間桐で女はアカンて!   作:ら・ま・ミュウ

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結末はair

――――賽は投げられた。

セイバーは声音を震わせ、アーチャーは腹をゆすって哄笑する。元々力量に天と地ほどの差があった両者だ。心まで削がれてしまえばその剣の重みは風の息吹を感じさせず、黄金の波紋から覗く無数の宝具は大地が震撼するほどの巨大な魔力を放ち、その唸りをあげる。

 

「……ここまでか」

 

スナイパーライフルから見通すその光景に一筋の希望すら残されない絶望を見た切嗣はそっと銃を地面に下ろす。

 

「令呪を以て命ずる」

 

撤退だ。アイリの犠牲すら飲み込んで結んだ間桐との同盟――相手の宝具を強奪するバーサーカーの能力と万を打ち払うセイバーの宝具を以てしても、あのアーチャーに弓を引く事は出来なかった。

(……数多の宝具に黄金の鎧。

やはり、生前あらゆる財を納めたとされるギルガメッシュ叙事詩における最古にして傲慢俯瞰の王ギルガメッシュ王に間違いないか)

せめてもの救いはアーチャーの真名が割れた事。

それも現状持ちうる最高の手札をさらけ出して攻略不可能という壁が立ちはだかっては元も子もない。

 

(…こんな、こんな物の為に僕は!)

 

衛宮切嗣はアイリスフィールの残り少なく……だからこそ何よりも尊き彼女の命が無駄に消費されたという事実に胃を食い破られるような錯覚を覚える。

激しい感情が胃液の逆流を誘った。

このまま全てを吐き出して泣き叫ぶことが出来ればどれだけ気が楽になったか。

 

『――きっと貴方なら私とイリヤをこの運命から救う事が出来る。例え私が死んだとしてもその想いは貴方の心の中には……』

 

全てを切り捨て冷徹な機械になろうとする殺し屋は思わず膝を屈し、折れてしまいそうになる心にここで死ねばお前は彼女の想いすら無駄にするのだと叱咤し立ち上がる。

 

「――セイバーてっ」

 

――その時である。

 

「令呪を以て命ずる」

 

声がした。声がする方に皆が一斉に顔を向ける。

セイバーもアーチャーも切嗣すらもその舞台の中央に立つ存在に注目を吸い寄せられた。

 

「此度の聖杯……あぁ、そうじゃな。アレは使い物にならぬ。

あらゆる悪の根絶に、何よりも我が真なる悲願に、あの怪物は不純物でしかない。勝手に祓うと云うのなら今回ばかりは貴様に譲ってやろう……」

 

虚空を見上げる細身の体躯にして小柄な翁。

嗄れたその喉仏を揺らし一画の赤い刺青を掲げたその老獪。

 

「馬鹿なっ!マスターとしての資格を放棄するというのか!」

 

まるで全てを諦めたような目だ。

切嗣はその一挙一動を見逃さまいと目を凝らすが、それがフェイントであるようには見えない。

あの間桐臓硯という男は間桐揺月から英霊と令呪を奪いそして、あの女が消費したのか三画ある筈の一画のみその右手に宿っている。

 

令呪の全損とは自己の英霊への対抗手段を失うと共に聖杯戦争への棄権を表す事に等しい。

 

まさか自暴自棄にでもなったのかと思ったが、契約を結ぶ時、その紙面一つからでも抜け目のない策略を覗かせていたあの老人。

 

アイリの話を聞くまでは切嗣も半信半疑だった間桐揺月の死――それを納得させる「始まりの御三家の唯一の存命者」その事実。時計塔の魔術師ともなれば多少の延命も可能とはいえ、三百年近く生き続ける人間がいることなど驚愕でしかない。

腐りゆく肉体や摩耗する魂をどうやって生きながらえたと言うのだ、

魔術協会や聖堂教会にとっては色々な意味で無視しようがない。故にしがらみがあった筈。封印指定・神に仇なす大罪人……それを乗り越え未だに人の世を歩いているのだから、あの間桐揺月を降す事も不可能ではないだろうと納得し、同盟を結ぶ為に向かいあったとき、あの女とは全く別種でありながら底冷える圧力に奴もまた化け物であることを思い知ったのだ。

