初っ端は恐らくあの人の生存の有無が気になってる人が多いであろう、このルートからです。
それではどうぞ。
「いやー、本当に助かったよ。ありがとう、ヤマト」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、僕は大したことはしてないよ」
「暴走したビッグアグリーを秒殺し、たった1人でガヴィルウィルのメンバー4割を無力化した人が何言ってんのさ……」
ガヴィルの故郷であるサルゴンの熱帯雨林の滝にて、たまたまそこで休んでいたヤマトはガヴィルの里帰りとして来ていたドクター一行と遭遇。その後、流れで彼らの後を付いて行き、今回の騒動の鎮静にほんの少しだけ貢献した。とヤマトは思っているのだが、そのやったことがやったことであるためブレイズからは呆れた様子で言われ、彼は苦笑を浮かべる。
ちなみに、余談ではあるがどうやってビッグアグリーを秒殺したのかというと、ヤマトはアーツで出来た光の玉を12個生み出し、そのうち4個を自分の近くに展開、残りをビッグアグリーの周辺へ飛ばし、錫杖と光の玉による術攻撃……いや、もはやビームといった方が適切なアーツでビッグアグリーに取り付けられているロドスの飛行装置の
更に付け加えれば、ガヴィルウィルのメンバーの無力化も、気絶で済む程に威力を加減した状態で、ビッグアグリーを撃破したような感じで武器破壊や気絶させたりしていた。
閑話休題
「ああ、そうだ。今回の件に関するお礼をしたいから、このままロドスに来てくれないかな?」
「別に、お礼を受け取るほどのことなんてしてないさ。オペレーターとして当然のことをしたまでだしね」
「でも、そろそろ戻ってきて欲しいんだ……その、色んな意味で」
「…………」
困った様子のドクターの言い分を聞いたヤマトは苦笑いを浮かべながら、思考を巡らせる。正直な話を言ってしまえば、ロドスには寄りたくはない。というより、「ロドスに行かない方がいい」「行ったら色んな意味で死ぬゾ」と先程から自身の生存本能が激しく警鐘を鳴らしている。だが、ここで戻らないそれなりに交友がある面々と
一応、そのお願いの代わりとしてヤマトはロドスと契約して、ちょっと特殊なオペレーターとなって働いている。が、正直これだけでは返すことが出来ない恩があるのも事実。そのため──
「……うん、分かった。丁度詳しい報告や物資の補給とかもしたかったからね。久しぶりに寄らせてもらうかな」
「!ほ、本当!?」
「?うん、そうだけども……」
「良かった……これで私たちの胃の負担も軽減される……」
「?」
ヤマトの返事に何故かその場にいたロドスのメンバーがほっとしたような態度をとる中、何故まるで起爆寸前の爆発物を無事に解除できたかのような、もしくは厄介事を押し付けることが成功したかのような安心感を出しているのか、ヤマトは全く理解出来ず首を傾げるのだった。
*****
「半年ぶりだな、ヤマト」
「……まさか、最初に出迎えにきてくれるのが君だとは思わなかったよ」
──フロストノヴァ
久しぶりにロドスに戻っヤマトは、出迎えに来たであろう目の前にいるコータスの女性を見て少し意外そうな声を出した。それもそうだろう、彼の予想であれば何かと甘えん坊な義妹か、何故か自分のことを気に入ってしまったループスの女剣士が来るだろうと予想していたのだ。全く予想していなかった人物がいて、驚くなというのが無理な話だろう。
が、当の名前を呼ばれた本人は少しだけムッとした様子でヤマトの顔を見やる。
「前にも言ったが、その名ではなくエレーナと呼べと言ったはずだが?」
「おっと、そうだったかな?最近、物忘れが酷いから忘れてたよ」
「…………」
「さて、報告をする必要があるからね。続きはまた今度に」
「あ、ちょっと……」
ヤマトは彼女の追求を惚けたような様子で躱しつつ、それ以上は踏み込ませないとばかりに話を打ち切ると、反応が遅れた彼女を置いてさっさと奥へ向かおうと──
「あら、久しぶりに帰ってきてそれは無いんじゃない?」
「本当に予想が外れてばっかりだ。まさか君も来るなんてね、W
──したところで、横からこれまたヤマトにとって予想外であったWに声をかけられた。彼女の様子はいつものように捉えどころのない煙のような雰囲気をまとっているものの、それだけではなく怒りや呆れの雰囲気も混ざっていた。が、ヤマトの返しを聞いて眉をピクっと動かし怒りの念が更に増した。
「ねえ、前にも『さん』付けは辞めてって言ったわよね?煽ってるなら買うわよ?」
「別にそういうわけじゃないさ。ただ、これも前に言ったと思うけどこれは性分みたいでね。寛大に見てくれると非常に助かるんだけどな」
「……本当に口の回り早いわね。まあ、私は寛大で優しいから晩酌に付き合ってくれるなら許してあげるわよ」
「それはありがたいね。君みたいな美人な人とお酒を飲むだけで許されるなんて、ただのご褒美みたいだ」
「……よくそんなセリフ吐けるわね」
「色んなところ行ってると、こういうことも言えるようにはなるさ」
「……ふん」
(す、すごい……あのWを……)
(照れさせた……だと……?)
