あと関係ないですが、あの反省を促すダンス結構体力使いますね(貧弱もやし)
──彼との出会いは偶然だった。
「おや……こんな所で人と会うとは珍しいね」
雨が降ってきたため、何処か凌げる場所がないかと探していたところたまたま見つけた洞穴に火を炊いて座っていたのが彼だった。
先客がいた事に驚く私たちに「そこに立ってないで、早く中に入ったら?」と彼は手招きしながら声をかけ、それに従い私たちが入ると彼は人数を数え始めると「うん、これなら足りるかな」と呟くと持ち物であろうバックパックから鍋を取り出したと思ったらそこに水を入れて沸かしたと思ったら、乾燥した縄のようなものをそこに入れたのだ。
正直、驚いたな。縄をお湯が入った鍋に入れるなど正気の沙汰ではなかったからな。実際、声を荒らげた者もいたよ。ただ、彼はその声を荒らげた者がサルカズであったにも関わらず、怯える素振りを見せるどころか、普通に説明を始めた。
彼が入れた縄は、芋茎をミソという調味料で煮しめてから乾燥させた干し芋茎と呼ばれる彼の住んでいた地域の保存食であるらしく、ミソで煮しめたものはお湯に入れれば染み込んでいたミソが溶けだし、芋茎も柔らかくなりミソシルというものになる、と丁寧に教えてくれた。
そして、彼はそのミソシルやホシイイというオコメを乾燥させた物を、お湯に入れて柔らかくしたものを私たちに振舞ってくれた。
──何故私たちにここまでしてくれる?
私たちは忌み嫌われるサルカズだ。だが、目の前の男はそんなの関係ないとばかりにまるで久しぶりに会えた親しい友人をもてなすかのようにご飯を振る舞い、そして普通に会話をする。それが、私……いや私たちにとって不可解だった。
だが──
「一人旅というのは寂しくてね。だからこそ、こういった出会いは大事にしたいのさ」
サルカズなんかどうでもいいと言わんばかりに、彼の持論がぶつけられた。目を見ても、騙してるようには見えず本心で言ってるようにしか見えなかった。
だから、彼の第一印象を答えろと言われたら……変わった人になるだろうか。
それからというもの、たまに彼と会うようになりその度に彼は料理を振舞ったり、時には情報をくれたりと良くしてくれた。私に着いてきてくれた仲間達も彼と話していくうちに打ち解け、笑顔で語り合うことが増えてきた。無論、それは私もだった。
今思えば、彼自体が争いごとを好まない穏やかな性格でこちらが落ち着くような言葉遣いをしていたり、サルカズである私たちに対して変わった反応を見せなかったこと、そしてこちらが呆れてしまうほどのお人好しだったからこそ、私達は彼と友好的な付き合いが出来たのだろう。
争いごとを好まず、そして見た目や纏う雰囲気からしてもお世辞にも戦士としての強さや才を見いだせなかった私達は、友人である彼が心配になって何度か「一緒に行かないか」と誘ったこともあったが、当の本人は「僕の仕事に君たちを付き合わせる訳にはいかない」の一点張りで中々応じず、彼が意外と頑固というのも分かり、どこか人離れした感じの彼が人間臭く見えて何故か安心した。
*****
「やれやれ、何となく嫌な予感がしたから急いで来たけど……間に合ったみたいだね」
次に彼と会ったのは、ウォルモンドを離れて暫くしてから正体不明の部隊に襲われ交戦状態になった時だった。いきなり私達のに後ろから青白い光線が走り、向かってきた矢を撃ち落とし、そして敵対していた部隊の半数以上の武装を破壊した。
そして、少しだけ安堵した声とともに突然現れた彼に全員が混乱する中、当の本人はなんてことの無いように言葉を続けた。
「マドロック、君の仲間たちをすぐに下げて。ここは僕が引き受ける」
「お、おい!お前正気か!?」
「正気だよ」
私の隣にいたレユニオンを抜け出した頃からの付き合いの仲間が驚きの声を上げながら問いを投げる。そして、それに対してヤマトは何とでもないように即答した。
「……詳しい事情は分からないけど、新しい仲間が入ったんでしょ?それも多分まだ戦闘経験が少ない人達が」
「…………そうだ」
「なら、君たちがすべきことは僕にここを任せて彼らが、そして君ら自身が討たれないように撤退する事じゃないかな?」
私たちの現状を一目で見抜き、そしてそこから出された彼の言葉に思わず口篭る。確かにウォルモンドから着いてきてくれた者たちは戦闘に不慣れだ。被害を抑えるには彼の言う通りにするのが1番手っ取り早いだろう。