 

自然と流れる汗は困惑か、それともあの老人がこのような自体になって初めて見せる動きに警戒する息づかいが自然と産み出した物か。

 

「変革せよ。王の過ちを咎め、その穢れなき宝剣を以て暗幕を切り開け」

 

 

 

 

一画の令呪が弾け、黒曜の狂戦士の内に吸い寄せられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間桐臓硯は寸前まで此度の聖杯は己が手中に納めるつもりであった。

本来であれば五次聖杯戦争を最後に計画を進めていたのだが、間桐揺月の誕生によってその計画も大幅な修正をせざる終えない状況となり、彼女がその本性を現にするまでは思いもよらぬ最上の器が手に入ったと悦楽に浸っていたのも一変―――――間桐揺月という少女は生まれながらの虚弱体質であり、高熱を出してはよく分からない事を口走り、血を吐いては悦楽に目元を緩め……ある日を境にそれは落ち着いたが、いつ死んでしまうかも分からなかい少女のせいで必要のない筈のスペアまで用意する手間になった。

 

手ずから産み出し娘のようで妹でもあるという奇妙な縁を持つ少女。

 

今でも思い出す。

ヤツの体内に核を埋め込もうとしたとき、口から炎を吐き出して『どうだ臓硯、火という魔術属性のない私がまさか炎を放つとは思いもよらなかったか?』

体の内に火袋でもあるまいに当たり前のように火を吐くその姿はなんと言ったらよいか。

あれは良い意味でも悪い意味でもこの老骨の心を脅かす。

 

 

「――うむ、見よう見まねでここまでやったがこれ以上手を出せば霊基の崩壊を招くか……」

 

「もしやと思い地下室に戻ったが……貴様ァ」

 

ライダーに焼き払われた間桐邸だが、何よりも土地に馴染み数百年と土の下にあった地下室は魔術的健剛さもあって比較的無事であった。アーチャー討伐という来る野望を前に幾つか必要になるであろう魔術礼装を取りに戻った臓硯であったが――そこにはランサーの亡骸をいじくり回す、間桐揺月の姿があった。

 

どんなドジを踏んだが瀕死の体になって仮の拠点で魔術刻印の自動治癒に身を任せている筈だが、臓硯とて本体は桜の体内の神経に紛れてこの状態は意識だけを飛ばした分霊に近い。

 

儂自身……ヤツを手駒にすることを諦めていないので魔術の教えを授けるなど以ての他。

故に間桐揺月の魔術はそのほとんどが儂の支配系統・魔術書を参考にした自己流が殆どで、唯一蟲蔵に放り込み蟲との親和性を高めさせたぐらいだ。

それだけで三流を脱し一流に手を掛けているのだから今さら、分体の一つぐらいで臓硯に驚きはない。

 

視線と表情では怒気を露にしつつ、どこか呆れかえるような思いを圧し殺して問いかける。

 

「未だアインツベルンの器が人の形を保っていられるのも不可解だと考えていたが、キャスターに限らずランサーの肉体までも利用するつもりか?」

 

大聖杯の起動には最低、五基の英霊が必要となる。

つまり二基欠けたとしてギリギリ足りる。

臓硯は小聖杯が手元にある以上……最後まで闘争に付き合うつもりもなく、六騎分の魔力を使って不老不死を願う魂胆であった。

そうだ。セイバー陣営との結んだアーチャー討伐同盟の真の目的はセイバーかアーチャーその片方の敗退。端からセイバー陣営の味方についたつもりなど微塵もなかった。

 

蟲達に命じて彼女の周囲を囲い脅しつける。

 

「――残念ながら、その推測は的外れだ」

 

臓硯は息を飲んだ。彼がそのような顔をしたのを彼女は初めて見たかもしれない。

彼女は麗らかに笑い手の上に転がすナイフを持ち変え――ランサーの霊体に突き刺す。

ヒラリと揺月を覆っていた布が落ちた。

 

「――その体は?」

 

