俺たちは昨日決めた時間の十分くらい前に、彼女のいる扉の前に着いてしまった。
「何故戸惑うのです。とっとと入った方がいいでしょう」
「いやさ、もし早すぎて彼女に怒られたら━━」
「貴方はネガティブ過ぎます。流石に…」
「…流石に怒りません」
扉の前での問答で気づいたのか、宮本武蔵から扉を開けてくれた。
「ほらほら、入った入った」
俺たちは彼女に誘導されるまま、昨日と同じ場所に座った。
「さて、昨日は私の世界の佐々木小次郎ってところまで話したのよね」
「はい。そうですね」
彼女の『私の世界』という表現が気にかかった。
まるで、彼女はこの世界を旅をしているような物言いだった。
「ん。なんだか不思議そうな目をしてるわね。勿体ぶらずに言っておきましょう。私は、世界線を移動します。
本当に世界を旅していた。
私は陸奥国いた頃、私は空腹で悩まされていました。
「うぅん」
竹の水飲みを口にして乾いた喉を潤そうと試みる。
しかし、そこからは一滴の水も流れなかった。
ここ数日何も飲んでいない。
「まずいな、この近くに川あったっけ」
いくら見渡しても川は見えず、水の音も聞こえない。
しかも腹の虫が鳴って空腹を告げている。
ここ数日何も食べていない。
このままでは比喩表現ではなく、本当にお腹と背中がくっつく。
というか、あれだけクソ親父を倒すために強くなると息巻いていたのに、空腹餓死するのは余りにも格好がつかない。
まずい、ここは一挙手一投足の消費する気力を考えて行動しなければならない。
まず私は日陰に移動して今の自分の状況を確認した。
乾飯なし、水もなし、辺りに食事が出来そうな店もなし。
あるのは捨てられたであろう、朽ちた寺だけ。
(くそっ、山入る前に準備しとけばよかったなぁ)
今までは私の身ぐるみを剥がそうとする山賊どもを返り討ちにすれば、水や食料を手に入れることが出来たが、ここまで暴れまわると、山賊たちから狙われなくなってしまうようで、奴らと全然会わなくなってしまった。
この前も、山賊の一団を見かけて刀を抜いたが、私を見るなり尻尾を巻いて逃げてしまった。
これは私の過ちだ。今度からはしっかりと準備をしてから山に入ろう。
と、言っている場合ではない。
取り敢えず、あの古い寺に入ってみよう。この蒸し暑さで倒れる前に屋内に入ったほうがいい。
私は千鳥足で境内の中に入った。
中には何十年も人は訪れていないようで、蜘蛛の巣が張ってあったし、所々に穴が開いていたし、庭は雑草だらけだった。
当てもなく彷徨って本堂に入ると、観音様の前にほかほかの食事が捧げられていた。
やけに湯気が立っていて、いい匂いが私の鼻をくすぐった。
ゴクリ…
私は唾を飲み込んだ。
いや、流石にまずい。私は神前に捧げられたものを食べるなんて、そんな罰当たりなことが出来るほど落ちぶれていないはずだ。
いくら極限状態でも、そんなことなんてありえない。
私だって仏道に帰依している。そんな不遜なことが出来るなんて━━━
「いっただっきまーす!!」
どうしてだろう。体が勝手に動いてる。
……
「ご馳走さまでした!」
しょうがない。
だってあんな場所に、不自然に、作りたてのご飯が置いてある方が悪い。
いや、もしかしたらあれは観音様のからの慈悲である可能性さえある。
そう、今までの私の行いを振り返ってみれば分かるはずだ。
親に刃を向けて殺そうとする親不孝。剣士たちとの果たし合い。道中で強盗を倒し、逆に身ぐるみを剥がす。美少年、美少女の観察…。
あれ、私何してんだっけ。
(うわ〜、ろくなことしてない気がする)
私は満腹になりながら境内を出ようとした。
すると、誤って脆いと床を踏んでしまい、足元が崩れ、落下し、私は別の世界に行ってしまった。
「いや、ちょっと待ってください。脈絡がなさすぎるのですが」
俺は思わず、口を挟んでしまった。
第二魔法の真似事は簡単に出来るものじゃない。
「えっと、確かこの目の所為らしいわね。私はそういう、世界を移動しちゃう性質みたい」
……。
もしかしたら、根源や魔法に近づくための1番の近道は、代々研究を受け継ぐことじゃなくて、到達を望まないことなのかもしれない。
「それじゃあ、話に戻りましょう。まずは最初の世界ね」
私が目を覚ますと、そこは山の中だった。
「えっと…ここはどこ?」
いや、さっきも山の中にいたが、ここはあの古い寺の中じゃない。
私は確か、足場が壊れて落ちて…
(まさか、下が空洞になって、転がり落ちたってこと?)