だが、それは……
「……私たちを真摯に受け止め、そして友として歩み寄ってくれた貴方を置いていくことなど──」
「──大丈夫、相手はともかく、僕自身は無傷で済ませられるからさ」
私が仲間たちを代表して彼の言ったことを否定しようとした矢先、彼はそれを遮るようにすぐに言葉を紡いだ。それも、普段の穏やかな雰囲気を纏いつつも自信ありげに。いや、正確に言えばそれは既に決まっていることかのように言ってのけた。
その自信満々な彼の態度に唖然とする私たちに「それに」と彼は続け。
「お相手さんもいつまでも待ってくれる訳じゃないからね、と!」
「っ!?」
ヤマトは飛んできた敵の術攻撃を右手に持っている錫杖の先から青白い刃を出して斬り消したあと、錫杖を軽く振って自身の周りに8つほどの青白く輝く光球を出すと、飛んできた複数の矢をその光球から光線を出して全て撃墜した。
「文句や言いたことは次会った時に甘んじて受けるから、早く行ってくれるかな?」
先程の行為を普段の生活でもしてるかのように自然体でこなした彼の実力を疑うことは出来なかった。そして私達は結局──
「次会ったら、お前が言っていた『ヨウカン』ってのを食わせろよ」
「それなら君の舌に合うように頑張って腕を振るうとしようかな」
「……次会った時、正座で私の話を聞いてくれ」
「それは思ったより酷い目に合いそうな気がしてきたから、遠慮していい?」
撤退することを選んだ。そして、なんでヨウカンを食べさせるのは嫌な顔をしないどころか笑みで答えたのに、なぜ正座で私の話を聞くのは苦笑いだったのだろうか。
「それじゃ、また今度」
「ああ、また今度」
「……また今度」
そうして、私達はいつも別れる時の挨拶をいつも通りの調子で答えて別れた。
「さて、君たちは……少しだけ僕とオハナシしてもらおうか?」
去り際、何処か怒気が混ざった彼の声が聞こえた気がした。
*****
「そして、次に彼に会ったのは──」
「マドロック、ちょっとステイ」
執務室にて。
マドロックが装備を脱ぐくらいには信頼を得たドクターは、彼女の話を一旦ストップさせて仮面に手を当てる。
「どうした、ドクター」
「いや、ヤマトのこと好きになった理由のついでに、馴れ初めについて聞いたけどさ、肝心の内容に辿り着くのは何時なの?」
不思議に思ったマドロックの問いにドクターは問いで返した。彼は「質問を質問で返すな」というのを習わなかったのだろうか。
それはさておき、そもそも何故こんなことになったのかと言うと、なんちゃって僧侶ことヤマトを巡る修羅場のメンバーにマドロックが加わってしまったのを知ってしまったドクターは、恋愛関連に興味があるメンバーに「なぜ好きになったのか聞いて欲しい」と頼まれ、ついでに個人的な理由で馴れ初めについても聞いたのだが、マドロックから出てくる話はヤマトとの出会いやそれからのことばかり。本題である好きになった理由は全く触れていないことに、ドクターはこのままでは何時になっても終わらないと判断し問いを投げかけた
そしてそれに対してマドロックは不思議そうな顔を浮かべた。
「ドクター、悪いが先程から話していることは全て本題なんだ」
「……え?」
「いや、質問を貰ってから少しだけ時間を貰った時に考えたのだが、彼のことを想い慕うようになったのはこれといった大きいきっかけではなく、彼と会ってから少しずつ積もっていったのではないかと思ったんだ」
「ウソでしょ……」
ドクターは戦慄した。まさか、これまでの話が全て本題だったとは思いもしなかったのだろう。そして、理性を失っていないせいで聡明である彼は気づいてしまった。マドロックは想いが少しずつ積もっていったと言った。ということは、先程までの話はまだ序の口では無いかということに。
「さて、続きなんだが……そうだな、あと2時間もあれば終わるだろう」
「oh……」
自身の恐ろしい予感が当たってしまったドクターはは思わず声を漏らし、後日話を聞くように頼んできた者たちには「3時間ほどの話になるから、簡潔に色々あって好きになった、でまとめさせてくださいお願いします」と懇願し、察した彼女たちは同情の眼差しをドクターに送ったのだった。
