間桐で女はアカンて!   作:ら・ま・ミュウ

27 / 30
アルトリア・キャスターを引いてテンションが上がったので……(気の迷い)


決戦と矛盾

地獄を見た

 

地獄を見た

 

何れ己が至る地獄を見た

 

 

 

 

 

 

「射潰せ!『千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)』『万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)』!」

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)ァァァ!!!」

 

赤き太陽の下で舞う星々の煌めき。

大地を切り裂く大剣が繰り出す地響きと崩れ落ちる家屋。

 

銀色の息吹が空に舞い……

 

「士郎ッ!!!?」「士郎!」

 

その頬を赤い液体がべっとりと濡らす。

 

「あ、あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」

 

止まない血の雨。

赤毛の少年の慟哭はその地においてあまりにも小さく…矮小で、誰の耳にも届かない。

 

 

 

 

 

 

 

アーサー王の宝具の真価は解き放たれた。

『約束された勝利の剣』は対城宝具の威力を誇り先制として時臣邸を含む軌跡上、五十メートルの建造物を跡形もなく消し去り――ただ一人、鬼の形相を浮かべたアーチャーだけがその場に佇む。

 

 

「……痴れ者が、天に仰ぎ見るべきこの(オレ)を同じ大地に立たせるか!その不敬は万死に値する!

そこな雑種よ。最早肉片一つ残さぬぞ!!!!!」

 

 

アーチャーの四方から聖剣・魔剣が撃ち放たれ、セイバーの真名解放時から走り出していたバーサーカーはその飛び出した剣を打ち払い、砕けた剣に代わり侵食を開始する。

 

「…Arrrrrr」

「貴様ァァ……」

 

人類最高の叡知を持つアーチャーはその一時で先ほどまでのバーサーカーの得物が只の鉄細工に過ぎなかった事を見抜き――そして血のように赤い瞳に烈火のごとき炎が宿った。

 

「王の宝物を下賤の分際で簒奪したばかりか、この至高の王を前に玩具(がんぐ)で挑もうとは、どこまでもフザケた真似を!」

 

展開する黄金の波紋の数は先の十倍……いや、それ以上か。

思わず踏鞴踏み避けようとするバーサーカーの挙動すら許さず、あらゆる災や呪の込められた財を撃ち出した。

 

アーチャーの手に掛かればバーサーカーの宝具の真の能力が他者の宝具を強奪する物ではなく、手にした物を宝具に変えてしまうと察するのは容易い事。一見彼には相性の悪い相手にも見えるが、奪えきれない量でゴリ押し、また触れた途端に所有者を蝕む呪いをふんだんに詰め込んだ呪具の類いで埋め尽くしてしまえば話も変わる。

 

風王結界(インビジブル・エア)!」

 

だが、史上の聖剣に纏わせた暴風の嵐がそれらを吹き飛ばす。

ギルガメッシュは直ぐ様、あらぬ方向へ飛び散る宝具を回収するが鎌鼬のように鋭い風の刃が彼の首筋を薄く斬りつける。

 

「アーチャー、お前の首を狙うのがバーサーカー一人でない事を忘れるなよ」

 

「………ほぉ」

 

セイバーの挑発。

彼は指で傷の痕をなぞり、静かにセイバーを見る。

 

「英雄ではなく王として、この(オレ)に挑むかセイバー」

 

「故国の救済の為、貴様には死んでもらう」

迷いのない瞳をして青い英雄は、紡ぎ出す。

 

「最早、私自身が王であることに執着はしない。ブリテンが救われるなら、私はどれ程の外道にも堕ち、どれだけの苦行も受け止めてみせよう」

 

「私よりも相応しき王が存在するなら喜んでその座を明け渡そうではないか」

 

その発言は誰よりも民を思い自らを省みぬ自己犠牲の極みであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フッ、ハハハ。フハハハハハハハハ!!!!!!」

 

英雄王の破顔一笑。

まるでお気に入りの道化が披露する芸の一つがツボに嵌まったような、面白くして仕方がないという思いを体現する他を憚らぬ高々な笑み。

 

「よもや、国に尽くすだの……自らよりも相応しき王なら玉座を明け渡す等と……クッッッ貴様!(オレ)を笑い殺す気か!?」

 

全身を震わせる王は顔を抑え、趣に黄金の波紋から粘土版を取り出すと復興期に極めた速記術を用いて彼女の発言を余すことなく記述していく。

 

「何が可笑しい!!!?」

 

騎士王は叫んだ。

 

「セイバー、これが笑わずしておられぬ物か!」

 

彼は飛行船の上に立ってその記述した内容を読み上げる。

 

『最早、己が王であることに執着はしない。ブリテンが救われるなら、どれ程の外道にも堕ち、どれだけの苦行も受け止めてみせよう。

己よりも相応しき王が存在するなら喜んでその座を明け渡そうではないか』

 

「英雄の矜持を捨て、王である責務すら放棄した貴様は何だ?

――国の奴隷か?平和の為の人柱か?

いいや、違う。戦場で四肢を欠損した一兵にも劣る裏切り者よ」

 

「何!!?」

 

セイバーは心外だと顔を歪めた。

黄金の王は「脆く、儚い、騎士王であった頃の方がマシであった」そう言って、その末路を予言する。

 

それに耳を貸すべきではないのだろう。

だが、その男の放つカリスマや堂々たる雰囲気に圧倒されバーサーカーですら剣を下ろしてしまった。

 

「国とは……元より王を必要とせぬ。

王とは矮小な弱者がすがる存在として祭り上げられた根っからの人柱よ。

 

セイバー、王とはな。どれ程優れた治世を働こうと万年の平和を築こうと、疎まれ、蔑まれ、最後は拒絶される生き物だ。

 

故に王たる者はその滅びを受け入れなければならない。先延ばしにする分には構うまい、しかし(オレ)が見るに貴様は何もかもが終わりを迎えている」

 

「違う」

 

「奴らは便利な道具であり、やがて自らを内から食い破る害虫よ。そんな物に救済など与えてやるな、好きなように弄べばよい」

 

「違う!」

 

「王とは喰う者であり、喰われる者。貴様はそのどちらにも立たず中間に立って国をより良くすると言ったが、自らの理想を体現させる偉大なる王か、救済すべき民か、一体どちらの意見を尊重すると言うのだ」

 

「より正しき道を示した方だ!」

 

「王を殺せば理想を失い、民を殺せば国を失う。そこの何処に救いがある。貴様はどちらをとっても裏切り者以外の何者にもなれやしない」

 

アルトリアはその言葉に唇からぷくりと血の玉が出来るほど強く噛みしめ押し黙る。

そしてギルガメッシュは断言する。

 

「お前の在り方は酷く醜い。堕ちるとこまで堕ちたなセイバー」

 




アルトリア「(……泣きそう)」

時臣「おがッ!?」落石により負傷→リアイア
切嗣「うんっ……近づいたから終わりだな」冷静
士郎「…………」ゴゴゴゴ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。