艦core over the next 作:タータ/タンタル
「まるゆ。提督の仕事、頑張ります」
「ああ。訓練校を卒業して早々だが済まない。人手不足でな」
「まるゆは大丈夫です」
「…ふむ。まぁ、任せた」
「了解しました。隊長、あっ、元帥」
「ふふ、隊長で構わない。ここは正式な場でも無いからな」
「隊長、有難うございます」
「それで、君と一緒に働きたいっていう人が一人いるんだが」
「…構わないですよ。‘また’いろいろお話出来るんですよね」
「ああ。入ってこい」
背後のドアから腰を低くして入ってくる。
髪がズッシリと垂れ、体の大きなまるゆのお友達である。
「サプライズのつもりでしたのに」
「せっかく、隠しておいたんだがなぁ」
「大和さんは隠れるのが苦手みたいですし、提督さんが仕切りに誰かを待っている様子でした。さっきの言葉で確信しました」
「…参ったな。はは、これなら提督として十分だ」
「私ってそんなに目立ちますかね?」
「うーん。背が高いのもそうですが、やっぱり、隊長の大和さんは雰囲気が違うんです」
「ふむ。まぁ、資材が足りていない、あの時から使って来たからな」
「たまーにですけどね」
「でも、いつも作戦に参加する時は笑顔でしたよ」
「それはまるゆも変わらないじゃないか」
「遠征に行くけど、戦う事は殆ど無かったから。ですね」
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ラインアークの近海護衛は日本国が行なっている。
パラオ鎮守府等の海外にもいくつかの拠点を配置、基地の数も今までの倍になった。
しかし、技術的に不安定な面も多く、根幹の艦娘については不明な点が多々ありすぎる。
特に司令官として、赴く人には彼女達と信頼関係を築き、的確な指示をしなければならない。
だが、その人材は手軽には育てることが出来ない。
まして、当の艦娘に対する基礎教育を怠ってはならない。
故に、個々の提督の負担は増えて行った。
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「ホワイトグリント、第四基地に帰還。コネクターを解除。オペレーティングを終了します」
「了解。整備班、整備を行え」
目の前の巨大な兵器、ホワイトグリント。その姿はまさに巨神である。
「今回も大規模な報酬が期待できますね」
「ええ。彼らは企業だけども報酬に関してはしっかりとして居ますからね」
「それでオーストラリアから入電がありまして」
「何?」
「新造ネクストの整備監督を貴方にお願いしたいとか」
「ええ。分かった。今すぐ行く」
「ちょっと、まだオペレーティングが終わったばかりじゃ無いか、休憩した方がいい。あちら側もそれを了承している」
「大丈夫。このくらい。彼らにとって」
「また彼らの話ですか。貴方は普通の人なんです。彼らが化け物なだ
「黙れ。私一人でホワイトグリントごと家出する事ぐらい容易いんだぞ」
「…すみませんでした」
「いや、こちらこそ、ただ、彼らを侮辱する事だけはしないでください」
「は、はい」
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故に大規模と化した鎮守府組織内では、少しずつ腐敗が広まりつつあった。
それは、ラインアークとの協定の先にあったのか、オーストラリア領との協定の先にあったのか、はたまた疲労の先の贅か、どれも定かでは無いが企業の魔の手は悠々と、海の孤島に向かっている。
その事を危惧した日本国政府は秘密裏に元帥直属の特殊部隊を配備。
その噂だけが一人歩きしていた。
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『こちら長門。作戦前に作戦内容の復習をしたい。内容を復唱をしてくれ』
「今回の任務はいつも通り、ネクストによる大陸部東端周辺の偵察です。企業がいつ攻めてくるのか不明な現時点で、この任務は抑止力があると考えられます」
『スタートは?』
「大陸に到着した際にこちらから指示を出します。敵性勢力があれば直ちに攻撃をしてください。健闘を祈ります」
『了解、其方もブリーフィングは以上で良いか?』
「ええ。我々は空母にて索敵、サポートをします」
『宜しくたのむよ。…到着まで何時間だ?』
「あとI時間ほどで軍港に着く予定です。そのまま現地の人の指示を仰いでください」
『ふむ。了解。少し仮眠させてくれ』
「AMSを接続したままの睡眠は危険です」
『あ、そうか、私、寝相が悪いもんな』
「それだけじゃないです。もしも敵が潜伏していた場合、直ちに脱出し、撃破しなければなりませんし」
『分かった。下手したらこの距離でもスナイプ…
「どうしました?」
『緊急出撃許可を。10時の方向、恐らく沿岸に敵影あり。砲をこちらへ向けている』
「は、はい!緊急出撃シークエンスを実行。拘束を解除します」
『ネクスト…いや、プロトタイプか?あのシルエットは』
「な、あのプロトタイプですか⁈」
『なぁ、この船って戦艦の主砲に耐えられるか?』
「え、ええと」
「耐えられます。いえ、耐えて見せます」
『提督か。上々、老神を起動』
「各班に連絡、臨戦態勢、各自衝撃に備えよ」
『相手はコジマキャノン持ちだ、外に出るなよ』
「了解。各班に報告」
『久々のネクスト戦だ。いや、ネクストで無いのか。生憎戦いにもならないが』
「報告、上空を高速で移動するコジマ物体を観測…ホワイトグリントです」
『ふむ、勝機はこちら側に向いたか』
「…でも、なんで今」
『…イレギュラーな事が多過ぎるか』
「長門さん。カタパルトを起動してもよろしいでしょうか?」
『ん?ああ。頼んだ』
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私は恐れている。
全てを知ってしまったから。
全てが幻想と知ってしまったから。