「ん、珍しいね。君がここに来るなんて」
「いや、たまにはゆっくり話したいと思ったからだ」
「分かった。それじゃ、お茶とか持ってくるから待っててくれるかい?」
「ああ、ありがとう」
*****
・アカフユの場合
──彼奴と初めて会ったのはロドスの廊下内ですれ違った時だった。が、あの時のヤマトはあまりにも普通すぎて一般職員かと思うほど普通の雰囲気を纏っていたため、僧の格好をしているところから極東の出の者ぐらいにしか思えなかった。いや、はっきり言ってあの時のヤマトからは戦士としての力や才が全く感じられなかった。
まあ、そのすれ違い以来全く合わなかったのだが、次にあったのは私と同じ舞台に所属した時だった。
「初めまして、僕の名前はヤマト。一応術師としてこの隊に所属することになった者なんだけどよろしくね」
「アカフユだ、こちらこそ頼む……ところで、お前は剣術も修めているのか?」
「まあ、
奴の挨拶を聞いて、術士なら確かに戦士としての力や才が無くても仕方ないと感じたが、そんなやつが腰に刀を差していることが気になり思わず聞いてしまったが、彼奴はすぐに返事をしてくれた。この時は人並みという言葉を信じたんだが、後にこれが裏切られるとは全く考えてなかったがな。
まあ、そんなこんなで彼奴とは廊下ですれ違ったりしたら軽く話すようになってな。なんというか聞き上手な上に話し上手でもあるせいか、親しくなるのはそんなに遅くはなかった。この部分は、私が好いているところでもあるな。……何?「そんな正直に言うとは思わなかった」だと?彼奴の前じゃないんだ、言い淀む理由がどこにある。……話が逸れたな、この後予定もあるし本題に入るとしよう。
ヤマトの印象が変わった、というより明確に意識するようになったのは3ヶ月ほど前の事だ。あの日、私は鍛錬をするために訓練所に足を運んだのだが生憎使用中でな。普段であればそこですぐに自室に戻ってたんだろうが、何となく誰が使っているか気になって中を覗いたのだ。そしたら、誰がいたと思う?予想外だろうがヤマトとエンカクの2人だ。
なんでこの2人が、という感想の前にヤマトが模擬戦用の刀を使っていることに驚いたな。何せあの時は彼奴の言っていた「人並み」というのを信じていたのだ。前衛として動いているエンカク相手に術士のヤマトが適うわけないことに思い至ったと同時に止めようと中に入ろうとしたんだが、それは出来なかった。
何故か?それは彼奴がエンカクに向けて放った剣技が余りにも綺麗だったのだ。まるで、夜の空を奔る流れ星を思わせる流れるような素早い連撃。今まで、数々の剣術を見てきた私ですら初めて見た真に綺麗な剣技であった。そして、その剣技からヤマトがかなりの使い手であること、そしてその道に至るまで想像を絶する鍛錬を積んだ来たことは容易に想像できた。
ああ、正直言おう。私はヤマトの剣技、そしてその域にたどり着いた彼奴の努力、そして強さに惹かれた。勘違いだと言われてもあの時の胸の高鳴りは、私にとっては本物の感情だ。
その後は、ヤマトの剣技を食らって気絶したせいで訓練続行が出来なくなったエンカクの代わりに私が相手を務めた。そして実際に剣を交えると更に彼奴のことが気に入ってしまった。
まあ、ヤマトのことを気に入ったのは他にも色々とあったのだがそれはあくまでこの想いを更に熱くさせるものであるからな、今回は省かせてもらおう。……「それって、もしかして前にヤマトが意識不明の重体で帰ってきたと思ったら、彼のことを兄貴!!って慕う元賊の人達が関係してるのか」だと?……まあ、そういうことだ。
さて、私はこの後用事があるからな。失礼させてもらおう。
******
「はぁ……なんでヤマトって一癖以上ある人ばっか引っ掛けるかなぁ」
「ヤマトさん自体は悪い人どころか、凄いいい人なんですけどね……」
アカフユが退室してからドクターはため息を吐き、そして本日の秘書であるミッドナイトは困ったような笑みを浮かべる。一応、ヤマトのことを擁護するのであれば、彼とて好き好んでラップランドやW達を引っ掛けた訳ではなく、彼の考え方や普段の行動などが彼女たちにどストライクであったせいであって、こればっかりは仕方ないだろう。だが、そのヤマトが中々帰ってこないことや、ガードがメ○ルキング並に硬いせいで彼を慕う面々が睨み合ったり、果てには喧嘩(主にW、イカズチやラップランド)してしまうことを考えると、ドクターが零した愚痴は当然のものでもある。
