ポケットモンスター !&?   作:小鳥遊銅拍子

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3.メン神話としっこくのいし

 「ところで、そちらのお嬢さんは?」

 

「わ、私はアイリといいます。さっき、草むらから飛び出してきたキリキザンさんに襲われて…」

 

「あぁ、ごめんね。…もっとポケモンたちの管理をしっかりしなくちゃな…」

 

 俺はふと気になっていたことをアイリに訊く。

 

 「あのさ…なんでまた、こんな田舎町に?この町、博士の研究所くらいしかないけど…」

 

 アイリは答える。

 

 「『しっこくのいし』……って、ご存じですか?このメン地方に存在している、と言われている石なのですが」

 

 しっこくのいし…?

 と、博士がそれに乗っかる。

 

 「しっこくのいし……ひょっとして、メン神話に登場するあの石かい?…ちょっと待ってて」

 

 博士はそう言うと、研究所の奥に引っ込んだ。

 メン神話…?

 

 博士は少しして、色々な資料を持って戻ってきた。

 

 「おまたせ。これだよね?『心読ミシ者、漆黒ノ石落トス。心護リシ者、黒キ腕輪授ケル』……この、漆黒の石が、どうかしたの?」

 

 アイリが答える。

 

 「はい。私はその石を探しています。理由は…私のヒトツキさんです」

 

 アイリはそう言うと、とある本を鞄から取り出した。

 「この本によると、私のヒトツキさんは特殊な個体で、進化するのに『しっこくのいし』が必要になるみたいです」

 

 博士は驚く。

 「進化に漆黒の石が必要…!?……それは興味深いね。ちょっと調べさせてもらってもいいかな?すぐ終わるし、ポケモンには絶対に危害を加えないからさ」

 

「え、あ、いいですけど…」

 

「ありがとう!ちょっと待っててね」

 

 博士は再び、研究所の奥に引っ込んだ。

 不意にアイリが言う。

 

 「…ありがとう、ございました」

 

「え?」

 

「私、仮にもポケモントレーナーなのに…ヒトツキさんを守れなかった…こんなんじゃダメダメなんです…」

 

「…俺も、ヒノアラシを守れなかったけど…」

 

「違うんです。あー、えーと…お名前、聞いてませんでした…いいですか?」

 

「名前?レン。…それで?なにが違うの?」

 

「レンさんですね。……レンさんとヒノアラシさんは、こう…いきいきとしていたんです。二人で、心を通わせていたんです。…それが、私はポケモンさんを相手にすると、なにもできなくなってしまうんです。足がすくんでしまいます。…怖いのです。自分のポケモンさんが傷ついてしまうことと、相手のポケモンさんを傷つけてしまうことが」

 

「…なるほど」

 

 アイリは続ける。

 

 「あの…本当にわがままで自分勝手なことはわかっています。でも、お願いします。…レンさんの冒険について行ってもいいですか?私は、ヒトツキさんと二人きりだと、上手くいかないんです。さっきのことだって、レンさんやルドルフさんがいなかったらどうなっていたことか…」

 

 …えーと。

 

 「まあ別にいいんだけど…」

 

 実は、「別にいい」どころか、すごく嬉しい。かわいいし。やったぜ。

 

 「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

 「お話は終わったかな?」

 

 急に博士が戻ってきた。

 

 「わっ…びっくりしました」

 

「ごめんね。…大きなお世話だと思うけどね、アイリちゃん。ポケモンはいつでも僕たちの見方なんだ。もちろん、ポケモンを守れるトレーナーは素晴らしい。でも、それだけじゃない。レンくんについて行って、いろんな世界を見てみるといいよ」

 

「…ありがとう、ございます」

 

「レンくん、女の子は守らなきゃダメだよ?」

 

「わ、わかってますって」

 

 なんか恥ずかしい。

 博士は軽く笑ってから、アイリに言う。

 

 「ヒトツキのことなんだけど、まだデータの分析にだいぶ時間がかかりそう。うちのコンピューターが古いっていうのもあるんだけど、なんか…データが複雑で乱雑なんだ。…スマホロトムは持ってる?」

 

「はい、15歳以上の男女には無料でもらえるんですよね…」

 

「そうだね。まあメン地方も少子化が進んできたからなあ……。あっ、そうそう。それで、ヒトツキについてデータ解析が済んだら、アイリちゃんのスマホロトムにデータを送信するね。多分…数日はかかるんじゃないかなあ」

 

「わかりました」

 

「そうだ、ポケモンを返すね。幸か不幸か、キリキザンが強すぎて、目立った外傷はないみたい。衝撃で気絶しちゃっただけだと思うよ」

 

 博士はポケモンを返してくれた。

 俺はふと気になったことを訊いてみる。

 

 「博士、あのルドルフっていう人はどこに向かったんですか?」

 

「ルドルフくん?あぁ、君と同じく、ポケモンリーグに挑戦するためにジムチャレンジだよ。ここから一番近い、ナンドシティに向かったんじゃないかな。君もこの後向かうでしょ?」

 

「そうですね」

 

「アイリちゃんもついて行くんでしょ?」

 

「はい」

 

「青春だねえ…」

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