まぁいい。ひとまず本題に入ろう」

 

そう言いレビスは手を差し出した。

 

 

「お前、俺の仲間にならねぇか?」

 

「仲間…?」

突然のレビスの提案にニソラは首を傾げる。

 

「俺は今、各星に散らばっているサイヤ人達を探している。星を支配すると共にソイツらをまとめ上げて俺はいずれ新たなるサイヤ人の王となり軍を率いてフリーザをぶち殺す。そして俺が全宇宙の支配者となるのだ」

 

そう言いレビスは口角を吊り上げ笑みを浮かべた。口元の血を拭い取ったニソラはその勧誘に対いして眉間に皺を寄せながら尋ねた。

 

「……仲間にしてそのあとはどうするつもりだ…?」

 

「どうもしねぇさ。お前は記念すべき一人目の仲間だ。フリーザの始末が終わり次第俺の右腕として使ってやる。本来ならこの星を滅ぼしてやろうと思ってはいたが、聞けばこの星には『悪魔の実』という面白い果実があるらしいから、それを食った能力者共を奴隷にし野望の第一歩としてこの星を拠点にしようと考えている。どうだ?いい考えだろ」

 

「……!」

 

レビスの答えにニソラは動揺する。彼は今、能力者を奴隷にすると言っていた。即ちそれは自身の大切な親友であるロビンもその1人となるという事だ。

 

それを理解したニソラの眉間には皺が寄せられると共に怒りが込み上げ爆発する。

 

 

 

「ふざけるな…ッ!!!」

 

 

その言葉と共にニソラの中に蠢いていた警戒心が一瞬で消え去ると共に置き換わる様にして腹の底から怒りが湧き上がり全身からは緑色のオーラが現れ始めた。

 

「そうなれば…ロビンも奴隷って事になるじゃねぇか…!!」

 

能力者全てならば、自身の親友であるロビンも対象である。ロビンを奴隷にする__。そう解釈したニソラは海王類すらも怯む鋭い目をレビスへ向けた。

 

その一方で、レビスはニソラの発言が意外中の意外だったのか驚きの表情を浮かべていた。

 

「ロビン?おいおい冗談だろ?まさかこの星で友達でも出来ちまったのか?」

 

その言動の真意を再び確かめるべくレビスは自身を睨むニソラへ再度尋ねる。ニソラから感じるのは先程よりも増した気と怒りのオーラ。

 

その姿から冗談ではない事を読み取ったレビスは吊り上げていた口角を元に戻すと眉間に皺を寄せる。

 

「いや、冗談じゃなさそうだ」

 

それによってレビスの中に若干ながら残っていた同族への慈悲が完全に消し去りニソラを自身の野望を邪魔する者と見做した。

 

「なら交渉決裂だな。残念だ」

 

その瞬間

 

「…!?」

 

レビスの全身から黒と紫色が混じった禍々しいオーラが溢れだし、辺りの瓦礫を吹き飛ばしていった。

それと同時に発生した豪風は王宮…いや、この周囲一帯を揺らし始めた。

 

そして 禍々しいオーラを纏ったレビスはニソラに向けて手を掲げた。

 

「死ね」

 

「…!」

 

その言葉が聞こえた途端にニソラはすぐさま気を纏うとその場から飛び立つ。自身に向けられたその手から“凄まじい殺気”を感じたからだ。

 

 

するとレビスの手が発光すると共に無数の巨大な気弾が放たれた。

 

「…ぐ…!」

 

自身に向けて放たれたその気弾は軌道を変えたとしても追尾してきていた。避けようとしても向かってくるその気弾の雨の中には避ける程の隙間がない上に今もなお際限なくレビスの手から放たれていた。

 

「(避けるのは難しいな…)」

 

咄嗟にニソラはその場から後ろに向けて手を突き出すと巨大な気弾を生成し向かって来る気弾に向けて放った。

 

「ソラァ!!」

 

放たれた気弾と気弾が衝突しまるで拒絶反応を起こすかの様に大爆発すると辺りを黒い爆炎が包み込んだ。

 

 

「…」

 

発生した黒い煙が目の前の景色を覆う中、ニソラはレビスの気配を探る。

 

 

その時だった。

 

目の前の黒い煙の一点からオーラを纏ったレビスが突き抜けながら現れこちらに向けて拳を放ってきた。

 

「ほらよ!」

 