「そういえば、ヤマトが意識不明の重体で運ばれた時はロドス中が騒いだよね」
「そうですね……かく言う俺も動揺したのですが」
それは1ヶ月ほど前に起こったこと。村を襲う賊の捕縛をロドスからヤマトとアカフユの2名を含めた部隊が行いに行ったのだが、その任務でヤマトが人質に取られた子供を庇い重傷を負っただけならまだしも、アカフユの制止を振り切って戦闘を続行し、戦闘終了後意識を失ったというものだった。結果として一命を取り留めたものの、目を覚ましたヤマトはイカズチと彼を慕う子供たちには大泣きされるわ、フロストノヴァとW、ラップランドには「バカ」やら「アホ」やらと悪態をつかれるわ、マドロックには抱きしめられるわ、アカフユには謝られたりと色々な目にあっていた。
「……考えてみたら、1週間後にはヤマトさんはまた外に出てしまうんですよね」
「ああ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!そうだったあああっ!!」
ドクターは目を背けたい現実の目の前にして泣きそうになった。先程述べたように、ヤマトがロドスから出るとガチ勢の方々による修羅場のせいで周りに被害が及ぶ。幸いなのは、これにマドロックが参戦してない事だろう。もし彼女まで参戦してしまえば大惨事である。
そこでふと、ドクターは思いついた。
「……ヤマトとラップランド達を休暇という体でシエスタにまとめて送り出すなんてどうだろう?これをすれば全員幸せになれるぞ!!」
「シエスタを火の海にするつもりですか」
結局、この案は途中までは通ったものの最終的にはボツになったのであった。
*****
「ヤマト、体はもういいのか?」
「うん、ガヴィルさんからもOKサイン出たからね」
「だが、病み上がりだというのに軽く打ち合いをして欲しいとは……自分に厳しい奴だ」
「勘を戻しておきたいしね」
「……しかしなぜ私なんだ?エンカクやラップランドもいただろうに」
「あの二人は限度を知らないからね……その点、君はちゃんと自制出来るからね。だから君を選んだんだよ」
「ほぅ……嬉しいことを言ってくれるじゃないか。褒めてもやる気しか出ないぞ?」
「ふふっ、それなら良かった」
「さて、そろそろ始めようぞ」
「そうだね……それじゃあいくよ?」
投稿ペースを早くしたいこの頃です。
因みにヤマトがエンカクに向けて放った技は、某炎印のクラス:ソードマスターや剣聖の奥義です。
キャラ紹介
ヤマト(僧侶):見た目や雰囲気詐欺をしたり、O☆HA☆NA☆SHI☆が得意だったり、実は前衛として暴れ回った方が強い脳筋な元レユニオン幹部。やっぱりこのルートのエンカクにも気に入られてしまった。なお、1回闇堕ちしたせいもあってか自己犠牲の気は他のルート以上に酷く、自分の命だけはとてつもなく軽く見ている節がある。そのくせ周りの人の命は重く見るからタチが悪い。ちなみにヤマトのバックパックはシラヌイ製の特別なもので、見た目の割に物が結構入るため、それを利用してヤマトは干し芋茎を始めに色んな保存食を入れている。
マドロック:いつの間にか愛が重くなってた中身美女。修羅場には参戦しないため被害的な意味で言うと唯一まともな人。愛は重いが。
マドロックの仲間たち:ヴォルモンド以前からのメンバーはヤマトのことを結構気に入っている。ヨウカンは美味かった。
マドロックを襲った方々: 脳筋僧侶とのO☆HA☆NA☆SHI☆の結果、全員辺境の色んな村の農家や狩人に転職した。
アカフユ:なんか変な方向に覚醒してしまった女武士。最初こそ、ヤマトの剣技とその努力に惚れていたものの、現在では完全にヤマト自体を好きになってしまっている。が、恋愛クソ雑魚なためデートが鍛錬ということになってしまっている。まあ、本人はそれで今のところ満足しているが。
村を襲った賊の皆様:自分たちが人質にとった子供を助けるために体を張り、そして大怪我を負ってなお戦い続けるヤマトの姿に心を打たれて勝手に舎弟になったよく分からない人たち。贖罪として襲った村で畑仕事を手伝ったり、用心棒として働いている。
シラヌイ:私に作れぬものはあんまりない!(ドヤァ)