ポケモン世界でやりたいことやろう。   作:窓風

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3話 「闘争心溢るる閃光」

 

 

 

 

強くなるにはどうすればいいのか。

 

純粋な強さだけではない。闘いにおける技術も磨かなければ強くなれない。

 

ただ木に体当たりしているだけではいつまで経っても強くなれない。

 

私は他のポケモンよりも少しでも強くなりたい。

 

…………私はこれから、何をしていけばいいの?

 

 

 

…………?誰かの声が聞こえる。

 

人間の声だ。それにその手持ちと思われるポケモンの声も。

 

「特訓?」

『そ、とりあえず今は俺相手でいいから少しでも強くなるためにまずはやってみるぞ。』

 

強くなるため…………

 

そうか、指示を出す人間と一緒にいれば、私ももっと強くなれるかもしれない。

 

私の脚は自然と、その声のほうへ歩を進めていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

翌日の朝。気温、風量、雲量ヨシ。本日は晴天なり。

 

「いやぁ気持ちいい天気だ。絶好の旅日和だな。」

 

簡単に旅支度を済ませ、朝御飯までご馳走になってしまった後、ヒカリの両親とハナマさんに見送られてマサゴタウンを後にした。昨晩の件によって少しの間、ヒカリと旅をすることになった。女の子と(ほぼ)2人きりの旅なんて誰もが夢見る状況に出くわした俺は数秒間何が起きているのかわからず思わずOK。そして理解しきる前に見たヒカリの笑顔によって考えるのをやめた。あれの破壊力はダメだ。しまいには旅立ち寸前にヒカリの母さんに「ヒカリのことよろしくね」と耳打ちされてしまった。いやいやいやお母様俺らまだ出会って1日経ってないんですねそうなんですね任せてくださいこの笑顔は守ります。

 

コホン。まぁともかく、無事マサゴタウンを出発して今は202番道路を歩いてコトブキシティに向かっている。

 

「コトブキシティには確かテレビ局とスクールがあったよな?」

「あとはポケッチカンパニーもあるね。」

「ポケッチかぁ!」

 

ポケッチとは言わば多機能つきデジタル腕時計。コイントスやきのみチェッカー、そしてポケモンリストなど様々なアプリが使えるとても便利な道具だ。

 

「最近シンオウで流行り始めたデバイスね。何かのキャンペーン中って聞いたことがあるんだけど……」

「できたらポケッチもゲットしておきたいな。」

 

ヒカリとコトブキシティについての情報を確認しながら整備された道を行く。ただそろそろ休憩を挟んだ方がいいだろう。

 

「そろそろ休憩するか。出発してからずっと歩いてるしな。」

「そうだね。」

 

近くにあったひらけた場所でカバンを下ろし、腰につけたモンスターボールに手を伸ばす。ポンっとボールが開くと、青色の光と共にヒコザルが飛び出す。

 

「よしヒコザル、特訓して身体を動かすぞ。」

「ヒヒッ?」

「そ、とりあえず今は俺相手でいいから少しでも強くなるためにまずはやってみるぞ。」

「え?!ポケモンと特訓って昨日みたいに怪我したらどうするの?!」

 

ポッチャマと交流していたヒカリから驚かれる。

 

「多少はするかもな。ただ野生ポケモンと戦うことはあんまりしたくないんだよな。」

「それはどうして?」

「野生ポケモンは野生ポケモンの生活がある。俺はそこにバトル目的で割り込みたくはないんだよな。ゲットも同じ。」

「じゃあジム戦とかどうするの?ヒコザル1匹でいくつもりなの?」

「それは流石にないさ。仲間だって増やしたい。でもどうせだったらさ、自分の意思で仲間になってくれたやつと旅がしたいと思ってさ。」

「不思議なこと考えるんだね、マコト君は。」

 

俺はこの世界に来てから野生ポケモンに対する考え方を改めた。ゲームならただの電子データだが、今いるこの世界は現実だ。野生ポケモンにだって生きている。ならば自分の意思で仲間になってくれるポケモンと旅がしたい、 さらにはそのメンバーでポケモンリーグに挑戦したいと思ったのだ。

 