ブリキの人形のような動きをして揺月を指さす。

それは決してありえないと感情で否定する……けれどもしかすると、本当にそうなのかもしれない。

この女に植え付けられた先入観に男の理性は一抹の感情を抱く。

 

『――汝は、なぜ死にたくないと思ったのか』

 

それを人は恐怖と呼ぶ。

雪のような髪を揺らし天女のような衣を纏う若き日に慟哭を生んだ妖精の幻影。

 

「発想の転換というやつだ。只の造り物とは違いこの体には彼女の記憶がある。この場合、私の思考こそ記録と言うべきかな」

 

長い睫毛が閉じてニヤリと笑う様はとても………偽物には見えなかった。

 

「――お前の反応で確信したぞ。我が魔術は一つの到達点に立った」

 

英霊の肉体が粒子となって解けて幻想的な光景が彼女の背後に展開される。

 

「………………ユスティーツァ」

 

個人で第三魔法を証明し、不老でありながら大聖杯の依り衣となって自我を消失させた冬の聖女。

呆然と呟くその言葉は彼女を本物であると認めた何よりの証拠であった。

 

 

「まぁお前の事だ。この魔術が未だ不完全であることは見抜いてしまうのだろう」

 

立ち尽くす臓硯にそんな皮肉げな言葉を送るユスティーツァの姿をしてユスティーツァの口調で話す揺月。

肉体はホムンクルスであることに間違いはなく、いつの間に鋳造したのやら……過去の記憶を遡ってもこの女が聖杯戦争以前に屋敷を出た記憶などない。

臓硯には検討もつかないが、この状況において一つだけ思い当たる節がある。

 

「死者の人格を憑依させたか」

 

肉体だけならまだしも、その纏う雰囲気が彼女に似すぎていた。

置換魔術の応用では似たような物がある。

最も時計塔の降霊科に属する天才達の中で更に一握りと言われる最高峰の人材が半生を掛けて何人到達出来るかどうかの大魔術だが、この女を見るに成功させたのだろう。

 

「私の起源は『偽る』その点においては抜かりないさ。私の人格こそオリジナルの表面を模写して外側に張り付けているのだから、逆に彼女(ユスティーツァ)(揺月)の真似をしているように見えるだろう?」

 

確かにその細かい仕草さ、言い回しは彼女そのものでありながら間桐揺月のように語る様は、やる気のない模倣を見ているようだ。

 

「…………特質して才能が開花したのは己の根源を知ったからか」

 

「如何にも。魔術の修練は知識になかったが起源覚醒者の記録なら“ここ”にあったのでね。私でも想定以上の結果を得られた事に喜びを隠せないでいる」

 

コツコツと額を叩いて胸を膨らませる。

つくづく抜け目のない女だと思う。

この調子では自身が魔術において後れをとる日も遠くはないと臓硯には確信めいたものがあって、

――それ故、今回の聖杯だけは諦める訳にはいかなかった。

 

五回目になる頃にはこやつは儂の実力を越え、六回目には……こやつの子孫が邪魔をするだろう。

四次聖杯戦争は臓硯にとって最初で最後になるかもしれないチャンスだ。

 

「今回の聖杯は諦めて貰おうか」

 

「断る」

 

ユスティーツァの面影を残す揺月は首を左右に振るう。

存在しない心臓がバクバクと激しく脈を打った。

酷く呆れているようだが、この怒りとも歓喜とも区別がつかぬ感情はなんなのか。

 

「根源に到達するだけならこの世全ての悪を受肉化させても問題はないだろうが、臓硯。お前の願いを叶えた後で、あの怪物をどうにかする手立てがあるのか?」

 

第三次聖杯戦争にてアインツベルンの反則により召喚された第八のクラス『復讐者(アベンジャー)』。そのクラスにて召喚されたそれはこの世全ての悪を集約した拝火教の大神アンリマユの写し身となった一人の少年。

 

彼はとても弱く、その戦いでは早々に敗退したが、清らかな清水に一滴の墨汁が染み込むように……無色だった聖杯の在り方を歪め、勝者の願いを悪意ある解釈により叶える等という歪な願望器となってしまった。

 

