親愛なる我が"赤"の家族へ   作:右京遠江

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長らく間を空けてましたが、久しぶりの投稿です。
エタるつもりはさらさらありませんが、投稿はこれからもしばらくはこうやって長い間をおく事が多くなります。

今回は謂わば説明回です。

設定の変更により、紡の獣眼設定を無くしています。ここで明記するので必ずしも確かめに行けとは言いません。

評価、感想ありがとう御座いました。


幕間 授業風景①

 〇

 

 焔ヶ原学園に限らず豊葦那において冒険者育成校は、決して“冒険者になる道”だけを用意する訳ではない。

 例えば、西の海を進んで行けば辿り着く──西()()()()()()()()()()()──アリネマ大陸の大部分を国土とする国家連合F.S.A.(Federation States of Alinema)では、自由主義を謳って誰でもがそれこそ子供までも自由に冒険者に成れる。──但し全ては自己責任で。

 また、東の海を挟んで存在するユレシアム大陸──通称“中央大陸”──の東部を占める泰江(たいこう)では、冒険者に成りたい者に対しては冒険者に関する事だけや戦闘技術のみしか教えず、結果として冒険者以外の道を完全に潰す事となっている。

 豊葦那では両者の折衷策を採っている。即ち、別界学や別架身学、忌化生学、武器学等冒険者育成校独自の科目も取り扱いながらも、算術や国語、歴史、錬学、物理学等も生徒に教えている。

 理由としては、怪我やトラウマ等の何らかの事情で冒険者を引退した場合、冒険者関連の知識や技術しか持っていなかった場合、その後に就ける職は非常に限られてしまう。一応冒険者関連の職場等もありはするが、そもそもそういった人達の中には冒険者自体に関わる事を恐れる者も一定数は存在する為に、そういった者達が困らない様に選択肢の幅を予め広げておこうと国が判断したのだ。これには育成校を卒業したものの、結局冒険者にはなりたくないとした者への救斉措置という面も存在している。

 ちなみに育成校の教師には教育免許さえ持っていれば一般人でもなれるのだが、育成校全般に物騒なイメージを持たれている為、そういう人種は非常に少数だ。また、引退した冒険者の中で育成校の教師になる者の数も少なく、現役ならば輪に掛けて少ないので、育成校の教師は基本的にマルチタスク、即ち1人で複数科目を受け持つ事も珍しくない。

 授業を充てるコマ数は育成校によって変わるが、焔ヶ原学園では午前中は全て授業で、週2日だけ午後にも1コマあり、後は各自自由活動となっている。依頼等によって午前中の授業を受けない事も認められているが、新入生である全一年生と四年六組は順に半年間と1ヶ月間はそれは認められていない。

 

 ○

 

 別界学。

 

「はいはーい、授業始めるねー。まず最初に言っておくけど、本来なら厳密に言うと“別界学”は“忌化生(テルフィング)学”や“別架身(アバター)学”も含むんだけど、こちとら別架身(アバター)をフルに使って忌化生(テルフィング)どもを討伐するのが主な仕事の冒険者なんだから、学園(ここ)では忌化生学と別架身学(それら)はまた別の授業に分けてるからね。大体の一般校では纏めて授業で扱ってただろうから、皆は授業の準備の際に間違えないように気を付けてねー。

 ──で、本題に入るワケだけど」

 

 現役でありながらも育成校の教師も務める極少数の1人である猛はそこで言葉を止め、笑みを浮かべた顔のまま生徒達を見渡す。

 

「ある程度のサワりぐらいは一般校でもやってる筈だし、復習がてら確認しようか。──じゃあ、暦隻」

 

「え、あ、はい」

 

「アナザーワールドの豊葦那(とあしな)での言い方は?」

 

別天原(ことまがはら)です」

 

「そう正解」

 

 猛が教室の正面に授業用の大判表示紋(サイン・デバイス)を展開する。機能的には人間達が使うものと殆ど同じものであるが、これは契約した微精霊によるものであり、猛のものという訳ではない。強いて言うならば学園のものだ。猛はそれにリンクさせている自前の表示紋を操作して、大判表示紋に“Another Word”と“別天原”の字を2行に分けて表示する。

 

