え?聞いてきたアンタの予定は?……家でまったり過ごす予定です(震え声)
ロドスにオペレーターとして所属しているヤマトは中々帰ってこない割には、小さい子供に好かれている。理由は幾つかあるが、1番の要因は彼が子供に好かれやすい態度や接し方をしているのがあるだろう。
さて、何故唐突にこのような話をしたのか?それは──
「あ、ヤマトおじさん!今年も約束守ってくれたんだね!」
「ああ、そうだね。今年もちゃんと守ったよ」
今しがた、可愛い幽霊の顔がプリントされたフード付きのパーカーを着た子供が言ったように、ヤマトは子供たちとハロウィンにはちゃんと帰ってくるという約束をしていたのだ。
というのも、まだ子供たちがヤマトが中々ロドスに帰ってこないというのを知らなかった年のハロウィンにて、彼と遊びたいと思っていた子供たちがヤマトが居ないということを知って落ち込んでしまったり、酷い場合には泣きだしてしまうという事態にまで発展。新年に戻ってきたヤマトは、子供たちの世話をしているオペレーターから言われる前に、その子供たちに詰め寄られ結果として彼は子供たちに謝罪、そして次からのハロウィンには帰ってくることを約束し、その年は極東の文化である「餅つき」をやり、そしてその餅から彼特製のお雑煮を振舞ったことで事なきを得た。
そしてヤマトの言葉にあるように、彼は深刻な事態や大きい事件に巻き込まれない限りはハロウィンまでに帰ってくるようにしており、現在までにその約束を破ったことは無い。有言実行とは正にこのことを示すのだろう。なお、今のヤマトは極東の伝説に出てくる天狗が来ていたという「山伏」と呼ばれる服装で仮装していた……西洋のお祭りなのに、極東の妖怪に仮装していいのか、というツッコミは置いといて。
「あ、おじさん!トリックオアトリート!」
「はい、飴をどうぞ」
「ありがとー!」
可愛い幽霊さんにヤマトは懐から飴を取り出して渡し、お礼を言ってパタパタと駆けていく幽霊さんに手を振りながら、これで子供たちには全員渡し終わったと息を吐いた。が、それも疲れを出すかのように吐いたものではなく、無事に今年も約束を守れたという安堵の息であった。
(さて、明後日にはまた少しだけ外に出ないといけないし、戻って準備の方を整えることにしようか)
「ヤマト、トリックオアトリートだ」
ヤマトがこれからの予定を決め、いざ足を進めようとした時背後からこの催しに参加しなさそうな人物の声が聞こえ、ヤマトは自分の耳を疑うも反応しないのは流石に失礼なので後ろを振り返ると。
「……聞き間違いかと思ったけど、フロスト「エレーナだ」……本当にエレーナだったとはね」
「なんだ、意外か?」
「失礼かもしれないけど、意外だったね。ましてや仮装もしてるなんて全く思わなかったよ」
そこには魔女の仮装をしたフロストノヴァことエレーナの姿。去年までは参加していた記憶がなかったヤマトとしては、本当に予想外の人物の奇襲であった。
「なに、たまにはこういうのもいいかと思ってな」
「なるほどね……それにしても中々似合ってるね」
「そう言ってくれると、態々準備したかいがあったというものだ……さて、話を戻すがお菓子をくれないとイタズラするぞ?」
「うーん、誤魔化せなかったか」
エレーナの魔女の格好は長袖ロングスカートと露出こそないものの、彼女の雰囲気によく似合っており本当に魔女が絵本の中から飛び出してきたのではないか、と言えるほどの完成度であった。そして、それをダシにしてヤマトは逃げようとするものエレーナが見逃すはずもなかった。
そして、これはエレーナの計画通りであった。
彼女の計画、それは「ヤマトが手持ちのお菓子を全て渡しきった瞬間に奇襲をしかけて合法的にイタズラする」作戦である!
最初に言うと、エレーナはヤマトに好意を抱いている。が、当の好意を向けられている本人はそれに気づいてなさそうな上、そもそも会う機会がめちゃくちゃ少ないせいでアピールはおろか、スキンシップさえ取れない状況であった。
もし、ヤマトに好意を向けているのが自分だけならまだ良かった。時間はかかるだろうが、ゆっくりと距離を詰めればいいだけの話なのだから。
が、現実は違う。エレーナからしたら非常に残念なことに、サルカズの爆弾魔を始めに、義妹を名乗るヤベー奴や死体でミルフィーユを作るサイコパスオオカミ、泥人形と楽しそうに話をするかつての同胞、しまいには極東の女武士と、ヤマトは色んな女性から好意を向けられている。
──このままじゃとられる。
そう危惧したエレーナは何とか1歩だけでも彼女たちから出し抜けないかと考えた結果、思いついたのがあのネーミングセンスが皆無な作戦である。
(あとは、イタズラと称して頬にキスをすれば私の勝ちだ──!)
