艦core over the next   作:タータ/タンタル

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第一話

『ザッザッ』とグラウンドの灰色の砂の上を踏む音が聞こえる。

外の景色を眺めながら帽子を被り、モニターを見つめる。

目の前に映った初老の男。『元帥』の指示を受ける。

『長門、君に頼みたい事があるんだ』

「なんですか?」

『我々、初の日本製のACについてなんだが、ネクスト機を見たのはお前だけだろ』

「動作チェックだな。分かった」

『話が速くて助かる。明日の10時ごろ、そこのグラウンドにヘリで迎えに行くから、富士の演習場まで来い。確認を頼む』

「了解」

 

ーーーーー

 

「こりゃ、酷いな」

目の前の鉄塊を眺めながら呟く。走行スピードは遅く、火器もただの少し大きめの機関銃であり、小型の戦車に小型のACの上半身を付けたような代物だった。

「そんな事を言うなよ。限りある資材を利用して何とか一つまともに動けるのを作ったんだ」

元帥が困った顔で答える。

「今の技術ではあてにならないパーツがざっと50はあるが、それでもこの性能だ。多少は目を瞑ってくれ」

「…よほど、諸外国に遅れをとったんだな」

「仕方ないさ。資源に乏しいんだもの」

「だからといって無限軌道をくっ付けただけってのはなんだかな」

「…まぁ、それでも凄いよ。いずれはネクスト機に手を出すんだ。はじめの一歩はこんなもんさ。お前だってレベル1の時はそうだっただろう」

「言えてるな。私の後に大和が出来たんだ。凄い成長だった。今回もそうなるだろう」

「報告された性能によるとジェネレーターを内蔵し、その効率は非常に高いらしい」

「ほお、新技術か」

「ああ、コジマ技術にはかなり劣るがクリーンなエネルギーだ」

「ふむ…しかし、なぜコジマを使わない?」

「そりゃ、先見の明さ。少なくともアレを信用は出来ない、結局、次が現れるさ。戦艦、空母、ミサイル潜水艦、そしてACみたいにな」

「それを狙うわけか」

「ああ。今や普通のACにすら簡略化されたコジマジェネレーターを使うらしいが、そんなもったいない事は出来ないからな」

「だが、相手の戦力はこれの数十、下手したら百倍は行くぞ」

「だから、あくまでもこの新技術はサブだ。ネクストを作るのが優先だ。先ずは、AMS適正がある人を見つけなければならないが」

 

ーーーーー

 

「…提督?長門提督?寝てるんですか?」

机に突っ伏し、そこから一ミリも動かない長門に大和が声を掛ける。

「…ん、ああ、今起きた。なに?」

大あくびをしながら、伸びをする。

「富士までいってお疲れみたいなんですが、書類をやらなくていいんですか?」

「…。ああ!やべ。ノルマが終わらないぞ」

慌てて引き出しから書類を出して読み始める。

「企業からの任務依頼がデータ化してる中、書類というのもなんだかなぁ」

「…風流があっていいと思うんですが」

「こんな飾り気のないコピー用紙に風流なんてあってたまるか」

「…ですよね」

少ししょんぼりとした大和を裏目に大量の書類の山を捌いていく。

「平和なのは良いんだが、作戦後の書類は面倒だなぁ。こう、ACみたいに一発でパパッとデータが出れば良いんだが」

「…それ、今の日本では出来ないんでしょうか?」

「…出来るな。そうか、元帥にシステム構築を頼むか。そうとなれば資料作りからだ」

「あっ」

見てはいけない物を見てしまったかのように青ざめた大和が少しずつ距離を取り、執務室から出ていった。

 

「あの目は、…猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら嗤っている目。…遂に、狂い始めてしまったのかしら」

自室に向かいながらあの顔を思い浮かべる。

「…アニメでも見ていましょう」

そう呟き、自室のドアを開けた。

 

ーーーーー

 

日本のACのプロトタイプに当たる『試製AC一型機』は他の企業のノーマルと比べて、非常に貧弱であった。

機能も既存…、過去の戦車に機関銃をくっ付けた程度のものであり、なんら対歩兵兵器と変わらない。

本来、ACにおける利点は、その機動力と臨機応変にパーツや武器を交換できる事にある。

大陸から孤立したこの国に、果たしてそこまで行く技量は有るのだろうか。

 




Q&A

どうして日本は数十年間、企業から無視されていたの?

深海棲艦によって滅ぼされていたと思われていたから。
特に沿岸部には人がいない為、発見するのも難しい。
おまけに資源に乏しく、危険な土地を狙うのは無駄骨になる事が分かっているため、調査にすら来なかった。
また、深海棲艦から発せられる妨害電波の為、電波が繋がらない。その影響で人工衛星もまともに使えない。
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