「西央地域やF.S.A(フーサ)とかではアナザーワールドとかAWの表記に統一されてるけど、この国でじゃ新聞とかニュース番組では“別天原”表記にしてあることが多いわね。アナザーワールドだと間延びして言いにくいとかが理由だけど、まあこれはこの国で暮らして行く上では半ば常識になってるわね。学園(ここ)でも“別天原”って言う事も多いから、国外から来た者達は早く慣れてねー

 ──で、じゃあ次、灰空(はいぞら)別天原(向こう)での時間の進み方はどうなってる?」

 

「え、と、こちらの2倍の速さで進んでいます」 

 

「その通り。どちらも共に深夜0時スタートで、()()()が1日経つ内に別天原(向こう)では2日経つわけ。──はい、じゃあ確認はこれで終了するわねー」

 

 そう言って猛は表示紋の画面を切り替える。新しく表示されたのは別天原についての情報だった。

 

「この授業では主に別天原のルールや霊金(OM)の出土地等の地理的なのを中心に教えてくから」

 

 大判表示紋の画面が切り替わる。表示されているのはとある地図だ。上下には海が広がっているが両端は陸地が途切れたようになっている。

 

「別天原はこの世界──根雲郷(ねぐもざと)と隣り合うようにして存在する世界とされてるけど、存在が確認されて長い時間──それこそ2000年以上がたってるけど未だにその全貌は完全に判明してないのよねー。陸面積も海面積も根雲郷より上なのは確か。地図を作ろうにも、高高度まで上昇しても所々が“混沌”に覆われている所為で、別天原が発見されてから2000年以上も経つというのに未だに完全な地図の1つもできない。ただ一応それらしきものは推測と長年の努力で出来てはいるわ」

 

 と、ここで猛が地図の両端を指し示す。

 

「見て疑問に思ったかもしれないけど、ここ、両端が途切れているけど、これで別天原の()()()()だからね。端に当たる所をそのまま進んで行ったら、この反対側に出る。()()()()()()()()。これは聞き覚えがあるでしょう。そう、豊葦那の東の海を進んで行ったら()()()()()()F.S.A.の所に出るのと同じ。地理学的に考えたら間にもっと広大な空間──陸地か海洋かがある筈なのに、転送されているかの様に無理矢理反対側に出現するの。学者達はこの“端”の事を“無終地域”と呼んでるけど、根雲郷にも別天原にも存在する事から両者は実は繋がっているんじゃないかと言う説もあるわ。ただ、この“無終地域”を超える事は移動と言う意味でも知覚と言う意味でも不可能故に検証も出来ていないんだけどね」

 

 呆れた様に溜息をつく。

 

「いやほんと、最高ランクである“霊脈級”の感知系と空間移動系の様々な魔現でも駄目だったって記録に残ってるから、この“無終地域”については誰も確かめる術は無いんだよねー。だからこそ世界に跨って“探耽求究(NoEnd Explor)”なんて言う考察機関なんてものがあるんだけどね。古代──それこそ神代の時代から存在している精霊種(スピリトゥス)竜種(ドラゴン)の中には、これらについて知っている者がいるんじゃないかとも言われてはいるけど、それだって彼等の寿命が長いから言われているだけであって、彼等が確実に知ってるって確証がある訳じゃないしねー」 

 

 ふと、そこまで語っていた猛が懐に手を突っ込む。すぐさま出した手にはペンが1本だけ人差し指と中指に挟まれる形で存在していた。そしてそのまま手首をスナップし、

 

「…………()ってえ!」

 

「くぉーら、響一郎。私の授業で寝るとは毎度ながらいい度胸だな。何だ? また駆動二輪(バイク)屋巡り? んん? いい加減学んだらどうなの?」

 

 ○

 

 別架身学。

 

「はい、じゃあ始めて行くわよー。通常この時間は別天原(ことまがはら)での実践演習が中心なんだけど、時々はこんな風に座学とかになるから。今回の場合は言ってしまえばチュートリアルだから、別天原ではなく根雲郷(ねぐもざと)の方がちゃんと“記録”できて有用だからねー」

 

 大判表示紋が切り替わり、“別架身”という見出しと幾つかの文がその下の並ぶ。

 

「さて、“別架身学”は育成校(ここ)ならではの教科の1つだから、皆は別架身(アバター)については聞いた事はあっても詳しくは殆どが知らないでしょう?」

 