お菓子を渡しきったのは既に確認済み。あとはヤマトが「お菓子がないからイタズラで手打ちしてくれるかな?」と言えばチェックメイト。自身の勝利を確信したエレーナ。
「はい、飴」
「──え」
が、現実というのは非常なものでヤマトはさも当然かのように懐から赤い紙で包まれた飴を差し出し、それを見たエレーナは固まった。
「予想外だったかな?」
「あ、ああ……予想外だったな」
「ふふっ、イタズラ大成功!……ってところかな?」
イタズラが成功したことに満足しているのか、笑みを浮かべるヤマトに毒気を抜かれたエレーナは声を震わせながらも飴を受け取って口に頬張ると、それが慣れ親しんだものであることに驚き目を見開いた。
「ヤマト、これは……」
「うん、君専用の飴だよ。君が飴を舐めたい時にいつでも渡せるようにと常備してたんだ」
そう、その飴は味覚がないエレーナの為に用意されていた辛味がある飴であった。そして、これは市販で買って舐めている飴と違う辛さでありながらも、懐かしい辛味。そこから導き出せるものは至って単純であり──
「……手作りのを用意してくれたのか」
「……レユニオンにいた時以来だったからね。最初はちゃんと作れるか不安だったけど、その様子なら大丈夫そうだね」
「……ええ、ありがとう」
当初の企みは失敗に終わったものの、久しぶりのヤマトの手作りの飴を貰えたこと、そして自分のためにその飴を常備してくれているということをしれた彼女の心は満たされたのであった。
*****
そしてそれからというもの──
「やあ、ヤマト。トリックオアトリート、お菓子をくれないとイタズr……え?チョコレートのミルフィーユをあげる?」
吸血鬼の仮装をした黒いコートを来ている白髪のループスの女性が来たり。
「お兄ちゃん、トリックオアトリート!お菓子をくれないとイタズラしちゃうよ♪……え、なんでお菓子持ってんの……?イタズラさせてよぉぉぉ」
可愛い幽霊の顔がプリントされたフード付きのパーカーを着た義妹が来て、ヤマトの頬にキスをしようとしたり。
「トリックオアトリート。お菓子をくれないとイタズラしちゃうわよ~?……って、なんで本当に持ってんのよ。そこは持ってても出さずにイタズラされるのが普通でしょ?」
ロングコートを着て来たと思ったら、部屋に入るなりそれを脱いで際どいサキュバスの仮装をしたWに文句を言われたり。
「ヤマト、トリックオアトリート……その、らしくないとは思うが……え?似合ってる?可愛い?……その、あんまり言わないでくれ……流石に恥ずかしい……」
ミイラの仮装をしたマドロックが来たので、ちょっとしたイタズラ心でべた褒めしたり(ちゃんとお菓子はあげた)
「とりっくおあとりーと!ヤマト、菓子をくれないとイタズラ……ほう、羊羹か。む?イタズラは何にするつもりだったか、だと?そんなの鍛錬に決まっておろう!」
同じ山伏の格好をしたアカフユがやって来て、保存食替わりに持っている羊羹をあげて、何とか彼女との鍛錬から逃げようとするも結局付き合わされたりとヤマトが借りている部屋には多くの来客があった。
「やれやれ、本当に予想外な人が多かったな……イカズチは予想通りだったけど……と、来客か」
鍛錬を終えて部屋に戻ってきたヤマトは、ここまで来たら次は誰が来ても驚かないと決めた直後、来客を知らせるインターホンがなり、さて次はドクター辺りかと思いながらドアを開けて、先程決意したものがあっさりと崩れ去った。
「ヤマト、トリックオアトリート」
「兄者、とりっくおあとりーとでござる!」
「……本当に予想外な人達が来たな」
現れたのは、シーとサガの2人。かなり予想外……いや、サガに関しては有り得なくはないものの、普段引きこもって中々外に出てこない上にこういう催しにあんまり興味を持たないシーが来たことは想定外であった。
「とりあえず、中にどうぞ。確かまだお菓子はあるはずなので」
「……そうか、では邪魔するぞ」
「お邪魔します!」
流石に部屋の前出立ちっぱなしというのも失礼なため、ヤマトは2人を中に招き入れ、椅子に座らせてから急須にお茶っ葉とお湯を入れ、その間にお茶菓子を取り出そうと、普段入れている引き出しを開けて首を傾げた。
「あれ……おかしいな、ストックがない……?」
アカフユと鍛錬するまでには
「すみません、丁度お茶菓子を切らしてしまっているようでして……大変申し訳ないのですがお茶だけでもよろしいでしょうか?」
「……ふむ、それは構わないがそしたらイタズラということでいいな」
「……ええ、そうなりますね」
