女武蔵の五輪書   作:新川翔

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後半はギャグです。


風の巻 四日目

「そういえば、大丈夫なの?」

 

俺と従者は時間通りに彼女の部屋に入っていると宮本武蔵さんが話しかけてきた。

 

「どうしたんですか?」

 

「君って学生よね?学校に出なくていいのかなって」

 

「大丈夫ですよ。家の用事で少し休んでも、進級に支障がないようにはしているので」

 

「なら結構、日頃から勉学に励んでいる証拠ね。一道が万芸に通じます。これからも頑張って」

 

「はは、そうですね」

 

「それじゃあ、昨日の話の続きです。私は、ある世界の道端でとある人に会ったのです」

 

 

 

 

 

「私はある世界の相模の四阿で、ある爺さんを見かけた。

この人はかなりの実力者であると、一目見ただけで思った。

家紋を見るに彼は柳生家の人間。

お遊戯のオトメ流と聞いたことがあるが、その実態を確かめたくなった。

 

一目惚れ、という言葉がある。

それのバトルジャーキー版と思ってもらっていい。

強い人を見たら

『この人…強い!戦いたい!』

と頭の中が殺し合いになってウズウズする。

 

旅の中でそんな経験が何度もあったが、あの人と会った時はそのウズウズが大きかった。

きっとこの人はクソ親父に迫るほど強い。

 

そして、鯉口で何気なく誘ってみると、次の瞬間には私の首元に刃が迫っていた。

 

「嘘でしょ!白昼堂々で剣を抜く人がいる!?」

 

私は驚いたが、ギリギリのところで剣を抜いて、何とか首が切られることを阻止した。

 

「ふむ。白昼堂々で誘ったのは貴様であろう」

 

私はそこから何とか彼の一撃を二度も避けて、別世界へと逃げることができました。

そして出会ったのです。私のお……

 

 

 

 

 

「どうしたんですか、急に黙って」

 

俺は高らかに何か言おうとした武蔵さんが、動画が止まったように停止したのを疑問に思った。

 

彼女は俺の疑問も聞こえていないようで、停止したままボソボソ何かを言っていた。

しばらくして彼女のボソボソが終わると、しっかり正座して俺の目を力強く見た。

 

「今から私は語弊を鑑みないで言葉を発します。その言葉を聞いたら容赦なく思ったことを言ってください。なんとかしてその語弊を解きましょう」

 

「はい、どうぞ」

 

彼女は唾を飲み込んで、口を開けた。

 

「…私は、その…私のお天道様に会ったのです」

 

「「なんですと!?」」

 

思わず、俺の従者も一緒に反応した。

というか、誤解して欲しくないなら、恥じらいながら言わないで欲しい。

 

「だから。いい?君たちが思っているような色恋沙汰ではございません!いい、あの子は恋愛感情というよりは、保護、そう!あの子は、ただの、ただの、ただの保護対象です!」

 

「「それはそれで酷い!」」

 

「あ゛〜〜。どうしたら伝わるのぉ!」

 

俺は慌てる彼女をよそに、一度頭を整理してから質問した。

 

「えっと、つまり、その子に入れ込んでると」

 

「そう!それ!多分憧れもある!私が宮本村を出て行く時に、私のことをお天道様だって言ってくれた村人の方々がいるって言ったでしょう。きっとあの人達の感情と同じだと思う」

 

「なるほど…その人の生き様が、

 

 

 

 

 

「ええ。

あの子は、自分から精一杯『正しい人間』になりたがる正義の人でした。

私のやったことは、おおよそ正義の為の行いとはいえず、正義を志して戦いたい、なんて思ったことはないけど、それでも、正義のために正しい人間であろうとする人が大好きだった。

 

その子とは、一度鬼ヶ島出会って、いくつか世界を飛んだ後に再開しました。

私はその世界で、生涯最高の相手と戦うことになるのです。

 

その世界は、ストレンジャーの天草四郎時貞が、日本中を渦中に陥れようとする世界線でした。

 

そこでは大勝負の連続だったわ。一戦目は宝蔵院胤舜殿。操られた後は、ランサー・プルガトリオとか言ってたっけ。良い男だったのですけど、宿業というものを埋め込まれて操られてしまい戦うことになりました。流石、宝蔵院の槍術。相当に苦戦しました。

 

二戦目はアーチャー・インフェルノ、骸は巴御前さん。彼女は弓をよく使うから相性は良いとは言えませんが、なんとか勝てました。鬼の膂力はもう懲り懲りです

 

