ONE PIECE サイヤ人の変異体 作:きょうこつ
あの日 私は全てを失った。
ボタン一つで発令されたバスターコールによって母も博士も友達も。何もかも失った。
私は生きた。
何が何でも死なないように。
「ありがとね。いつも家事してもらって」
「大丈夫です。ご飯ありがとうございます」
そんな私に暖かく接しきてくれる人がいた。けれども
「今日はアンタにお客さんが来てるよ」
「…!!」
手配書が出回った瞬間に裏切られた。
「アイツがいると俺たちも危ないぞ!!」
「クソ!!逃げやがった!!早くアイツを捕まえろ!!」
ただ逃げた。逃げて逃げて逃げ続けた。お腹が空いた時はゴミ箱を漁って捨てられたモノを食べた。
まともな食事なんて数週間に一度程度だった。
手配書が世界中に広まってからは世間は私を害虫であるかのように見た。
「アンタの罪は生きてる事よ!!」
「出てけ!!お前に売るモンは何一つねぇんだよ!!」
行く先々で気味悪がられ、追い出され、時には暴力も振るわれ、
遂には生きる為に方法を選ばないように決心した。
時には騙し、時には囮にし、多くの人々を犠牲にして、足掻いて足掻いて足掻き続けた。
時には海賊にもスカウトされて受け入れ、身を潜めた。
「お前がニコロビンだろ?話は聞いている。雑用で飯くらいは食わせてやるよ」
時には自身の能力を利用して違法組織にも身を置いた。
「16です。何でもします。この組織に置いてください」
けれども、どちらも長くは続かなかった。必ず不幸が降りかかってきた。その度に皆は私に恨みの込もった目を向ける。
そんな時、彼らに出会った。
ルフィ 「おーいロビ〜ン!!あれやってくれよ〜!!手のやつ!」
チョッパー「ロビ〜ン!!俺も俺も〜!!」
サンジ 「ロビンちゃ〜ん!!お茶でございま〜す♡」
ウソップ 「ロビン!どうだ?この装備!」
ゾロ 「おいロビン!寝てる時に鼻つまむんじゃねぇ!」
ナミ 「ロビーン!!これ見て!」
自身を受け入れてくれる仲間に。彼らは私を友達のように思い接してきてくれた。それがとても楽しかった。
彼らを決して死なせたくない。度重なる航海を続けていく中で、そんな思いが芽生える程この一味が気に入ってしまった。
「お前をエニエスロビーへ連行する。従わなければ仲間を皆殺しにする」
CP9からそう伝えられた時 私はもう死ぬ覚悟をした。もう少しいたかった…けれどいたら不幸になってしまう。
死ぬと分かっていながらも私は受け入れた。ここで死ねるなら…もう本望だった。
彼らが辛い目に遭うのはもう見たくない。
だからお願い…皆…私を助けにこないで…。
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「おい何をしている。早く来い」
立ち止まるロビンをCP9のリーダー『ルッチ』は催促する。
「えぇ…」
彼女は頷くと司法の塔へ向かう。もう心残りはない。
願うのは自身と接してきてくれた仲間の無事ただそれだけ。
彼女は前を向くと自身の意思に従い再び『死』への歩みを進めた。