しかし辺りにそれらしき空洞はない。あるのは、季節外れの紅葉と、戦いの声。
(声?)
私は戦いの声がする方へ向かったそれを眺めた。
山の麓で牛車を連れた一団が山賊に襲われているようだった。
どうせなら、私を襲って逆に持ってるものを奪われればいいのに、と思いながら、私は気づかれないように山を降りた。
あれだけ沢山の人を連れられるのは、相当な身分の貴族様の筈だ。
報酬をたんまり貰うことができれば、しばらくは苦労せずに生活できる。
しかし、降りている間に配下の武士たちに山賊たちは続々と倒されていく。
(待って、もしかして、あの人達。全員私以上に強くない!?)
世の中は広いらしく、私はまだまだ未熟者らしい。
あの山賊たちが、まるで紙切れのように四肢が千切れていく。
急いで行かなければ、私の手柄がなくなってしまう。
すると、向かい側から何人か、山賊の残りが弓を携えて飛び出したのを見つけた。
まだ護衛の武士たちは、彼らに気づいていない。
ならばと、私は刀を投げ、弓を引く腕に命中させた。
思わぬ乱入で戦場は一瞬静まる。
「我が名は宮本武蔵!助太刀いたす!」
名乗りを上げながら、行列を飛び越え、残りの山賊を切り倒した。
すると、私の周りを護衛の武士たちが囲んで武器と殺気を向けた。
「何を言うか!女の宮本武蔵なぞいるか!捕らえよ!」
「ちょ、暫く暫く!ただの、同姓同名なだけです!話を聞いてください!」
この時私は『男の宮本武蔵』の存在を知りました。
初めは偶々だと思っていて、私が『男の宮本武蔵』について詳しく知るのは、この次の世界、とある人形師によるお話からです。
え?人形師が気になるの?
まぁまぁ、落ち着いて。
私は疑いは解いて、しばらく傭兵として雇ってもらい、報酬として沢山のお金を貰った後、守っていた姫と面会する機会を得ました。
「面を上げよ」
「ははっ」
私はゆっくりと顔を上げて、守ってきた姫様の顔を見た。
(やばっ、すごい見目麗しい!!何この顔、凶器じゃない!?)