降参しましたと言わんばかりにヤマトは両手を上げる。正直、なんのイタズラをされるのか恐ろしいところではあるが、シーやサガならそんな変なことを要求はしてこないだろうと踏んだ。もし、これがラップランドやWだったら今すぐ購買所に行ってお菓子を買って渡していたが。
「そしたら、その……久しぶりにお前の尻尾を触らせてくれないか?」
「拙僧は久しぶりに兄者の尻尾枕で眠らせていただきたい!」
「……うん?」
これまた予想外であった。そもそも、どういうイタズラをしてくるのか全く想像つかなかったのはあるが、まさか尻尾に関連することを言われるとはヤマトは全く予想していなかった。というより、これはそもそも。
「それってイタズラですかね……?」
「いいから触らせろ。私が言った以上はイタズラなのだからな」
「?」
「……サガはとりあえずシーさんが納得してからね」
「分かりました!」
よく分かってない顔をしているサガは置いといて、ヤマトは尻尾の感覚を遮断しシーの方へ向ける。現在、シーの目の前には毛艶のいいふさふさした尻尾があり、彼女はそれを優しく触る。
もふっ
そんな効果音が聞こえてきそうな感触を味わいながら、シーはまるでガラスを扱うかのように優しい手つきでヤマトの尻尾を堪能している。そして、触られているヤマトは感覚を意図的に遮断しているため嬌声をあげることなく目を閉じて彼女が満足するまで身を委ねる。
「……やはり、お前の尻尾はいいものだな。中々いい手触りだ」
「そう言って貰えると手入れしている苦労が報われますね」
「この調子でこの尻尾の気持ちよさを維持してくれよ?」
「分かりました」
そんな会話をしながらも、シーはかれこれ30分ほどヤマトの尻尾を堪能し、そしてサガはヤマトの尻尾枕で寝たはいいもののそのまま爆睡してしまい、サガにも甘いヤマトは結果として朝まで起こすことが出来ず、朝帰りしたサガを見たイカズチが脳を破壊されるのはまた別のお話。
一応、カボチャの仮面+黒ジャージでマフティーダンスなるものを踊って自分に反省を促すことも視野に入れてたり。
あと、天馬ルートのヤマト君と相性がいいウマ娘って誰なんでしょうかね……ゴルシぐらいしか思い浮かびません。
キャラ紹介
ヤマトさん(僧侶):子供たちからはおじさん呼びされている20代。前回の修羅場のおかげで彼専用の個室が与えられた。が、戻ってくることは中々ないため埃っぽいはずなのだが何故か戻ってくるといつも掃除されている。実は子供好きでロドスの子供たちとお話をしたり、遊んだりするのは結構気に入ってる時間だったり。そして妹ポジションの2人には結構甘い。
フロストノヴァ:キャラ崩壊が激しい元レユニオン幹部。チョロい。なお、ヤマトの尻尾は事故で触ったことはあるものの自発的に触らせて欲しいとは言ったことはない。
ラップランド:イタズラしようとするもお菓子を渡され泣く泣く撤退した恋愛くそ雑魚ループス。ミルフィーユは美味しかった。
イカズチ:ヤマトの義妹。お菓子を渡されてもイタズラ(ほっぺにキス)を強引にやろうとするも逆に自身のおでこにキスされて撃沈した。なお、サガには天然爆撃をされてはいつも脳を破壊されている。
W:サキュバスという際どい格好で押しかけるも、普通にあしらわれてしまいちょっと自信をなくした。が、次は強引にトリックを仕掛けるべきかとも考え始めた。
マドロック:満を持して参戦。ヤマトとの馴れ初めはまた別の機会に。なお、ミイラの仮装にした理由は事情をしているドクターたちの助言でもあったり。
アカフユ:最近追加された星5へラグ系前衛。彼女もヤマトとの馴れ初めは別の機会に。ヤマトのことは異性として慕っているものの、どうすればいいかわからず、鍛錬という名の逢い引きで心を満たしている。ヤマトに想いを寄せてるやつら全員恋愛くそ雑魚です。
シー:ヤマトとは彼が旅をしている時にたまたま会い、少し言葉を交わした結果気に入りそれ以来友人として見ている。なお、彼の尻尾の虜にされた人物でありなんやかんや理由をつけては尻尾を触る。なお、ヤマトの部屋のお茶菓子が無くなったのは彼女の仕業でもあったり。
サガ:出番が少なかったヤマトの妹弟子。異性の好意は持ってないものの、ヤマトのことは慕っており距離感も寺にいた頃と変わらない。その結果、それを見たイカズチが脳みそを破壊されるという事態になっている。なお、途中の「?」は完全に何も理解してない時の顔を浮かべていた。
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