Wとヤマトの会話を聞いていたサルゴンから帰ってきたドクター一行や、それを出迎えに来た一部のオペレーターは信じられない物を見るかのような目でその状況を見ていた。
それもそうだろう、何かと神経を逆撫でするような物言いが多いWは元レユニオンの幹部ということもあってあまりいい印象は持たれていない。そして、彼女に仲間を殺されたオペレーターが突っかかって口論に発展するも、言い負かされてる場面の目撃もそれなりに多い。
そのため、照れるWという光景はレアすぎた。どれぐらいレアかというと、10連ガチャで狙ったSSR3枚抜きした!?というレベルで。
そしてこれで話が終わり、ヤマトが今度こそその場を後にしようとした時だった。
フロストノヴァがかつて戦った時と同様の鋭い雰囲気を出しながら声を上げた。
「おい待て。その晩酌に私も混ぜてもらおうか」
「は?あんたはお呼びじゃないのよ、白うさぎ。ヤマトは私と2人っきりで付き合うって約束したのよ?」
「それはお前が勝手に決めたことであって、別に私が勝手に参加して一人増えても問題は無いだろう?そもそも抜け駆けを許すと思うか?」
「ちっ、流石に目の前でやるのはダメだったわね……まあ、どうしようとも貴方抜きでやらせてもらうけどね?」
「ほう?面白い冗談だな、お前ごときが私を出し抜けるとでも──」
(……仲がある意味良さそうで何より)
ヒートアップしていく2人の口論を聞き流しながら、ヤマトは周りの「おい、お前が原因なんだから何とかしろ」という視線を気づいていないフリして今度こそその場を去ったのだった。
三十六計逃げるに如かず。
****
「はぁ……まさかあんな命令が出るなんてねぇ……」
ヤマトはロドスの廊下をため息を吐きながら困った様子で歩いていた。
先程、ケルシーやアーミヤらに各地の情勢や感染者の動き、そしてサルゴンでの一件を報告したのだが、それが終わったあとアーミヤに、休養を含めて
本当であれば、物資の補給やアーツユニットの点検、そしてロドスにいる友人たちとの交流を含めて長くても1週間、短くて3日滞在したら出ようと予定を立てていた。しかし、現実はその予定が全てぶっ飛んだのだから困惑するなというのが無理な話かもしれない。
だが、ヤマトの困惑はそれだけが理由ではなかった。
(ここに来る前に感じてた、嫌な予感が余計に強くなってる気がするんだよねぇ……)
そう、先程から「もう逃げられないゾ」「オワコンなんですわぁ」と言わんばかりにとてつもない嫌な予感が彼を襲っていた。しかも彼のこういった予感というか虫の知らせというのは、良いこと悪いこと両方をひっくるめてほぼ当たるため、それが余計に彼を困惑させていた。
(まあ、それはその場その時で臨機応変に対応すればいいか。問題はどこで寝泊まりするかかなぁ)
これ以上は考えても仕方ないと、半ば投げやり気味に重大な問題について考えるのを諦めたヤマトは次点の問題の方に思考を割くことにした。
ここまでの話からして察してる方もいると思われるが、ヤマトはロドスにいる時間はかなり少ない、というよりほぼいない。
そのため、他のオペレーターと違って借りている部屋がなく、普段であればノリがいいスノーデビル小隊のメンバーのところか、もしくは自分に着いてきてくれた者たちのところ、それすらもダメな場合は
(さて、本当にどうしようかな……ん?)