私はしばらく彼女の顔を凝視してしまった。
彼女は幼いながらも気品があって、端正な顔立ちをしていた。
そしてお召し物もとても優雅だった。私は奉公人の人たちから頂いた正装を着ていたが、それも比べ物にならない。
「どうしたのかしら?」
「いえ、お顔が余りにも見目麗しくて見惚れてしまって…」
「ふふ、やっぱり可笑しな人ね。呼んだ甲斐があったわ」
「あの…何故私に御尊顔を見せて頂けたのでしょうか?」
「側近から女の宮本武蔵を雇ったとの話を聞きまして、是非直に話をしたいと思いましたの。そして貴方、旅をなさっているのでしょう?お話を聞かせて」
「はい、私めの駄話で良ければ」
私は自分の置かれた境遇を、あの憎っくきクソ親父と暖かい他の屋敷や村のみんなのことや、私が歩んだ旅路について話した。
「ふふふ、貴方の面白かったわ。それじゃあ、褒美を取らせましょう」
彼女は近くの者に耳打ちして、重そうな刀を持って来させた。
「これは『風』を司るとされる刀です。貴方、刀を数本失ったのでしょう。これを持って行きなさい」
「ええ!いいんですか!?」
「勿論、楽しませて貰ったお礼よ。ずっと倉で眠っていた物だから、遠慮せず貰って」
「…はい!ありがたく頂戴します!」
私はそれを受け取って、彼女の寝殿造の邸宅を後にした。
門を出て、今度はしっかり準備をして山に入り、緑を眺める。
やってきた強盗はこまめに倒して補給。
そんな日々がしばらく続いたある日、私は虚無の穴を見つけた。
これは、私が初めて見た、世界の外へと通じる穴だった。
穴の中は星のような物がキラキラと輝いていて、私はそこに無意識に惹かれて、思わず足を踏み入れた。
私が足を踏み入れると、吸い込まれるように孔に引き込まれた。
私はそれこそ宇宙のような場所を自由落下して、真下にある光に近づいて、包まれた。
そして光が消えると、そこは異世界だった。
「なんじゃここ!!!!」
地面は黒くて、おっきい箱が走っていて、黒い糸で繋がれたら灰色の柱が等間隔に立っている。私は摩訶不思議な物体たちに混乱して足が動かなかった。
「嘘でしょ嘘でしょ」
どうしよう、どうしようと、辺りを見回すして、丁度目近くにあった建物?らしきものが目に入った。
(取り敢えず、あの建物に入ってみましょう。どういうことなのか知らなくちゃ)
「ごめんくださーい」
返事はない。
私はその建物にゆっくりと入って階段を登る。コツンコツン、と足音だけが響いて他には何も聞こえない。
丁度二階に登った時に殺気を感じた。
すぐに剣を抜き、迫る赤い物体を叩き切った。
「勝手に入ってしまってごめんなさい。ちょっと教えてもらいたいことがあって…」
すると、上の階から足音を立てて、大きな荷物を持って肩に赤い猫を乗せた赤い髪の女性が降りてきた。
「急に結界の中に湧き上がるとは、日が出ていて、さらに人目につくところで空間転移か?何のつもりだ?」
「くうかんてんい?妖術とかの類は使ってないわよ」
「妖術か、変わった物言いだな。私を標本にしに来たんじゃないのか?」
「私そんな悪趣味じゃないわよ。教えてもらいたいことがあって来ただけで」
私は自己紹介をしたり、ここまでついた経緯について話したりして、説得しようと試みた。
「お前正気か?私に今の説明されたことを鵜呑みにしろと?私から見たお前は、宮本武蔵を名乗る不審者だぞ」
「そんなに酷いですか!?宮本武蔵って名前が!」
「いや、酷いも何も。お前の名前をつけた親、可笑しいぞ」
「えっと…少しお話してもらっていいですか?」
私は『宮本武蔵という名前』に興味が湧いたので、さらに聞くことにした。
「ああ、いいぞ。どうやら知らないようだからな」
私は彼女としばらく階段で自分がここに来た経緯を話した。
「並行世界への
「何か知ってるんですか!?」
今経験している不思議な事態について知りたかった私は、藁にもすがる思いで食いついた。
「知ってはいるが…ちょっとがっつきすぎないか?」
「ええ、知りたいので」
私のその言葉を聞くと、彼女はニヤリと頰を歪めた。
「分かった。それじゃあ取引だ。話を聞く限り、君は用心棒もやっていたんだろう。ちょっと殺しを手伝って欲しいやつがいる。引き受けてくれるか?」