三戦目はアサシン・パライソ、骸は望月千代女。甲賀三郎の呪を引き継いでいた忍びね。でも彼女、宿業を埋め込まれていなかったらかなり面白い性格してるのよ

 

四・五戦目はバーサーカー衆合地獄、骸の名は酒呑童子そしてライダー黒縄地獄、骸の名は源頼光。生粋の鬼の方は、あの子に同行した小太郎君が相手をしてくれたのですけど、いやぁ、黒縄地獄は強かった。骸が源氏の棟梁ですし、当然といえば、当然か

 

六戦目はキャスター・リンボ。彼、顔は良いのよね。顔は。趣味じゃないけど。また、つまり、顔だけでいいタイプの根っこから先っちょまで全部悪党なヤツです

 

七戦目はセイバー・エンピレオ、これ、私が鬼ヶ島に来る前に戦った柳生家の、柳生但馬守宗矩さん本人ね。彼のおかげで私は奥義の開眼に目覚めたのです

 

アメリカ連合国の時ぐらいは形にはなっていましたが、完全に完成したのはあの一戦でした。そして、その後、漂流者の天草四郎と戦い、我が宿敵、佐々木小次郎と戦ったのです。結果は勝ち。しかし私は力尽き、一度目の生を終えました。

 

あの世界は、私にとってかけがえのないもの。

私ってかなり出会いに関しては恵まれてて、一時的にでも一緒にいてくれた人たちはみんな親切に接してくれました。

 

そして私は死に、英霊となって、第二の生というやつを始めました」

 

彼女は気持ち良さそうに言い切って、手元にある水を飲んだ。

 

「ここで、聞いておきたいことがあるのです。私のここまでの人生を、貴方はどんな風に感じた?」

 

「俺は、貴方の人生はとても魅力的だと思いましたよ」

 

嘘偽りなく言った。

 

「ありがとう。それじゃあ、話の続きです。私は英霊となり第二の生を得て、色々な世界を飛びました。その中の一つに、話に乗せられてスキーさせられる世界線があるんだけど……」

 

 

 

 

 

時代は現代。季節は雪が積もった真冬。

吹雪に巻き込まれて別の世界に移ってしまったらしい私が、道端を歩いていると、とある隻眼の剣士に会いました。

 

「お、貴方良い剣の腕してますね?」

 

唐突すぎて、切り合いの誘いではなく新手のナンパかと思った。

しかし、拡大解釈をすれば剣客同士の勝負の誘い合いも、ナンパと呼べるかもしれない。

 

「ほう、そう言う貴方も、良い腕してますね」

 

私はベルを鳴らすみたいに鯉口を鳴らしまくった。

そして白昼堂々、私たちは剣を競い合った。

 

 

正直、顔も好みでした。というかあの顔、誰が見てもイケメンだと答えるタイプの人です。

しかも剣から伝わる気迫も十分で、きっと好青年なんだろうなとも思いました。

あともう少し若ければ……

でも、私はちょいワルもイケる口です。

え、関係ない?そう…

 

 

その苛烈した勝負の真っ最中だった。

 

「何をしている!?十兵衛!」

 

遠くの方から、誰かの声がした。

その人物はあろうことか、煙を上げてスキーをしながらこちらに近づいてきた。

スキー板の後ろにジェットみたいなものがついてる気もした。

雪がそこらに飛び散っているののが見えた。

 

「ああ、すいません。雪下さん。強そうな剣士を見つけたので」

 

十兵衛と呼ばれた彼は、意識が高そうなメガネを掛け、更にスーツ姿でスキー板を装着している男に驚きもせずに答えていた。

いや待て。

十兵衛という名前と、そして白昼堂々剣を抜く程のバトルジャーキーさ。

別の世界とはいえ、性格が似通っていることもある。

まさか彼は…

 

「あの、名前を聞いてもよろしいですか?」

 

私は少し期待をしながら名前を聞いた。

 

「ああ、僕の名前は柳生十兵衛です」

 

「お前、何故、名乗っているんだ!」

 

十兵衛君が名前を名乗ると、スーツの人が大きな声で怒鳴り始めた。

でもこの人、さっき十兵衛と大声で言っていたような気がする。

 

「いや、雪下さんだってさっき大声で言ってたじゃないですか」

 

十兵衛君もすかさずそこを突く。

 

「…そこはいいんだ」

 