本当にどうしたものか、と真剣に悩み始めたところでヤマトの耳は遠くから誰かが走ってきている音を捉え、そして感じる気配から恐らくすぐ後に来るであろう衝撃に備えるため、
「おーにーいーちゃーんーっ!」
「おっと」
そしてその数秒後に姿を現したと思ったと同時に全力で飛び込んできたループスの少女を、勢いが抑えきず1歩だけ後ろに下がってしまったものの受け止めてその頭を撫でる。
「久しぶりだね、イカヅチ。けど、アーツを使ってまで走ってくるのは感心しないかな」
「えへへー、久しぶりのお兄ちゃんだー!」
「うーん、全然聞こえてないや」
ヤマトの胸に顔を埋め離さないと言わんばかりに背に腕を回して、ギューッと効果音が出そうな勢いでハグをして幸せそうな雰囲気を出しているイカヅチに、ヤマトは叱るに叱れずそのまま彼女の頭を撫でる。
実を言うと、ヤマトはイカヅチを叱ったことは片手で数えられるほどしかなく、それも結構緩いため彼が義妹に対して甘いというのは自他共に認められている事実だ。
彼もこれを何とかしないといけない、というのは分かっているのだが、義妹とはいえど『家族』というこれまで越えさせないようにしていた一線を超えてきたせいもあって、つい甘やかしてしまっているのが現状だ。実際、ヤマトはイカヅチとこうしてハグする時間は彼女の体温から生きているということを感じさせ、それが心を穏やかにしてくれるため好ましく思っている。
「ねえ、お兄ちゃん。今さ、寝泊まりするところどうしようか考えてたでしょ?」
「おっと、声に出てたかな?」
「いや、何となくそうじゃないかなーって。もし、まだ決めてないならロドスを出るまで私のところに
「ん?」
考えていたことを読まれるなんてまだ未熟だな、とヤマトが自身の失態に呆れようとした次の瞬間にイカヅチが発した言葉に違和感を持った。
もし、先程の言葉が「私のところに
だがしかし、実際に出てきた言葉「私ところに
「イカヅチ。聞き間違いかもしれないど、さっき私のところに居てよって言った?」
「?そうだよ?3ヶ月もロドスに滞在できるんでしょ?それなら私のところにしてよ!」
(うーん、聞き間違いじゃなかったかー)
ミシミシと嫌な音が背中からなり始め、目のハイライトが少し消えかけているイカヅチを見ながらヤマトはどうしたもんかと考え始めた。
流石に3ヶ月も一緒の部屋で就寝を一緒にする、それも異性でというのは、倫理的な観点でもアウトだ。いや、実を言えばヤマトは彼女の部屋で寝泊まりしたことがない訳では無いのだ。だが、それも1泊だけだったし、1泊する羽目になったのも当時まだ精神が不安定だったイカズチに、まるで木にしがみつくコアラのようにがっちりとホールドされて「一緒に寝てくれないとやだぁぁぁ!」と泣かれて折れた、というやむを得ない事情があったからだ。
(何とか説得してこの窮地を脱しないとだね)
何としても断らないといけない、そう思ってヤマトが口を開こうとした時だった。
「ふふっ、お困りのようだねぇ?」
「ちっ……」
「………………」
女の子が舌打ちしちゃいけません、とイカズチに言おうとしてそれを何とか飲み込んだ自分をヤマトは褒めたい心境になった。もし、そんなことを言えば色々と面倒臭い状況になるのは明白だからだ……尤も声をかけてきた人物の登場によって既に面倒臭い状況ではあるのだが。
だが、ここでイカヅチやその声掛けてきた人物よりも先に話の主導権を握らなければマズイことになると、自身の直感が告げているため声をかけてきた人物の方向に顔を動かして声をかけた。
「元気そうだね、ラップランドさん」
「ボクとキミの仲だというのに、そんな距離を置くような呼び方じゃ寂しいねぇ」
「は?微塵もそんなこと思ってもない癖に、よくベラベラ喋れるね?」
「まあ、それはいいんだ。アーミヤから聞いたよ?3ヶ月ここに滞在することになったんだってね?」
「おい、無視するな白黒」
「……ラップランドさんの質問に関して答えるなら、YESって言わせてもらおうかn……イカヅチ、あんまり腕に力込めないで?」
「むー!!」
ラップランドとヤマトの会話が進んでいくにつれて、ヤマトの腕の中にいるイカヅチの機嫌はどんどん悪くなっていき、それに比例していくかのように背中からなる嫌な音も大きくなっていく。このままでは、背骨がぽっきりと折れて、ロドスの滞在が3ヶ月どころではなくなると感じたヤマトはイカヅチの機嫌を早急に立て直すためにも、ラップランドとの会話を早めに終わらせることにした。
「それで、ラップランドさんは何をしに来たのかな?」
「うん、率直にいうとだね……ボクの部屋で寝泊まりしたらどうだい?」
「ブッコロ」