「ありがとうございます!謹んでお受けします!」
「交渉成立だな。上に上がれ。お前の気になることを話してやろう」
私は彼女の誘導のまま四階に上がって、『そこに座ってくれ』と指示された物に座った。
「それで、どこから話そうか」
「えっと、まず貴方のお名前を聞かせてもよろしいでしょうか」
「ああ、青崎橙子だ」
彼女は手元から小さい管を出して火をつけた。
私はそれをまじまじと見つめてしまった。
「ん?これはタバコだ」
「へぇ、タバコ…」
「話を戻そう。まず、並行世界という概念についてだ」
私は彼女から並行世界の存在、編纂事象と剪定事象の違いについてまず教わり、どういうわけか、私はその並行世界を移動できるということを知った。
「なるほど、それで、私は編纂と剪定、どちらの出身なのでしょうか」
「それは分からん。こっちが聞きたい」
「でも、橙子さんの世界では、男の宮本武蔵が当たり前なんですよね?」
「まぁその通りだが、歴史が歪められて伝えられた可能性だってある。歴史なんて、都合のいい事柄で積み上げられた物と言っていい。男とか女だとか、存在さえも、今を生きる私たちにはこの目で確かめる事なんて出来ない」
彼女はそう言って、腕にある物で何かを確認した。
「そろそろ仕事の時間だ。ついて来てもらおう」
私は、今度は地下の部屋に誘導された。
「獲物とこの世界の常識については、この中で話をしよう。乗れ」
そこにはすごく大きな箱にすごい大きな車輪が付いたものがあった。
私はその大きさに俄然としてしまった。
「ああ、これは車といってな、高速で移動できる代物だ」
「な、なるほど。それでは、乗ります」
私はゆっくりとそれに乗った。
席は固くて、見える景色が違って、かなり違和感があった。
橙子さんが座った方は何だかいろんなものがあるので、不可思議に囲まれた私は、思わず身を縮めてしまった。
「狙うのはこいつだ」
彼女は車を発進させると、懐から紙を数枚取り出して、私へ寄越した。
「私は追われている身でな。ちょくちょく追っ手が来るんだ」
「えっと、さっきの標本がなんとかの奴ですか?」
「ああ。そうだ。できそうか?」
「できるもなにも、あの妖術みたいなのを使うんですよね。…どうかな」
「妖術じゃなくて、魔術なんだがな…。でも、安心しろ。お前には、そういうものを切る才能がある。私のビルに入った時、私の魔術を切っただろう。あの要領だ」
「は、はぁ」
「それじゃあ、よろしく頼むよ」
私は彼女に乗せられるまま、空港という場所に連れられた。
「荷物が沢山を置いてある場所に、帯刀しているスーツ姿の外人がいるだろう」
「あの金髪の男ですね」
私たちは暗くなった頃に空港の近くで一度車を止め、双眼鏡で獲物を確認していた。
「そうだ。やつが標的だ。今から私はお前に魔術をかけて、違和感のない服装に錯覚させる。それで、奴を後ろから殺してくれ。それと…」
「それと?」
(こちらからはこうやって連絡させてもらう)
「わぁ、頭の中に直接…」
(慣れてくれ。それじゃ、よろしく)
彼女は車の扉を開けて、私を外に押し出した。
私は殺気を殺し、何気ない様子で、目標の場所へ向かった。
そして、首を刎ねた。
思ったよりも楽だった。
(待て、まだ終わっていない!)
と思った瞬間に橙子さんの連絡が来た。
私はすぐに首なし死体の方へ目を向ける。
「クソォ!貴様!あの傷んだ赤色の手下か!」
首を切ったのに、その男は切り離された首から声を上げて、物の怪に変身した。
(宮本武蔵、予定が変わった。私もそちらへ行く。弱らせてくれ、トドメは私が差す)
(え、は、はい。分かりました)
私は剣を構えて、変化した外人の様子を伺う。
「コロシテヤル…コロシテヤル…」
相手は刀を抜いてこちらに向けた。物の怪の身長は目測五尺強(約2m)。
筋肉も瞬く間に膨れ上がって、最早、人の形相はしていなかった。
「コノ、『地』を司ル刀デオマエヲ叩キ切ッテヤル!」
「早っ!」
彼は、私が戦ってきた敵の中で、一番の速さで間合いを詰めて、一番の力で刀を振り下ろした。
技術は素人同然だが、彼の身体能力は尋常ではない。まさに、鬼のような力であった。
