幼馴染みがゲームを始めたようなので、やってみた 作:ぼいぼい
恥ずかしさからその場をすぐに去ったスイケンたち。メイプルがAGI低くて全然走れなかったからスイケンがメイプルを背中に乗せるというハプニング(そう思っているのはケンの方だけだけど)もあったが、何とかその場から離れられた二人は、恥ずかしさから中々話そうとしなかった。そんな中、最初に口を開いたのはスイケンだった。
「メイプルってこのゲーム始めてからどれくらいなの?」
そう、彼女の服装は聞いていたプレイ日数とは不釣り合いだと断言できるほどにトッププレイヤー間溢れる黒を基調として赤のラインが入っている格好いい装備だった。それを不思議に思った彼はまず彼女のプレイ日数から聞いたのだ。
「えっと、多分始めてから四日だったと思う。」
「えっ、そんな日数でそんな格好いい装備を手に入れたってことだよね?」
「う、うん。」
「その装備、どうやって手に入れたのか聞いてもいい?出来れば他の人に聞かれなさそうなところがいいんだけど。」
そう言いながら目を輝かせる様子は小さい頃から一緒に居た楓でさえも殆ど見たことが無い興奮っぷりだった。
「ん〜、スイケンならいいか。言うから落ち着いて、スイケン。」
ケンを落ち着かせてから当初の予定を変更して宿屋へと行く二人。勿論、入るときにお金はかかったけれどもメイプルからすればそこまでたいした金額では無く、スイケンにとっても先ほどのモンスターとの戦闘でそこそこ稼げていたため、そこまで高いとは感じなかった。
「じゃあ、私の装備の説明をするね。この装備は【ユニークシリーズ】って言うらしくて、ダンジョンのボスに挑戦したときに一人で最初に倒せた人が貰える物らしいんだ〜。今の私の装備は全部これだよ〜。」
「へぇ〜、それは知らなかった。ってことは、メイプルって
「うん、そうだよ。」
「うーん、ステータスとスキル構成が気になるけど、今度あるって言ってたイベントで戦うことになるかもしれないし聞かないでおくよ。」
「じゃあ、綿の方も聞かない方がいいかな?」
「うん、そうだね。パーティで動くならそれでもいいけど、そうなると大盾装備のメイプルの方が対人戦はポイント獲得しづらいだろうから、申し訳なく思えるし、何より...........メイプルの話を聞いていると各自でやった方がいい気がするんだ。まぁ、別にイベントまで一緒にやるんだったら筒抜けになるかもだけど、隠そうと思えば隠せるしお互い詮索はなしってことで。」
「わかった。じゃあ、しゅっぱーつ!」
「お〜!」
一緒に遊ぶことは決まっていたものの、何をするのかは全く決めていなかった二人。そんな二人はさっきまでスイケンがいた森より少し遠めの森、北の森に行くことに決めた。二人とも、スキルを獲得したいという考えが一致して、更にスイケンにとっては適わない敵が現れたとしても、メイプルが居るため大丈夫で、メイプルにとっては足が速いスイケンに乗せて貰うことで北の森まで行くのにかかる時間が短くてすむというメリットがあったからである。
「じゃ、じゃあこのまま行くよ。しっかり捕まっててね。」
「はーい。」
メイプルの提案によってスイケンがメイプルを背中に乗せた格好で走ることとなったため、背中に何やら柔らかい物が当たって少し緊張しているスイケン。そんなことを考えているとは思いもよらないメイプルは普通通りだった。
「うわぁ、速い!」
「モンスターが出たら任せた!」
「わかった〜」
そして、ほぼほぼモンスターに出会うこと無く森に近づいていたメイプル。ただ、そうそう上手くいくはずも無く、行く手を狼の群れが遮った。
「メイプル、対処できそう?」
「そのまま走り続けて大丈夫だよ。」
「わかった、信じるよ!」
「【パラライズシャウト】!」
メイプルがスキルを発動すると、目の前の狼たちがばたばたと倒れていく。その倒れた狼たちに対して大盾を触れさせると、何故か狼たちが光となって消えていく。
「うわぁ、メイプルって思っていたより強いんだね。」
その言葉を聞いて誇らしげに胸を張るメイプル。まぁ、それで落っこちそうになって慌てていたから威厳とかは全くなかったけれど。
「着いたよ。」
「ありがと〜。よし、頑張るぞ〜!」
意気込んでいるメイプルに対して、スイケンはある提案をする。
「メイプルの強さを見て思ったんだ、今の僕じゃ足手まといだって。」
「でも、一緒にやるって.........」
「うん、そうだね。でも、メイプルも試したいことあるんでしょ?先にスキルとかを手に入れてからの方がいいんじゃない?僕も、イベントに向けてスキルを色々取りたいし。」
「う〜ん.........」
メイプルは少し迷った後、僕の提案を受け入れてくれた。
「じゃあ、私はこっちに行ってるね。スイケンも気をつけて!もし、危なくなったらメッセージで呼んでくれたら駆けつけるから!」
「わかった。自分はじゃあメイプルとは反対方向に行こうかな。また後で!」
そう言いながら、メイプルとは分かれて森の中へと入っていく。