仮に間桐臓硯が聖杯に不老不死を願えばあの聖杯は悪意ある解釈によって――多くの犠牲が生まれ、結果、彼が思う通りの願いは叶えられないだろう。

 

「不老不死になったとて、死した星に一人ぼっち……なんて苦行、人間に耐えられる訳がない。

私も根源に到達した後の事を考えればあれを好き勝手されるのは困り物でね。聖杯の浄化こそがバーサーカーのマスターとして参加した真の目的なのだよ」

 

恐ろしい事に臓硯が隠していたアインツベルンのホムンクルス『アイリスフィール』から小聖杯として替えの気かない心臓を現在使っているユスティーツァの物と交換し、天の衣まで偽造したという。

 

「こちらの同意など、初めから求めていないと言うわけか」

 

「――あぁ、魔術師に馴れ合いが不要なのはお前の行動が体現している」

 

かつての宿敵の姿をしてヤツが決して浮かべないような笑みを深める女。

臓硯はこの時ほど、生まれて間もない内に殺しておけばよかったと後悔した日はない。

 

「――そうだな。五次聖杯戦争では私が令呪を受けた場合、お前に譲り、適当なマスターを襲って強奪するというのはどうだろう?」

 

分かりやすいハンデをやる。

そう宣ってみせるが、聖杯戦争は六十年周期に行われる。三年足らずでこれだ。五十七年も与えて果たして自分に勝ち目など存在するのだろうか。

臓硯には……何となくだが、本霊ならいざ知らず聖杯戦争の駒として格堕ちしたサーヴァントが彼女に真っ向から挑み、敗北する予感を禁じ得ない。全盛期の臓硯とて相性にもよるが条件さえ揃えば“可能だった”と声に出していえるのだ。

 

「フンッ、そのような世迷い事に耳を貸すつもりはない」

 

彼は提案をはね除けて必要な魔術礼装を回収する。

 

「―――待ちなさい」

 

「くどいぞ揺月!」

 

思わず睨み付けて怒鳴り声を上げた臓硯。

 

「まだ、先ほどの答えを聞いていないぞ」

 

「ッゥ!?揺月き、貴様ァァァ!!!」

 

そこに居ったのはユスティーツァのような間桐揺月ではなくユスティーツァその人。

ヤツは嫌がらせでもしたいのか直前で自己を手放したのだ。

 

「――随分と老いたな」

 

「……不老の貴様にだけは言われたくはない」

 

少し答えるのを躊躇うように顔を歪めて、憎々しげに臓硯は言葉を返す。

 

「人の悪行をあれほど憎んでいたお前が、まさかそのような姿にまでなって生きながらえるとは」

 

昔この女は不老となった弊害からか時間の感覚が曖昧で、数年前の事柄が先ほど起きたように感じると言っていた。

ユスティーツァにとって、若き頃の臓硯と今の己への変化は瞬きするような刹那の出来事なのかもしれない。

 

「しかし、完全に人格が破壊された私をこれほど再現高く復元してみせたあの小娘……確か、マトウ・ユヅキであったか?

まるで若き頃のお前を女にして見ているようで非常に興味深い体験であった」

 

「あれは魔術師であって人間ではない」

 

「確かに……あの娘には根源到達のその先がない。平凡な魔術師ならば根源を知り神になろうと宣うか―――我々のように人が人であり続ける限り悪行がこの世から根絶させる事は不可能であると云うのなら、第三魔法を世界規模で確立し人類をより高次元の存在へ導くという――いや、話ではアインツベルンを除き、その意思を受け継ぐ者は現代に存在しないのであったか……。

手が届かぬから手に入れたいという欲求は人として理解出来るが、あの我を持たぬ異常性……私に近い物がある」

 

「………………」

 

その言葉に思い当たる節があった。

間桐揺月は魔術師ですらない父の遺伝子と胎盤ほどの価値しかない女の遺伝子から、全くの意図しない偶然によって誕生した神児。この女と妙に似たような生い立ちである。

 

「話が逸れたな。

我が仇敵にして、かつては同じ志と足並みを揃えた者よ。汝は、なぜ死にたくないと思った」

 

「……死とは終点であり、人であり続ける限り抗う事の出来ぬ絶望である。不老の貴様には分からぬであろう、この切望が」

 

「何故、この感情を他と分かち合う事が出来ない。

我らが悲願は全人類の救済である。その中には当然お前も含まれていた」

 

「…………そうであったな」

 

「……?