 実際に頷いたのは数人だけだが全体的には肯定の雰囲気だ。

 

「別架身と言うのは豊葦那(とあしな)での表記通り“別天原に架け渡せる身体”──先に平たく言ってしまえば、別天原における私達の“身体(からだ)”ね。別天原(ことまがはら)って正式名称アナザーワールドの名の通り“(アナザー)”と言うだけあって、どうも()()()とは違う世界なのよね。完全に異なっているか否かどうかは色々と諸説あるけど、少なくとも根雲郷(こっち側)から通常の手段では行けないのは確か。別界学でやったでしょう、通常の物質は“渡れ”ないって。で、その“異なった世界”で活動する為にそこでの身体が必要になり、それが別架身ってわけ。ほら、イメージとしてはゲームで操作するキャラクターね。まあ、因果関係としては別架身というものがあったからこそその手のゲームが作られたんだけど、貴方達にとってはそっちの方が馴染みがあるでしょうしイメージしやすいでしょ。じゃ、次行くわよー」

 

 画面が切り替わる。今度はある写真が表示されていた。それは、先端を切り落とされた六角錘が両端に付いた六角柱の形状をした1つの鉱石であった。透度がある事から結晶の1つなのだろうが、白とも虹色とも形容できぬ様な、それでいて無色ともまた違う不思議な色を帯びていた。

 

「これが何か解るー? はい、じゃあ、歴隻(れきせき)

 

「あ、はい、えーと、“別身晶石(アナザークリスタル)”です」

 

「はい正解。じゃ、これの持つ効果は? 間違ってても責めないからそのまま答えて」

 

「……別架身に成る事ができます」

 

「御名答。──そう、別架身になるにはこの別身晶石が必要なの。これを使う事で別架身になれるわけだけど、どうしてなれるかは解っていない、と言うより、これ自体が“別架身を造る”って能力を持った、“宝具(ほうぐ)”の一種だから“()()()()()()()()()納得するしかない”って言った方がこの場合は正しいかな。表示紋と一緒ね。で、これは宝具の中でも俗に言う“天然宝具”だから採取出来て、霊脈の通っている所なら大抵の場所で採れるのよ。ちなみに複数の霊脈が折り重なっている豊葦那では、採取量は世界トップに属してるから覚えておいてねー。地理学の範囲だけど」

 

 一息。

 

「宝具の一種なだけあって大きさは予め統一されてあって大体10センチで重さは普通の水晶(クリスタル)と同じで、規格外に重いって事もない。そして()()()()()()使()()()()()()()()()()()()。一応無理矢理な破壊はできるんだけど、逆に言えば破壊ぐらいしか“変化”させる手段が無いのよねー。あ、勿論これは正規な手段以外での話よ。と言っても、正規の手段でも1個しか無いんだけどね。ちなみに、その無理矢理な方法ってのは一定以上の強い力を加える事。普通に持ち運ぶ分には別に問題無い訳なんだけど、これやると見事に粉々に()()ならないのよ。だから盾代わりにしようって思ってもやめた方が良いわね。コスパの面から言っても普通に盾を使った方が遥かにマシ。──で、正規の手段こと初めて別架身になる時の手順を説明するわね」

 

 画面が切り替わる。今度は動画の様だ。別身晶石を手に持った男の姿が停止した状態で映っている。

 

「手順自体は極めてシンプル。別身晶石を手に持って起動句を唱えるだけ。起動句は【シフトイン】」

 

 映像が再生される。猛の説明通り、男が「【シフトイン】」と唱えると別身晶石が薄く発光し、霧散する様にして消失した。と同時に、男の身体も同様の光に覆われ、すぐに晴れた後には──そのままの何も変わらない姿の男がいた。

 

「これ一見何も変わってない様に見えるけど、ちゃんと別架身になってるからね。別天原にも対応している装備を(あらかじ)め着ていたからそのままに見えているだけ。そうじゃないと丸裸になってしまうからねー。ほら、以前説明したでしょ? 別天原(向こう)には通常の物質は持ち込めないって」

 

 生徒達が頷くのを確認し、説明を続ける。

 