「うわぁ、これは面倒くさいね........」
森に入って最初に遭遇したのは、爆発するテントウムシだった。倒そうと思って近づいたら爆発したから、今はメイプルに『爆発するテントウムシの対処無理っぽいから逃げながらそっちに行こうと思う。』と連絡してメイプルの方に逃げている最中だ。遠距離で攻撃できる手段を持たない自分にとってそういう斬ったときにダメージを与えてくるタイプの敵は相性が悪すぎるんだっていうことを知った。これは結構いい収穫だ、ここに行こうと言ってくれたメイプルには感謝しないと。
考え事をしているケンの目の前にゴブリンが2体現れた。
ただ、ゴブリンであれば倒せるだろうと思ったため、そのまま走る。
「【極限集中】!」
もちろん、一撃で倒すためにスキルを使うのも忘れない。
「ふっ!」
そして、ちょうどゴブリン達の間に空間が出来たのでそこに飛び込んで首の位置で2回転する。すると、ゴブリン達はそのまま光となって消えていった。
《レベルが上がりました。割り振れるステータスポイントが増えました。》
「よし!って立ち止まってられない!速くメイプルと合流しないと!」
立ち止まると爆発するテントウムシに追いつかれる。そのことを思い出したスイケンはまた走り出す。そして、フレンド登録したことでマップに表示されているメイプルの所に向かってひたすら走る。何度かゴブリンに出会ったけれども、数が少ないと言うこともあって十数秒で片をつけてそのまままた走って行く。そして、逃げ始めてから10分程走り続けて辿りついたスイケンはそこで衝撃的な光景を目にした。
「うーん、パチパチしてて何かお菓子みたい〜。でも、見た目昆虫だし、ちょっと抵抗あるなぁ。あっ、前に毒竜も食べてたし今更かな........」
メイプルが爆発するテントウムシを麻痺させて、
「え〜っと、メイプル?」
「
「う、うん。よろしく。」
「【パラライズシャウト】!」
腰に差してある短剣を鞘から抜いて、鞘に戻すときのキンッという甲高い音と共にスキルを発動させるメイプル。すると、追いかけてきていたテントウムシ達がばたばたと倒れていった。そして、麻痺したテントウムシ達の方へ行くと、さっきと同じく食べていく。
「えぇ.............」
テントウムシを食べる彼女を見て信じられないと思うスイケン。ただ、そのまま呆れ続けると言うことは状況が許さなかった。
元々、スイケンがメイプルの所まで辿りついたときには既に近くにゴブリンの群れがいた。そして、さっきのメイプルが上げた声に反応したのか彼らはスイケンとメイプルの方へと一気に押し寄せた。
ただ、この時は見栄を張りたかったのとメイプルがいるという安心感から、恐らく普段だったら言わないようなことを言ってしまった。
「メイプル、一回任せてくれないかな?いつまでもメイプルにおんぶにだっこは嫌だからさ。」
「
「食べてから言って、わからないから.........」
「ん。」
そんなやりとりの後、ケンはゴブリンの群れの中へと突っ込んでいく。
「【極限集中】!はぁぁぁぁ!」
勿論、動きが早くなるわけでも無いけれども、首を出来るだけ最小の動きで斬っていく。本来、いくら急所である首を斬ったからと言ってスイケンのステータスは初期設定の時以降一切割り振っていないため、どうしても一撃で倒すことは出来ないはずだった、
【刀の心得 Ⅰ】
刀を装備時にDEXを1%上げる。
取得条件
刀を用いて一定時間内に敵を一定数倒すこと
【急所への一撃】
急所への攻撃時、STRを3倍にする。デメリット;急所以外に攻撃した場合、10秒間AGIが1/2になる。
取得条件
一定時間以内に倒した敵の数が一定数以上かつすべて急所に当てていること
これらのスキルによって、ゴブリン程度の敵であれば急所に当たれば一撃で倒せるようになっていた。勿論、AGIが高いわけでは無いため首を斬る前にゴブリンが攻撃してくることもあった。そのため、何度か攻撃が当たりそうになったけれども【極限集中】のおかげでそれも見えていたため、ゴブリンからの攻撃は全て紙一重で避けていった。その結果、ゴブリン十数体を一人で倒すことに成功した。
「お疲れ〜」
「倒せて良かった.....」
そう言いながら、二人はハイタッチをする。その後、二人はすぐにスキルを手に入れたのか確認する。
「スイケンの方は新しいスキルあった?」
「無かった。そっちはどう?さっきモンスターを食べていたみたいだけど.......」
「う〜ん、まだ新しいスキルは無い、かな。」
そして、一通りお互いに手に入れたいスキルの確認をした後にケンの方から提案をする。
「あのさ、僕ははゴブリンと戦う方がいい。それで、メイプルはバクハツテントウを倒せればいいんだよね?だったらさ、二人で別々に動くんじゃ無くて、二人一緒に動いて、バクハツテントウはメイプルが、ゴブリンは僕が倒すっていう感じでやらない?」
「いいよ〜!」
そうして、結局二人一緒に動くことになった。