真顔でそんなことを答えないで欲しい。

少しは悪びれて欲しい。

 

「そんなことより雪下さん。この人をちょっとチームに入れてみませんか?」

 

「え、どういうこと、十兵衛君?」

 

「なるほど、貴様と切り合いで互角であるならば、検討してもいいな」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待った〜〜!どういうこと?私抜きで話を進めないで〜!」

 

私が止めると、十兵衛君が私の前で手を合わせた。

しかし、まだ目は人殺しの目であり、まだ勝負は決まっていないと言っている。

どうやら彼は、まだ私と戦いたいらしい。

 

「お願いします。協力してください!報酬もも用意します」

 

いや、別に、断るとか一言も言ってないし。

こんな美少年にお願いされたら断るはずもないですしね!

あの子に会ってから、自分から正義を唱えてみるのも悪くないと思えるようになりましたし、ここは、『報酬なんていらないサ』みたいなキザな台詞を言っちゃおうかな〜。

待って、今の心の声、自分でも引いた。

はは!例え騙されても何とか生き残ってやり返すのが二天一流!

とりあえず、彼とはもっと戦いたいし話には乗ろう!と思った。

 

「分かりました!その依頼、この宮本武蔵の名にかけて、お受けします!」

 

 

連れられた先で、私は彼らのチームについて説明された。

その名も、チーム『ロシアン柳生』。

秘密裏に結成された日本政府のエージェントらしい。

 

スキー板で陸上水上雪上なんのその。

ジェット付きスキーですぐに駆けつけ、日本の恒久的に北方方面を守る防衛集団。江戸初期からの結成で由緒正しきエリート集団、らしい。

 

私は彼らのアジトに案内され、会議室のような場所に入った。

その部屋には偉そうな人たちが足を組み、手を組み、私を試すような目で見ていた。

 

「緊急集会と聞いて来てみれば、なんだ十兵衛、小娘を連れて来たのか」

 

「我々はそれほど暇ではない。手短に言ってくれ」

 

他にも、ご老人たちの目たちが痛いほど刺さる。

この人たち、きっと大真面目だ。

 

「はい。この人は新人です」

 

「「「「「ほう?」」」」」

 

席に座る全員が同じタイミングで声を発した。

 

「どんな選考基準だ?実力か、頭か」

 

「実力です。僕と互角なほどのね」

 

「他には?」

 

「彼女は、所感ですが、相当な経験をしています。これも我々に役立てられるものかと」

 

「なるほど、十兵衛がそこまで言うなら入れてやろう」

 

どうやら、私のロシアン柳生入りが決まったようだ。

組織に所属してしまったが、あの虚空の穴があったら入って逃げようくらいの軽い気持ちだった。

 

「十兵衛君すごいわね。あんな頑固そうな老人たちを説得しちゃうなんて」

 

「いえいえ、彼らは言動以外は意外と柔らかいんですよ。百円で買えるゼリーくらいよそ者には柔らかく、優しいですよ」

 

「へー、そうなんだ」

 

彼は『装備室』と書かれたプレートがある部屋の前に立った。

 

「装備を支給します。まぁ、ただのスキー板とスキーウェアなんですけどね」

 

ジェットが付いているスキー板は、ただのスキー板ではないと心の底から思った。

 

私は三日ほど訓練を積んでスキー板を完全に乗りこなせるようになった。

そして、私が警備に出る日になった。

目的地に向かう同じヘリには、私の他にも十兵衛君と雪下さん、他ニ名が乗っている。

 

 

「いや、すごいですね。武蔵さん。こんなものをすぐに慣れちゃうなんて」

 

「ははは、皆さんが教えるのがうまいからですよぅ!」

 

すると、十兵衛君はあの時の、勝負の目に戻った。

 

「そうそう武蔵さん、あの場所はややこしい場所でして、色んな意味でグレーゾーンなんですよ。ですから死人が出ると面倒でしてね…そこで出た死人は、誰にも迷惑がかからないように、痕跡を残されずに処理されるんですよ」

 

「へぇ……」

 

私たちが互いに穏やかに笑うと、雪下さんが口を挟んだ。

 

「貴様ら、殺し合いなんて止めろよ。身内が殺し合いの喧嘩だとか最悪の面倒ごとだぞ」

 

「「は〜い」」

 

私たちは目的地に着き、身体を戦闘用に切り替えるために深呼吸をする。

 