「別身晶石は一度使用すると使用者の“存在”に同化するから、二回目以降は起動句を唱えるだけで“シフト”できる(別架身になれる)のよ。ちなみに、別架身から戻る時の起動句は【シフトアウト】。別天原に入る事や別架身になる事をまとめて“シフトする”って表現するけど、本来は別天原に入る事は含んでなかったのよね。と言うもの、別架身になる事自体は()()()()()()()()重界区域(じゅうかいくいき)には、あくまで別天原に行く為に居なくちゃならないってだけ

 

 ふと、猛が表示紋から視線を外し、皆を見回して言う。

 

「あとこれは他の宝具や魔現の起動句全般に言える事だけど、起動句は必ずしも口頭で唱えなくてはいけない訳じゃないから。念じるだけでも一応は可能よ。ただ、魔現者の、それも赤子の頃から魔現が発生して使いこなしていた人達ならともかく、念じるだけで発動させるのはかなり難しいのよ。その起動句だけを思ってなくちゃならないからね。日頃言葉を発して意志を伝えている者達にとっては、これが結構難易度が高いのよ。特に“王”シリーズとか一部の宝具の起動句はちょっとした短文並の長さだから、とてもじゃないけど言葉にした方が遥かに楽ね」

 

 そこまで話し終えてから「さて」と時間を確認する。

 

「そろそろ時間ね。次回はステータスと戦種(スタイル)を扱うから、しっかり予習して来るように。それじゃあ解散(かいさ)ーん」

 

 ○

 

 忌化生(テルフィング)学。

 

「さて、忌化生(テルフィング)の事だが、“忌化生”と言う表記は豊葦那での古来からの呼び方だ。“忌まわしき生き物”と言う意味だな。そして現在の世界規格での正式な呼び方は“Terrfying Ones(おぞましき者共)”だ。これは西央地域での古来からの呼び方であるが、つまり時代・場所を問わず()()()()への評価は何処も同じと言う事だな。まあ()()()()の姿からしたら当然と言ってもいいが」

 

 顔面の右半分に縦に渡って付いた4条の傷をなるべく隠す様に色の入った眼鏡を掛けた壮年の男が表示紋を操作し、忌化生についての簡単な情報を表示する。

 

「別天原と同様、忌化生についても未だに詳しい生態は解っていない。現在判明している事は、

 食事を必要としていない事、

 生殖で個体が誕生する訳ではない事、

 別天原に広く分布している事、

 ヒトを襲う事、

 既存の生物とはかけ離れた姿をしている事、

 死ぬと“霊晶石”になる事、

 そして何よりも重要な事だが」

 

 そこで一息置く。

 

「別天原の存在にもかかわらず、こちらにも存在可能だという事だ」

 

「最後の項目は冒険者の存在意義にも関わってくる。今日はこの事と、霊晶石に変化する事を取り扱う」

 

「さて、別界学で習う事でもあるが、別天原固有の存在を根雲郷に持ってくる事はできない。両方の世界を互いに行き来させられるものも確かに存在するが、それらにはそもそも片方の世界に固有のものというのは含まれていない。だが忌化生は、何処からでもという訳ではないものの条件さえ満たせば、ステータスを据え置きのまま根雲郷に現れる事ができる。これは別天原での強さを根雲郷では完全に発揮できない人間種からすると大きな不利点だ。C級(ランクC)までなら大体のプロの冒険者で対処できるが、B級(ランクB)以上となるとプロの中でも一部対処しかできなくなる

 ──ではここで問題だ。奴等──忌化生が根雲郷に進入できる条件とは何だ。出席番号20番、答えよ」

 

「え、はい、ええと、じゅ、重界区域(じゅうかいくいき)に入る事です」

 

「正解だ。そう、ヒトが別天原にシフトできる条件と同様、忌化生がこちらに現れるのができる様になるのは重界区域に入った時だけだ。だからこそ奴等のそこへの進入を食い止めるために我々冒険者が存在している。ただまあ、幸いにと言うべき事か、これまでの行動パターンを見るに、どうも奴等は根雲郷への侵入を第一義としてはないようだ。但しだからと言って忌化生討伐を軽視するのは愚の骨頂だ。実際に約200年前、西央地域のとある小国において、中々進入の姿勢を見せないからと忌化生討伐に割く力を減らした結果、何時の間にか大量発生していたD~C級の忌化生に国を滅ぼされかけている。その時は周辺の国が助太刀を出したが、その国はそれから政治的弱者になった。歴史の教科書にも出ているだろうから後で機会があれば確認しておけ。──で、何が言いたいかと言うとだ」