なんてことを考えていると、近くの草むらから野生ポケモンがいきなりヒコザルに襲いかかった。身体の半分は水色、もう半分は黒い体毛に覆われた小型犬のようなポケモンだった。

 

「コリンクかっ!ヒコザル大丈夫か!」

「ヒッ!」

 

コリンクの体当たりをかろうじて交わしたヒコザルはコリンクと距離をとる。どうやら野生ポケモンとの戦闘が始まったようだ。

 

「ヒコザル、あのコリンクは見逃してくれなさそうか?」

「ヒッ。」

 

視線はそのまま頷いたヒコザルを見て、気持ちを切り替える。向こうがやる気なら迎え撃つ。

 

「ヒカリとポッチャマは下がってて。ヒコザル、やるぞ!」

「う、うん!気をつけてね!」

「ポッチャ!」

 

ヒカリが下がったのを見るとコリンクから技をしかけてきた。

 

「きゃうっ!!」

「ヒコザル、ギリギリで避けて引っかく!」

 

体当たりで突進してくるコリンクを見てヒコザルに初めて技の指示。おぉっポケモントレーナーやってるわ。

 

「ヒヒッ!!」

「きゃうっ?!」

 

見事に躱して引っかくがコリンクにヒット。体勢を崩したコリンクは転び、ヒコザルは追撃しようとする。

 

「一旦下がって様子見だ!」

「……ヒッ。」

 

性格上追撃したいのだろうが、指示を出して追撃をやめさせる。これからもだが、喧嘩好きな性格を上手く使ってバトルをしていきたい。

 

しかしバトルはもう終わったようだ。

 

コリンクはゆっくり起き上がると交戦の意思はなくなったのか、トコトコと俺のところまで歩いてくるとおすわりをした。俺を見るコリンクの目は何かを決心した力強い目をしていた。

 

「お、どうした?」

「きゃう。」

 

コリンクに目線を合わせた俺は、コリンクの視線の先にモンスターボールがあるのに気がついた。

 

いやまさか、こんな早くに?マジで?

 

「お前まさか、ゲットしてほしいのか?」

「きゃう。」

 

こくりと縦に頷くコリンクを見て驚きを隠せなかった。ヒカリやポッチャマ、ヒコザルも目を丸くしている。

 

「…………そうか。わかった。俺はお前の意思を尊重するよ。」

 

空のモンスターボールを取り出し、コリンクの頭に向けて投げる。コツンっと当たったボールから赤い光が出てコリンクを包むとボールの中へと吸い込んでいく。地面に落ちたボールが何度か揺れると、ボタンの赤い点滅がなくなり、ボールの揺れが収まった。俺にとってこれが思い出深い最初のポケモンゲットになった。

 

「コリンクゲット!出ておいで!」

「きゃうっ!!」

 

ボールを拾って宙に放ると、ボールから白い光と共にコリンクが出てくる。

 

「これからよろしくな、コリンク。」

「きゃう。」

 

返事したかと思ったら俺にすり寄ってきて丸まり寝息を立て始めた。君馴染むの早くない?

 

「……言ってるそばから仲間が増えましたよヒカリさん。」

「こんなあっさりゲットできるなんて……」

「ポッチャァ……」

 

予想外に早いゲットで正直俺も困惑してるが、ボールに入ったってことは俺と旅をする決心をさっきのバトルでしたのだろう。

 

過程はどうあれ、2匹目としてコリンクをゲットできた。最初のジムに挑むにあたって、あと1匹は仲間に欲しい。ただこの『来るもの拒まず』精神であと1匹仲間にできるのかというところだがそれはそれ。

 

まずは無事にコトブキシティに着くのが目的だが、もう少しはこのままでいいだろう。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

今の私が持てる全ての力をのせた技がいとも容易く躱され、さらにはカウンターを食らってしまった。やはりこの自然だけで自分を鍛えるのには限界だったのだ。

 

それだったら。

 

さらなる高みを目指すのなら、この人間のもとで強さを求めてみようじゃない。

 

せいぜい私を上手く扱ってみせてよね、マスター。

 

 

 

fin




「ヒヒー(闘い足りねー)」


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コリンク♀ 特性:闘争心
頑張り屋な性格で昼寝が好き。
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