――アインツベルン城
「やっぱり来なんだか……」
ライダーが略奪した酒樽を囲っているセイバー、アーチャー、ランサーそして『キャスター』を前に彼は項垂れる。
誘う事も出来なかったのだ。当然来る訳が……来れる訳がない。
「あやつとは、殺り合う前に一度腹を割って話してみたかったんだがのぅ~」
ライダーはマスター達が適当に見繕ってきた肴の中で、イカのゲソ焼きを摘まみ、並々と注がれた酒を流し込むように呷った。
「まぁこれも運命!勇者達よ、今この瞬間だけは己らが敵同士であることを忘れ、存分に語り合おうではないか!!!」
「さて、先ずはお前からだ、キャスター」
柄杓を渡しそれを受け取ったジル・ド・レェ。
「是非に問いたい、貴殿が聖杯に掛けるほどの大望とは何ぞ?」
「…………
そうですねぇ既に“叶った”と言えばそれまでですが、そういう答えを求めているわけではないのでしょう。
詳細は私の真名へと繋がりかねないので省かせて頂きますが、私の聖杯への願いは受肉です。」
「ほぉ、余と同じか」
「あのお方の生涯を今度こそ……最後まで見届ける事こそ我が願い」
ジルは柄杓の酒を飲み干してライダーに差し出す。
「そして、神などと……ふざけた盲信に取り憑かれた者達の目を覚まさせるのも吝かではありません。」
「成る程、成る程。」「ハッ」
ライダーは楽しそうに次なる酒を汲み上げ、
アーチャーは面白い物を見るような目でキャスターに顔を向ける。
「じゃあ次はランサー、お前が言ってみろ」
ランサーはライダーからの柄杓を受けとる。
「我が聖杯に掛ける願いはただ一つ。我が主の傷を癒すことだ」
「えらく短いな、もっとこう…自分に対してはないのか?」
「――ない」
ランサーは迷いなくそう告げて柄杓を返す。
「むむぅ……まぁ良いだろう。ならば次は余の願いといこうではないか!」
「――待て」
ライダーが持ち上げた柄杓をアーチャーが咎める。
「何だ、アーチャー。まさか先に語りたいと言うのか?
それならば別に構わないが…」
「戯け、オレがそのような安酒で満足する物か。」
「そうかぁ、この土地の市場で仕入れた内じゃあ、こいつはかなりの逸品だぞ」
「それは貴様が真の酒を知らぬからであろう」
アーチャーは黄金の渦から赤ワインような液体の注がれた金の器を取り出し夜空の月を映して揺らす。
「おおっ」
「最上の酒には最上の肴があってこそだとは思わんか?」
ライダーがそれを物欲しそうに見つめるが、アーチャーはあろう事かそれを真後ろへと放り投げてしまう。
「なぁ、
「
そして、その器を取った者がいた。
宙に飛散する酒を一滴溢さずそれに回収し、婉美な微笑みを浮かべながら庭園を跨ぐ和服美人。
「バーサーカーのマスター間桐揺月。後れ馳せながら宴へ参加したく参りました」
……大人版、揺月のキャラが安定しない
「龍之介っいいですか!神は存在しないのです!」
「でもよぅ、旦那ぁ……」
「存在しません!」