【おはよ】テキサス
チュンチュン
窓の外から小鳥の囀り
朝日の眩しさが瞼の上から網膜を焼く。
いつの間にかベッドで寝ていたのだろうか、毛布の悪魔的な温かさを振り払いつつ枕から頭を離す。
ゆっくりと目を開けると、
「なっ!テキ…」
サスという言葉を慌てて飲み込む。目の前で同じ布団に同衾し、すやすやと寝息を立てる横顔は紛うことなくテキサスだった。
普段は尖った表情を崩さない彼女だが、寝顔は以外にも年相応にあどけない。そして俺が起きた音に反応したのか、ピクピクと頭の上の耳が小さく震える。
「あぁ…おはよ、ドクター」
ゆっくりと身を起こした彼女は、流れる長い髪の毛を肩に掛けると、俺の顔を見てほんの少し微笑むのだった。
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「…それで、任務で疲れていたドクターを部屋に運んだはいいが、私も疲れていて…気づいたらドクターのベッドに体が沈んでいたんだ」
彼女から一通り説明受け、ほっと胸を撫で下ろす。どうやら間違いは犯してなかったようだ。
「そうか…。すまない、こんな汚い部屋で寝させてしまって。…コーヒーでも飲むかい? 朝の日課なんだ」
「いや、今日はエクシアと朝食を摂る約束をしているんだ。では、失礼しますドクター」
そう言って彼女は部屋を出ていった。
昨日は連戦続きですっかり理性を尽くしていた。気を失った自分を運んでくれたんだろう、彼女に感謝だ。
それにしても何事もなく本当に良かった。
そう思いながら、コーヒーを沸かすためポットに水を注いだ。
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「遅れてすまない、エクシア」
「お、きたきた。おはようテキサス。…ん、 首のそれどうしたの?」
先程まで長い髪で隠れていた部分。いつものように、後ろに髪を流したことでそこが露出していた。
「いや、ただの虫刺されだ」
そう言ってテキサスは、首元についた赤い跡を指先ですっとなぞるのだった。
【君の毒】
執務室。
日もどっぷりと沈んだ午後9時。
仕事の殆どを終え、アズリウスと机の上の片付けを終えたところなのだが。
「ドクター、この後用事でも?」
目線を少し下。
フードを取ったアズリウス、特徴的なピンクの髪の毛を束ねていたゴムを外し、サラリと髪を下ろしている。そんな彼女が上目遣いでそう聞いてきた。
「いや、部屋に戻って適当に過ごして寝るだ……む…」
会話の途中に物言わず近づいてきたアズリウスに首に手を回され、そのまま数秒。
「………」
「ポイズンキス…です…」
「…え?…あーっ!なんか凄く眠くなってきたなぁ。これは睡眠毒を食らったかもしれんなー」
「…ふふ、あらあらそれは大変ですわ。私が部屋までお送りして差しあげます」
「うーん、体が思うように動かないなぁ。 痺れ毒も効いてるみたいだ」
「おやまぁ大変ですこと。私がベッドまで運んで全身マッサージを施しますわ」
「ああ、朝まで続くような格別マッサージを頼む」
「私も仕事で節々が凝りました。揉み解して貰えるかしらドクター?」
「もちろん」
俺はすっかり、君の毒に侵されてしまっているようだった。