「さて、始めようか。宮本武蔵、天下一の剣豪の腕。見せてもらおうか」

 

「ええ、もちろん。散々物語の主人公になる天下の新陰流の天才剣士の腕前、楽しみですわ」

 

そこに慌てて雪下さんが走ってくる。

 

「お前たち!何をして…」

 

「じゃあ僕はここにしよう」

 

「じゃあ私はここで」

 

武者震いを抑え、肩の力を抜く、完全にリラックスして、私たちは釣り糸を垂らし始めた。

 

「何をしてるんだ。お前ら!!」

 

「「え、なにって、釣りですよ」」

 

━━━━これは、自分が信じる(竿)を使い、釣れる魚の量を競う真剣勝負だ。

 

「この季節だと……何かいるっけ、十兵衛君」

 

「知りません、ワカサギくらいじゃないですか。秋のシーズンは過ぎてます」

 

「いやいやいや、仕事をしろ。お前らは一体なにをしに来「よし!最初から本気を出すか!見よ!我が二天一流の代名詞!二(竿)流だぁ!!」

 

「なんだとぉ!?二つの竿を使いこなせるだと!?流石の器用さだ!これならば幾万の戦法に対応できるだろう!だが、こちらにもそれ相応の技があるのを忘れないで欲しい!これが、(竿)禅一如(偽)だぁ!」

 

私は驚愕した。

これはまさしく、別の世界の彼の父、柳生但馬守宗矩の技に酷似していた。

 

「なるほど、手に持つ竿は一本。しかし、無念無想の域に入ることで、精神状態を強化し、一の太刀にも匹敵するその一刀で、かかった魚、いや、かかりかけた魚をも強引に針を刺して釣る技か!!」

 

「いや、剣豪ども!仕事しろよぉ!」

 

私たちは三十分間、互いに神経を尖らせて、竿、又は海と対面した。

 

「「クソォ!何も釣れねぇ!!これもみんながスキーでその辺飛ばしまくるからだ!!」」

 

「当たり前だろうが!!仕事しろ!!」

 

雪下さんは私たちに思いっきり怒鳴った。

 

「待ってくれ。雪下隊長」

 

その時、私たちを庇う者がいた。

 

「相手はあの剣豪、宮本武蔵です。競いたくなるのは、剣の道に生きる者として当然です」

 

「いや、俺にはあの剣豪たちはボケ倒しているようにしか見えないんだが…」

 

「お、どうした笠兵衛」

 

十兵衛君は、雪下さんを諌めようとする大柄な男に手を振った。

 

「十兵衛様、お願いがございます。私めを宮本武蔵と戦わせて頂きたい!」

 

彼は寒い大地に頭をつけている。

 

「紹介しましょう、武蔵殿。彼は『ロシアン三兵衛』のうちの一人、柳生笠兵衛だ。こちらからもお願いする。どうか、彼の挑戦を受けて欲しい」

 

「はい!勿論その勝負受けましょう。それで、どんな勝負でしょうか」

 

「はい、それは…」

 

金網と炭、マッチ、その他諸々の準備して私たちは互いに対面した。

 

「焼肉…ですか…」

 

「はい、こちらには、数は少ないですが、様々な牛肉を準備させて頂きました。これから雪下隊長に、次々にこれらの肉を入れさせます」

 

「なるほど、どちらが多くベストな焼き加減の肉を取れるか、という勝負をするわけね」

 

「ご明察です」

 

「でも、ベストな焼き加減、というのは生焼け、こんがりと好みが分かれるはず、そこはどう決めるの?」

 

「ここは、彼女に決めてもらいましょう。三兵衛の一人、柳生七兵衛に!」

 

海の向こうから、仕事をしていたぶかぶかのコートを着ている女の人が到着した。

 

「何で…しょうか…」

 

「七兵衛、確かお前はこんがりと焼けた肉が好きだったな。お前にこの勝負の審判を頼みたい」

 

「…分かりました」

 

彼女は私と笠兵衛が戦うルールの説明を聞いた後、大きな皿を前に置いて簡易イスに座った。

 

「「いざ尋常に…勝負!!」」

 

肉が続々と投下される。

そういえば、雪下さんはもう突っ込まずに無表情に肉を網に乗せている。

まさに無念無想の境地だ。

 

私は両手にトングを持った。

しかしまだ肉は焼けない。私たちは歓談をする余地があった。

ふと、私は相対する彼を見ると、彼は驚愕のモノがあった。

 

