ここはロドス基地内に設置された大浴場。
日々戦闘に繰り出す彼・彼女らにとって、泥汚れを落とし、凝り固まった身体をやわらげる入浴はオペレーター達のささやかな楽しみである。
「アンジェリーナさん、お背中流しましょうか?」
いつも纏め上げているウェーブ掛かった長い髪を下ろし、丹念に汚れを落としているアンジェリーナ。その白い肩を兎の耳を伸ばした少女がとんとん叩いてそう告げる。
「あっリーダー。」
「アーミヤでいいですよ、私のほうが年下ですから。自分の石鹸を使ってもいいですか?」
「じゃあお願いするね」とアンジェリーナは頷き、体に巻いていたバスタオルを外し膝に乗せる。アーミヤは石鹸で泡を纏わせると、ぺたりと小さな手でアンジェリーナの背中に触れた。
「~~ッ!?アーミヤ?な、なんで素手?」
突然の人肌とその感触にぶわっと総毛立ったアンジェリーナは勢いよく振り返る。
「えっと…そういう石鹸なんですよ。それにこんな綺麗な肌をごしごしと荒く洗うわけにはいきません!」
「あはは…私は別にゴシゴシしてもらっても構わないんだけどね」
すりすりとアーミヤの小さな手で背中が拭われていく。…鉱石病になってから人に素肌で触られたのはいつぶりだろうか。その柔らかい感触が、今はとても心地よく感じられた。
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「それでですね、ドクターがあまりにも何も食べないものですから、私が怒ってハンバーガーを口に詰め込んだんですよ。そうしたら…」
「あはは、なにそれー!」
下らない世間話を繰り返すうちにすっかり意気投合してしまったアーミヤとアンジェリーナ。ぺたぺたと泡を塗りたくるアーミヤにも慣れ、ココナッツミルクのような淡い石鹸の香りに包まれリラックスしていた。
「あっ、すみません…」
「え?」
ふと、アーミヤが謝る。アンジェリーナの脚を洗っていた彼女は、その太腿に点在するアメジストのような鉱石に触れて慌てて手を引いた。
「いいよいいよ気にしないで。」
「その…綺麗ですね。私も色んな鉱石病の方を見てきましたが、アンジェリーナさんのはまるで宝石のようで…」
「ふふ…私もささやかな自慢なんだ。ねっ、アーミヤのも見せてよ!私ばっかり不公平だし、お背中も流しますよ~リーダー?」
「え?えっ!?アンジェリーナさ…!」
アンジェリーナは笑いながら、タイルの床に尻もちを着いたアーミヤへ、石鹸片手に迫り来る。
いつの間にやら二人だけになってしまった浴場。戦闘続きの毎日の中で、その時だけは水入らずの平穏を過ごすのだった。