「ぐぅ!?」

 

回避が出来なかったニソラは突き出された拳を両腕を交わらせるようにして防ぐ。

だが、塞いだ瞬間にその両腕に僅かながらの痛みが走った。レビスの拳自体の威力が今までの敵とは桁違いに高いのだ。

 

そしてその衝撃によって顔を覆っていた仮面が粉々に砕け散り素顔が顕となってしまった。

 

「ほぅ?おいおい。コイツは珍しいな。褐色の肌と白色の髪を持つサイヤ人は見たことねぇぜ」

 

仮面によって隠されていた素顔を目にしたレビスはニソラの特有の褐色の肌と白色の髪を見て驚きの表情を浮かべていた。

 

その一方でレビスの一撃を受けていたニソラはレビスの驚いていた際に生じた僅かな隙を逃さなかった。

 

「ハァァァァッ!!!」

 

「ほぅ?」

 

力を込めるかの様に両手を握り締め身体から久々に内に秘めた気を解放した。ニソラの身体から解放された気は緑色のオーラと化し周辺の瓦礫を吹き飛ばすと共に辺りの空気を振動させ海を揺るがせていった。

 

腕を交差する形でニソラの気の嵐を防いでいたレビスは驚きと共に怪しい笑みを浮かべていた。

 

「コイツは驚いた。戦闘力と気が更に上がってるじゃねぇか……うぉ!?」

 

観察していたレビスに向けてニソラの拳が放たれる。それをレビスは腕で防いだ。

 

「いいパンチだ。だが…グハァ!?」

 

拳を防いだレビスは反撃しようとする。だが、その防がれた攻撃自体がニソラにとって次の攻撃へと繋がる一撃であった。

 

咄嗟にニソラは拳を引くと足を振り上げレビスの顎を蹴り上げた。

 

それによってレビスの身体は空中へと放り出される。それに向けてニソラは音速を軽く超える速さで空中を蹴ると一瞬にしてレビスの上へと移動すると両手を握り締め、鈍器の様に振り下ろした。

 

 

「ぐぅ…!!!」

 

 

「___フッ」

 

 

だが、両腕を振り下ろす直前、レビスは怪しい笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

その瞬間__。

 

 

「ごはぁ…!」

 

今まで感じた事が無いほどの衝撃が腹部から伝わってくる。見ればそこには腹が凹む程まで突き刺さっているレビスの拳があった。

 

「仲間に出来ねぇのは本当に残念だ」

 

その言葉と共にレビスの拳が紫色に輝き出すと共に大爆発しニソラの身体を爆炎の中へと飲み込んでいった。

 

そして爆炎が収まり黒い煙となるとその煙の中から全身に火傷を負ったニソラが煙を纏いながら海へと落ちていった。

 

「じゃあな」

 

 

 

その姿を見えなくなるまで見届けたレビスは振り返り、宮殿へと戻る。

 

 

「さて、宮殿に戻って食糧でも漁る…いや、その前にあのシキとかいうジジイにも消えてもらうとするか」

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

「___!!??」

 

 

この場を…いや、この星どころか周囲の星が集まった天体さえも揺るがす程の超巨大な気が感じられた。

 

その気を感じ取ったレビスは即座にニソラが落ちていった場所へと目を向けた。だが、そこには何もなかった。

 

「ど…どこいきや…な!?」

 

その直後。先程感じた気が背後から感じられた。咄嗟に振り返るとそこには先程葬った筈のニソラがこちらに背を向けながら浮遊していた。だが、先程と明らかに雰囲気が異なっていた。

 

全身から発せられていた気は黒みを帯びた黄緑色に変化し、更に髪も帽子を突き破り腰までの長さまで伸びていたのだ。そして驚くことにその髪はなんと緑みを帯びた金色に輝いていた。

 

 

「な…なんなんだよ…そ____」

 

その姿を見たレビスは冷や汗を流しながら言葉を発するものの最後まで続く事は無かった。その身体が何の前触れも無く粉々に砕け散り、肉片となりながら血と共に海へと落ちていったのだった。

 

 

レビスが落ちていった直後にニソラの髪が一瞬にして元に戻ると共に体から発するオーラも吸い込まれるようにして体内へと消えた。そしてそのままニソラの身体はゆっくりと落下していき、空中に浮かぶ島の一つにある森の中へと落ちていった。

 

 

 


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