「それは…トング?」

 

トング、とは食べ物を挟んで掴む道具だ。

焼肉用のトングは特殊でピンセットのような形状をしている。

だから、私の両手には大きなピンセットが二つある。

だが違う。

彼が持つのは、ただのピンであった。

彼は、ピンで肉を取るつもりか━━━━━━。

 

そして時は来た。

肉が焼ける瞬間、同時に動き出す。

私はあらゆる手を使って肉の焼き具合を確認し、皿に盛る。

 

「な………」

 

私は彼の斬新な肉の取り方に驚かされた。彼は手に持つピンで焼けた肉たちを槍の要領で刺し、皿に盛っている

 

最高速度は私のトング捌きよりも上だ。

 

「まさかこの境地、貴方も指をかけてるというの…」

 

「ええ、十兵衛様には及びませんが…」

 

私たちは、一心不乱に肉を取り、互いを牽制し合い、肉を積み上げた。

 

高速極上焼加減肉争奪戦は私が勝利を収めた。

しかし、一分の油断も許されない勝負だった。

流石天下の柳生。配下でもこれほどの腕を持っているとは思わなかった。

 

「次は…私も…よろしいでしょうか」

 

次は七兵衛ちゃんが勝負を申し込んできた。

 

勝負の内容は早食いだった。

彼女はさらに追加で肉を網を置いて、私の前にストンと座った。

 

「この勝負って、七兵衛ちゃんに不利じゃない?」

 

さっきまで彼女は私たちが焼いた肉を審査をするために、肉を食べていたのだから不平等だと思った。だが、彼女は余裕そうな笑みさえ浮かべている。

 

「お言葉ですが、私にとってはこれで平等というものなのです」

 

「はい、彼女は相当な大食い。いくら剣豪の宮本武蔵とはいえ勝つのは難しいかと」

 

十兵衛君は私の対抗意識を扇動する。

 

「よ〜しのってきた!!ひたすら食べてやる!!」

 

少しの間、二人の女は肉を貪る肉食獣となった。

新免武蔵はあらゆる手を使って、肉を胃に押し込む。

柳生七兵衛はまるで掃除機のように肉を胃に流し込む。

 

勝負はギリギリ私の勝利だった。ただ、吐いた。

彼女の胃はまるでブラックホール。私の会ってきた人物の中で、早食い、大食いに関しては彼女に勝てる者はいない。

恐らく、彼女が胃に何も入っていない状態でこの勝負を始めていたら私が負けていただろう。

 

「クソぉ。まだ気持ち悪い…」

 

「そういえば、どうしてお前らは剣以外で戦っているんだ?」

 

その時、雪下さんが今更疑問を口にした。

 

「「「「だって、ダメって言うから」」」」

 

雪下さん以外のメンバー全員が言った。

 

「なんか…すまん」

 

「それじゃあ、剣で戦っていいか?雪下厳兵衛」

 

「やめろ!その名前で言うのはっ!」

 

「え、兵衛って名前がついているってことは」

 

私は表情を崩す雪下さんを珍しく思いながら追求した。

 

「そうです武蔵殿。彼は『ロシアン三兵衛』の唯一の外家の人間です。それで厳兵衛。戦っても、いいよな」

 

かなり考え込んだ後、雪下さんは、十兵衛君の頼みごとに了承した。

 

「決して殺し合いはするなよ。いいな」

 

「よっしゃ!行くぞ!武蔵殿!」

 

「応とも!」

 

私たちはスキーを付け、水面に向かってジェットエンジンを向けて射出した。

 

陸海空の全環境での戦いはとても新鮮な経験で、私たちは勝負に熱中し過ぎて、迫る吹雪に全く気づきませんでした。

戦闘馬鹿です。すいません。

 

私たちは吹雪に巻き込まれ離れ離れになってしまい、空中で時空漂流(れいしふと)、私は別の世界に飛ばされてしまった。

 

 

 

 

「さて、今日の話はこれくらいにしましょう…か」

 

彼女は窓を見ながら終わりを告げた。

彼女は1日後には消滅する。

サーヴァントは消滅しても座に帰るシステムだ。

だから彼女のようにそれほど深く悲しむことはないと思った。

 

「それじゃあ、また明日」

 

「うん、また明日、この時間で」

 




ロシアン柳生をどう調理しろと。

そして武蔵ピックアップ
ここで引かないともう出る気がしないので
全力で頑張ります。
武蔵ムサシ。
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