チグサタウンのとあるレストラン。
「アイリは、アフェラさんのこと知ってた?」
「はい。とは言っても実際にお会いするのは初めてですが。十年前からチャンピオンの座につき、それを守り続けている本物の実力者です」
「アフェラさんの手持ちのポケモンは知ってる?」
「そうですね……エースはクチートさんで…なんと、ホウエン地方でメガ進化が発見されるより前に、『メガ進化のようなもの』を完成させていたみたいです。その名も、『エヴォル・ブースト』というそうです」
メガ進化のような、エヴォル・ブースト…?
俺は言う。
「メガ進化…ってたしか、トレーナーとポケモンの絆で起こる、勝負の中だけの進化のことだっけか」
「そうですね。特にカロス地方やホウエン地方、アローラ地方などで見られる現象だそうです」
「それで、エヴォル・ブーストっていうのは…?」
聞いたことがない。
「『エヴォル・ブースト』…通称、『エヴォル』は、このメン地方でのみ確認されている現象です。その実態は、先程言った通りカロス地方で発見された『メガ進化』に類似しています」
…なるほど?
「それで、具体的にはどんなものなの?その…エヴォルっていうのは」
「はい。戦闘中に一度だけ、パートナーのポケモンをエヴォル…つまり、一時的に進化させることができます」
「進化…それはメガ進化とはまた違う…?」
「えぇ。一度エヴォルしたポケモンは、試合が終わるまでその姿のままです」
本当にメガ進化みたいだな…。
「しかし、メガ進化とは明らかに違うところがあります。それは、ジムリーダーとチャンピオンだけが使用でき、彼らの手持ちであれば種族は問わない、ということです。つまり、ジムリーダーのパートナーであればどのポケモンでもエヴォルできるわけですね」
…ちょっとややこしい話だけど…。
「そのエヴォルっていうのは…たとえばだけど、エースバーンとかでもできるものなの?」
「はい。既に最終進化系であるポケモンでもエヴォルできます。そして、ここが重要なのですが、たとえば…ピカチュウの進化系はライチュウですよね」
「そうだね」
「ピカチュウがエヴォルしたとしましょう。この場合、このピカチュウはライチュウにはなりません」
…?
「…どういうこと?」
「…まあ、ピカチュウのエヴォルの姿はまだ確認されていませんが…。たとえばスオウシティのジムリーダー・シマザクラさんのパートナーはトリトドンさんです。このトリトドンさんは、『シーハード』という姿へとエヴォルできることがわかっています」
「シーハード…」
「はい。トリトドンさんに限らず、ジムリーダーとチャンピオンのパートナーさんはそれぞれエヴォルできます。なので、ジムチャレンジの際はそれをお忘れなく、ということです」
「なるほどね…そんな強そうな人がチャンピオンなのか……!燃えてくるな…!!」
「応援しています」
とアイリは笑い、そしてこう言う。
「私は、この『エヴォル・ブースト』の謎を解明することが夢なんです…!!」
目がキラキラしてる。
「そっか。お互い頑張ろう!」
「えぇ!」
「ふー、食った食った」
「美味しかったですね…!」
「それじゃあ、電車に乗って…」
「おい、待て」
ふいに後ろから声がした。
振り返ると……。
「君はたしか…ルドルフくん」
「あぁそうだ。ルドルフ、さんだ。先輩には敬語を使うべきだ、と習わなかったかい?」
…なんなんだ。
「それで、何の用です?」
「なに、先輩が祝福してあげようと思ってね。…雑魚狩りなんてするもんじゃないが、かわいそうなポケモンを救い出すことはできる」
…言っている意味がわからない。
「どういうことだ?」
「簡単なことだよ。弱いトレーナーに使われるポケモンを哀れんでいるだけさ」
こいつ…。
「そんなに言うんだったら勝負するか?負けないぞ!」
「勝負というか…勝負になるかな?まあいい。覚えておけ、これが本当の『ポケモンバトル』だ」
【ポケモントレーナーの ルドルフが しょうぶを しかけてきた!】
「エヴォル・ブースト」…これはこの物語の中軸です。
ゆっくり解明します。