 

 そこで言葉を区切って皆を見渡す教師には、有無を言わせない凄みがあった。

 

「今現在、冒険者の多様性を否定する訳ではないが、冒険者の本分は忌化生討伐だ。その事はくれぐれも念頭に入れておけ。解ったな」

 

「「「「「「はい」」」」」」

 

「結構。では次だ。忌化生は肉体的に死を迎えると、その肉体は“霊晶石”に変化する。霊晶石については完全に知っている者もいるかもしれないが、確認も兼ねて改めて説明しよう」

 

 そう言って教師が画面を切り替える。次に映っていたのは、不思議な色をした石の様なものの写真だった。

 

「霊晶石とは霊脈を流れる霊力(オド)が物質化してできた結晶だ。正確には“純粋な物質化”だが、この違いはこの分野の学者レベルでしか影響しないから、その道も視野に入れている者以外はあまり気にしなくていい。使い道としては霊動輌車(トレイン)等に代表される“霊力炉”備えた機器、装置の燃料だが、そんな事より冒険者であるからには例え戦闘系であっても知っておかなければならないのが、霊水(ポーション)や霊療薬、豊葦那や泰江(たいこう)では治療符の為の原料にもなっている事だ。──何故私が後者を大事と言うのか、その理由が解るか? 間違っていても構わん。何か答えてみよ、出席番号30番」

 

「ええと……生活により結びついているから、です」

 

「どう結びついている?」

 

「……別天原では、倒した忌化生から得た霊晶石を別天原での通貨に換金でき、それによって武器の購入や修復等が可能になります」

 

「予習ができている様で何よりだが、その例ならば、先程述べた両方の世界を行き来できるものの中には霊晶石も含まれているが、()()()で大量に霊晶石を入手して()()()で売って金を得るという事の方がより“生活に結びついて”ないか?」

 

「それは…………」

 

「結構。座ってよろしい。さて、今のは事実ではあるものの私の初めの質問への答えとしては不十分だ。今から私が述べる事がその答えにもなり、同時に2つ目の質問の答えともなる」

 

 画面が切り替わる。今度は横長に区切られた枠が縦に積み重なっており、各々の欄に文が記載されているが上からS,A,B,C,D,Eと割り振られている。

 

「そもそも確かに霊晶石は両界を行き来できるが、全てがそれに当てはまる訳ではない。それが可能なのはある一定以上の質を持つ霊晶石だ。知っての通り、忌化生はランク分けされているが、霊晶石の質もある程度そのランクに比例している。そして、条件に適するのはB級(ランクB)以上の忌化生から得られる霊晶石だ。何故B級以上ではないと駄目なのかという理由は諸説あるが脱線する為割愛する。興味があるならば自分で調べてみると良い」

 

「それで、だ。忌化生においてB級以上となると事前の準備等がそれなりに必要だ。それ故にB級以上の霊晶石を手に入れられたとして()()()で売ったとしても、それで儲かるような場合は一部の強者ぐらいで実質的な実入りはそんなに無かったという事態が殆どだ。全くの無駄と迄は言わないが、むしろ場合によってはこちらで普通に依頼をこなした場合より収益が少ない事態なんてのもありえる為、自発的に霊晶石を換金しようとする事はあまりお勧めできない。無論、依頼によるものの場合は依頼料が別途で発生するから、この様な行為は絶対にするなと言う訳でもないし、個人として言うならば、そんなこと関係なく奴等(テルフィング)を狩って欲しいものだがな」

 

 それから教師は面々を見渡す。

 

「さて、これが答えだ。納得したかな。──次に進めるぞ」

 

 




錬学:化学

ヒトと人の表記を変えているのは意図的です。
ヒト:生物の分類上として人間種や異種族を纏めた表し方。 
人:厳密に区別する意図が無い表記。なので指す対象は場合によっては人間種だったり異種族も含んで居たりします。
 
説明と言ってる割に尻切れトンボ感がありますが、こういう展開は何分不慣れなのでお許し下さい。

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