私はその攻撃をなんとか受け流して、刀を持つ手を断ち切った。
あと少し反応が遅かったら、体が半分になっていただろう。
断ち切られた腕は、トカゲの尻尾のようにうねっている。
鬼はそれを拾い上げて、切断面にくっつけると、切れた箇所が繋がって元通りになった。
「これで終わりか?その貧弱な腕じゃ、俺を殺しきることはできないぞ。女のくせして剣を振るう未熟者が。胸の肉をもう少し腕にやった方がいいんじゃないのか?」
「う〜ん。まぁ、確かに私は女ですし、力では負けますとも。それに私はまだまだ未熟者です。うんうん…舐めてんじゃないわよ。鬼畜生!未熟者とは、お前に一番言われたくないわ!」
私は真っ直ぐに鬼へ向かった。
鬼はニヤリと笑って剣を大ぶりで振り下ろす。
私はその前に彼の足元へ滑り込んで片方の足首切った。
体の軸がずれた隙をついて、片手を切り、鬼が振り向いたところで、両目を切った。
「クソッ、マダマッ」
奴が無駄口を叩く前に喉を切った。
「喋らないで、あなた。私が生きてきた中で一番不愉快」
私は心臓に刀を突き刺し、各所を傷つける。さらに再生していく箇所を続々と切りつける。
「ごめんなさい。私、力弱いからさ。あなたの体を傷つけることしかできないくて、こうするしかないの。ずっと切られて、ずっと痛みに悶えていなさい」
「貴様、ワザト切断シナイデッ」
「うるさい」
また目を切ると、鬼は苦しみ、地べたを這いずり回った。
「おお、まさに怒り心頭だな。宮本武蔵」
いつの間にか、橙子さんが鞄を持って隣に来ていた。
「早く殺してください。もうこいつの声を聞きたくないので」
「そうか。私もだ」
彼女は鞄を開け、中にいる化け物に、傷だらけの鬼を食べさせた。
辺りには、奴の持っていた刀と奴の零した血が撒き散らされていた。
「あー、本当に怒った。こんないい刀が廃れるじゃない。橙子さん、この刀もらいっていい?」
「ああ、構わん。それにしても弱かったな。新人の執行者か、それともゴミを押しつけただけか……」
彼女は早速タバコに火をつけて、煙を吹かした。
「これで、取引は終了だ。後はどうしようか。とりあえず、私の事務所まで送ろうか?」
「大丈夫です。ここで別れましょう」
「そうか、さよならだ、女の宮本武蔵。お前の話はなかなか興味深かったよ」
「ええ、私も楽しかったです。それに、色々教えていただき、ありがとうございました」
私は目の前に別の並行世界に繋がる穴を見つけた。
「ほう、それが、お前の言う、別の世界に繋がる穴か」
「はい。それでは、失礼します」
「ちょっと待ってくれ」
私は、穴の中に飛び込もうとした時に、橙子さんに呼び止められた。
「私の名前を出すとややこしくなることがあり。私の名前を出す時は、人形師、とか眼鏡を掛けた人とでも濁しておいてくれ」
「分かりました!それでは!」
私は今度こそ、虚空の穴に飛び込んだ。
「さて、今日はこのくらいかな。それにしても、この部屋寒くない?」
彼女はうんと腕を伸ばした後、その手で体を摩った。
「ああ、すいません。追い払うので」
俺は懐から除霊の札を出して、壁に貼り付けた。
「え。なにそれ」
「霊を一旦追い払う札です。うちの家は、魔術で霊を使うんですよ。それなので、霊を集めやすいように細工してあるんです。寒くなったってことは集まりすぎたんでしょうね」
「魔術で霊を使うって…君は魔術師なの?」
「はい、うどん屋やりながら魔術師やってます。歴史は二百年くらいの家ですね。その前は武家だっただとか…」
彼女はほう、と言ってしたり顔でこちらを見ている。
「えっと、何ですか?」
「いやいや、魔術を使う武士って、魔法戦士っぽくていいなって」
「…本当に戦国生まれですか?」
「勿論!この知識は、様々な世界を渡ったが故の恩恵なのです」
彼女は腕を組んで、鼻を高くしていた。
「それじゃあ、明日はその様々な世界について聞いてもいいですか?」
「ええ、分かったわ。それじゃあ、また明日〜」
「また明日、この時間に」
消滅まであと3日
↑
(これってあのワニっぽいですよね。ワニブームの後にあと〇〇日系増えましたね。そういうのは大好物なんで沢山見たいですね)
ワニ肉が食べたい。