「こらっ、イカズチ。女の子がそんな言葉使っちゃいけません……あと背骨が折れそうだから力を弛めて欲しいな」
「うん、分かった。あのへそ出し痴女白黒を殺せばいいんだね!」
「ダメだ、何も分かってない」
嫌な予感の正体はこれだったか、とヤマトは内心でごちる。まさか、居候先をどうするかでこんな目に遭うとは思いもしなかった。というより、胸元のイカヅチと痴女呼ばわりされたラップランドの怒気が凄く、挟まれているヤマトはどうしたものかと、頭を悩ませた。
が、こういう時に限って神様というのは悪戯をしてくるものである。
「ヤマト、私のところに来たらどうだ?」
「ヤマト、寝床なら私のところ使ってもいいわよ?」
「…………」
先程から大声でイカヅチが騒いでいたせいなのか、仲良く話していた筈のフロストノヴァとWまでもがやってきてしまい、この状況にヤマトはイカヅチを落ち着かせるために撫でている手とは逆の手を自身の額に当ててため息を吐く。
と、同時にスノーデビル小隊の中でも特に仲のいい人物が視界の端に映り込み、何故かバチバチと火花を散らしている4人に気づかれないようにヤマトは目で助けを乞う。
「(すみません、俺死にたくないんで無理です)」
が、返されたのは必死に手を合わせてペコペコ頭を下げてくるというジェスチャーであり、それを一通りやった彼は巻き込まれる前にと戦線を離脱。救いはどうやらないようです。
「……なるほど」
ロドスに来る前の嫌な予感はこれだったのか、とヤマトは目の前で口論を繰り広げる4人を見ながらため息を吐き、とりあえずは踏み込まれたくない一線を越えさせないための妥協案を考えることにするのだった。
なお、この騒ぎを聞きつけたアーミヤのお陰で急遽空き部屋を借りることが出来たものの、そのせいで突撃してくる人物がたくさん出てきてヤマトが頭を抱えるのはまた別の話。
キャラ崩壊が激しい……
キャラ紹介
ヤマト(僧侶ルート):闇落ちしかけたところをサガを拾った『住職様』に拾われて、僧侶くずれでありながら、旅に出た先でレユニオンの元幹部になったルートのヤマト。久しぶりに帰ってきたロドスで早速散々な目にあったが、それも問題を着火するだけして放置した結果なので仕方ない。なお実は某機動戦士のストライクな自由みたいにドラグーンモドキをとばしたり、フルバーストモドキによる制圧射撃も結構得意だったり。ただ、これは行いすぎると鉱石病の進行が悪化するため使うとしても1週間に3回までとロドスの担当医から制限されている。
そして、とあることが原因で自分が敷いたラインより親しい人を作らないようにしているらしい?
フロストノヴァ:多くのドクターの心を破壊したヤベー奴。作者も発狂した。このルートでは、ヤマトの尽力によって自身の配下、家族でもあるスノーデビル小隊全員が1人も欠けることなくロドス入りを果たしている。火種1号。
W:負けたらギャグ要員の洗礼を浴びてしまっているサルカズのお姉さん。なお、当小説でもギャグ要員なのでW推しの方はお気をつけください(遅い注意喚起)。火種2号。
イカヅチ:オリキャラ。ヤマトの義妹。ロドスに来たきっかけは、ヤマトがロドスと契約して世界各地の情勢を確認するために旅に出た3ヶ月後に彼を見つけて、本編同様に襲いかかるも、ドラグーンモドキ+フルバーストモドキで部下諸共無力化され、その後の対話であっさりと義妹として受け入れられ、感染者でもあったため治療させるという意味も込めて送られたというもの。中々会えないせいで、愛が他のルートより重い。火種3号。
ラップランド:色々とヤベー奴。こちらのヤマトを気に入ったのは、普段の温和な雰囲気と不殺の志と彼が殺した人の数の多さからくる差。つまりギャップ萌え。それ以外にも、自分相手でもほかの人物と変わらない態度で接してくれるからというのもあったり。火種4号
スノーデビル小隊:ヤマトのことは恩人だとは思っているものの、とんでもねぇ人たらしだとも思ってる。姐さん派閥。
ヤマトの元配下:ヤマトの事は恩人だと思ってるが、とんでもねぇ人たらしだとも思ってる。イカヅチ派閥。
ドクター:ヤマトがいない時でもバチバチする4人のせいでお腹が痛い。
アーミヤ:ヤマトさん。早く誰にするか決めるか、いっその事全員娶って下さい(投げやり気味)
おまけ
ロドスの人から見た僧侶ルートのヤマトの印象
・本当にレユニオンの元幹部なのか疑わしいくらい穏やかで話がわかる人
・ロドスにいる時間が短いよく分からん人
・アホみたいな術攻撃してくるとやべー人だと思ったら、アホみたいに接近戦も強いやべー人
・頼むから火種を燃やしてそのまま放置するのやめてください(総意)
感想お待ちしております。