艦core over the next 作:タータ/タンタル
目立つ赤いネクストが目の前に降り立つ。
鈍い金属音を鳴らし、頭がカクンと下がった。
「なにやら、すごい歓迎ムードだな」
「そりゃ、何年も外の事を知らない子達だからな。私も含め、心が踊ってるんだ」
「俺は動物園の珍獣か?」
「まぁ、そんな所だろう」
「よほど、ヒマと見えるが」
「生憎、ここら辺の海は平和でね」
「大層なこった。降りるまで時間がかかるからな。ヒマだろう」
「だから集まったんじゃないか?」
「ふむ。まぁ、その目を見れば、どうやらその心配も無いみたいだが。はぁ、ま、傷をつけないなら触っても構わん」
「「「いいの⁉︎」」」
「好意に甘えて行ってこい」
ーーーーー
深海棲艦には多くの謎がある。
そして、完全な人型に達したその多くは艦娘と共通した特徴を持つ。
言語を話し、道具を意のままに操り、そして海に脚で立つ。
だが、その目は冷たく、恐怖と孤独…形容し難い意志が宿っている。
ーーーーー
「…どうしたんですか?まるゆさん」
「少し、気になるんです」
「何が?」
「突然、この国に立ち寄るって不自然じゃないですか?」
「…。でも、一応、提督と何度も会った知り合いみたいですし」
「それならいいんだけど。もしも、そうじゃないのなら」
「提督の身が危ない…と」
「ええ。外の企業は信用できないんです」
「どうして?」
「タイミングが良すぎるんですよ。深海棲艦が現れてから、テロ行為に至るまでが、まるで、初めから狙っていたかの様に。…考えすぎかもしれないですし、正確な情報が出て居ないので、明確ではないのですが」
「うーん。そういわれると不可思議な気がしますね」
「それに、ネクストっていうんでしたっけ?あのヤバそうなロボット」
「ええ。既存の兵器を無力化した兵器の先を行く兵器。抑止力としては十分ですね」
「まるで、核兵器を国が縛れない利益を一番に考える企業という個人で所有しているみたいでしょ」
「…そう考えると怖いかも」
「それに、コジマ粒子って、放射線に似た様なものですし」
「…」
「疑うに越した事は無いんですよ」
「成る程」
「まぁ、わざわざ核兵器に乗ってこっちに来たって事は…」
「あ」
ーーーーー
艦娘も深海棲艦もヒトのDNAと一致する。
イ級だろうとヲ級、棲鬼、棲姫、水鬼だろうと結果は変わらない。
故に彼女達は人に酷似している。
…いや、人そのものと言うべきか。
艦娘は過去は同じでも個体により性格が変化する。
それと同等の差異が彼女達を更なる高みへ誘うのだろう。
ーーーーー
「それで?何の用だ?」
「いや、取引をもってきたんだ」
「そりゃ大層な、元帥の場所まで案内してやる」
「そう言えば長門は司令官になったんだっけ?」
「ああ、似合ってるだろう?」
「うむ。立派な感じがするな」
「…それで、用事はなんだ?」
「…だから、取引を持ってきたって」
「目はごまかせないよ」
「…ああそうかい。どうせ全て知ってるか、鎌ををかけようって話か?」
「いいや、どうも気になっただけさ」
「唐辛子の花言葉。知ってるか?俺の名前、エンブレム、機体、全て唐辛子をモチーフにしているんだが」
「…辛い?」
「そんなアホな」
「じゃあなんだって言うんだ」
「辛辣、雅味、旧友」
「ふーん。そうか」
「興味ないのか」
「そうだな。聞く気はないな」
「いいじゃないか、ただの何処かのおばかさんの話だ」
「ふむ。ならそれを聞く良い店があるんだが、行かないか?」
「…ああ、雰囲気は大事だ。だが、あいつら、ほっといて大丈夫か?」
「うーん、保証はしかねない」
「…。まぁいい、話の続きはそのお店に入ってからだ。どんな店なんだ?」
「私と同じ元艦娘が営んでいる居酒屋だ。日本料理を食べていくといい」
「お言葉に甘えて」
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艦娘技術が発達したとは言え、未だに艦娘と深海棲艦に関して不明な点が多いのが現状である。
我々はあくまでも元々できていた基礎の上に家を建てただけなのだ。
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「そして、結局、失ってから大切さに気付いたのさ」
「そうか…。私と同じだな。戦いに出れなくて、始めは嫉妬ばかりだったが、結局残ったのは数えるばかりだ。とても、寂しかったよ」
「やっぱり、長門が居てよかった。似た境遇なのは良いな」
「…なら、光栄だな。しかし、私は100年前の艦だとしても、目の前で泣かれるのはな」
「…ケチ」
「ああ?なんだよその口は」
「男だって泣きたい時があるんだ」
「それは分かるが。どうもなぁ」
「…悪かった。流石に人前で泣くのは良くないみたいだな」
「うむ。誇りを持て」
「そうか、誇りね」
「どうした?急に」
「そんなもの、持ってなかったよ。かわりにコイツさ」
「うん?…!」
「生憎、こうするしか無いんだ。恨まないでくれ」
「拳銃を下ろせ」
「無理だ。あくまでも俺は企業の人間だ。上の話は絶対だ」
「知ってるか?艦娘に生半可な武器は効かない。深海棲艦…お前たちの言うリヴァイアサンと変わらない。だが、既に引退し、解体された者はその限りじゃ無い」
「…。お前まで死にたいって言うのかよ」
「どうだろう?もう‘沈んでる’からな」
「ああ、クソ食らえ」
『ドン』
拳銃から飛び出した弾丸は宙を突き進む。
ーーーーー
かの国は、決断を下した。
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まるゆは賢い