まさか、忘れていたというのか」

 

「いや、忘れる訳があるまいに、ただ……そうじゃな」

 

臓硯は過去の己を振り替えって吐息を溢した。

人間的な感情など当の昔に枯れ果てたと思っていたが、思えば過去を振り替える機会など蟲の体になってどれだけあったか。

 

「…………………………ヤツの根源到達後の願い次第では聖杯を譲る選択も悪くないのかも知れぬ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間桐臓硯の令呪が消え去り、

直後『彼』の背筋から伸びた2つのワイヤーが激しく火花を散らして黄金の波紋から先を覗かせる宝具に触れていった。

 

「―――何ッ!!!?」

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

パキリ、パキリと不穏な音が彼の周囲で展開し、漆黒の稲妻が駆け抜けたそれらは赤銅色に輝くほど高熱を放って連鎖爆発。

英霊二体を容易に肉片に解するほどの神秘を持った無数の宝具はギルガメッシュの背後で牙を剥き、飢えた猛獣のように彼の背中へかぶり付く。

 

「ガハッ」

 

至近距離のノーガードで受ける核爆発のような力の本流。

飛行船はその一瞬で廃材となり、さしもの英雄王と言えどその直撃を受けては只ですむ訳がなく、全身に火傷と切り傷を負って鮮血を撒き散らし錐揉みしながら地面に落ちていく。

 

アルトリアはその光景に目を見開き、

 

「――アーサー王よ」

 

そして、獣のような雰囲気を潜め、冑を取ったバーサーカーの顏に目を剥いた。

 

「……ランス、ロット」

 

「立てますか?」

 

「あ、ぁぁ」

 

紳士的に手を差し出され、反射的にその手をとって立ち上がるセイバー。

(何故、貴殿がバーサーカーに)

(その力は一体)(狂気から解き放たれたのか)

言いたい事、問いただしたい事は多々あった。

 

「おのれぇぇ……」

 

―――だが、

 

血反吐を溢しながら英雄王は起き上がる。

 

「お互い、確執を残して袂を別った身。つもる話も御座いましょう。ですが、我が王、アーサー王よ」

 

漆黒の騎士はかの王に瞳を細め、温かみのある瞳をして彼女を見た。

 

「我が誓いを再びここに。私は貴方様の剣となり盾となりましょう」

 

形式を省いた騎士の誓い。セイバーは過去の情景とそれを重ねて、たった一つの過ちに気づいた。

 

 

――そうか。円卓は、ブリテンは、私が、私に着いて……。

 

 

彼女が愛し憧憬したブリテンは彼女自身が築き上げたものである。彼女以上にどれほど優れた為政者であっても、それが治めた国が、どれだけ素晴らしくともそれは彼女が愛した国ではない。

 

「…………成る程、視野が狭いのはマスターだけではないという事か」

 

聖剣を再び握る。

風の魔力はそれを覆い、黄金の暴風が吹き荒れた。

 

「雑種ごときがァァァ!!!!!!」

 

「ついて来れますか?」

「無論ですとも」

 

王と家臣は阿吽の呼吸で走り出す。

 

 

ここに騎士王と誇り高き最優の騎士は再誕した。




アイリスフィール「やったわ!切嗣、ここにきてまさかの生存フラグ発生よ!」
切嗣「あっ、僕も泥浴びてないからワンチャンあるぞ!」

アインツベルン城
アハト翁「あの二人死んだよ」大嘘
イリヤ「……」ズーン

ライダー「おぉ、この調子で我が相棒と伴侶と共に虚悪■■■■■を前にして繰り広げた激闘が執筆されるのだな!」
ウェイバー「いや……流石に完結してるんだし次はないだろ。初の五千字ごえの長編。しかも追加描写で色々とボロボロだし」

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