「ヒノアラシか!いいセンスだね。それじゃあ、これを」
博士はそう言って、モンスターボールをくれた。
「これをヒノアラシに見せて、ヒノアラシと対話してごらん。ヒノアラシが応えてくれたら、晴れて二人はパートナーだ」
なるほどね。
俺はヒノアラシに語る。
「ヒノアラシ!僕はこのメン地方で...いや、世界で一番のポケモントレーナーになる男だ。そのためのパートナーとして、一緒に来てくれないか!?」
「...…ヒノー!」
ヒノアラシは、俺にゆっくりと近づき、何故か俺の頭に登った。
「...すごいね、レンくん。このヒノアラシはおくびょうな個体なんだけど、ここまで懐くなんて」
博士も驚いている。
俺も不思議だと思うけど……何よりこのヒノアラシ、可愛すぎる!
「博士、ありがとうございました」
「これから君の伝説が始まろうとしているみたいだ。そうだな...まずはチグサタウンに行くといい。ここから北へ真っ直ぐだ。そこからナンドシティまで列車に乗って、各地のポケモンジムにチャレンジするんだ」
「わかりました」
「あ、それと、これも渡しておこう。はい、モンスターボールを5つと、ポケモン図鑑、それに、ジムチャレンジャーの証である『チャレンジャー手帳』もね。これがあれば、この地方の列車には乗り放題だよ」
「ありがとうございます。必ずチャンピオンになってみせます!」
「なに、気楽にいけばいいさ。ジムリーダーだって、結構適当な人がいるからね。まあとにかく、ポケモンを信じること。ポケモンがいれば、僕たちはどこにでも行けるんだ!」
【!?】
「えーと...まずはチグサタウンか...」
「ヒノー」
あれからヒノアラシは俺の頭の上にいる。
…ぶっちゃけ、重い。
「なあヒノアラシ、お前体重8kgくらいあるだろ。重いよ」
「ヒノー」
「モンスターボールに入ってくれないか?」
「ヒノー」
ヒノアラシは首を横に振った。
ポケモンは気まぐれだ。やれやれ。
突如、謎の少女の声が響いた。
「あーっと、そこのトレーナーさん、どいてください!」
「え?って、うわ!」
俺はよそ見をしていて、その少女にぶつかってしまった。
しまった。謝らないと…。
「す、すいません、前見てなくて...」
「い、いえ...それよりあれを...」
少女が指を刺したその先に、狂暴そうなキリキザンの姿があった。
わあ…キリキザンとは……たまげたなあ。
少女は言う。
「私、あのキリキザンさんに襲われちゃって...私のヒトツキさんじゃ手も足も出なくて...おねがいします、トレーナーさん!」
お願いされちゃったよ。困ったよ。でも…この娘結構可愛いじゃないか。断れないし、どっちにしてもあのキリキザンさんが見逃してくれるとも思えないなあ…。
「お願いしますと言われても...ヒノアラシ、いけるか?」
「ヒノー!」
どうやらヒノアラシはやる気らしい。
…やるっきゃねえか!
「よっしゃ!俺とお前のデビュー戦だ!ヒノアラシ、ひのこ!」
「ヒノー!」
【ヒノアラシのひのこ!】
「ザンッ」
【キリキザンにはまったく効いていない!】
やばいっ!
「ザンッ!」
【キリキザンのきりさく!】
「ヒノー!ヒ、ヒノー...」
【ヒノアラシはたおれた】
「ヒノアラシ!おい、しっかりしろ!」
なんだよこいつ…!こんなやつが最初の相手だなんて聞いてないぞ!
あぁ、しかもキリキザン、なんか溜め始めてるじゃないか…!あれ…「はかいこうせん」とかじゃないよな…?キリキザンはCよりAの方が高いとかいうツッコミをしてる場合じゃないし…!
と、いきなり男の声が響いた。
「ガバイト、インファイト」
謎の少年が現れ、ガバイトを繰り出した。
「バイッ!」
【ガバイトのインファイト!】
「キザッ...」
【こうかは ばつぐんだ!】
【キリキザンは倒れた】
なんだあのガバイト…次元が違う……。
あっ、お礼を言わないと。
「あ、ありがとう...きみ、強いな」
「強いな、じゃねえよ。そっちの女子はともかく、お前はトレーナーだろ!?なんで勝てねえんだよ!」
なんかキレられた…。
「え...?だって俺、さっきこのヒノアラシを貰ったばっかりだし...」
「ポケモンを手に入れた時点で、お前は立派なポケモントレーナーなんだよ!つまりだ、ポケモンに対する責任ってもんがあるだろうがっ!」
「え、えーと」
「これだから弱いトレーナーは嫌いなんだ」
その少年はそう吐き捨てると、ガバイトをモンスターボールに戻し、駆けていった。
えぇと…あっ、ヒノアラシを回復させないと。
「あの、さっきはすいませんでした。私、アイリっていいます。草むらを歩いていたら、急にあのキリキザンさんが飛び出してきて...」
ふむ。この少女はアイリというのね。
年齢は…俺と同じくらいかな。薄茶色の髪で、ボブが可愛らしい。…ちょっと可愛いかも?
「いや、こちらこそ、何もできなくて...」
「とにかくポケモンを回復させないと...近くにポケモンセンターはありますか?」
「...ポケモンセンターはないけど、博士の研究所に持っていけば...」
【!?】
「ごめんごめん、そのキリキザンは僕のポケモンだ。人間に虐待されていたのを保護していてね、人間に対して強い恨みをもっているんだ」
ワタケ博士は俺とアイリのモンスターボールを回復装置にセットしながら言う。
「あの、ガバイトを使うトレーナーが助けてくれたんですけど...」
俺は博士に問う。
「あぁ、ルドルフくんか。彼にはさっき、ナエトルをあげたところなんだ」
「え?彼はガバイトを持っていましたよ?」
「あのガバイトはね、僕が彼に貸しているんだ。メンで一番強いトレーナーになったら返してくれるんだって。でも、正真正銘自分のポケモンが欲しくなったって打診を受けてね、プレゼントすることにしたんだ。…ところで、そちらのお嬢さんは?」
「わ、私は...」
※ガバイトはインファイトを覚えない。
※ガバイトはインファイトを覚えない。
※ガバイトはインファイトを覚えない。